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この恋に気づいて
離れていく距離【ドロテア視点】
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わたくしの大好きなルーカス。物心つく前から一緒にいた彼。
勉強家で読書家でもある彼は誰よりも賢く美しく、洗練されており際立った存在だった。優しくて頼りがいがあって、わたくしを甘やかしてくれる存在。
ルーカスはわたくしの自慢のはとこであり、幼馴染であり、大好きな人だった。
幼い頃からずっと、わたくしが大人になったら彼の花嫁になるのだと信じてきた。
お父様やお母様も、わたくしの希望に添って彼のお家へ婚約話を持ちかけてくれたけど、先方から素気なく断られた。
血が近いことと、身分を理由に。
納得できなくておじ様達に抗議した。
すると彼らは貴族間の血の濃さが問題なのだと説明してきたけど、わたくしには理解できなかった。貴い血が混ざり合うことのなにか悪いのかしら。
身分の問題は簡単に解決できそうだった。クライネルト家は貴族であってもおかしくない旧家。そんなものお父様から国王陛下に掛け合ってもらって、今までの功績に見合った爵位を授けてもらえるはずだった。
だけど、周りから叙爵するように促されても、クライネルトのおじ様たちはそれをあっさり断ってしまう。
ルーカスも爵位にはまるで興味なさそうだった。内政や社交とかそういう上流階級のしきたりが面倒なのだと。今の地位で十分満足している、爵位なんか持っていたら勉強する時間がなくなりそうだと言って。
ならば、彼の気が変わればといいと思って、魔法魔術学校ではルーカスも特別塔へ入学できるように、両親にお願いして学校側に多額の寄付をして頼んだのに、彼はそれをあっさり辞退してしまう。
入学式の日、新入生代表として堂々たる挨拶を披露した彼は目立っていた。あの場にいた誰もが彼を貴い身分の貴公子だと思っていただろうに、彼は一般塔に入学してしまった。
同じ学校になればずっと一緒にいられると思ったのに、距離はさらに遠くなった。会いに行っても素気なく拒絶され、そのたびにわたくしの心は軋んでいく。
どこかわたくしと距離を置くようになったルーカスの隣にはいつの間にか別の女がいた。
金色の髪と碧色の瞳を持った、わたくしとは正反対の庶民の娘だった。
彼はわたくしが見たことのない笑顔を浮かべてその女を見る。自分の時間をその女のために使う。わたくしのためには時間を空けてくれないのに、あの女のためなら放課後の貴重な時間を犠牲にする。
交流パーティで、彼女の手を取って踊るルーカスはわたくしの知らない顔をしていた。同じ会場内にわたくしがいるのに目もくれずに、あの女だけを見ていた。他の男性が彼女に近づくのを阻止していた。
その上、自分の瞳の色の宝石を使ったネックレスを贈っていた。
わたくしにはそんなもの一度だって贈ってくれたことなかったのに。
彼の様子を見て、このままじゃ拙いことになると焦ったわたくしは、相手の女性に釘を刺しておこうと思った。
わたくしには口出しする権利がある。わたくしこそが彼に相応しいレディであると自負していたから。
学生時代は特殊な環境に身を置くから、火遊びのような偽物の恋に惑わされるという。特別塔でもよくある醜聞だ。
だからきっとルーカスもそれに違いない。真面目な彼は純粋なところがあるから、この箱庭の学校で出会った女性にたまたま興味を持ってしまっただけ。
それなのにルーカスは今までに見たことのない、険しいお顔でわたくしを牽制してきた。わたくしは彼のために、わたくしたちの未来のために動いているのに、どうして理解してくれないの。
その女につきっきりなのは物珍しいから、あなたが面倒見のいい性格だから義務感で面倒見てあげているだけでしょう?
