25 / 36
第六章
高台からの景色
しおりを挟む
夜が明ける、少し前のことだった。
黒猫はうっすらと目を開いた。隣にあたたかなぬくもり、自分以外の呼吸のリズム。ひとりじゃないことに驚いて、少しずつ記憶が今日へとつながっていく。頭上には葉が重なり合う緑の天井。黒猫を狙う猫に警戒して、寝床を高台の緑地に移したのは昨晩のことだった。もし誰かが襲って来てもわたしが返り討ちにしてやるけど、と長い爪で笑ってみせた勇猛な彼女は、すぴすぴと鼻を鳴らしてまだ夢の中だ。
白猫と再会してから数日、一緒に家々をめぐり、通い猫としてご飯をもらっている。身体には少しずつ力が戻ってきた。ひどく細切れだった睡眠もだいぶ長くとれるようになってきた。たまにうなされて目覚めるときも、大丈夫、と言うように白猫がそっと寄り添う。
まるで、こちらが――今が、夢のなかにいるみたいだった。
白猫を起こさないようにそっと起き上がると、黒猫は大きくひとつ伸びをした。
空が少しずつ色を変えていく。
ふと、以前にもこの場所に白猫と訪れたなと思い出した。
それは確か、河川敷で山田に出会い、忘れていた過去や鈴について知って間もない頃のことだ。町を見下ろしながら、灰色の風景にため息をついたんだった。
『……あいもかわらず、つまんない町』
そう言って。
黒猫はふっと笑いを漏らし、歩きはじめた。確か、こっちだ。肌寒さに少し身震いしながらも足を進めていくと、立ち塞がる木々たちがさっと道を開いたように、突然視界がぱっと開けた。
あった、この町を一望できるスポット。
黒猫は石垣にぴょんと跳び乗ると、目の前に広がる景色を見つめた。しずかにのぼる朝日が、黒猫の世界を照らし始めようとしている。違和感を感じたのはそのときだ。
まぶしい。最初にそう感じた。
町がひかりに飲まれていく。ビルの窓がちらちらと輝き、揺れる。橙、黄、金色の、まばゆい。
ぶるりと震えが走った。ひかりは、今までのひかりじゃなかった。町は、同じ町には見えなかった。縦横無尽にひかりの手は伸びていく。黒猫のひげをそっと撫でるように、瞳の奥をつらぬくように。
溢れるようにその言葉は口からこぼれた。
「……きれいだ」
「うんうん、きれいだねー」
ひとりごとに相槌。さして思ってもなさそうな、うさんくさい声色。憎たらしい聞き覚えのある男の。
石垣を跳び降りると、がさりと足元の落ち葉が音を立てた。目の前にいる男――山田はひらひらと手を振りながら、笑った。
「やあ、黒猫ちゃん。どうもおひさしぶり」
まるで気持ちは突然のどしゃ降りだ。さまざまな思いが一気に降り注ぎ、体中はびしょ濡れでもみくちゃ。わけがわからなくなる。ようやく絞り出したなんてことない言葉は、情けないことに震えた。
「い、今までどこに……」
ふ、と山田が小さく笑う。
「探しててくれたんだ? 嬉しいなあ。ちょっと別件で駆り出されててさ、しばらく上の方にいたんだ。まったく神様も天使使いが荒いよね」
山田は空を指差しながら見上げたが、黒猫は見上げない。じっと山田から目を離さずに、続けた。
「……鈴の力が、使えなくなった」
「らしいね~」
まるで見てきたかのように、いや今見ているんだろう、山田が言った。
「でも、大丈夫だったようで何より何より。白猫ちゃんのおかげだね。あの子はたくましいなあ。今は女の子の時代だよね~」
「――ふざけるな!」
その口ぶりのあまりの軽さに、胸のうちを渦巻いていた感情がついに爆発した。
「あんな……あんなのが大丈夫なわけがないだろ! なんなんだよ、いつも自分だけわかったような顔して……あんた、腐ったもの食べたことあるのかよ。飢えて、幻覚みたりとかしたことあるのかよ!? 少しも、少しもわかってないくせに――」
「うん、ごめん」
あまりにも素直に謝られて、言葉が続かなくなった。
ぶつけどころを失って、足元の土を落ち葉ごと蹴り飛ばす。黄に色を変えた葉がぱらぱらと舞い散る。こころがぐちゃぐちゃだった。この男を責めたところで、なくなった鈴の力が戻ってくるわけでもないのに――。
