207 / 209
Day‘s Eye 咲き誇るデイジー
虫人避けのポプリ
しおりを挟む
あの蝶人、シモン・サンタクルスに手を翳されたときから頭の中が靄がかかったみたいだった。
自分の意志で身体を動かせない。自分が今何をしているかわからない感覚だった。目に見えないなにかに操られているようだった。周りの声をかき消すかのように彼の声が頭の中で響き渡る。こっちにおいで、と呼びかけてくるのだ。
抵抗しようにも、どんどん私の意識は飲み込まれていった──…
──自分の意識をやっと取り戻せたとき、私はフォルクヴァルツ城の自分の部屋にある天蓋付きベッドに寝かされていた。手足にずしりと重い枷をつけられて拘束されていた。解こうにも魔法が使えない。どうやら魔封じもされているようだ。
首を動かすと、椅子に腰掛けたテオがベッドに突っ伏して眠っていた。私に寄り添うように眠る子どもたちがいたので、彼らを起こさぬようテオに声をかける。
「テオ、ねぇテオ起きて」
「ん…」
怠そうな唸り声を漏らしながらテオが顔を持ち上げる。なんだか彼は疲れ切った顔をしていた。3日くらい寝てません的な顔をして……
テオはなぜそんな場所で眠ってるのだろう。それ以前になぜ私は拘束されているのか。
彼は私をぼんやりと寝ぼけまなこで見ていた。眠いところ申し訳ないが現状説明してほしい。
「…ねぇ、私はなんで拘束されてるの?」
私が問うと、テオの耳がピンと立つ。そして灰銀色の瞳にじわじわと涙が浮かび上がり、そして彼は私に飛びついてきた。
「デイジー!」
「うぐ」
ぎしんぎしんとベッドのスプリングが悲鳴を上げているがテオはお構いなしにベッドに乗り上がって私に抱きついてきた。
彼の身体の重さにうめき声をあげる私にお構いなく、テオはキスをしてきた。ちゅっちゅちゅっちゅと顔面に降りてくるキスの雨。もう訳がわからないよ。
「デイジー、良かった。お前元に戻ったんだな」
「……どういう意味?」
テオのせいで目を覚ましてしまった子どもたちにまでぷえぷえと泣きつかれてしまった私は彼らに囲まれた。
この状況と彼らの反応からして、私の意識がない間に何かが起きたらしいってことはわかる。
「どうしたの? なにがあったの? …サンタクルス様とやり取りしたあとから記憶が曖昧なんだけど」
テオに問うと、彼はぐっと眉間にシワを寄せて険しい表情を浮かべた。そして誤魔化すかのように私に抱きつくと、怒りを抑えた低い声で言った。
「知らないほうがいい。俺も忘れたい」
グルグルと喉を鳴らしたテオは不機嫌になってしまった。……テオの様子も子どもたちの様子もおかしい。なにがあったのかめちゃくちゃ気になるんだけど、テオが言いたくないなら無理に聞かないほうがいいのだろうか。
テオにはぐりぐりと頬ずりされ、子どもたちには顔面をペロペロされた。余程寂しかったのだろう。……私は今まで一体何をしていたんだろう。
「まだ早いからもう少し寝たほうがいい」
拘束具を外されたあとは家族4人で並んでもう一眠りした。テオは私の身体をガッチリ抱き込み、守るようにしてすやすやと眠りについていた。テオの熱い身体に抱き込まれた私も彼の体温に安心してウトウトする。
いつの間にか、私を苛んでいたもやもやは綺麗に消え去っていったのである。
□■□
遅めに起きた朝、フォルクヴァルツ城の住人に挨拶をすると、会う人会う人に喜ばれた。口々に「お戻りになられてよかった」「いつものアステリア様ですね」と使用人たちに喜ばれるもので、意識がなかった時自分は何をしていたのだろうと恐ろしくなった。
それは食堂でフォルクヴァルツ一家に挨拶をしたときも同様だ。みんなあからさまにホッとした顔をしていたのだ。しかも何故か兄上たちが新婚旅行の予定を延期するとかそういう話になりかけていたらしく、ますます恐ろしい。だけど箝口令が敷かれているのかみんな何も教えてくれなかった。
あのフレッカー卿でさえ、心の内を見せない笑顔を浮かべるだけで教えてくれないのだ。…気になる。だけど皆は知らないでいてほしいようだ。
……私がお酒飲んで暴れて醜態晒したとかだったらどうしよう。でも私そんなにお酒弱いわけじゃないんだけど……
「アステリア様、こちら虫人避けのポプリです」
「え…?」
新婚旅行に旅立つ兄夫妻を見送りしようとしたら、クラウディア様が虫人避けのポプリとやらを差し出してきた。…彼女はこれから新婚旅行に旅立つ結婚したてほやほやの新婦とは思えないくらいに目元にクマを拵えていた。
まさか兄上が昨晩寝かせてくれなかったとかそういう…と思ったが、そんな色気めいた雰囲気は一切ない。その目は真剣そのもの。手書きのメモをさっと突き出したかと思えば、それはテオに差し出されていた。
私はポプリを持ったままぽかんとする。
「虫人は日々進化しており、私達の把握する以上の能力を持ってると言われています」
彼女の言葉にテオの表情が少し険しくなった。
虫人? 把握する以上の能力って…
「彼らにとって獣人が天敵と言われてますから、そちらの村では何事もないと信じたいですが念の為です。この紙には基本的な虫人の生態が書かれています、こちらは虫人が忌避する成分の入ったポプリの作り方を書き出しています」
クラウディア様はなぜかテオにそれらを伝授するというのだ。あれ、2人はいつの間にそんなに親しくなったの…?
「善良な虫人まで避ける恐れもありますが、生活に支障は出ないでしょう。村の外に出るときは持ち歩かせたほうがいいかもしれません」
「…わかりました。ありがとうございます」
その言葉にテオは深々と頭を下げていた。
私は驚いていた。勉強嫌いのテオが真剣な表情でメモの数々に目を通していたからだ。初等学生時代ですらこんな姿見たことないぞ。
なんでテオ?
だけど私の疑問に答えてくれる人はここにはいない。
ぽつんと取り残された気分に陥っていたが、同じくぽつんと突っ立っている兄上の姿を見つけたので私は彼に声をかけた。
「なんかせっかくの新婚に水を差してしまってすみません」
なんだか新婚とは思えないくらい兄上は元気がなさそうに見えたのでとりあえず謝っておいたのだが、兄上は私の顔を見て、苦笑いして首を横に振るだけだった。
……私は一体どんな醜態を晒したのであろう。貴族様が口を閉ざしてしまうくらい、テオが思い出したくないというくらいの何かをしでかしてしまったのだろうか……
「もう、ディーデリヒ様ったら可愛い妹さんに気を遣わせてはなりませんよ!」
その小柄な身体のどこから力が湧いてくるのか、クラウディア様が兄上をどついていた。構えていなかった兄上は足元をふらつかせている。
彼女は私と兄上の間に割って入ってくると、私の手をポプリごと握って、キラキラの笑顔を向けてきた。
「いいのですよ、私達は姉妹なのですから」
「あ、はい…」
「私はアステリア様のお姉さまですもの! 当然ですわ」
なんか念押しされるように姉妹を強調された。クラウディア様はそんなに姉妹が欲しかったのか…
兄上はクラウディア様にどつかれながら馬車に乗り込んでいた。新婚早々尻に敷かれているようであった。新婚旅行楽しんできてください。
「そろそろ俺らも帰ろう」
「うん、そうだね」
新婚の甘い雰囲気はあまりない2人が馬車に乗って旅立ったのを見送ると、私も家族と一緒に村に帰るべく支度を始めた。
準備を終えて外に出ると、庭ではルルが口の中がボソボソすると言って、畑に実った食べごろの瑞々しい野菜を生でバリボリ食べていたのが印象的だった。
どこかで悪いものでも食べたのだろうか?
自分の意志で身体を動かせない。自分が今何をしているかわからない感覚だった。目に見えないなにかに操られているようだった。周りの声をかき消すかのように彼の声が頭の中で響き渡る。こっちにおいで、と呼びかけてくるのだ。
抵抗しようにも、どんどん私の意識は飲み込まれていった──…
──自分の意識をやっと取り戻せたとき、私はフォルクヴァルツ城の自分の部屋にある天蓋付きベッドに寝かされていた。手足にずしりと重い枷をつけられて拘束されていた。解こうにも魔法が使えない。どうやら魔封じもされているようだ。
首を動かすと、椅子に腰掛けたテオがベッドに突っ伏して眠っていた。私に寄り添うように眠る子どもたちがいたので、彼らを起こさぬようテオに声をかける。
「テオ、ねぇテオ起きて」
「ん…」
怠そうな唸り声を漏らしながらテオが顔を持ち上げる。なんだか彼は疲れ切った顔をしていた。3日くらい寝てません的な顔をして……
テオはなぜそんな場所で眠ってるのだろう。それ以前になぜ私は拘束されているのか。
彼は私をぼんやりと寝ぼけまなこで見ていた。眠いところ申し訳ないが現状説明してほしい。
「…ねぇ、私はなんで拘束されてるの?」
私が問うと、テオの耳がピンと立つ。そして灰銀色の瞳にじわじわと涙が浮かび上がり、そして彼は私に飛びついてきた。
「デイジー!」
「うぐ」
ぎしんぎしんとベッドのスプリングが悲鳴を上げているがテオはお構いなしにベッドに乗り上がって私に抱きついてきた。
彼の身体の重さにうめき声をあげる私にお構いなく、テオはキスをしてきた。ちゅっちゅちゅっちゅと顔面に降りてくるキスの雨。もう訳がわからないよ。
「デイジー、良かった。お前元に戻ったんだな」
「……どういう意味?」
テオのせいで目を覚ましてしまった子どもたちにまでぷえぷえと泣きつかれてしまった私は彼らに囲まれた。
この状況と彼らの反応からして、私の意識がない間に何かが起きたらしいってことはわかる。
「どうしたの? なにがあったの? …サンタクルス様とやり取りしたあとから記憶が曖昧なんだけど」
テオに問うと、彼はぐっと眉間にシワを寄せて険しい表情を浮かべた。そして誤魔化すかのように私に抱きつくと、怒りを抑えた低い声で言った。
「知らないほうがいい。俺も忘れたい」
グルグルと喉を鳴らしたテオは不機嫌になってしまった。……テオの様子も子どもたちの様子もおかしい。なにがあったのかめちゃくちゃ気になるんだけど、テオが言いたくないなら無理に聞かないほうがいいのだろうか。
テオにはぐりぐりと頬ずりされ、子どもたちには顔面をペロペロされた。余程寂しかったのだろう。……私は今まで一体何をしていたんだろう。
「まだ早いからもう少し寝たほうがいい」
拘束具を外されたあとは家族4人で並んでもう一眠りした。テオは私の身体をガッチリ抱き込み、守るようにしてすやすやと眠りについていた。テオの熱い身体に抱き込まれた私も彼の体温に安心してウトウトする。
いつの間にか、私を苛んでいたもやもやは綺麗に消え去っていったのである。
□■□
遅めに起きた朝、フォルクヴァルツ城の住人に挨拶をすると、会う人会う人に喜ばれた。口々に「お戻りになられてよかった」「いつものアステリア様ですね」と使用人たちに喜ばれるもので、意識がなかった時自分は何をしていたのだろうと恐ろしくなった。
それは食堂でフォルクヴァルツ一家に挨拶をしたときも同様だ。みんなあからさまにホッとした顔をしていたのだ。しかも何故か兄上たちが新婚旅行の予定を延期するとかそういう話になりかけていたらしく、ますます恐ろしい。だけど箝口令が敷かれているのかみんな何も教えてくれなかった。
あのフレッカー卿でさえ、心の内を見せない笑顔を浮かべるだけで教えてくれないのだ。…気になる。だけど皆は知らないでいてほしいようだ。
……私がお酒飲んで暴れて醜態晒したとかだったらどうしよう。でも私そんなにお酒弱いわけじゃないんだけど……
「アステリア様、こちら虫人避けのポプリです」
「え…?」
新婚旅行に旅立つ兄夫妻を見送りしようとしたら、クラウディア様が虫人避けのポプリとやらを差し出してきた。…彼女はこれから新婚旅行に旅立つ結婚したてほやほやの新婦とは思えないくらいに目元にクマを拵えていた。
まさか兄上が昨晩寝かせてくれなかったとかそういう…と思ったが、そんな色気めいた雰囲気は一切ない。その目は真剣そのもの。手書きのメモをさっと突き出したかと思えば、それはテオに差し出されていた。
私はポプリを持ったままぽかんとする。
「虫人は日々進化しており、私達の把握する以上の能力を持ってると言われています」
彼女の言葉にテオの表情が少し険しくなった。
虫人? 把握する以上の能力って…
「彼らにとって獣人が天敵と言われてますから、そちらの村では何事もないと信じたいですが念の為です。この紙には基本的な虫人の生態が書かれています、こちらは虫人が忌避する成分の入ったポプリの作り方を書き出しています」
クラウディア様はなぜかテオにそれらを伝授するというのだ。あれ、2人はいつの間にそんなに親しくなったの…?
「善良な虫人まで避ける恐れもありますが、生活に支障は出ないでしょう。村の外に出るときは持ち歩かせたほうがいいかもしれません」
「…わかりました。ありがとうございます」
その言葉にテオは深々と頭を下げていた。
私は驚いていた。勉強嫌いのテオが真剣な表情でメモの数々に目を通していたからだ。初等学生時代ですらこんな姿見たことないぞ。
なんでテオ?
だけど私の疑問に答えてくれる人はここにはいない。
ぽつんと取り残された気分に陥っていたが、同じくぽつんと突っ立っている兄上の姿を見つけたので私は彼に声をかけた。
「なんかせっかくの新婚に水を差してしまってすみません」
なんだか新婚とは思えないくらい兄上は元気がなさそうに見えたのでとりあえず謝っておいたのだが、兄上は私の顔を見て、苦笑いして首を横に振るだけだった。
……私は一体どんな醜態を晒したのであろう。貴族様が口を閉ざしてしまうくらい、テオが思い出したくないというくらいの何かをしでかしてしまったのだろうか……
「もう、ディーデリヒ様ったら可愛い妹さんに気を遣わせてはなりませんよ!」
その小柄な身体のどこから力が湧いてくるのか、クラウディア様が兄上をどついていた。構えていなかった兄上は足元をふらつかせている。
彼女は私と兄上の間に割って入ってくると、私の手をポプリごと握って、キラキラの笑顔を向けてきた。
「いいのですよ、私達は姉妹なのですから」
「あ、はい…」
「私はアステリア様のお姉さまですもの! 当然ですわ」
なんか念押しされるように姉妹を強調された。クラウディア様はそんなに姉妹が欲しかったのか…
兄上はクラウディア様にどつかれながら馬車に乗り込んでいた。新婚早々尻に敷かれているようであった。新婚旅行楽しんできてください。
「そろそろ俺らも帰ろう」
「うん、そうだね」
新婚の甘い雰囲気はあまりない2人が馬車に乗って旅立ったのを見送ると、私も家族と一緒に村に帰るべく支度を始めた。
準備を終えて外に出ると、庭ではルルが口の中がボソボソすると言って、畑に実った食べごろの瑞々しい野菜を生でバリボリ食べていたのが印象的だった。
どこかで悪いものでも食べたのだろうか?
10
お気に入りに追加
154
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
私が蛙にされた悪役令嬢になるなんて、何かの冗談ですよね?
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【嘘っ!私が呪いに掛けられた悪役令嬢になるなんて!】
私は最近ある恋愛ファンタジー小説に夢中になっていた。そして迎えた突然の小説の結末。それはヒロインに数々の嫌がらせをしていた悪役令嬢が呪いの罰を受けて蛙にされてしまう結末だった。この悪役令嬢が気に入っていた私は、その夜不機嫌な気分でベッドに入った。そして目覚めてみればそこは自分の知らない世界で私は蛙にされた悪役令嬢に憑依していた。
この呪いを解く方法はただ一つ。それは人から感謝される行いをして徳を積むこと。
意思疎通が出来ない身体を抱えて、私の奮闘が始まった――。
※ 他サイトでも投稿中
子育てが落ち着いた20年目の結婚記念日……「離縁よ!離縁!」私は屋敷を飛び出しました。
さくしゃ
恋愛
アーリントン王国の片隅にあるバーンズ男爵領では、6人の子育てが落ち着いた領主夫人のエミリアと領主のヴァーンズは20回目の結婚記念日を迎えていた。
忙しい子育てと政務にすれ違いの生活を送っていた二人は、久しぶりに二人だけで食事をすることに。
「はぁ……盛り上がりすぎて7人目なんて言われたらどうしよう……いいえ!いっそのことあと5人くらい!」
気合いを入れるエミリアは侍女の案内でヴァーンズが待つ食堂へ。しかし、
「信じられない!離縁よ!離縁!」
深夜2時、エミリアは怒りを露わに屋敷を飛び出していった。自室に「実家へ帰らせていただきます!」という書き置きを残して。
結婚20年目にして離婚の危機……果たしてその結末は!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」
「恩? 私と君は初対面だったはず」
「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」
「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」
奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。
彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?
不器用騎士様は記憶喪失の婚約者を逃がさない
かべうち右近
恋愛
「あなたみたいな人と、婚約したくなかった……!」
婚約者ヴィルヘルミーナにそう言われたルドガー。しかし、ツンツンなヴィルヘルミーナはそれからすぐに事故で記憶を失い、それまでとは打って変わって素直な可愛らしい令嬢に生まれ変わっていたーー。
もともとルドガーとヴィルヘルミーナは、顔を合わせればたびたび口喧嘩をする幼馴染同士だった。
ずっと好きな女などいないと思い込んでいたルドガーは、女性に人気で付き合いも広い。そんな彼は、悪友に指摘されて、ヴィルヘルミーナが好きなのだとやっと気付いた。
想いに気づいたとたんに、何の幸運か、親の意向によりとんとん拍子にヴィルヘルミーナとルドガーの婚約がまとまったものの、女たらしのルドガーに対してヴィルヘルミーナはツンツンだったのだ。
記憶を失ったヴィルヘルミーナには悪いが、今度こそ彼女を口説き落して円満結婚を目指し、ルドガーは彼女にアプローチを始める。しかし、元女誑しの不器用騎士は息を吸うようにステップをすっ飛ばしたアプローチばかりしてしまい…?
不器用騎士×元ツンデレ・今素直令嬢のラブコメです。
12/11追記
書籍版の配信に伴い、WEB連載版は取り下げております。
たくさんお読みいただきありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる