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第二部 第三章 異界の客人神
救出戦
しおりを挟む「ヴァンちゃん! やるなら今じゃない!?」
「やるしかないようだな。ルイス達はどうやらあの巨大な人型に捕らわれておるようだ。『アクセプト』『アクセプト』『アクセプト』」
ヴァンガルムが導術を発動し、目の前に黒い霧で覆われた画面が現れる。そこには巨大な人型の体から、顔と胴体だけが露出しているルイス達の姿。体には機械的な管が蠢き、うねうねと口や下腹部から侵入している。
「ちっ……悪趣味にも程があるわ」
発動した導術はさらに巨大な人型を分析。極大レーザー再稼働までの時間を導き出し、巨大な人型の頭上に『5:13』と残り時間を可視化させた。さらにこの巨大な人型は、攻撃を無効化する特殊なシールドを持たないことも判明。
「どうやら後五分は先程の叫びと極大レーザーは使えんようだ。それに加えてやはりルイス達の魔石は同化させられておらん。突撃し、体の周りを実体殺しで消し飛ばせば助け出せるはずだ」
「よし! よしよし! まずはみんなを助け出すよヴァンちゃん!!」
「くく……いい顔をしておるな。では……」
「行くぞマリルッ!!」とヴァンガルムが叫び、マリルがまるで彗星の如き速度で巨大な人型へと向けて飛ぶ。
---
──巨大な人型の尾根のような腕の上
「さ、さすがにこれはデカすぎだろう……」
「もう! 圧倒されてないで行くよヴァンちゃん!!」
近付いて分かる圧倒的な巨大さ。もはやそれは山であり、体表からは機械的な管がうねうねと蠢く。
「いたっ! あそこだヴァンちゃん!」
マリルの視線の先、巨大な腕の付け根にファムの姿。やはり機械的な管が辱めるようにファムの体を蠢く。
「……っくぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
ズガンッと巨大な人型の体表を蹴りつけ、マリルが放たれたバリスタの矢のようにファムの元へと向かう。
「そこだっ!!」
そのまま取り込まれたファムの真横を殴り付ける。するとドパンッと轟音を響かせて巨大な人型の体表──ファムを捉えていた部分が消し飛ぶ。これが実体殺しの力。
計算も発動もヴァンガルムが行っているのだが、マリルが動いてくれるからこそ、ヴァンガルムが様々な計算に集中出来る。
「よし! ひとまずファムを安全な場所まで運ぶぞ!」
「うん! 分かった!!」
マリルがファムを抱きかかえ、凄まじい速度で巨大な人型から離脱。そのまま先程の叫びが届かない場所まで運ぶ。この時点で叫びと巨大レーザー発射まで残り『4:08』となっていた。
「い、急がないとっ!!」
「よし! 次は右肩付近だ!! 先程セティーナとミシェリーの姿が見えたのでな!!」
「オッケーッ!!」
再び凄まじい速度でマリルが飛び、巨大な人型の右肩まで到達。ヴァンガルムの言うように、セティーナとミシェリーがほぼ並んで捉えられていた。ここでも機械的な管がピストン運動でもするように、二人の体を弄ぶ。
「二人を……離せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
マリル渾身の拳がセティーナとミシェリーの間に炸裂。ドパンッと実体殺しが発動し、二人を捉えていた部分を消し飛ばす。
「よし! じゃあ二人を運……きゃあっ!!」
二人を抱きかかえ、飛び立とうとするマリルの足に機械的な管が絡まる。
「やめて! 離してよっ!!」
「そこだっ!!消えんか!!」
うねうねとマリルに絡まる管を、ヴァンガルムが実体殺しで消し飛ばすが……
管は次々と現れてマリルに絡み付く。この時点で残り時間『3:18』まで減る。
「これじゃ間に合わない! アクセプト!」
何を思ったのかマリルが自身の兵装を解除し、ヴァンガルムが巨大な狼へとなる。
「な、何をしておるのだマリル!!」
「いいから二人をファムの場所まで連れてって! ヴァンちゃんが戻ってくるまで何とか耐えるから!! 言い返すの禁止!! 行って!!」
「くぅ……分かった! すぐに戻る!!」
ヴァンガルムがセティーナとミシェリーを咥えて離脱。マリルが「よしっ!」と気合いを入れる。
「私はあのレーザーを食らってないから同化させられないは……ひゃんっ!!」
マリルの背後から管が襲いかかり、体に絡み付く。
「んんっ! んぐっ!」
さらに管はマリルの口から侵入。
「んぶはっ!!」
マリルが力任せに口腔内に侵入した管を引き抜く。その間も管はマリルの体を這い回る。
「勝手に……触らないでよねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
マリルがヴァンパイアの力で硬質化した爪を伸ばす。その爪によって自身の体を這い回る管や周囲の管を烈断。
「そこっ! はぁっ! 遅いよっ! 無駄なんだからっ!!」
そのまま流れるように出現する管を切り刻んでいく。が、出現する管の数は増していき、さらには通常の人型まで無数に現れ始める。
「さ、さすがに多すぎ……ひぁっ!!」
マリルの足に絡み付く機械的な管。そのまま両手両足が管によって拘束され、一体の人型がマリルを組み敷く。人型は無遠慮にマリルの服を引き千切り──
「い、いやっ! やめてよっ!!」
マリルの視線の先、自身を組み敷く人型の下腹部に金属の棒が現れ、ゆっくりとマリルの下腹部へと近付く。金属の棒の先が触れ、ひんやりとした感触。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
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