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この恋に気づいて
天賦の才能
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私のつぶやきに青ざめた両親とともに周囲に警戒しながら、警ら詰め所にへ相談に行くと、詰め所は人でいっぱいで何やら取り込み中のようであった。
「おや、ブルームさん一家総出でどうしたんだい?」
たまたま側の花壇脇で休憩していたらしい、顔なじみのおじいさんが声をかけてきた。
「いやちょっと…不審者が」
「ほぉ、この辺も不穏になってきたもんだなぁ。あそこのも迷い人の捜索で王都からやってきたそうだよ」
「…迷い人?」
怪訝な顔でお父さんが聞き返すと、おじいさんはゆっくり話しながら教えてくれた。
「そこにいるあんちゃんたちは魔法魔術省のお役人さんだそうだ。なにも行方不明の娘の捜索依頼を受けて聞き込みしていたってさ」
「……行方不明の…娘」
その単語に両親ともゾワッとしたようで、私の手を握っているお母さんの腕は鳥肌が立っていた。
さっきの貴族と何か関係あるのだろうかと頭をひねっていると、ぱくりんちょと頭をなにかに喰まれた。
「……大丈夫、気持ちだけでありがたいから」
私の頭を喰んだのは、脇にとめられていた馬車を動かす馬であった。おそらくあそこのお役人さんたちのものじゃないだろうか。
毛づくろいをしようと頭を甘噛みしてくる馬に断って、私は自分よりも体高の高い馬を見上げた。すると自然と彼の声が聞こえた。
『ずっと走りっぱなしでいい加減くたくただよ』
「王都から走ってきたの?」
『そうだよ、王都で娘が消えたとかで大騒ぎだ。たまに家出騒ぎが起きるんだ』
「……そうなんだ。家出か、不穏だね」
私はお母さんから手を離すと、馬の身体を労るように撫でる。
立派な馬だ。まだまだ走れるだろうが、それでも十分に疲れているであろう。労働の疲れが取れるように念じながら身体を撫でていると、後ろで息を呑む声が聞こえた。
「……たまげた。お嬢ちゃん、通心術なしで馬と会話できるのか。生まれながらの通心術士だな」
それはマントを着用した魔術師だった。魔法魔術省の役人さんだろうか。私は慌てて馬から手を離す。断りもなく勝手に触るのは失礼だったかもしれない。
「…馬だけじゃないです。犬や猫、鳥ともお話できます」
「今、治癒魔法も使っていたな。…お嬢ちゃんは市井出身? ご家族に魔法使いは…」
「い、いません! あの、家の娘に何か!?」
お父さんが間に入るようにして私をかばうと、魔術師さんはハッとした表情をして我に返っていた。
「失礼。私はこういうものです。上級魔術師のキューネルと申します」
そう言ってマントに隠れていた黒曜石のペンダントを見せてきた。へぇ、あれが身分証明になるんだ…
何やらお父さんと魔術師のキューネルさんは話し込んでいた。魔法とか魔術師とか魔法魔術学校とかそんな単語が出てきたが、私は話に入れてもらえず、状況が把握できなかった。
…お役人さんたちは誘拐人探しをしているんじゃないだろうか、邪魔になっているのではないかと心配になったが、このまま私を放置するわけにはいかないのだそうだ。そんなわけでキューネルさんだけが別行動して、ここから一番近い魔法魔術省へ馬車で案内された。
──初めて入ったそこはまるで異世界だった。
出入り口は厳重な結界で守られており、そこから一歩侵入すると、いきなり目の前に人が出現した。びっくりして飛び退くと、通路の向こうでは主人らしき人に託された封筒を咥えた犬がどこかへ向かって消えたり、植物のツルがスルスル伸びてきて人を上の階まで運んでいったり……。
天井にはどこかの風景が事細かに流されている。…あれなんだろう。本に乗っている絵とは全然違う。…目の前で起きているかのように動いている。
私はポカーンと口を開けて間抜けヅラを晒していた。目の前に広がる魔法の世界に驚いたのか、私の手をがっちり握る両親の緊張が伝わってくる。
「お待たせしました! ちょうど測定室が空いたのでどうぞー!」
職員のお姉さんに呼ばれて部屋に入ると、そこには大きな水晶が置かれていた。
私がそれをまじまじと見つめていると、「さぁここに利き手を。別に力入れたりとかしないで大丈夫だから」と促される。
つるりと輝く水晶に恐る恐る手を乗せると、透明だった水晶が一気に濁った。緑から茶色に濁ったそれを見ていた職員さんが書類にさらさらと何かを書いている。
「植物を扱うのに秀でている土の元素属性が強く出ていますね。お父さんお母さん、お嬢さんは魔力持ちです」
「まぁ…!」
驚きが隠せないお母さんが口元を抑えて目を大きく見開いていた。お父さんは何やら難しい顔をして黙り込んでいる。
「それとキューネルからも報告を受けていますが、通心術という動物と意思疎通する能力に長けているとのことで…そちらも検査させていただけますか?」
検査とは言っても、職員さんが連れているペット…じゃなくて相棒たちと会話するだけだったんだけどね。
彼らは契約をしているから、逐一術をかけずとも意思の疎通ができるそうだ。それ以外なら通心術という呪文をかける必要があるんだって。
しかし私はそれらを使用せずに動物と話せることが立証され、生まれながらの天賦の才能持ちだと太鼓判を押された。
──私が動物と話せると言っても誰も信じてくれなかった。
だけどそれは私が他の人とは違う能力があったからなんだ!