どうしてそんな子の肩を抱くの。大切に扱うの。
貴方の隣にいてもいいのはわたくしだけのはずなのに。
誰よりも側にいたのは自分のはずなのに、彼の心には自分はもう存在しないのだと理解した。
こんなにも想っているのに、彼の心は別の方向を向いてしまった。
勉強家で読書家でもある彼は誰よりも賢く美しく、洗練されており際立った存在だった。優しくて頼りがいがあって、わたくしを甘やかしてくれる存在。
ルーカスはわたくしの自慢のはとこであり、幼馴染であり、大好きな人だった。
幼い頃からずっと、わたくしが大人になったら彼の花嫁になるのだと信じてきた。
お父様やお母様も、わたくしの希望に添って彼のお家へ婚約話を持ちかけてくれたけど、先方から素気なく断られた。
血が近いことと、身分を理由に。
納得できなくておじ様達に抗議した。
すると彼らは貴族間の血の濃さが問題なのだと説明してきたけど、わたくしには理解できなかった。貴い血が混ざり合うことのなにか悪いのかしら。
身分の問題は簡単に解決できそうだった。クライネルト家は貴族であってもおかしくない旧家。そんなものお父様から国王陛下に掛け合ってもらって、今までの功績に見合った爵位を授けてもらえるはずだった。
だけど、周りから叙爵するように促されても、クライネルトのおじ様たちはそれをあっさり断ってしまう。
ルーカスも爵位にはまるで興味なさそうだった。内政や社交とかそういう上流階級のしきたりが面倒なのだと。今の地位で十分満足している、爵位なんか持っていたら勉強する時間がなくなりそうだと言って。
ならば、彼の気が変わればといいと思って、魔法魔術学校ではルーカスも特別塔へ入学できるように、両親にお願いして学校側に多額の寄付をして頼んだのに、彼はそれをあっさり辞退してしまう。
入学式の日、新入生代表として堂々たる挨拶を披露した彼は目立っていた。あの場にいた誰もが彼を貴い身分の貴公子だと思っていただろうに、彼は一般塔に入学してしまった。
同じ学校になればずっと一緒にいられると思ったのに、距離はさらに遠くなった。会いに行っても素気なく拒絶され、そのたびにわたくしの心は軋んでいく。
どこかわたくしと距離を置くようになったルーカスの隣にはいつの間にか別の女がいた。
金色の髪と碧色の瞳を持った、わたくしとは正反対の庶民の娘だった。
彼はわたくしが見たことのない笑顔を浮かべてその女を見る。自分の時間をその女のために使う。わたくしのためには時間を空けてくれないのに、あの女のためなら放課後の貴重な時間を犠牲にする。
交流パーティで、彼女の手を取って踊るルーカスはわたくしの知らない顔をしていた。同じ会場内にわたくしがいるのに目もくれずに、あの女だけを見ていた。他の男性が彼女に近づくのを阻止していた。
その上、自分の瞳の色の宝石を使ったネックレスを贈っていた。
わたくしにはそんなもの一度だって贈ってくれたことなかったのに。
彼の様子を見て、このままじゃ拙いことになると焦ったわたくしは、相手の女性に釘を刺しておこうと思った。
わたくしには口出しする権利がある。わたくしこそが彼に相応しいレディであると自負していたから。
学生時代は特殊な環境に身を置くから、火遊びのような偽物の恋に惑わされるという。特別塔でもよくある醜聞だ。
だからきっとルーカスもそれに違いない。真面目な彼は純粋なところがあるから、この箱庭の学校で出会った女性にたまたま興味を持ってしまっただけ。
それなのにルーカスは今までに見たことのない、険しいお顔でわたくしを牽制してきた。わたくしは彼のために、わたくしたちの未来のために動いているのに、どうして理解してくれないの。
その女につきっきりなのは物珍しいから、あなたが面倒見のいい性格だから義務感で面倒見てあげているだけでしょう?
どうしてそんな子の肩を抱くの。大切に扱うの。
貴方の隣にいてもいいのはわたくしだけのはずなのに。
誰よりも側にいたのは自分のはずなのに、彼の心には自分はもう存在しないのだと理解した。
こんなにも想っているのに、彼の心は別の方向を向いてしまった。
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