81 / 86
乱れる乙女心
離れる心
しおりを挟む
彼は全身で私を求めてくれた。私の恋に気づいてくれたのだと喜んでいた。
──あの時までは。
「うっ……いたっ」
目が覚めるとそこは見覚えのない部屋で、まず全身の痛みと倦怠感に襲われた。自分のカサカサに乾燥した声に異変を感じて喉に触れる。
そして自分が裸であり、ベッドに一人眠っていたことに気づき、昨晩なにがあったかを思い出した。
「……ルーカス……?」
私の勘違いでなければ、昨晩私はルーカスと過ごしたはずだ。何時間も彼と繋がって愛し合ったはずだ。
それなのに、私は部屋に一人。ベッドの傍らは冷たくなっていた。彼の姿は何処にもない。
彼は私を置いていなくなっていた。
……そんなのってある? 私のことを抱いたくせに、置いてけぼりにするんだ。
つらい身体を起こすと、あらぬ部分が痛んだ。
布団をずらせば、なにも身につけていない下半身とシーツに広がる残滓、そして破瓜の跡が残っていた。
それを見ると私は惨めな気持ちに襲われた。
抱いたら用無しなの?
愛していると言ったのは嘘だったんた。ルーカスが懇願するから、辛そうだったから私は身体を許したのに。
こんなのひどい。最低、最低よ。
媚薬が抜けて正気になったから、何もなかったことにしたいんだ。
私の処女を奪ったくせに、そういうことするんだ。
近くにいたのがたまたま私だったから。衝動を発散するためなら私じゃなくても良かったんだ。
──それならドロテアさんの望み通りに彼女を抱けばよかったのに。
そんなことなら、私を連れ込まないでよ。あんな声で私を呼ばないでほしかった。
私の恋心を利用しないでほしかった。
愛されていると自惚れた昨晩の自分が馬鹿みたいじゃないの。
私はつらい身体を無理矢理起こすと、地面に散らばった下着やドレスを着用した。膝ががくがくしてよろけながらもなんとか着用すると、汚したシーツを巻き取って証拠隠滅を謀る。
「……我に従う時空の元素達よ……リナリア・ブルームの女子寮へ送り給え」
転送術を使って女子寮にひとっ飛びしようとしてつぶやいた呪文の言葉は震えていた。
身体を引き摺るようにして女子寮に戻ると、使用時間中ではない大浴場へ足を踏み入れ、なるべく音を立てないように水浴びした。
魔法でお湯を作ってもよかったけれど、そんな気力もなく、冷たい水を頭から浴びて昨晩の痕跡をすべて流した。
立ち上がると、ズキズキ痛む秘部からどろりと彼が吐き出したものが流れ出てきた。私の血と混ざり合ったそれは太ももを伝って排水溝へと流れ落ちて行く。
同時に、私の中にあった大切ななにかも流れて行ったような気がした。
水浴びをしたせいか、あんなことがあったからかはわからないけれど、私はそれから熱を出して寝込んだ。
誰にも相談できなくて思い悩んでいた影響だと思う。
恋人ではない相手とそういう行為をして、抱き捨てられたなんて誰に言えようか。
一晩寝ても熱が下がらないので、ニーナが医務室の先生に相談しようかと言ってきたけど、私はそれを拒んだ。医療に精通しているキルヒナー先生なら、私の身になにがあったか察してしまうだろう。
ただでさえ、あの夜にルーカスが残した痕が全身に残っているのだ。これを見られたらただじゃ済まないだろう。
誰にも知られたくなかった。
学校に行けば、彼と顔を合わせることになる。
会うのが怖くて、このまま熱が下がらなければいいのにと願った。
3日ほどで熱は下がった。
心配したイルゼとニーナが変わりばんこで看病してくれたおかげである。下半身の痛みもだいぶ緩和して動くのには支障がなくなるほど回復した。
だけど私の心はまだ回復には至らず。どんよりした気持ちを引きずりながら学校に登校した。
「リナリア」
その声に過敏に反応した私は身を縮こめて、相手を警戒した。
相手は数日ぶりに会うルーカスだったから。
「あの……パーティの翌日は」
私が怯えているように見えたのか、一瞬ルーカスは口ごもった。しかし思い直して何かを言おうと口を開いた。
だけど私は彼の言い訳を聞く気はなかった。どうせあの日のことをなかったことにしたいんでしょう。私を置いて出て行ったのだものね。
あんなに好きでたまらなかった彼のことが憎くなってきて、顔すら見たくなかった。