とても嬉しかった。生まれながらにその才能を持つのは代々魔力持ちの家庭出身でも大変珍しいものらしく、私は心躍った。
「あなた! これこそトンビが鷹を産む! 我が家に魔術師が誕生したのよ!」
私と同じく喜んでいたお母さんがお父さんに声をかけるも、お父さんの表情はどんどん険しくなっていく。
「…お父さん?」
お父さんの反応に私は不安を抱いた。喜んでくれないのだろうか。人とは違う娘じゃ嫌なのかなって。
「だからあの貴族はリナリアを養女にしたいと言い出したのか! 理由も明かさずに! なんて卑怯な人だ!」
突然、お父さんは怒りを吐き出すように怒鳴った。それには私とお母さんだけでなく、その場にいた職員さんも目を丸くして固まっていた。
怒鳴られて固まっていた私であったが、お父さんの吐き出した言葉を反芻するように理解して、ストンと胸におちた。
──どこかで聞いたことがある。
貴族は魔力至上主義であり、魔力のない子供は迫害されるのだと。
…私があの貴族が持ちかけてきた話が不気味だと感じたのはそういうことか。あの人は私に利用価値があるから、養女にしたがっていたのだ。
「あの、どうかなさいましたか?」
「さっき貴族がうちの娘を養女にしたいとか言ってきたんだ! 大金と引き換えに娘と縁を切れとかふざけた契約書を提示してきた」
「貴族? すみません、もうちょっと詳しくお話伺えます?」
あの貴族の男はロート・ハイドフェルトと名乗っていた。
怒り狂うお父さんの代わりにお母さんと私が数時間前にあった出来事を説明すると、職員さんたちはそろって首をひねっていた。
「ハイドフェルト様は子爵家のご当主様だな。父上兄上を相次いで亡くされて最近爵位継承されたとか」
「孤児院めぐりしてる慈善家とは聞くが……」
「不義の子なのか、成人なさるまで表に出てこなかったという噂もあるぞ」
どうにも微妙な反応である。もしかして信じてくれないのだろうか…
「とは言っても、実際の人となりを知らないからなんとも言えないのだけどな」
つぶやいたのはここまで私達を案内してくれたキューネルさんだった。彼は腕を汲んで何か考えていたかと思えばなにか閃いた様子で、「ちょっと待ってて」と私に告げるとどこかへ引っ込んでいった。
ものの5分くらいだろうか。なんか先程よりもホコリをかぶった様子で戻ってきたキューネルさんは「これを君にあげるよ」と私に黒曜石の着いた小さなブローチを差し出してきた。
「これには追跡の魔法が施されているんだ」
これには居場所をすぐに特定できる魔法がかけられているのだそう。
もしも私が誘拐などで行方不明になっても大まかな居場所を特定できるのだとか。
そんなすごいものを初対面の小娘にあげても大丈夫なのだろうか…
「でもこれ」
「いいさ、それはおじさんの研究試作品でね。被験者になると思って使ってみてご覧」
これはキューネルさんの手作りらしい。魔術師ってそんなのも作れるんだ。すごい…
私の行方がわからなくなった時、魔法魔術省のキューネルさんを訪ねてくれたらすぐに捜索に動くからと言ってくれた。もしもキューネルさんが不在でも、他の人が動けるように周知しておくからって言ってくれた。
「本当なら、その話をもとに色々調べてあげたいんだけど、相手がお貴族様なんで、確実な証拠が複数ないとできないんです……すみません」
キューネルさんは申し訳なさそうにしてた。大きな事件が起きない限り動けないという。そこはやっぱりお役所ってところなのだろう。
世界を支配しているのはやっぱり王侯貴族。魔術師の世界でもそうなのだろう。圧力とかに負けちゃうと言うか。
あの貴族…ハイドフェルト子爵の件はなんかまだもやもやしているけど、自衛するしかないんだろうな。
あの人の冷たい瞳を思い出すとゾワッと寒気がした。
私を養女にしたいと言いながら、侮蔑のような感情を含んだあの瞳……私の嫌な予感が考え過ぎで済めばいいけど……うちの周りにいる動物たちにお願いして、怪しい人がうろついていないか調べてもらおうかなぁ。
「リナリア・ブルームさん、魔力を持つ子女は初等学校を卒業後、魔法魔術学校へ進学してもらうことになります。こちらは義務教育となり、学費や教科書代、寮費は国が負担するため無料です」
細々としたもの…ノート・インク代とか食費とかその辺は生徒側持ちですけど、そこは初等学校と同じですと職員さんが説明してくれた。大まかなことが書かれた入学案内書を受け取った私達親子はほわほわした気持ちで帰宅した。
私は初等学校の卒業後に魔法魔術学園に通うことになった。動物と話す才能がある私は魔術師になるのだ。
