178 / 209
外伝・東で花咲く菊花
開花
しおりを挟む
「こらっまた犬に昼飯やってんのか!」
握り飯を顔見知りの野良犬に与えていると、背後から怒鳴られた。その声にビビった犬がピャッと走って逃げていってしまった。ここに置いておけばまた食べに来るだろうか。
「ほら、俺の昼飯を分けてやるからお前はちゃんと飯を食え」
スバルさんは少し怒り気味にドスンと隣に座って自分のお弁当の包みを広げていた。
「それじゃスバルさんの分がなくなるんじゃ」
「気にするなら、今度から自分の昼飯は自分で食うんだな」
そう言ってお煮しめの人参を口元に持ってこられたので、あたしは仕方なく口を開く。……どっかで見た鳥の雛への給餌みたいだが、食べなきゃ怒られるのでおとなしく食べる。
「…お前って口小さいよな」
「…そうですか?」
むぐむぐと人参を噛み締めていると、スバルさんがぽそっと呟く。
口が小さいとかそんなこと気にしたことないけど…鏡のない生活してたから自分の容姿に興味持ったことないし。
人参を飲み込むと、次はだし巻き卵が突き出される。あたしは渋々それに噛み付いて咀嚼する。それをじろじろと観察されるものだからあたしはいたたまれなくなった。
「…もういいです」
「だめだ。もっと食え」
なんだかお腹いっぱいになってきたのでもういいと言ったのに、スバルさんはだし巻き卵の余りをあたしの口に突っ込んできた。
仕方なく口を動かしていると、次は白米一口分をずずいと唇にくっつけられた。
この国に来て7ヶ月目。この国の文化はまだまだわからないことばかりだが、最近は伯父さんの店での仕事にも慣れてきた。
あたしは決して愛想がいいほうではない。ただひたすら黙々働いているので、可愛げがないと眉をひそめる人もいるが、雇用主である伯父さんや古株の従業員たちには努力を認めてもらっている気もする。
愛想を求める人達はあたしを女として意識している人が多いのだ。それは未婚者の男だったり、同じ年代の女が一方的に敵対視してきたり。
正直そんなのに相手している心の余裕がないので、まともに取り合わない。何を期待されているのか知らないが、あたしは今を生きるのに必死なのだ。
□■□
伯父さんから話があると言われて呼び出されたとある休日。一体何の話だろう。母さんと兄さんと一緒に出向くと、通された部屋にて、色鮮やかな着物と、化粧品、髪飾りに履物が並べられた。
「……これは?」
それを見たあたしは嫌な予感をひしひしと感じていた。
「お前に女物の着物を用意したが一度も袖を通してくれなかっただろう? 柄が気に食わんかったのかなと思ってな。これはユカリがお前と同じ年頃に着ていた一張羅だ。キッカは身丈が高いから調節もしてもらったぞ」
母さんが若い頃に来ていた着物をわざわざお直しして用意してくれたのだという。
「懐かしい。お父さんが仕立ててくれたものね」
そう言って懐かしそうに着物を手にとった母さんの瞳には涙が滲んでいた。
母さんの両親…つまりあたしと兄さんの祖父母にあたる人たちは、母さんが拉致されてハルベリオンにいた間にそれぞれ病気で亡くなってしまったのだという。母さんが親の死に目に会えなかったことを深く後悔し、悲しんでいたのを知っていたあたしは、口から飛び出しそうな拒絶の言葉を飲み込んだ。
ここで嫌だと言ったら、母さんを悲しませてしまうかもしれないと思ったからだ。
女物の着付けはわからないので母さんに手伝ってもらいながらなんとか着付けると、母さんがあたしの顔を化粧をして髪まで結ってくれた。
向こうではざんばらに短くしていた髪はこちらに来てから伸ばすようになったけどもまだまだ長さが足りない。正直真夏とか暑いので短くしたい。……あたしは別に女らしくしたいわけじゃないからどうでもいいけど、短くすると周りがうるさいから我慢しているとも言う。
姿見の前で着物の全身図を観察する。
紅色の着物には白と黄色の花が描かれていた。輪菊の花だ。
「キッカの名前の花よ」
そうだ、あたしの名前はその花の名前から取ったのだ。あっちでは教育を受けなかったあたしが唯一書けた名前。菊花の文字。
しかし鏡に映る自分を見て違和感を覚える。……着物はキレイだけど、なんだか変な感じがする。化粧して色気づいた自分の顔が浮いて気持ち悪く見えた。
「どうした、スバル。そんな腑抜けた顔をして」
伯父さんの笑いを堪えたようなおかしそうな声にあたしが振り返ると、なぜか廊下にスバルさんの姿があった。休みなのになぜ伯父さんの家にいるんだろう。
「…スバルさん?」
スバルさんは顔を真っ赤にさせて、なにやら呆然としていた。
……具合が悪いのだろうか。着慣れた着物と違って歩きにくい着物でちまちま歩きながら近づくと、彼はビクリと驚いた。あたしを上から下まで眺めた後、ほう…とため息を吐き出していた。
「…びっくりした。天女がそこにいるかと」
てんにょ。
宗教かなにかだろうか。あっちで言う女神フローラみたいな存在のこと?
