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この恋に気づいて
私は落ちこぼれなんかじゃない
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「ニーナ、これわかる?」
「どれ?」
羽根ペンの羽先をこめかみにぐりぐりしながら、しばらく悩んでいたイルゼは横に座っている彼女に問い掛けた。
私は勉強する手を休めると、一つの問題を睨みつけているふたりの姿をちらりと盗み見した。
ニーナ・プロッツェさんを中心に狙われるいじめ行為によって、奇しくも私たちの絆は深まった。
今では共に行動するだけでなく、集まって一緒に勉強会をすることも少なくなかった。
こちらに反感を持っているクラスメイト達はほんの少し静かになった。なぜならぽつぽつと問題行動を起こす彼らには先生達の厳しい監視の目が向けられるようになったからだ。
とは言っても彼らは反省していないようで、監視の目から逃れたら嫌味を飛ばして来るなどしてくるが、私たちは相手にしないようにしていた。私たちもそんなに暇ではないのである。
あとひと月もすれば試験が行われる。
今回の試験は1年の締めくくりのまとめ試験だ。落第点を取ったら終業式までの間追試に合格できるまで補習の毎日になること確定になる。
これはルーカスから受けとった情報なので間違いない。その試験を乗り越えるために私も必死に勉強している。今回は実技だけに時間がとられぬよう、配分もちゃんと考えている。
私たちはもうすでに試験勉強に入っているのに、クラスの一部の人たちは勉強もせず、意地悪な人たちは私たちが勉強している姿をにやにやと眺めているのだ。
特に私に対しては落ちこぼれと見下す態度を露わにしては馬鹿にして来るからとても腹が立つ。いちいち気が散るようなことを言わないで欲しい。
それを見かねたルーカスが私たち3人の周りに雑音を遮断する魔法をかけてくれたので、その後は問題なくテスト勉強ができた。視線は鬱陶しいけど、声がないだけ全然違う。
便利な魔法だ。これ今度教えてもらおう。
◇◆◇
フワリと風に乗って手紙が届いた。宛名はない。
誰からだろうと周りを見渡すけど、誰もこちらを見ていなかった。
手紙の封を切ると、そこには「大切な話があります。裏庭で待っています」とだけ書かれていた。差出人の名前が書かれているけど、その名前に覚えがなくて私は首を傾げる。違うクラス、もしくは先輩とかかなぁ?
「リナリア? 帰らないの?」
「ごめん、先に帰ってて」
寮に帰ろうと声をかけてきたイルゼ達に謝って先に帰ってもらうと、私は手紙で指定された裏庭にひとり向かった。
辺りを見渡しながら歩いていると、地面がぐんにゃりと歪んだ。足が飲み込まれ、体が地中に吸い込まれていく。
──私は油断していたのだ。
「……!? きゃあああ!」
まさか、そこに落とし穴があるなんて誰が想定することだろうか。
体を支えるものが何もなくなった状態で急降下した私は、腕を伸ばしたけど掴むものなど何もない状態で落下していく。
どすんと落とし穴の底へ足を着いた後はそのままどしゃりと倒れ込んだ。
「……本当にひっかかった」
「だから言ったろ? あのふたり狙うよりこいつが一番楽だって」
「ひとりじゃなんにもできない落ちこぼれだもんな」
暗い穴の中から見えたのは人の影。彼らは落とし穴を覗き込んで嘲笑していた。……逆光で顔が見えないけど、聞き覚えのある声。多分同じクラスの人たちだ。
