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もしもあやめが美形姉だったら【4完】
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文化祭初日、武道系部活の知り合いということで彼らのクラスの出し物をさんざん冷やかした後に一人でうろちょろしていたら弟が不良たちにリンチされていたなう。
「うちの弟に何すんだ!」
段持ちが素人に手出しするのはよろしくないけども、この場合はその限りじゃないと思うんだ!!
私は迷わずその現場に飛び込んで行った。
異人風の花嫁姿の女が飛び込んできたことで不良達は困惑していたが、元々ゲスいのかいやらしい目で舐め回すように私を見つめてきた。
「なかなかいい女じゃねぇか」
「ヤっちまうかこの女」
「タカギ、お前先ヤルか?」
「ちょ!? やめ…やめろよ!」
和真が必死の形相で不良らの不埒な真似を止めようとしているが、これはどっちを心配しての発言なんだろうね?
私はこのために空手を習ってきた。
理性のない野獣達から、母譲りの美貌を持つ、か弱い女の私が身を守る為に。
そして弟を守るのは姉として当然のことでしょう?
私は深呼吸をすると空手の型を構えて、ニヤニヤする男の急所に素早く拳を打ち込んだ。
20分後、騒ぎを聞きつけた風紀の面々が現場に駆けつけてきた。そのついでにメイド服姿の橘先輩も。あれ、風紀委員の三年は一足先に引退したんじゃなかったっけ?
彼は死屍累々(違う)の現場の中心でタカギを足蹴にしている私の姿を見つけるなり、渋い顔になった。
「…田端、お前…」
「段持ちが素人に手を上げちゃいけないのは存じておりますが、弟がリンチされていたこの状況では許されるかと思うんですが!」
「そういう事を言っているんじゃない。お前は女だろうが。こんな危険な真似をするなんて」
「大久保先輩にはゴリラと言われましたけどね」
「話の腰を折るな。…お前は指導室に来い」
「えっ!? まさか前科付きます? 悪いとは思ってるんですよ。か弱い男子に拳を振り上げたことに関しては何も言い逃れは出来ないと」
「いいから来い」
私は橘先輩に連行された。
腕には自信がある私だが、同じく武道している橘先輩の腕力には勝てなかった。強すぎて振り払えねぇ!
メイド服の男に引きずられるティ○ァニーが校内で目撃されたという。
★☆★
「お姉さん大変だ! 和真があいつらに連れさらわれた! 南町駅裏通りのゲーセンに…」
逆恨みなら私に仕返しすればいいのに奴らは卑怯にもか弱い私の弟を襲撃してきたと言う。
頭に血が上った私は教室を飛び出した。
慌てて靴を履き替えていると林道さんが「橘先輩! あやめちゃんを止めて!」なんて余計なことをチクった。
当然ながら真面目な橘先輩は私を捕獲しようとその腕を伸ばしたので私は殺気(違う)を察知した瞬間にその腕を払った。
「!? こらっ! 田端!」
シュバババ…と下駄箱で橘先輩と攻防戦を繰り広げていたが、私は彼の隙を突いて昇降口を飛び出した。
ふふん、上靴のままである橘先輩はここまで追いつけないだろう!
「おい待て田端! 弟がどうしたんだ!」
「弟を救出してきまーす!」
先輩の問いに答えてあげた私はなんて優しい後輩なのだろうか。
先輩の阻止する声を無視して全力疾走で南町駅裏のゲーセンに辿り着くと、その中に一人で特攻していったのだ。
一人でもいけると思ったんだけど、タカギの仲間にちょっと強い奴らがいて私は羽交い締めにされてしまった。
そして大勢の男に囲まれ、タカギの手によって私のカッターシャツはボタンを引きちぎられた。
ブチブチ音を立ててボタンが吹き飛んでいく。
「やめろ! 姉ちゃんに手を出すな!」
「おー勇ましいことで…」
「ぐうっ!」
私は頭が真っ白になっていたが、和真の必死な声に我に返った。和真は手首足首を紐で拘束され、身動きがとれないようだ。
声を上げたことで近くにいた男にお腹を踏み付けにされて呻いていた。
「おんまえ…ボロッボロにまわしてやるからな…」
「やめなさいよ! 私が泣き寝入りするとでも思ってんの!? 離してよ!」
しかも身動きの取れない、満身創痍の弟の目の前で私を犯すつもりらしい。見せしめのつもりなのだろうか…本当に屑だ。最悪な奴である。
下卑た笑みを浮かべて私の服を乱すタカギに周りでこっちをニヤニヤ観ている男共を精一杯の睨みを向けて、私は足をジタバタ動かしていたが、そんな抵抗は大勢の男の前では無駄らしい。全く効果がない。
自分の身体を男の手が這いずり回るのに吐き気がした。
気持ち悪い。止めて触らないで!