ぽーっと夢を見ているかのようにぼんやりした目でスバルさんはあたしを見つめてきた。その目はいつもと違って火傷してしまいそうな熱を感じた。
「……綺麗だ、キッカ」
ボウッと顔が発火したかと思った。
柄でもない格好を見られたのだと思い出したあたしは急に恥ずかしくなってシュバッと兄貴の後ろに隠れた。
「せっかくだからその格好で街に出かけてきたらどうだ?」
「…え?」
「女の格好に慣れる訓練だ。一日街を回ってみたらキッカの意識も変わるかもしれないだろ? トウマとスバルがいたら近づく不埒者なんかいねーだろ!」
「…俺も行くのか…」
名指しされた兄さんが不満そうに漏らしていた。女装したあたしとは恥ずかしくて歩きたくないのだろうか。
「それは名案ですね。そうと決まれば行こう」
あたしの手を握って引っ張ってきたスバルさん。あたしは慌てて兄さんの着物の裾を掴んで引っ張る。
「おいおい、2人で行けばいいだろ、俺はいらないだろ…」
なにやら兄さんが後ろでぶつくさ言っているが、恥ずかしいのでついてきてほしい。
スバルさんはあたしの手を離さなかった。街まで走っている人力車に乗るときもあたしとスバルさん、後ろの人力車に兄さんひとりという組み合わせで乗った。これまでに何度か出向いた街。いつもは食べ歩きをしたり、興行があればそれを観に行ったりしている。最初に来たときは色街に案内されたけど、あの一回きりでそれ以降は色街には近づいていない。
休日ということで人の流れが多い。人とぶつからないようにスバルさんが誘導してくれるからマシだけどやっぱりこの服は動きにくい。
ちらりとすれ違った男性がこっちを見た。さっきからずっとこうだ。普通に歩いているのに、今日はやけに周りからの視線が集中してきた。あたしは人の視線が怖くてスバルさんの背中に身を隠すように歩いていた。
「大丈夫だよキッカ。周りはキッカが綺麗だから見ているだけだ」
「……そんなわけない」
そんなことハルベリオンでは一度も言われたことないぞ。あたしが美人とか笑わせないでほしい。スバルさんは親しい同僚だからきっと褒め言葉を掛けているだけなのだと自分に言い聞かせる。
「あたし、やっぱり変なんじゃ…」
こんな慣れない格好、やっぱり断ればよかったんじゃ……
「キッカはべっぴんさんだからな。誰だって注目してしまうもんさ」
スバルさんはなんだか鼻高々といった顔で隣を歩いている。何がそんなに誇らしいのだろうか……
「えぇと…じゃあ俺は帰るな…」
「え!? ちょっと待ってよ兄さん!」
なぜかあたしを置いて離脱しようとする兄さんに手を伸ばすと、ぐいっと後ろに手を引っ張られた。
「トウマは空気を読んでくれたんだよ。キッカは俺のそばにいたら大丈夫だよ」
「いや、でも」
しっかり握られていた手を軽く離されたかと思えば、指を絡めるようなつなぎ方をされ、あたしの身体を流れる血液が泡立った。何その手のつなぎ方。
「お腹すいていないか? 甘味処行こう」
スバルさんはなぜにそんなに嬉しそうなんだろうか。
……火傷しそうなほど熱いのに、そこには優しさとなにか他の特別な気持ちが含まれているように見える。
それにあたしもそんな彼を見ていると嬉しくて、胸がどきどき落ち着かなくて、泣きたくなるような変な気分になるのだ。
なぜなんだろうか。
こんな気持ち、あたしは知らない。
握り飯を顔見知りの野良犬に与えていると、背後から怒鳴られた。その声にビビった犬がピャッと走って逃げていってしまった。ここに置いておけばまた食べに来るだろうか。
「ほら、俺の昼飯を分けてやるからお前はちゃんと飯を食え」
スバルさんは少し怒り気味にドスンと隣に座って自分のお弁当の包みを広げていた。
「それじゃスバルさんの分がなくなるんじゃ」
「気にするなら、今度から自分の昼飯は自分で食うんだな」
そう言ってお煮しめの人参を口元に持ってこられたので、あたしは仕方なく口を開く。……どっかで見た鳥の雛への給餌みたいだが、食べなきゃ怒られるのでおとなしく食べる。
