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「そう言ってくれたヒデがこの地球上で1番カッコよかったの~!」
「それ3ヶ月前にも電話で聞いたけど」
あの念願の感動的で最高のプロポーズを受けてからもう3ヶ月。
俺は久しぶりにルイとお茶しに来ていた。
「あと100万回は聞いてほしい! そしてその後は婚姻届出したときの話聞いて!」
「絶対ヤダ。ナギは喜んでるけど、指輪の話はないわ」
「ありです~! めちゃくちゃ嬉しかったんだから! 最後の指輪なんて、俺がたまたまデート中にキレイって言ったブランドのなんだよ! ここのアクセ欲しいって言ったことないのに、俺って愛されてる!」
「この前まで別れたいのかなって、うっとうしいくらいネガティブだったのにね」
呆れ顔でルイボスティーを飲むルイに追い打ちをかけるように、俺は左手の薬指に嵌った指輪を見せた。
「ほらほら! みてみて!」
きっと溶けちゃうくらい緩み切った顔をしてるんだろう。
ルイの眉間のシワが増えた。
「ナギたちは結婚式どうすんの?」
指輪にチラッと視線を流すだけで、ルイは思い出したように聞いてきた。
もっとちゃんとこの素敵な指輪を見てほしいのに。
「挙げる予定。半年後になると思う。せっかくだからリゾート地がいいよねってヒデと話してて、ルイも来てくれるよね?」
意外にも結婚式をしようと言い出したのはヒデだった。俺もしたかったというか、ヒデのタキシード姿が見たいからもちろん大賛成。今はふたりで準備中だ。ちなみに今のところ喧嘩はしていない。
「あーそれが」
俺の誘いを聞いて、ルイが気まずそうな声を出す。
え、もしかして来たくないやつか。
「無理させたくないけど、ルイには来てほしいな。俺らのことでいろいろ世話になったし」
「違う。式が嫌なんじゃなくて……今から言うことで騒ぐなよ」
「えっ、なに?」
「……妊娠した」
「ええ!!」
「うるさい」
びっくりしてミルクティーが入ったカップをぶちまけるところだった。
えっ、だって、ルイに赤ちゃん?
「だから、その時期に遠出出来るかわかんないってこと」
「な、なるほど」
「それにまだ安定期じゃないし、言いふらすなよ」
「あ、うん。今日出歩いて大丈夫なの?」
「別に平気。アイツが迎えにくるし」
ルイ、ちょっと照れてる。
旦那さんのお迎えいいなぁ。そして、家族が増えるのかぁ。
俺とヒデにもいつか家族が増えることがあるんだろうか。
「ヒデ似の子がいいな!」
「話が飛躍しすぎじゃない? ひとまず新婚生活満喫しときなよ」
そういうとルイは帰り支度を始めてしまった。
「もう帰るの?」
「迎えが来たからね」
店の外を見ると、ルイの旦那さんが携帯を見ながら立っていた。
線の細い年上の人で、話したことあるけど物凄く優しい。ヒデとはまた違った感じで、大人の包容力に溢れた人だ。正直ルイの今までの彼氏と全然違うからどうなんだろうって思っていたけど、そんなの杞憂だったようでルイと出会ってから今が1番幸せそうだ。
まあ、そんなに良い人でもヒデのほうが最高ですが!
「ナギもあの彼氏くんとお幸せに。あぁ、もう彼氏じゃなくて旦那か」
ルイはそう言い残すと、店の外へと出ていった。
「旦那……」
そうだ。
ヒデはもうどこの誰からみても、俺の旦那なんだ。
「俺の旦那さん……!」
こうして俺とヒデは幸せな結婚をすることが出来ましたとさ。
めでたしめでたし。
そしてこれからも、ヒデと並んで生きていく物語が続くことを祈って
end
「それ3ヶ月前にも電話で聞いたけど」
あの念願の感動的で最高のプロポーズを受けてからもう3ヶ月。
俺は久しぶりにルイとお茶しに来ていた。
「あと100万回は聞いてほしい! そしてその後は婚姻届出したときの話聞いて!」
「絶対ヤダ。ナギは喜んでるけど、指輪の話はないわ」
「ありです~! めちゃくちゃ嬉しかったんだから! 最後の指輪なんて、俺がたまたまデート中にキレイって言ったブランドのなんだよ! ここのアクセ欲しいって言ったことないのに、俺って愛されてる!」
「この前まで別れたいのかなって、うっとうしいくらいネガティブだったのにね」
呆れ顔でルイボスティーを飲むルイに追い打ちをかけるように、俺は左手の薬指に嵌った指輪を見せた。
「ほらほら! みてみて!」
きっと溶けちゃうくらい緩み切った顔をしてるんだろう。
ルイの眉間のシワが増えた。
「ナギたちは結婚式どうすんの?」
指輪にチラッと視線を流すだけで、ルイは思い出したように聞いてきた。
もっとちゃんとこの素敵な指輪を見てほしいのに。
「挙げる予定。半年後になると思う。せっかくだからリゾート地がいいよねってヒデと話してて、ルイも来てくれるよね?」
意外にも結婚式をしようと言い出したのはヒデだった。俺もしたかったというか、ヒデのタキシード姿が見たいからもちろん大賛成。今はふたりで準備中だ。ちなみに今のところ喧嘩はしていない。
「あーそれが」
俺の誘いを聞いて、ルイが気まずそうな声を出す。
え、もしかして来たくないやつか。
「無理させたくないけど、ルイには来てほしいな。俺らのことでいろいろ世話になったし」
「違う。式が嫌なんじゃなくて……今から言うことで騒ぐなよ」
「えっ、なに?」
「……妊娠した」
「ええ!!」
「うるさい」
びっくりしてミルクティーが入ったカップをぶちまけるところだった。
えっ、だって、ルイに赤ちゃん?
「だから、その時期に遠出出来るかわかんないってこと」
「な、なるほど」
「それにまだ安定期じゃないし、言いふらすなよ」
「あ、うん。今日出歩いて大丈夫なの?」
「別に平気。アイツが迎えにくるし」
ルイ、ちょっと照れてる。
旦那さんのお迎えいいなぁ。そして、家族が増えるのかぁ。
俺とヒデにもいつか家族が増えることがあるんだろうか。
「ヒデ似の子がいいな!」
「話が飛躍しすぎじゃない? ひとまず新婚生活満喫しときなよ」
そういうとルイは帰り支度を始めてしまった。
「もう帰るの?」
「迎えが来たからね」
店の外を見ると、ルイの旦那さんが携帯を見ながら立っていた。
線の細い年上の人で、話したことあるけど物凄く優しい。ヒデとはまた違った感じで、大人の包容力に溢れた人だ。正直ルイの今までの彼氏と全然違うからどうなんだろうって思っていたけど、そんなの杞憂だったようでルイと出会ってから今が1番幸せそうだ。
まあ、そんなに良い人でもヒデのほうが最高ですが!
「ナギもあの彼氏くんとお幸せに。あぁ、もう彼氏じゃなくて旦那か」
ルイはそう言い残すと、店の外へと出ていった。
「旦那……」
そうだ。
ヒデはもうどこの誰からみても、俺の旦那なんだ。
「俺の旦那さん……!」
こうして俺とヒデは幸せな結婚をすることが出来ましたとさ。
めでたしめでたし。
そしてこれからも、ヒデと並んで生きていく物語が続くことを祈って
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