その口ぶりじゃ、イルゼとニーナだと返り討ちに遭うから、憂さ晴らしに弱そうな私に嫌がらせをしたように聞こえる。……そこまでして、嫌がらせがしたいのであろうか。
落とし穴の中で私が黙り込んでいると、地上の彼らは「悔しかったら這い上がってみろよ」と口々に挑発してきた。
そうしたいのはやまやまなんだけど、結構この穴深いし、着地したときに足を痛めたみたいでさっきから左足がものすごく痛いんだ。あまりの痛さに反論する元気もない。
私がなにも言葉を発しないものだから、泣いているとでも思ったのか、地上の彼らは笑いながらどっかへ消えて行った。
私のことはこのまま放置しておくらしい。本当に嫌な人たちである。
『リナリア!』
『大丈夫?』
一連の流れを目撃していた鳥達が穴に入り込んで来ると口々に心配の声をかけてきた。
私は彼らに「大丈夫」と告げるも、足が痛くて身動きが取れなさそうだ。鳥達は私が怪我をしていると察したようで心配そうにしていた。
『そうだ! 助けを呼んできてあげる!』
『あいつ怖いけど、リナリアの友達だから多分大丈夫!』
「え……?」
あいつ怖いって誰のことを言っているんだろう……。私が誰のことかと問い掛ける前に鳥達はばさばさ飛び去ってしまった。
助けを呼びに行くと言っていたが、魔術師側から術をかけてもらわないと伝えられないんじゃ……
ずきり、ずきりと足が痛む。
私はさっき言われた言葉に対して腹を立てていた。
彼らは私をひとりじゃなんにもできない落ちこぼれと評価したのだ。
私は確かに最初からつまづいて、情けない姿ばかりを周りにお披露目してきた。それによって落ちこぼれと言われることを仕方ないと受け入れていた節もある。
だけど今は違う。私は親身になって指導してくれる友人達のお陰で皆に追いついてきた。もう今はなにもできない落ちこぼれじゃない。
私はできる。ひとりでだってここから脱出してみせるんだ。
足の激痛で立ち上がれないため、座り込んだ体勢のまま、私は自分を包み込む土の元素達にそっと語りかけた。落とし穴といえば土だ。いわば、ここは私と相性のいい土の元素達の宝庫というわけだ。
「我に従う土の元素たちよ、我を地上へ連れて行き給え」
自信は半々だったけど、土の元素達は私の声に応えてくれた。
落とし穴いっぱいに元素達が集まる空気を感じとったその直後、ドォンと地響きが起きた。体に伝わって来る振動に私は身を固くする。
ばき、ばきばきと自分の下から音が響き渡り、そしてそれは私を持ち上げるように急成長したのだ。
落とし穴から一気に突き抜ける樹木は私を太い枝に支えたままぐんぐん伸びた。落とし穴を通りすぎて今じゃ学校の校舎よりも高く長く伸びていた。このままじゃ私は空に到達してしまう勢いだ。
「もういい! もう成長しなくていいよ!」
私の命令に従ったのか、成長を止めた大木。見事、校舎を見下ろすほど高いところまで連れていってくれた。
できれば地上に下ろしてほしかったけど、なんか無理そうである。
枝に座ったまま、下を見下ろせば地面が遠い。私は木登りのスキルはないので、結局誰かの助けがないと下りるのは無理な感じだ。
あぁ、いじめっ子達の言葉は本当だった。所詮私はひとりじゃなんにもできない落ちこぼれ……
「リナリア」
「!?」
これからどうしようと遠い目で空を眺めていると、そこにフッと出現した美少年。
「ルーカス!」
彼は空を浮いていた。
どうして? どうやって? それも魔法なの?
「鳥たちがトリシャに伝えてくれた。裏庭でリナリアが罠に引っ掛かったって」
鳥たちの言ってた怖いあいつって、ルーカスの眷属トリシャのことか。なるほど、彼女は猫だからね……鳥にとっては脅威なのかも。
それを聞いてルーカスは急いで駆けつけてくれたそうだが、私が高い木の枝に座っていたので、浮遊術で空を飛んできたのだという。
毎回彼には驚かされる。
ルーカスは私と同じ1年生なのに本当に色んな魔法を知っているな。魔法家系のお宅ではありとあらゆる魔法を子どもに叩き込むのが主流なの? 彼には出来ないことなんて何もないんじゃないだろうか。
「どれ?」
羽根ペンの羽先をこめかみにぐりぐりしながら、しばらく悩んでいたイルゼは横に座っている彼女に問い掛けた。
私は勉強する手を休めると、一つの問題を睨みつけているふたりの姿をちらりと盗み見した。
ニーナ・プロッツェさんを中心に狙われるいじめ行為によって、奇しくも私たちの絆は深まった。
今では共に行動するだけでなく、集まって一緒に勉強会をすることも少なくなかった。
こちらに反感を持っているクラスメイト達はほんの少し静かになった。なぜならぽつぽつと問題行動を起こす彼らには先生達の厳しい監視の目が向けられるようになったからだ。
とは言っても彼らは反省していないようで、監視の目から逃れたら嫌味を飛ばして来るなどしてくるが、私たちは相手にしないようにしていた。私たちもそんなに暇ではないのである。
あとひと月もすれば試験が行われる。
今回の試験は1年の締めくくりのまとめ試験だ。落第点を取ったら終業式までの間追試に合格できるまで補習の毎日になること確定になる。
これはルーカスから受けとった情報なので間違いない。その試験を乗り越えるために私も必死に勉強している。今回は実技だけに時間がとられぬよう、配分もちゃんと考えている。
私たちはもうすでに試験勉強に入っているのに、クラスの一部の人たちは勉強もせず、意地悪な人たちは私たちが勉強している姿をにやにやと眺めているのだ。
特に私に対しては落ちこぼれと見下す態度を露わにしては馬鹿にして来るからとても腹が立つ。いちいち気が散るようなことを言わないで欲しい。
それを見かねたルーカスが私たち3人の周りに雑音を遮断する魔法をかけてくれたので、その後は問題なくテスト勉強ができた。視線は鬱陶しいけど、声がないだけ全然違う。
便利な魔法だ。これ今度教えてもらおう。
◇◆◇
フワリと風に乗って手紙が届いた。宛名はない。
誰からだろうと周りを見渡すけど、誰もこちらを見ていなかった。
手紙の封を切ると、そこには「大切な話があります。裏庭で待っています」とだけ書かれていた。差出人の名前が書かれているけど、その名前に覚えがなくて私は首を傾げる。違うクラス、もしくは先輩とかかなぁ?
「リナリア? 帰らないの?」
「ごめん、先に帰ってて」
寮に帰ろうと声をかけてきたイルゼ達に謝って先に帰ってもらうと、私は手紙で指定された裏庭にひとり向かった。
辺りを見渡しながら歩いていると、地面がぐんにゃりと歪んだ。足が飲み込まれ、体が地中に吸い込まれていく。
──私は油断していたのだ。
「……!? きゃあああ!」
まさか、そこに落とし穴があるなんて誰が想定することだろうか。
体を支えるものが何もなくなった状態で急降下した私は、腕を伸ばしたけど掴むものなど何もない状態で落下していく。
どすんと落とし穴の底へ足を着いた後はそのままどしゃりと倒れ込んだ。
「……本当にひっかかった」
「だから言ったろ? あのふたり狙うよりこいつが一番楽だって」
「ひとりじゃなんにもできない落ちこぼれだもんな」
暗い穴の中から見えたのは人の影。彼らは落とし穴を覗き込んで嘲笑していた。……逆光で顔が見えないけど、聞き覚えのある声。多分同じクラスの人たちだ。
その口ぶりじゃ、イルゼとニーナだと返り討ちに遭うから、憂さ晴らしに弱そうな私に嫌がらせをしたように聞こえる。……そこまでして、嫌がらせがしたいのであろうか。
落とし穴の中で私が黙り込んでいると、地上の彼らは「悔しかったら這い上がってみろよ」と口々に挑発してきた。
そうしたいのはやまやまなんだけど、結構この穴深いし、着地したときに足を痛めたみたいでさっきから左足がものすごく痛いんだ。あまりの痛さに反論する元気もない。
私がなにも言葉を発しないものだから、泣いているとでも思ったのか、地上の彼らは笑いながらどっかへ消えて行った。
私のことはこのまま放置しておくらしい。本当に嫌な人たちである。
『リナリア!』
『大丈夫?』
一連の流れを目撃していた鳥達が穴に入り込んで来ると口々に心配の声をかけてきた。
私は彼らに「大丈夫」と告げるも、足が痛くて身動きが取れなさそうだ。鳥達は私が怪我をしていると察したようで心配そうにしていた。
『そうだ! 助けを呼んできてあげる!』
『あいつ怖いけど、リナリアの友達だから多分大丈夫!』
「え……?」
あいつ怖いって誰のことを言っているんだろう……。私が誰のことかと問い掛ける前に鳥達はばさばさ飛び去ってしまった。
助けを呼びに行くと言っていたが、魔術師側から術をかけてもらわないと伝えられないんじゃ……
ずきり、ずきりと足が痛む。
私はさっき言われた言葉に対して腹を立てていた。
彼らは私をひとりじゃなんにもできない落ちこぼれと評価したのだ。
私は確かに最初からつまづいて、情けない姿ばかりを周りにお披露目してきた。それによって落ちこぼれと言われることを仕方ないと受け入れていた節もある。
だけど今は違う。私は親身になって指導してくれる友人達のお陰で皆に追いついてきた。もう今はなにもできない落ちこぼれじゃない。
私はできる。ひとりでだってここから脱出してみせるんだ。
足の激痛で立ち上がれないため、座り込んだ体勢のまま、私は自分を包み込む土の元素達にそっと語りかけた。落とし穴といえば土だ。いわば、ここは私と相性のいい土の元素達の宝庫というわけだ。
「我に従う土の元素たちよ、我を地上へ連れて行き給え」
自信は半々だったけど、土の元素達は私の声に応えてくれた。
落とし穴いっぱいに元素達が集まる空気を感じとったその直後、ドォンと地響きが起きた。体に伝わって来る振動に私は身を固くする。
ばき、ばきばきと自分の下から音が響き渡り、そしてそれは私を持ち上げるように急成長したのだ。
落とし穴から一気に突き抜ける樹木は私を太い枝に支えたままぐんぐん伸びた。落とし穴を通りすぎて今じゃ学校の校舎よりも高く長く伸びていた。このままじゃ私は空に到達してしまう勢いだ。
「もういい! もう成長しなくていいよ!」
私の命令に従ったのか、成長を止めた大木。見事、校舎を見下ろすほど高いところまで連れていってくれた。
できれば地上に下ろしてほしかったけど、なんか無理そうである。
枝に座ったまま、下を見下ろせば地面が遠い。私は木登りのスキルはないので、結局誰かの助けがないと下りるのは無理な感じだ。
あぁ、いじめっ子達の言葉は本当だった。所詮私はひとりじゃなんにもできない落ちこぼれ……
「リナリア」
「!?」
これからどうしようと遠い目で空を眺めていると、そこにフッと出現した美少年。
「ルーカス!」
彼は空を浮いていた。
どうして? どうやって? それも魔法なの?
「鳥たちがトリシャに伝えてくれた。裏庭でリナリアが罠に引っ掛かったって」
鳥たちの言ってた怖いあいつって、ルーカスの眷属トリシャのことか。なるほど、彼女は猫だからね……鳥にとっては脅威なのかも。
それを聞いてルーカスは急いで駆けつけてくれたそうだが、私が高い木の枝に座っていたので、浮遊術で空を飛んできたのだという。
毎回彼には驚かされる。
ルーカスは私と同じ1年生なのに本当に色んな魔法を知っているな。魔法家系のお宅ではありとあらゆる魔法を子どもに叩き込むのが主流なの? 彼には出来ないことなんて何もないんじゃないだろうか。
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