嫌だこんな男に純潔を奪われるなんて!
いつか出会うであろう大切な人のために大事に取っておくと決めていたのに。こんな男に辱めを受けて私は穢されてしまうのか!
ああもう私は馬鹿だ。
師匠も両親も橘先輩も言っていたではないか。男に力で敵うなんて思うなって。あくまで私の空手は護身。
自分の力を過信するなって言われたのに…!
「いやぁぁぁあ!!!」
今更後悔しても遅いのに。
もうだめだ。
濁流のように涙が溢れてくる。男たちによって犯されてしまう恐怖で私は泣き叫んだ。
「うぐっ」
「ぐぇっ」
「なんだおまえらっ」
ドカッ、バターン! と何やら外が騒がしくなった。
今にも私を犯そうとしていたタカギもそれに反応して動きを止めた。私は両腕を男たちに押さえつけられたまま、騒ぎが起きている外…事務所の閉ざされた扉に目を向ける。
バァンと乱暴な音を立てて開かれたドア。そこに飛び込んできた人物を目に映したタカギは三白眼の瞳をこれでもかというくらい大きく見開いていた。
「田端っ……!?」
「…なんでお前らがいるんだよ! おいクソ女! てめぇ一人で来いっつったろ!」
「……タカギ、貴様ぁ!!」
そこに現れたのは橘先輩と大久保先輩、その他風紀の面々だ。彼らの登場に私は更に涙を流した。
橘先輩は私の姿を見て顔面蒼白にしていて、大久保先輩はガチギレしていた。
どうしてここにいるんだろうと思う暇はなかった。風紀の面々が不良たちを次々に捕縛して行ったから。
危機一髪の所で助けが入って気が抜けた私は身を縮こませて震えていた。破かれたシャツの前を手で抑えながら体の震えを抑えようと深呼吸を試みるが、震えは収まらない。
……怖かった。…もうだめかと…
「…田端」
「!」
橘先輩の声が頭上から聞こえてきて私は恐る恐る見上げた。
彼の顔は怒ってはいなかった。だけど険しい顔をして私を見ている。悔しそうな悲しそうな表情をしていて…
「ご、ごめんなさ……すいま、せん…」
私の目からボロボロと涙が滝のように溢れてきた。それと同時に嗚咽まで出てきて私の発する言葉は単語にならなくなってきた。
「…俺はいつも言っていたと思うが…」
「…はぃ…すいましぇん…」
「…何もされてないか?」
「ま、だです…制服破…かれた…だけ……う゛ぅ…怖かった…」
先輩の視線が痛い。
自分の軽率さに腹が立つ。私は馬鹿だ。
これで犯されていたら私はどうなっていたことだろうか。先輩が来なければ…どうなっていたのだろうか。
「……もう大丈夫だ」
「う゛うぅぅ…せんぱい、ごめ、なさ…」
ぎゅう、と私の身体を包み込む温かい腕の感触。私の視界は紺のブレザーの色一色に変わった。
先輩は泣きじゃくる私の背中を撫でて落ち着かせようとしてくれているが、私の涙はしばらく止まりそうになかった。
そうこうしている間に警察がやってきて取り調べになったが、私は橘先輩から離れて男性警察官の取調べを受けるのをひどく怖がってしまったので、先輩同席の上で取り調べを受けた。
その後病院に向かった和真を見送り、入れ違いで迎えに来た父さんと一緒に私は家に帰った。
怖い目に遭ったからちょっと男の人に恐怖心を抱いてしまったけども、助けてくれたのも同じ男性。
しばらくはトラウマが残るだろうけど、これを教訓にして自分は過信することをやめようと誓った。
私はその日から橘先輩を強く意識するようになった。
彼のことを考えると心臓がドキドキしてしまって、その理由がわからなかった私は自分がおかしくなってしまったのではないかと戸惑い、橘先輩に会う度に挙動不審になってしまったのだ。
それを見た大久保先輩にからかわれることが増えて、イラッとした私が大久保先輩のお尻を回し蹴りをする所を目撃した橘先輩に注意されることになる。
そして、彼に恋をしていると自覚した私がどうなったかはご想像におまかせする。
「うちの弟に何すんだ!」
段持ちが素人に手出しするのはよろしくないけども、この場合はその限りじゃないと思うんだ!!