「…お前って口小さいよな」
「…そうですか?」
むぐむぐと人参を噛み締めていると、スバルさんがぽそっと呟く。
口が小さいとかそんなこと気にしたことないけど…鏡のない生活してたから自分の容姿に興味持ったことないし。
人参を飲み込むと、次はだし巻き卵が突き出される。あたしは渋々それに噛み付いて咀嚼する。それをじろじろと観察されるものだからあたしはいたたまれなくなった。
「…もういいです」
「だめだ。もっと食え」
なんだかお腹いっぱいになってきたのでもういいと言ったのに、スバルさんはだし巻き卵の余りをあたしの口に突っ込んできた。
仕方なく口を動かしていると、次は白米一口分をずずいと唇にくっつけられた。
この国に来て7ヶ月目。この国の文化はまだまだわからないことばかりだが、最近は伯父さんの店での仕事にも慣れてきた。
あたしは決して愛想がいいほうではない。ただひたすら黙々働いているので、可愛げがないと眉をひそめる人もいるが、雇用主である伯父さんや古株の従業員たちには努力を認めてもらっている気もする。
愛想を求める人達はあたしを女として意識している人が多いのだ。それは未婚者の男だったり、同じ年代の女が一方的に敵対視してきたり。
正直そんなのに相手している心の余裕がないので、まともに取り合わない。何を期待されているのか知らないが、あたしは今を生きるのに必死なのだ。
□■□
伯父さんから話があると言われて呼び出されたとある休日。一体何の話だろう。母さんと兄さんと一緒に出向くと、通された部屋にて、色鮮やかな着物と、化粧品、髪飾りに履物が並べられた。
「……これは?」
それを見たあたしは嫌な予感をひしひしと感じていた。
「お前に女物の着物を用意したが一度も袖を通してくれなかっただろう? 柄が気に食わんかったのかなと思ってな。これはユカリがお前と同じ年頃に着ていた一張羅だ。キッカは身丈が高いから調節もしてもらったぞ」
母さんが若い頃に来ていた着物をわざわざお直しして用意してくれたのだという。
「懐かしい。お父さんが仕立ててくれたものね」
そう言って懐かしそうに着物を手にとった母さんの瞳には涙が滲んでいた。
母さんの両親…つまりあたしと兄さんの祖父母にあたる人たちは、母さんが拉致されてハルベリオンにいた間にそれぞれ病気で亡くなってしまったのだという。母さんが親の死に目に会えなかったことを深く後悔し、悲しんでいたのを知っていたあたしは、口から飛び出しそうな拒絶の言葉を飲み込んだ。
ここで嫌だと言ったら、母さんを悲しませてしまうかもしれないと思ったからだ。
女物の着付けはわからないので母さんに手伝ってもらいながらなんとか着付けると、母さんがあたしの顔を化粧をして髪まで結ってくれた。
向こうではざんばらに短くしていた髪はこちらに来てから伸ばすようになったけどもまだまだ長さが足りない。正直真夏とか暑いので短くしたい。……あたしは別に女らしくしたいわけじゃないからどうでもいいけど、短くすると周りがうるさいから我慢しているとも言う。
姿見の前で着物の全身図を観察する。
紅色の着物には白と黄色の花が描かれていた。輪菊の花だ。
「キッカの名前の花よ」
そうだ、あたしの名前はその花の名前から取ったのだ。あっちでは教育を受けなかったあたしが唯一書けた名前。菊花の文字。
しかし鏡に映る自分を見て違和感を覚える。……着物はキレイだけど、なんだか変な感じがする。化粧して色気づいた自分の顔が浮いて気持ち悪く見えた。
「どうした、スバル。そんな腑抜けた顔をして」
伯父さんの笑いを堪えたようなおかしそうな声にあたしが振り返ると、なぜか廊下にスバルさんの姿があった。休みなのになぜ伯父さんの家にいるんだろう。
「…スバルさん?」
スバルさんは顔を真っ赤にさせて、なにやら呆然としていた。