涙が溢れてきそうだったので、それを見せたくなくて彼から目をそらすと横を通り過ぎる。
「待って、リナリア」
「! いやっ」
逃げようとした私を捕まえようとしたのだろう。ルーカスが腕を掴んできたので私は拒絶した。
捕まれた腕を力いっぱい振り払うと、彼の顔を見ずに小走りで駆け出した。
ルーカスは後を追ってこなかった。
私は徹底的に相手を避けた。
何を言われるか、どんな態度を取られるかわからなくて怖かった。
そして彼を好きだった分、された事の酷さに怒り、憎く思っていた。
ピィーッ……と鳴きながら飛んできた伝書鳩。
送ってきた相手が誰だかすぐにわかった。
ルーカスが何考えているかわからない。あんなことしたくせにどうして私と接触をはかろうとするのか。
届いた伝書鳩も怖くて開封できず、そのまま返送していた。
あの日の晩のことも、私の恋心も何もなかったことにしたい。
だけど、もう元には戻れないのだ。
◇◆◇
長期休暇直前になって、実家の両親から速達でお手紙が届いた。
寮母さんから受けとったそれを開封した私は眉間にしわを寄せてしまった。
いつもなら私の近況を伺う挨拶で始まる両親からの手紙だが、今回は違った。
【うちの近くで怪しい人物がお前を探してうろついている】
不穏な一文から始まった手紙には、警告が連なっていた。
以前住んでいたモナートでも私を探す怪しい魔術師らしき人物がいたが、それが新居近辺にも出現したのだという。
【どんなに護衛を雇ったとしても、お前を守りきれないかもしれない。魔法庁と魔法魔術省の役人さんには連絡相談して対処してもらっている最中だ。危ないから今回の休暇は学校に残りなさい】
お父さんもお母さんも私の身の安全を最優先に考え、今回の長期休暇は戻ってくるなと言う。
この事は学校の先生にも手紙を送ったこと、休暇中の食料・生活用品などは後ほど送る、必要なものがあれば手紙で伝えてほしい、とも書かれていた。
長期休暇中は申請すれば寮に残れるが、食堂も空いていないため、完全自給自足になる。
そして今回の休暇で居残りになったのは私だけだった。
「リナリア、じゃあ私たちは行くわね」
「学校の中なら絶対に安全よ。休暇中も日中なら先生が誰か必ずいるし、夜も強力な結界で守られているから滅多なことは起きないわ!」
「うん……ふたりとも気をつけてね」
私は女子寮に残り、帰省する友人達を見送った。
家に帰れないのは仕方ない、未解決事件のこともある。お父さんとお母さんを心配させちゃダメだ。
あぁ。でもこんな時だから家に帰りたかった。
一人ぼっちの寮も部屋も寂しくてどうにかなってしまいそうだった。
話し相手もおらず、なんにもやる気が出なかった私は寮に引きこもってふさぎ込んでいた。
やけに体調が悪くて、気分も最悪だったから尚更。
その間もルーカスから伝書鳩と手紙が何度も届いたけど、そのすべてを受け付けないで拒絶した。
彼の事を思い出す度にあの晩の事を思い出して胸が苦しく、せつなく、そして虚しい気持ちに襲われる。自分が惨めになるのだ。
お願いだから今は私をそっとしておいて欲しかった。
あの夜をなかったことにしたいならもう私に構わないで欲しい。
ベッドの上で身体を丸めた私は、溢れる涙を抑えず、ひとり泣き続けたのである。
──あの時までは。
「うっ……いたっ」
目が覚めるとそこは見覚えのない部屋で、まず全身の痛みと倦怠感に襲われた。自分のカサカサに乾燥した声に異変を感じて喉に触れる。
そして自分が裸であり、ベッドに一人眠っていたことに気づき、昨晩なにがあったかを思い出した。
「……ルーカス……?」
私の勘違いでなければ、昨晩私はルーカスと過ごしたはずだ。何時間も彼と繋がって愛し合ったはずだ。
それなのに、私は部屋に一人。ベッドの傍らは冷たくなっていた。彼の姿は何処にもない。
彼は私を置いていなくなっていた。
……そんなのってある? 私のことを抱いたくせに、置いてけぼりにするんだ。
つらい身体を起こすと、あらぬ部分が痛んだ。
布団をずらせば、なにも身につけていない下半身とシーツに広がる残滓、そして破瓜の跡が残っていた。
それを見ると私は惨めな気持ちに襲われた。
抱いたら用無しなの?