私は迷わずその現場に飛び込んで行った。
異人風の花嫁姿の女が飛び込んできたことで不良達は困惑していたが、元々ゲスいのかいやらしい目で舐め回すように私を見つめてきた。
「なかなかいい女じゃねぇか」
「ヤっちまうかこの女」
「タカギ、お前先ヤルか?」
「ちょ!? やめ…やめろよ!」
和真が必死の形相で不良らの不埒な真似を止めようとしているが、これはどっちを心配しての発言なんだろうね?
私はこのために空手を習ってきた。
理性のない野獣達から、母譲りの美貌を持つ、か弱い女の私が身を守る為に。
そして弟を守るのは姉として当然のことでしょう?
私は深呼吸をすると空手の型を構えて、ニヤニヤする男の急所に素早く拳を打ち込んだ。
20分後、騒ぎを聞きつけた風紀の面々が現場に駆けつけてきた。そのついでにメイド服姿の橘先輩も。あれ、風紀委員の三年は一足先に引退したんじゃなかったっけ?
彼は死屍累々(違う)の現場の中心でタカギを足蹴にしている私の姿を見つけるなり、渋い顔になった。
「…田端、お前…」
「段持ちが素人に手を上げちゃいけないのは存じておりますが、弟がリンチされていたこの状況では許されるかと思うんですが!」
「そういう事を言っているんじゃない。お前は女だろうが。こんな危険な真似をするなんて」
「大久保先輩にはゴリラと言われましたけどね」
「話の腰を折るな。…お前は指導室に来い」
「えっ!? まさか前科付きます? 悪いとは思ってるんですよ。か弱い男子に拳を振り上げたことに関しては何も言い逃れは出来ないと」
「いいから来い」
私は橘先輩に連行された。
腕には自信がある私だが、同じく武道している橘先輩の腕力には勝てなかった。強すぎて振り払えねぇ!
メイド服の男に引きずられるティ○ァニーが校内で目撃されたという。
★☆★
「お姉さん大変だ! 和真があいつらに連れさらわれた! 南町駅裏通りのゲーセンに…」
逆恨みなら私に仕返しすればいいのに奴らは卑怯にもか弱い私の弟を襲撃してきたと言う。
頭に血が上った私は教室を飛び出した。
慌てて靴を履き替えていると林道さんが「橘先輩! あやめちゃんを止めて!」なんて余計なことをチクった。
当然ながら真面目な橘先輩は私を捕獲しようとその腕を伸ばしたので私は殺気(違う)を察知した瞬間にその腕を払った。
「!? こらっ! 田端!」
シュバババ…と下駄箱で橘先輩と攻防戦を繰り広げていたが、私は彼の隙を突いて昇降口を飛び出した。
ふふん、上靴のままである橘先輩はここまで追いつけないだろう!
「おい待て田端! 弟がどうしたんだ!」
「弟を救出してきまーす!」
先輩の問いに答えてあげた私はなんて優しい後輩なのだろうか。
先輩の阻止する声を無視して全力疾走で南町駅裏のゲーセンに辿り着くと、その中に一人で特攻していったのだ。
一人でもいけると思ったんだけど、タカギの仲間にちょっと強い奴らがいて私は羽交い締めにされてしまった。
そして大勢の男に囲まれ、タカギの手によって私のカッターシャツはボタンを引きちぎられた。
ブチブチ音を立ててボタンが吹き飛んでいく。
「やめろ! 姉ちゃんに手を出すな!」
「おー勇ましいことで…」
「ぐうっ!」
私は頭が真っ白になっていたが、和真の必死な声に我に返った。和真は手首足首を紐で拘束され、身動きがとれないようだ。
声を上げたことで近くにいた男にお腹を踏み付けにされて呻いていた。
「おんまえ…ボロッボロにまわしてやるからな…」
「やめなさいよ! 私が泣き寝入りするとでも思ってんの!? 離してよ!」
しかも身動きの取れない、満身創痍の弟の目の前で私を犯すつもりらしい。見せしめのつもりなのだろうか…本当に屑だ。最悪な奴である。
下卑た笑みを浮かべて私の服を乱すタカギに周りでこっちをニヤニヤ観ている男共を精一杯の睨みを向けて、私は足をジタバタ動かしていたが、そんな抵抗は大勢の男の前では無駄らしい。全く効果がない。
自分の身体を男の手が這いずり回るのに吐き気がした。
気持ち悪い。止めて触らないで!