……具合が悪いのだろうか。着慣れた着物と違って歩きにくい着物でちまちま歩きながら近づくと、彼はビクリと驚いた。あたしを上から下まで眺めた後、ほう…とため息を吐き出していた。
「…びっくりした。天女がそこにいるかと」
てんにょ。
宗教かなにかだろうか。あっちで言う女神フローラみたいな存在のこと?
ぽーっと夢を見ているかのようにぼんやりした目でスバルさんはあたしを見つめてきた。その目はいつもと違って火傷してしまいそうな熱を感じた。
「……綺麗だ、キッカ」
ボウッと顔が発火したかと思った。
柄でもない格好を見られたのだと思い出したあたしは急に恥ずかしくなってシュバッと兄貴の後ろに隠れた。
「せっかくだからその格好で街に出かけてきたらどうだ?」
「…え?」
「女の格好に慣れる訓練だ。一日街を回ってみたらキッカの意識も変わるかもしれないだろ? トウマとスバルがいたら近づく不埒者なんかいねーだろ!」
「…俺も行くのか…」
名指しされた兄さんが不満そうに漏らしていた。女装したあたしとは恥ずかしくて歩きたくないのだろうか。
「それは名案ですね。そうと決まれば行こう」
あたしの手を握って引っ張ってきたスバルさん。あたしは慌てて兄さんの着物の裾を掴んで引っ張る。
「おいおい、2人で行けばいいだろ、俺はいらないだろ…」
なにやら兄さんが後ろでぶつくさ言っているが、恥ずかしいのでついてきてほしい。
スバルさんはあたしの手を離さなかった。街まで走っている人力車に乗るときもあたしとスバルさん、後ろの人力車に兄さんひとりという組み合わせで乗った。これまでに何度か出向いた街。いつもは食べ歩きをしたり、興行があればそれを観に行ったりしている。最初に来たときは色街に案内されたけど、あの一回きりでそれ以降は色街には近づいていない。
休日ということで人の流れが多い。人とぶつからないようにスバルさんが誘導してくれるからマシだけどやっぱりこの服は動きにくい。
ちらりとすれ違った男性がこっちを見た。さっきからずっとこうだ。普通に歩いているのに、今日はやけに周りからの視線が集中してきた。あたしは人の視線が怖くてスバルさんの背中に身を隠すように歩いていた。
「大丈夫だよキッカ。周りはキッカが綺麗だから見ているだけだ」
「……そんなわけない」
そんなことハルベリオンでは一度も言われたことないぞ。あたしが美人とか笑わせないでほしい。スバルさんは親しい同僚だからきっと褒め言葉を掛けているだけなのだと自分に言い聞かせる。
「あたし、やっぱり変なんじゃ…」
こんな慣れない格好、やっぱり断ればよかったんじゃ……
「キッカはべっぴんさんだからな。誰だって注目してしまうもんさ」
スバルさんはなんだか鼻高々といった顔で隣を歩いている。何がそんなに誇らしいのだろうか……
「えぇと…じゃあ俺は帰るな…」
「え!? ちょっと待ってよ兄さん!」
なぜかあたしを置いて離脱しようとする兄さんに手を伸ばすと、ぐいっと後ろに手を引っ張られた。
「トウマは空気を読んでくれたんだよ。キッカは俺のそばにいたら大丈夫だよ」
「いや、でも」
しっかり握られていた手を軽く離されたかと思えば、指を絡めるようなつなぎ方をされ、あたしの身体を流れる血液が泡立った。何その手のつなぎ方。
「お腹すいていないか? 甘味処行こう」
スバルさんはなぜにそんなに嬉しそうなんだろうか。
……火傷しそうなほど熱いのに、そこには優しさとなにか他の特別な気持ちが含まれているように見える。
それにあたしもそんな彼を見ていると嬉しくて、胸がどきどき落ち着かなくて、泣きたくなるような変な気分になるのだ。
なぜなんだろうか。
こんな気持ち、あたしは知らない。
10
お気に入りに追加
154
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
私が蛙にされた悪役令嬢になるなんて、何かの冗談ですよね?
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【嘘っ!私が呪いに掛けられた悪役令嬢になるなんて!】
私は最近ある恋愛ファンタジー小説に夢中になっていた。そして迎えた突然の小説の結末。それはヒロインに数々の嫌がらせをしていた悪役令嬢が呪いの罰を受けて蛙にされてしまう結末だった。この悪役令嬢が気に入っていた私は、その夜不機嫌な気分でベッドに入った。そして目覚めてみればそこは自分の知らない世界で私は蛙にされた悪役令嬢に憑依していた。
この呪いを解く方法はただ一つ。それは人から感謝される行いをして徳を積むこと。
意思疎通が出来ない身体を抱えて、私の奮闘が始まった――。
※ 他サイトでも投稿中
子育てが落ち着いた20年目の結婚記念日……「離縁よ!離縁!」私は屋敷を飛び出しました。
さくしゃ
恋愛
アーリントン王国の片隅にあるバーンズ男爵領では、6人の子育てが落ち着いた領主夫人のエミリアと領主のヴァーンズは20回目の結婚記念日を迎えていた。
忙しい子育てと政務にすれ違いの生活を送っていた二人は、久しぶりに二人だけで食事をすることに。
「はぁ……盛り上がりすぎて7人目なんて言われたらどうしよう……いいえ!いっそのことあと5人くらい!」
気合いを入れるエミリアは侍女の案内でヴァーンズが待つ食堂へ。しかし、
「信じられない!離縁よ!離縁!」
深夜2時、エミリアは怒りを露わに屋敷を飛び出していった。自室に「実家へ帰らせていただきます!」という書き置きを残して。
結婚20年目にして離婚の危機……果たしてその結末は!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」
「恩? 私と君は初対面だったはず」
「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」
「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」
奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。
彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?
不器用騎士様は記憶喪失の婚約者を逃がさない
かべうち右近
恋愛
「あなたみたいな人と、婚約したくなかった……!」
婚約者ヴィルヘルミーナにそう言われたルドガー。しかし、ツンツンなヴィルヘルミーナはそれからすぐに事故で記憶を失い、それまでとは打って変わって素直な可愛らしい令嬢に生まれ変わっていたーー。
もともとルドガーとヴィルヘルミーナは、顔を合わせればたびたび口喧嘩をする幼馴染同士だった。
ずっと好きな女などいないと思い込んでいたルドガーは、女性に人気で付き合いも広い。そんな彼は、悪友に指摘されて、ヴィルヘルミーナが好きなのだとやっと気付いた。
想いに気づいたとたんに、何の幸運か、親の意向によりとんとん拍子にヴィルヘルミーナとルドガーの婚約がまとまったものの、女たらしのルドガーに対してヴィルヘルミーナはツンツンだったのだ。
記憶を失ったヴィルヘルミーナには悪いが、今度こそ彼女を口説き落して円満結婚を目指し、ルドガーは彼女にアプローチを始める。しかし、元女誑しの不器用騎士は息を吸うようにステップをすっ飛ばしたアプローチばかりしてしまい…?
不器用騎士×元ツンデレ・今素直令嬢のラブコメです。
12/11追記
書籍版の配信に伴い、WEB連載版は取り下げております。
たくさんお読みいただきありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる