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矢崎唯は平々凡々な家庭に生まれ、ごく平穏な生活を送ってきた。少し普通じゃないのは、めちゃくちゃ顔良し性格良しの最高物件の幼馴染がいること。
幼馴染の江口斗真とは、物心ついたときから仲良くやっている。斗真にとってはただの幼馴染で親友だろうけど、俺は斗真にひっそりと片想いをしている。
いつも俺を優先してくれて一緒にいると楽しくて、それで笑うとすごく可愛いって恋に落ちないほうがどうかしてる。
男同士だけど斗真ってそういうの気にしないタイプだし、何故か分からないけど今まで恋人がいた様子もない。きっと斗真は、初恋もまだに違いない!
だから、高校生になったら「あれ?幼馴染としか思ってなかったアイツがなんだか愛おしいぞ?」って思ってもらえるように頑張るんだ!
そんな決意を胸に、今日は高校の入学式。
俺と斗真はもちろん同じ高校に入学する。斗真のほうが頭が良いから、この一年間勉強をすごく頑張った。こんなに頑張ったんだから、高校で斗真と付き合えたりしないかな。神様、頼むよ。
「じゃあ、唯。またあとでね」
「あ、うん」
教室の前で斗真を見送る。
遠ざかっていく斗真の背中が名残惜しい。
さっそく神様は俺を甘やかしてはくれなかった。斗真とクラスが離れてしまったのだ。張り出されていたクラス表を何度見ても、俺は二組で斗真は四組。
違うクラスなのは悲しいけど「唯と同じクラスがよかったな」っていう斗真の言葉を思い出して、なんとか立ち直る。せめて斗真のクラスに、斗真を誘惑する悪女がいませんように!
自分の教室に入ると、知らない人がたくさんいた。
そりゃ当たり前だけど、こういう雰囲気って苦手。
黒板に貼られた座席表を確認して、俺は自分の席に向かった。こういうのは決まって名前順で「矢崎」は大体奥の方。窓側なのはラッキーだけど、斗真とは遠くなるから名前順はそんなに好きじゃない。
俺の席は窓側の前から三つ目で、どうやら隣の人はまだ来ていないようだ。
その代わり、俺の後ろの席にはもう誰か座っている。
あれ
自分の席に近づきながら、その男の顔を見る。
俺はこの男を知っている。
席にリュックを置く俺に、男は声を掛けてきた。
「はじめまして。俺、山城っていうんだ」
色素の薄いサラサラの髪に、丸くてくりっとした目。柔らかい笑い方に「山城」という名前。
この男、BL小説の受けだ。
幼馴染の江口斗真とは、物心ついたときから仲良くやっている。斗真にとってはただの幼馴染で親友だろうけど、俺は斗真にひっそりと片想いをしている。
いつも俺を優先してくれて一緒にいると楽しくて、それで笑うとすごく可愛いって恋に落ちないほうがどうかしてる。
男同士だけど斗真ってそういうの気にしないタイプだし、何故か分からないけど今まで恋人がいた様子もない。きっと斗真は、初恋もまだに違いない!
だから、高校生になったら「あれ?幼馴染としか思ってなかったアイツがなんだか愛おしいぞ?」って思ってもらえるように頑張るんだ!
そんな決意を胸に、今日は高校の入学式。
俺と斗真はもちろん同じ高校に入学する。斗真のほうが頭が良いから、この一年間勉強をすごく頑張った。こんなに頑張ったんだから、高校で斗真と付き合えたりしないかな。神様、頼むよ。
「じゃあ、唯。またあとでね」
「あ、うん」
教室の前で斗真を見送る。
遠ざかっていく斗真の背中が名残惜しい。
さっそく神様は俺を甘やかしてはくれなかった。斗真とクラスが離れてしまったのだ。張り出されていたクラス表を何度見ても、俺は二組で斗真は四組。
違うクラスなのは悲しいけど「唯と同じクラスがよかったな」っていう斗真の言葉を思い出して、なんとか立ち直る。せめて斗真のクラスに、斗真を誘惑する悪女がいませんように!
自分の教室に入ると、知らない人がたくさんいた。
そりゃ当たり前だけど、こういう雰囲気って苦手。
黒板に貼られた座席表を確認して、俺は自分の席に向かった。こういうのは決まって名前順で「矢崎」は大体奥の方。窓側なのはラッキーだけど、斗真とは遠くなるから名前順はそんなに好きじゃない。
俺の席は窓側の前から三つ目で、どうやら隣の人はまだ来ていないようだ。
その代わり、俺の後ろの席にはもう誰か座っている。
あれ
自分の席に近づきながら、その男の顔を見る。
俺はこの男を知っている。
席にリュックを置く俺に、男は声を掛けてきた。
「はじめまして。俺、山城っていうんだ」
色素の薄いサラサラの髪に、丸くてくりっとした目。柔らかい笑い方に「山城」という名前。
この男、BL小説の受けだ。
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