嫌だこんな男に純潔を奪われるなんて!
いつか出会うであろう大切な人のために大事に取っておくと決めていたのに。こんな男に辱めを受けて私は穢されてしまうのか!
ああもう私は馬鹿だ。
師匠も両親も橘先輩も言っていたではないか。男に力で敵うなんて思うなって。あくまで私の空手は護身。
自分の力を過信するなって言われたのに…!
「いやぁぁぁあ!!!」
今更後悔しても遅いのに。
もうだめだ。
濁流のように涙が溢れてくる。男たちによって犯されてしまう恐怖で私は泣き叫んだ。
「うぐっ」
「ぐぇっ」
「なんだおまえらっ」
ドカッ、バターン! と何やら外が騒がしくなった。
今にも私を犯そうとしていたタカギもそれに反応して動きを止めた。私は両腕を男たちに押さえつけられたまま、騒ぎが起きている外…事務所の閉ざされた扉に目を向ける。
バァンと乱暴な音を立てて開かれたドア。そこに飛び込んできた人物を目に映したタカギは三白眼の瞳をこれでもかというくらい大きく見開いていた。
「田端っ……!?」
「…なんでお前らがいるんだよ! おいクソ女! てめぇ一人で来いっつったろ!」
「……タカギ、貴様ぁ!!」
そこに現れたのは橘先輩と大久保先輩、その他風紀の面々だ。彼らの登場に私は更に涙を流した。
橘先輩は私の姿を見て顔面蒼白にしていて、大久保先輩はガチギレしていた。
どうしてここにいるんだろうと思う暇はなかった。風紀の面々が不良たちを次々に捕縛して行ったから。
危機一髪の所で助けが入って気が抜けた私は身を縮こませて震えていた。破かれたシャツの前を手で抑えながら体の震えを抑えようと深呼吸を試みるが、震えは収まらない。
……怖かった。…もうだめかと…
「…田端」
「!」
橘先輩の声が頭上から聞こえてきて私は恐る恐る見上げた。
彼の顔は怒ってはいなかった。だけど険しい顔をして私を見ている。悔しそうな悲しそうな表情をしていて…
「ご、ごめんなさ……すいま、せん…」
私の目からボロボロと涙が滝のように溢れてきた。それと同時に嗚咽まで出てきて私の発する言葉は単語にならなくなってきた。
「…俺はいつも言っていたと思うが…」
「…はぃ…すいましぇん…」
「…何もされてないか?」
「ま、だです…制服破…かれた…だけ……う゛ぅ…怖かった…」
先輩の視線が痛い。
自分の軽率さに腹が立つ。私は馬鹿だ。
これで犯されていたら私はどうなっていたことだろうか。先輩が来なければ…どうなっていたのだろうか。
「……もう大丈夫だ」
「う゛うぅぅ…せんぱい、ごめ、なさ…」
ぎゅう、と私の身体を包み込む温かい腕の感触。私の視界は紺のブレザーの色一色に変わった。
先輩は泣きじゃくる私の背中を撫でて落ち着かせようとしてくれているが、私の涙はしばらく止まりそうになかった。
そうこうしている間に警察がやってきて取り調べになったが、私は橘先輩から離れて男性警察官の取調べを受けるのをひどく怖がってしまったので、先輩同席の上で取り調べを受けた。
その後病院に向かった和真を見送り、入れ違いで迎えに来た父さんと一緒に私は家に帰った。
怖い目に遭ったからちょっと男の人に恐怖心を抱いてしまったけども、助けてくれたのも同じ男性。
しばらくはトラウマが残るだろうけど、これを教訓にして自分は過信することをやめようと誓った。
私はその日から橘先輩を強く意識するようになった。
彼のことを考えると心臓がドキドキしてしまって、その理由がわからなかった私は自分がおかしくなってしまったのではないかと戸惑い、橘先輩に会う度に挙動不審になってしまったのだ。
それを見た大久保先輩にからかわれることが増えて、イラッとした私が大久保先輩のお尻を回し蹴りをする所を目撃した橘先輩に注意されることになる。
そして、彼に恋をしていると自覚した私がどうなったかはご想像におまかせする。
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