不安もあったけど、私は嬉しかった。自分の才能を活かした職業に就けるよう一生懸命勉強しようと誓った。
「おや、ブルームさん一家総出でどうしたんだい?」
たまたま側の花壇脇で休憩していたらしい、顔なじみのおじいさんが声をかけてきた。
「いやちょっと…不審者が」
「ほぉ、この辺も不穏になってきたもんだなぁ。あそこのも迷い人の捜索で王都からやってきたそうだよ」
「…迷い人?」
怪訝な顔でお父さんが聞き返すと、おじいさんはゆっくり話しながら教えてくれた。
「そこにいるあんちゃんたちは魔法魔術省のお役人さんだそうだ。なにも行方不明の娘の捜索依頼を受けて聞き込みしていたってさ」
「……行方不明の…娘」
その単語に両親ともゾワッとしたようで、私の手を握っているお母さんの腕は鳥肌が立っていた。
さっきの貴族と何か関係あるのだろうかと頭をひねっていると、ぱくりんちょと頭をなにかに喰まれた。
「……大丈夫、気持ちだけでありがたいから」
私の頭を喰んだのは、脇にとめられていた馬車を動かす馬であった。おそらくあそこのお役人さんたちのものじゃないだろうか。
毛づくろいをしようと頭を甘噛みしてくる馬に断って、私は自分よりも体高の高い馬を見上げた。すると自然と彼の声が聞こえた。
『ずっと走りっぱなしでいい加減くたくただよ』
「王都から走ってきたの?」
『そうだよ、王都で娘が消えたとかで大騒ぎだ。たまに家出騒ぎが起きるんだ』
「……そうなんだ。家出か、不穏だね」
私はお母さんから手を離すと、馬の身体を労るように撫でる。
立派な馬だ。まだまだ走れるだろうが、それでも十分に疲れているであろう。労働の疲れが取れるように念じながら身体を撫でていると、後ろで息を呑む声が聞こえた。
「……たまげた。お嬢ちゃん、通心術なしで馬と会話できるのか。生まれながらの通心術士だな」
それはマントを着用した魔術師だった。魔法魔術省の役人さんだろうか。私は慌てて馬から手を離す。断りもなく勝手に触るのは失礼だったかもしれない。
「…馬だけじゃないです。犬や猫、鳥ともお話できます」
「今、治癒魔法も使っていたな。…お嬢ちゃんは市井出身? ご家族に魔法使いは…」
「い、いません! あの、家の娘に何か!?」
お父さんが間に入るようにして私をかばうと、魔術師さんはハッとした表情をして我に返っていた。
「失礼。私はこういうものです。上級魔術師のキューネルと申します」
そう言ってマントに隠れていた黒曜石のペンダントを見せてきた。へぇ、あれが身分証明になるんだ…
何やらお父さんと魔術師のキューネルさんは話し込んでいた。魔法とか魔術師とか魔法魔術学校とかそんな単語が出てきたが、私は話に入れてもらえず、状況が把握できなかった。
…お役人さんたちは誘拐人探しをしているんじゃないだろうか、邪魔になっているのではないかと心配になったが、このまま私を放置するわけにはいかないのだそうだ。そんなわけでキューネルさんだけが別行動して、ここから一番近い魔法魔術省へ馬車で案内された。
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天井にはどこかの風景が事細かに流されている。…あれなんだろう。本に乗っている絵とは全然違う。…目の前で起きているかのように動いている。
私はポカーンと口を開けて間抜けヅラを晒していた。目の前に広がる魔法の世界に驚いたのか、私の手をがっちり握る両親の緊張が伝わってくる。
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「まぁ…!」
驚きが隠せないお母さんが口元を抑えて目を大きく見開いていた。お父さんは何やら難しい顔をして黙り込んでいる。
「それとキューネルからも報告を受けていますが、通心術という動物と意思疎通する能力に長けているとのことで…そちらも検査させていただけますか?」
検査とは言っても、職員さんが連れているペット…じゃなくて相棒たちと会話するだけだったんだけどね。
彼らは契約をしているから、逐一術をかけずとも意思の疎通ができるそうだ。それ以外なら通心術という呪文をかける必要があるんだって。
しかし私はそれらを使用せずに動物と話せることが立証され、生まれながらの天賦の才能持ちだと太鼓判を押された。
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だけどそれは私が他の人とは違う能力があったからなんだ!