「あ、ちなみになくなっちゃったわけじゃないよ? 鈴の力は。眠ってるだけ」
補足、と言わんばかりのあっさりとした口調に、思わず聞き逃しそうになる。打ちひしがれていた頭がようやくその意味を理解した瞬間、黒猫は猛烈な勢いで顔を上げた。
「な、なくなったわけじゃないって……それ、ほんと!?」
「うん。大丈夫大丈夫、すぐにまた使えるようになるよ」
山田がにこりと気色の悪い笑みを浮かべる。だけど、今回ばかりはまさしく天の使いのように思えた。
また戻れる。明日に怯えることのない生活に。誰にも負けない、強い自分に。
ほっとするあまり突っ伏してしまいそうになりながら、どうにか山田を見上げる。
「どっ、どうすれば……」
「せかさないでよ。ちゃんと教えるから。ただ、ひとつお願いを聞いてもらってもいいかな?」
「お願い?」
山田は鼻の下をこすりながら言った。
「ちょっと付き合って欲しいところがあるんだ、今日」
瞬間、白猫の笑みがぱっと頭をよぎった。昨夜、彩の家に一緒に行こうと約束したところだった。
「……今日は、約束が……」
口をついて出た言葉に自分で自分が驚く。約束がなんだ。どんなことだって鈴よりは優先順位が低いに決まってるのに。
だけど訂正する間もなく、山田がにこっと笑った。
「大丈夫、白猫ちゃんには俺から説明しておくよ。ちなみに明日彩ちゃんは先生に野暮用を頼まれて遅くなる日だから、明後日のほうがおすすめ」
また勝手に過去を見たな。黒猫が睨むと、楽しげに笑って山田はきびすを返した。
「じゃあ、交渉成立ってことで。夕方四時に、肉屋前のベンチで」
付き合ってほしいことってコロッケかよ。
がっくりときているうちに、山田の背中はまばたきの隙間を縫うように消え失せてしまった。
今のは、夢じゃないよな? 問うように見上げた先で、木々たちはひかりを浴びて歌うように輝く。
黒猫はうっすらと目を開いた。隣にあたたかなぬくもり、自分以外の呼吸のリズム。ひとりじゃないことに驚いて、少しずつ記憶が今日へとつながっていく。頭上には葉が重なり合う緑の天井。黒猫を狙う猫に警戒して、寝床を高台の緑地に移したのは昨晩のことだった。もし誰かが襲って来てもわたしが返り討ちにしてやるけど、と長い爪で笑ってみせた勇猛な彼女は、すぴすぴと鼻を鳴らしてまだ夢の中だ。
白猫と再会してから数日、一緒に家々をめぐり、通い猫としてご飯をもらっている。身体には少しずつ力が戻ってきた。ひどく細切れだった睡眠もだいぶ長くとれるようになってきた。たまにうなされて目覚めるときも、大丈夫、と言うように白猫がそっと寄り添う。
まるで、こちらが――今が、夢のなかにいるみたいだった。
白猫を起こさないようにそっと起き上がると、黒猫は大きくひとつ伸びをした。
空が少しずつ色を変えていく。
ふと、以前にもこの場所に白猫と訪れたなと思い出した。
それは確か、河川敷で山田に出会い、忘れていた過去や鈴について知って間もない頃のことだ。町を見下ろしながら、灰色の風景にため息をついたんだった。
『……あいもかわらず、つまんない町』
そう言って。
黒猫はふっと笑いを漏らし、歩きはじめた。確か、こっちだ。肌寒さに少し身震いしながらも足を進めていくと、立ち塞がる木々たちがさっと道を開いたように、突然視界がぱっと開けた。
あった、この町を一望できるスポット。
黒猫は石垣にぴょんと跳び乗ると、目の前に広がる景色を見つめた。しずかにのぼる朝日が、黒猫の世界を照らし始めようとしている。違和感を感じたのはそのときだ。
まぶしい。最初にそう感じた。
町がひかりに飲まれていく。ビルの窓がちらちらと輝き、揺れる。橙、黄、金色の、まばゆい。
ぶるりと震えが走った。ひかりは、今までのひかりじゃなかった。町は、同じ町には見えなかった。縦横無尽にひかりの手は伸びていく。黒猫のひげをそっと撫でるように、瞳の奥をつらぬくように。
溢れるようにその言葉は口からこぼれた。
「……きれいだ」
「うんうん、きれいだねー」
ひとりごとに相槌。さして思ってもなさそうな、うさんくさい声色。憎たらしい聞き覚えのある男の。
石垣を跳び降りると、がさりと足元の落ち葉が音を立てた。目の前にいる男――山田はひらひらと手を振りながら、笑った。
「やあ、黒猫ちゃん。どうもおひさしぶり」
まるで気持ちは突然のどしゃ降りだ。さまざまな思いが一気に降り注ぎ、体中はびしょ濡れでもみくちゃ。わけがわからなくなる。ようやく絞り出したなんてことない言葉は、情けないことに震えた。
「い、今までどこに……」
ふ、と山田が小さく笑う。
「探しててくれたんだ? 嬉しいなあ。ちょっと別件で駆り出されててさ、しばらく上の方にいたんだ。まったく神様も天使使いが荒いよね」
山田は空を指差しながら見上げたが、黒猫は見上げない。じっと山田から目を離さずに、続けた。
「……鈴の力が、使えなくなった」
「らしいね~」
まるで見てきたかのように、いや今見ているんだろう、山田が言った。
「でも、大丈夫だったようで何より何より。白猫ちゃんのおかげだね。あの子はたくましいなあ。今は女の子の時代だよね~」
「――ふざけるな!」
その口ぶりのあまりの軽さに、胸のうちを渦巻いていた感情がついに爆発した。
「あんな……あんなのが大丈夫なわけがないだろ! なんなんだよ、いつも自分だけわかったような顔して……あんた、腐ったもの食べたことあるのかよ。飢えて、幻覚みたりとかしたことあるのかよ!? 少しも、少しもわかってないくせに――」
「うん、ごめん」
あまりにも素直に謝られて、言葉が続かなくなった。
ぶつけどころを失って、足元の土を落ち葉ごと蹴り飛ばす。黄に色を変えた葉がぱらぱらと舞い散る。こころがぐちゃぐちゃだった。この男を責めたところで、なくなった鈴の力が戻ってくるわけでもないのに――。
「あ、ちなみになくなっちゃったわけじゃないよ? 鈴の力は。眠ってるだけ」
補足、と言わんばかりのあっさりとした口調に、思わず聞き逃しそうになる。打ちひしがれていた頭がようやくその意味を理解した瞬間、黒猫は猛烈な勢いで顔を上げた。
「な、なくなったわけじゃないって……それ、ほんと!?」
「うん。大丈夫大丈夫、すぐにまた使えるようになるよ」
山田がにこりと気色の悪い笑みを浮かべる。だけど、今回ばかりはまさしく天の使いのように思えた。
また戻れる。明日に怯えることのない生活に。誰にも負けない、強い自分に。
ほっとするあまり突っ伏してしまいそうになりながら、どうにか山田を見上げる。
「どっ、どうすれば……」
「せかさないでよ。ちゃんと教えるから。ただ、ひとつお願いを聞いてもらってもいいかな?」
「お願い?」
山田は鼻の下をこすりながら言った。
「ちょっと付き合って欲しいところがあるんだ、今日」
瞬間、白猫の笑みがぱっと頭をよぎった。昨夜、彩の家に一緒に行こうと約束したところだった。
「……今日は、約束が……」
口をついて出た言葉に自分で自分が驚く。約束がなんだ。どんなことだって鈴よりは優先順位が低いに決まってるのに。
だけど訂正する間もなく、山田がにこっと笑った。
「大丈夫、白猫ちゃんには俺から説明しておくよ。ちなみに明日彩ちゃんは先生に野暮用を頼まれて遅くなる日だから、明後日のほうがおすすめ」
また勝手に過去を見たな。黒猫が睨むと、楽しげに笑って山田はきびすを返した。
「じゃあ、交渉成立ってことで。夕方四時に、肉屋前のベンチで」
付き合ってほしいことってコロッケかよ。
がっくりときているうちに、山田の背中はまばたきの隙間を縫うように消え失せてしまった。
今のは、夢じゃないよな? 問うように見上げた先で、木々たちはひかりを浴びて歌うように輝く。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立
水縞しま
ライト文芸
旧題:独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~
第7回ライト文芸大賞【料理・グルメ賞】作品です。
◇◇◇◇
飛騨高山に本社を置く株式会社ワカミヤの独身寮『杉野館』。まかない担当として働く有村千影(ありむらちかげ)は、決まった予算の中で献立を考え、食材を調達し、調理してと日々奮闘していた。そんなある日、社員のひとりが失恋して落ち込んでしまう。食欲もないらしい。千影は彼の出身地、富山の郷土料理「ほたるいかの酢味噌和え」をこしらえて励まそうとする。
仕事に追われる社員には、熱々がおいしい「味噌煮込みうどん(愛知)」。
退職しようか思い悩む社員には、じんわりと出汁が沁みる「聖護院かぶと鯛の煮物(京都)」。
他にも飛騨高山の「赤かぶ漬け」「みだらしだんご」、大阪の「モダン焼き」など、故郷の味が盛りだくさん。
おいしい故郷の味に励まされたり、癒されたり、背中を押されたりするお話です。
あなたと私のウソ
コハラ
ライト文芸
予備校に通う高3の佐々木理桜(18)は担任の秋川(30)のお説教が嫌で、余命半年だとウソをつく。秋川は実は俺も余命半年だと打ち明ける。しかし、それは秋川のついたウソだと知り、理桜は秋川を困らせる為に余命半年のふりをする事になり……。
――――――
表紙イラストはミカスケ様のフリーイラストをお借りしました。
http://misoko.net/
心の落とし物
緋色刹那
ライト文芸
・完結済み(2024/10/12)。また書きたくなったら、番外編として投稿するかも
・第4回、第5回ライト文芸大賞にて奨励賞をいただきました!!✌︎('ω'✌︎ )✌︎('ω'✌︎ )
〈本作の楽しみ方〉
本作は読む喫茶店です。順に読んでもいいし、興味を持ったタイトルや季節から読んでもオッケーです。
知らない人、知らない設定が出てきて不安になるかもしれませんが、喫茶店の常連さんのようなものなので、雰囲気を楽しんでください(一応説明↓)。
〈あらすじ〉
〈心の落とし物〉はありませんか?
どこかに失くした物、ずっと探している人、過去の後悔、忘れていた夢。
あなたは忘れているつもりでも、心があなたの代わりに探し続けているかもしれません……。
喫茶店LAMP(ランプ)の店長、添野由良(そえのゆら)は、人の未練が具現化した幻〈心の落とし物(こころのおとしもの)〉と、それを探す生き霊〈探し人(さがしびと)〉に気づきやすい体質。
ある夏の日、由良は店の前を何度も通る男性に目を止め、声をかける。男性は数年前に移転した古本屋を探していて……。
懐かしくも切ない、過去の未練に魅せられる。
〈主人公と作中用語〉
・添野由良(そえのゆら)
洋燈町にある喫茶店LAMP(ランプ)の店長。〈心の落とし物〉や〈探し人〉に気づきやすい体質。
・〈心の落とし物(こころのおとしもの)〉
人の未練が具現化した幻。あるいは、未練そのもの。
・〈探し人(さがしびと)〉
〈心の落とし物〉を探す生き霊で、落とし主。当人に代わって、〈心の落とし物〉を探している。
・〈未練溜まり(みれんだまり)〉
忘れられた〈心の落とし物〉が行き着く場所。
・〈分け御霊(わけみたま)〉
生者の後悔や未練が物に宿り、具現化した者。込められた念が強ければ強いほど、人のように自由意志を持つ。いわゆる付喪神に近い。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
私と継母の極めて平凡な日常
当麻月菜
ライト文芸
ある日突然、父が再婚した。そして再婚後、たった三ヶ月で失踪した。
残されたのは私、橋坂由依(高校二年生)と、継母の琴子さん(32歳のキャリアウーマン)の二人。
「ああ、この人も出て行くんだろうな。私にどれだけ自分が不幸かをぶちまけて」
そう思って覚悟もしたけれど、彼女は出て行かなかった。
そうして始まった継母と私の二人だけの日々は、とても淡々としていながら酷く穏やかで、極めて平凡なものでした。
※他のサイトにも重複投稿しています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる