そして還るもの

諏訪彼方

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すれ違って繋がって

柔く心地よい居場所

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 翌日の午後1時から、私の家で(2回目の)「ローダンセ」に関する打ち合わせをした。(歌詞を先に作って、それに合わせて曲を作る方法)で制作を始めたから、透にはかなり負担をかけてしまっている。けど、より良くなるようにって何個もアイデアを持って来てくれる。本当に透はすごい。
「ごめんね透。私が後ならよかったのに…」
「いいさ。莉子の詞をいかに立たせるかを考えるのはかなり楽しいから」
 私が作った詞と透のメロディによって素晴らしい曲ができてきたと思っている。それを果南が歌うのだから、素晴らしくなるのは決まり。言い切れるくらいにいいものになってきた。
「こんな短期間でこんなすごいものを作れるって…2人とも、私を置いていかないでよ~!」
「置いていくも何も、果南は歌う方に才を見出したのだよ。果南の仕事はこれからだろう。」
「そうだよ?果南に歌ってもらえることでさらに華やかなものに変わっていくんだと思うな」
「承知!いつもありがとうね~」
「うん!」
「挑戦!私もボイトレ頑張らなきゃな」
「ねえ、某ゲームの理事長さんのまね?は、果南にはあんまり…」
「うえ~ん、自分でも言っててそう感じてた」
「もう!果南てば!」
「なんか、莉子につっこまれるのも嬉しいな」
「君たち、それは僕に対するいじめかな?」
「そんなつもりはないよ(果南はどうか知らないけど)…」
「なら構わないさ」

 ※  ※  ※
 2人を玄関まで見送った後(果南は泊まる!っていって少々駄々をこねたけど)、おかあさんに声をかけられた。
「なんだか、とっても今の莉子は生き生きしてる気がする。コンテストの制作の時もかなり頑張っていたけど、それが終わったら燃え尽き症候群(バーンアウト症候群)のようになってたもの」
「そうかもね。果南達には感謝してる。」
「それにしても、施設にいた時のお友達とこうしてまた関わるなんて…」
「運命的、だね。」
「2人ともいい子そうだし、あなたといいあの子達といい、どうして施設に行くようなことに…」悲しそうな目をするおかあさん。今にも泣き出しそうに見えたから、私はそっと肩を抱き、囁くように言った。
「悲しまないで。今、こうしていられるのは私を家族だって言ってくれるおかあさん達のおかげだよ」
「…うん」
「だから、いつもありがとう。わがままに付き合ってもらって」
「ううん、あなたは今まできっと苦労して来たんだから、もっともっと甘えてくれていいんだよ?あなたは私たちの家族で娘なんだから。遠慮せずなんでも話してみなさい」
「うん、ありがとう。じゃあ、早速…」
「何?」
「晩御飯リクエストしたいんだけど…いいかな?」
「いいよ!それで…何が食べたいの?」
「あのね…」

 美人で私を娘って言ってくれるおかあさん、こっちに移動して毎日頑張って働いていて、私のやることにいつも驚いて応援してくれるおとうさん。2人に出会えて、家族になれて本当に良かったな。
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