とても嬉しかった。生まれながらにその才能を持つのは代々魔力持ちの家庭出身でも大変珍しいものらしく、私は心躍った。
「あなた! これこそトンビが鷹を産む! 我が家に魔術師が誕生したのよ!」
私と同じく喜んでいたお母さんがお父さんに声をかけるも、お父さんの表情はどんどん険しくなっていく。
「…お父さん?」
お父さんの反応に私は不安を抱いた。喜んでくれないのだろうか。人とは違う娘じゃ嫌なのかなって。
「だからあの貴族はリナリアを養女にしたいと言い出したのか! 理由も明かさずに! なんて卑怯な人だ!」
突然、お父さんは怒りを吐き出すように怒鳴った。それには私とお母さんだけでなく、その場にいた職員さんも目を丸くして固まっていた。
怒鳴られて固まっていた私であったが、お父さんの吐き出した言葉を反芻するように理解して、ストンと胸におちた。
──どこかで聞いたことがある。
貴族は魔力至上主義であり、魔力のない子供は迫害されるのだと。
…私があの貴族が持ちかけてきた話が不気味だと感じたのはそういうことか。あの人は私に利用価値があるから、養女にしたがっていたのだ。
「あの、どうかなさいましたか?」
「さっき貴族がうちの娘を養女にしたいとか言ってきたんだ! 大金と引き換えに娘と縁を切れとかふざけた契約書を提示してきた」
「貴族? すみません、もうちょっと詳しくお話伺えます?」
あの貴族の男はロート・ハイドフェルトと名乗っていた。
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「ハイドフェルト様は子爵家のご当主様だな。父上兄上を相次いで亡くされて最近爵位継承されたとか」
「孤児院めぐりしてる慈善家とは聞くが……」
「不義の子なのか、成人なさるまで表に出てこなかったという噂もあるぞ」
どうにも微妙な反応である。もしかして信じてくれないのだろうか…
「とは言っても、実際の人となりを知らないからなんとも言えないのだけどな」
つぶやいたのはここまで私達を案内してくれたキューネルさんだった。彼は腕を汲んで何か考えていたかと思えばなにか閃いた様子で、「ちょっと待ってて」と私に告げるとどこかへ引っ込んでいった。
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「これには追跡の魔法が施されているんだ」
これには居場所をすぐに特定できる魔法がかけられているのだそう。
もしも私が誘拐などで行方不明になっても大まかな居場所を特定できるのだとか。
そんなすごいものを初対面の小娘にあげても大丈夫なのだろうか…
「でもこれ」
「いいさ、それはおじさんの研究試作品でね。被験者になると思って使ってみてご覧」
これはキューネルさんの手作りらしい。魔術師ってそんなのも作れるんだ。すごい…
私の行方がわからなくなった時、魔法魔術省のキューネルさんを訪ねてくれたらすぐに捜索に動くからと言ってくれた。もしもキューネルさんが不在でも、他の人が動けるように周知しておくからって言ってくれた。
「本当なら、その話をもとに色々調べてあげたいんだけど、相手がお貴族様なんで、確実な証拠が複数ないとできないんです……すみません」
キューネルさんは申し訳なさそうにしてた。大きな事件が起きない限り動けないという。そこはやっぱりお役所ってところなのだろう。
世界を支配しているのはやっぱり王侯貴族。魔術師の世界でもそうなのだろう。圧力とかに負けちゃうと言うか。
あの貴族…ハイドフェルト子爵の件はなんかまだもやもやしているけど、自衛するしかないんだろうな。
あの人の冷たい瞳を思い出すとゾワッと寒気がした。
私を養女にしたいと言いながら、侮蔑のような感情を含んだあの瞳……私の嫌な予感が考え過ぎで済めばいいけど……うちの周りにいる動物たちにお願いして、怪しい人がうろついていないか調べてもらおうかなぁ。
「リナリア・ブルームさん、魔力を持つ子女は初等学校を卒業後、魔法魔術学校へ進学してもらうことになります。こちらは義務教育となり、学費や教科書代、寮費は国が負担するため無料です」
細々としたもの…ノート・インク代とか食費とかその辺は生徒側持ちですけど、そこは初等学校と同じですと職員さんが説明してくれた。大まかなことが書かれた入学案内書を受け取った私達親子はほわほわした気持ちで帰宅した。
私は初等学校の卒業後に魔法魔術学園に通うことになった。動物と話す才能がある私は魔術師になるのだ。
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