愛していると言ったのは嘘だったんた。ルーカスが懇願するから、辛そうだったから私は身体を許したのに。
こんなのひどい。最低、最低よ。
媚薬が抜けて正気になったから、何もなかったことにしたいんだ。
私の処女を奪ったくせに、そういうことするんだ。
近くにいたのがたまたま私だったから。衝動を発散するためなら私じゃなくても良かったんだ。
──それならドロテアさんの望み通りに彼女を抱けばよかったのに。
そんなことなら、私を連れ込まないでよ。あんな声で私を呼ばないでほしかった。
私の恋心を利用しないでほしかった。
愛されていると自惚れた昨晩の自分が馬鹿みたいじゃないの。
私はつらい身体を無理矢理起こすと、地面に散らばった下着やドレスを着用した。膝ががくがくしてよろけながらもなんとか着用すると、汚したシーツを巻き取って証拠隠滅を謀る。
「……我に従う時空の元素達よ……リナリア・ブルームの女子寮へ送り給え」
転送術を使って女子寮にひとっ飛びしようとしてつぶやいた呪文の言葉は震えていた。
身体を引き摺るようにして女子寮に戻ると、使用時間中ではない大浴場へ足を踏み入れ、なるべく音を立てないように水浴びした。
魔法でお湯を作ってもよかったけれど、そんな気力もなく、冷たい水を頭から浴びて昨晩の痕跡をすべて流した。
立ち上がると、ズキズキ痛む秘部からどろりと彼が吐き出したものが流れ出てきた。私の血と混ざり合ったそれは太ももを伝って排水溝へと流れ落ちて行く。
同時に、私の中にあった大切ななにかも流れて行ったような気がした。
水浴びをしたせいか、あんなことがあったからかはわからないけれど、私はそれから熱を出して寝込んだ。
誰にも相談できなくて思い悩んでいた影響だと思う。
恋人ではない相手とそういう行為をして、抱き捨てられたなんて誰に言えようか。
一晩寝ても熱が下がらないので、ニーナが医務室の先生に相談しようかと言ってきたけど、私はそれを拒んだ。医療に精通しているキルヒナー先生なら、私の身になにがあったか察してしまうだろう。
ただでさえ、あの夜にルーカスが残した痕が全身に残っているのだ。これを見られたらただじゃ済まないだろう。
誰にも知られたくなかった。
学校に行けば、彼と顔を合わせることになる。
会うのが怖くて、このまま熱が下がらなければいいのにと願った。
3日ほどで熱は下がった。
心配したイルゼとニーナが変わりばんこで看病してくれたおかげである。下半身の痛みもだいぶ緩和して動くのには支障がなくなるほど回復した。
だけど私の心はまだ回復には至らず。どんよりした気持ちを引きずりながら学校に登校した。
「リナリア」
その声に過敏に反応した私は身を縮こめて、相手を警戒した。
相手は数日ぶりに会うルーカスだったから。
「あの……パーティの翌日は」
私が怯えているように見えたのか、一瞬ルーカスは口ごもった。しかし思い直して何かを言おうと口を開いた。
だけど私は彼の言い訳を聞く気はなかった。どうせあの日のことをなかったことにしたいんでしょう。私を置いて出て行ったのだものね。
あんなに好きでたまらなかった彼のことが憎くなってきて、顔すら見たくなかった。
涙が溢れてきそうだったので、それを見せたくなくて彼から目をそらすと横を通り過ぎる。
「待って、リナリア」
「! いやっ」
逃げようとした私を捕まえようとしたのだろう。ルーカスが腕を掴んできたので私は拒絶した。
捕まれた腕を力いっぱい振り払うと、彼の顔を見ずに小走りで駆け出した。
ルーカスは後を追ってこなかった。
私は徹底的に相手を避けた。
何を言われるか、どんな態度を取られるかわからなくて怖かった。
そして彼を好きだった分、された事の酷さに怒り、憎く思っていた。
ピィーッ……と鳴きながら飛んできた伝書鳩。
送ってきた相手が誰だかすぐにわかった。
ルーカスが何考えているかわからない。あんなことしたくせにどうして私と接触をはかろうとするのか。
届いた伝書鳩も怖くて開封できず、そのまま返送していた。
あの日の晩のことも、私の恋心も何もなかったことにしたい。
だけど、もう元には戻れないのだ。
◇◆◇
長期休暇直前になって、実家の両親から速達でお手紙が届いた。
寮母さんから受けとったそれを開封した私は眉間にしわを寄せてしまった。
いつもなら私の近況を伺う挨拶で始まる両親からの手紙だが、今回は違った。
【うちの近くで怪しい人物がお前を探してうろついている】
不穏な一文から始まった手紙には、警告が連なっていた。
以前住んでいたモナートでも私を探す怪しい魔術師らしき人物がいたが、それが新居近辺にも出現したのだという。
【どんなに護衛を雇ったとしても、お前を守りきれないかもしれない。魔法庁と魔法魔術省の役人さんには連絡相談して対処してもらっている最中だ。危ないから今回の休暇は学校に残りなさい】
お父さんもお母さんも私の身の安全を最優先に考え、今回の長期休暇は戻ってくるなと言う。
この事は学校の先生にも手紙を送ったこと、休暇中の食料・生活用品などは後ほど送る、必要なものがあれば手紙で伝えてほしい、とも書かれていた。
長期休暇中は申請すれば寮に残れるが、食堂も空いていないため、完全自給自足になる。
そして今回の休暇で居残りになったのは私だけだった。
「リナリア、じゃあ私たちは行くわね」
「学校の中なら絶対に安全よ。休暇中も日中なら先生が誰か必ずいるし、夜も強力な結界で守られているから滅多なことは起きないわ!」
「うん……ふたりとも気をつけてね」
私は女子寮に残り、帰省する友人達を見送った。
家に帰れないのは仕方ない、未解決事件のこともある。お父さんとお母さんを心配させちゃダメだ。
あぁ。でもこんな時だから家に帰りたかった。
一人ぼっちの寮も部屋も寂しくてどうにかなってしまいそうだった。
話し相手もおらず、なんにもやる気が出なかった私は寮に引きこもってふさぎ込んでいた。
やけに体調が悪くて、気分も最悪だったから尚更。
その間もルーカスから伝書鳩と手紙が何度も届いたけど、そのすべてを受け付けないで拒絶した。
彼の事を思い出す度にあの晩の事を思い出して胸が苦しく、せつなく、そして虚しい気持ちに襲われる。自分が惨めになるのだ。
お願いだから今は私をそっとしておいて欲しかった。
あの夜をなかったことにしたいならもう私に構わないで欲しい。
ベッドの上で身体を丸めた私は、溢れる涙を抑えず、ひとり泣き続けたのである。
10
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
【完結】笑花に芽吹く 〜心を閉ざした無気力イケメンと、おっぱい大好き少女が出会ったら〜
暁 緒々
恋愛
「俺が?あの子を好き……?」「ええっ?私って……彼のことが好きなの?」──初恋は、運命でした。
どう見ても交わることの無い二人の縁が少しずつ絡み、変化し、成長する、青春時代の純粋な恋。
けれど、ただの恋では終わらない。苦難に抗い成長する愛の物語。
◇
「一度したら二度と関わらないって約束で和泉とヤれる。凄すぎてやめられなくなるらしいよ、和泉のセックス」
衝撃的な話に亜姫はカフェオレを噴き出した。
大好きなプルプルおっぱいのことばかり考えている亜姫は偶然和泉の行為を見てしまい、最低だと軽蔑する。なのに彼の噂を聞くたび、何故つまらなそうな顔をしているのか気になり……。
感情が欠落した無表情の和泉は、名前も知らない時々遠目に見かけるだけの「黒髪で笑顔のあの子」がなぜか頭にチラつくようになっていく……。
カクヨム様に掲載中。ムーンライト(R18版)にも掲載中です。
【完結】やさしい嘘のその先に
鷹槻れん
恋愛
妊娠初期でつわり真っ只中の永田美千花(ながたみちか・24歳)は、街で偶然夫の律顕(りつあき・28歳)が、会社の元先輩で律顕の同期の女性・西園稀更(にしぞのきさら・28歳)と仲睦まじくデートしている姿を見かけてしまい。
妊娠してから律顕に冷たくあたっていた自覚があった美千花は、自分に優しく接してくれる律顕に真相を問う事ができなくて、一人悶々と悩みを抱えてしまう。
※30,000字程度で完結します。
(執筆期間:2022/05/03〜05/24)
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
2022/05/30、エタニティブックスにて一位、本当に有難うございます!
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
---------------------
○表紙絵は市瀬雪さまに依頼しました。
(作品シェア以外での無断転載など固くお断りします)
○雪さま
(Twitter)https://twitter.com/yukiyukisnow7?s=21
(pixiv)https://www.pixiv.net/users/2362274
---------------------
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
青の記憶を瓶に詰めて
ROSE
恋愛
「つまらない」そんな理由で婚約解消された伯爵令嬢、セシリアは自死した。はずだった。目を覚ますと過去に戻り、理不尽な婚約者・アルジャンに振り回される日々に戻っていたが、彼の無理難題は更に強化されているようで……。
『捨てられダイヤは輝かない』貧相を理由に婚約破棄されたので、綺麗な靴もドレスも捨てて神都で自由に暮らします
三崎こはく
恋愛
婚約者クロシュラに突如として婚約破棄を告げられたダイナ。悲しみに暮れるダイナは手持ちの靴とドレスを全て焼き払い、単身国家の中心地である神都を目指す。どうにか手にしたカフェ店員としての職、小さな住まい。慎ましやかな生活を送るダイナの元に、ある日一風変わった客人が現れる。
紫紺の髪の、無表情で偉そうな客。それがその客人の第一印象。
さくっと読める異世界ラブストーリー☆★
※ネタバレありの感想を一部そのまま公開してしまったため、本文未読の方は閲覧ご注意ください
※2022.5.7完結♪同日HOT女性向け1位、恋愛2位ありがとうございます♪
※表紙画像は岡保佐優様に描いていただきました♪
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
「あなたのことはもう忘れることにします。 探さないでください」〜 お飾りの妻だなんてまっぴらごめんです!
友坂 悠
恋愛
あなたのことはもう忘れることにします。
探さないでください。
そう置き手紙を残して妻セリーヌは姿を消した。
政略結婚で結ばれた公爵令嬢セリーヌと、公爵であるパトリック。
しかし婚姻の初夜で語られたのは「私は君を愛することができない」という夫パトリックの言葉。
それでも、いつかは穏やかな夫婦になれるとそう信じてきたのに。
よりにもよって妹マリアンネとの浮気現場を目撃してしまったセリーヌは。
泣き崩れ寝て転生前の記憶を夢に見た拍子に自分が生前日本人であったという意識が蘇り。
もう何もかも捨てて家出をする決意をするのです。
全てを捨てて家を出て、まったり自由に生きようと頑張るセリーヌ。
そんな彼女が新しい恋を見つけて幸せになるまでの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる