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Day‘s Eye 花嫁になったデイジー

蜜月初夜【後】(※R18)

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 昔ながらの性行為時に使う潤滑剤を私の膣内にたっぷり塗り込むと、テオは私の股の間に身体を入れ込んできた。ピタリと太ももの内側にぶつかったテオの分身。私はどきりとした。

「……いいか?」
「うん」

 多分大丈夫。

 グッ…と押し込むように侵入してきた熱い昂りはゆっくりであるが、私の中へと収まっていく。圧迫感に息を止めていた私に覆いかぶさってきたテオの熱い身体がピッタリと私の身体にくっつく。火傷しそうなくらいに熱い。
 私はそれが愛おしくて、テオの背中に腕を回してため息を吐いた。
 元々私は結婚に興味なかったし、好きな人とどうのこうのなる夢を見ていなかったが、実際に自分が好きな人と初夜を迎えることになると、それはとても幸運なことなのだと実感した。一歩間違えれば今ここにいるのはテオじゃなかったかもしれなかった。それを考えると私は本当に幸せものなのだ。

 少しばかり不安だった初夜も大きなトラブルなく終わりそう…そう、思っていた私だったが……なんだかテオと繋がっている部分の圧迫感が増しているような気がしていた。

「……テオ?」

 それに、テオはさっきから動かず、荒い呼吸を繰り返している。なんだか、様子がおかしい。

「うっ…!?」

 いや、気のせいじゃない。
 物理的に、テオのナニは大きくなっている。

「…やっぱり、痛いよな」
「な、なんで、大きさが」
「俺は獣人だからな。人間とは違う身体の作りしてるんだ」

 それは、つまり…

「うぅ…!」

 私の膣が大きくなっていくテオの分身に耐え切れずにめりめりと音を立てそうだった。私は苦痛にうめき声を漏らす。
 誰だ、多分大丈夫だと言ったの…私だ。

 テオいわく、挿入した後に大きくなるのは犬や狼獣人特有で、獣人の特性によってその辺は異なるらしい。
 そんな、そんなの本には書いてなかった。獣人は耳と尻尾がついているだけで、少しばかり身体能力や五感に優れているだけだと思っていたのに騙された。

「痛がらせたくなかったから念入りに慣らしたけど……今ならまだやめられる。中断するか」

 痛い痛いと呻く私を心配したテオが私の頭を撫でながら気遣うように尋ねてきた。
 痛みに呻いている私だが、テオがめちゃくちゃやせ我慢しているのはわかっていた。
 初夜失敗とか、誇り高い獣人は恥ずかしくて耐えられないだろう。それにテオは私を番にしたがっていた。あれだけ結婚を待ち望んでいたのだ。本音は続行したいに違いない。

 私はふぅふぅと苦しく息を吐きながら、枕下に手を忍ばせた。

「…やせ我慢なんてあんたらしくない…」

 もしものために持ってきておいてよかった。今取り出したのは自分で用意した服用タイプの性交用弛緩薬だ。私は瓶の蓋を開けるとそれを飲もうとしたがテオがそれを奪い取った。
 あろうことかテオが薬を口に含んでしまう。…何故あんたが飲むんだ。

「馬鹿! それ私が飲まなきゃ…んっ…」

 口をふさがれたかと思えば、舌を差し込まれ口の中を舐め回された。テオの唾液とともに流れ込んできたのはとろりとした弛緩薬。喉奥に流れていくそれを嚥下した。

「ん…」

 薬を飲み込んだのにテオは口づけをやめない。私の痛みを紛らわすかのように口の中を舌でくすぐって愛撫している。
 テオは繋がったまま腰は動かさずに待っていてくれた。痛みに苦痛の声を漏らしそうだがその声を飲み込む。テオが気に病んでしまうから。私は薬の効果を期待して我慢した。
 チュッと口が外れると、テオの唇にはお互いの唾液がべっとりついていたので、私はそれを舌で舐め取ってやった。

「今飲んだのは緩和剤で、痛みを快感に変換する成分が入ってる」

 私がささやくと、テオは心配そうにしていた。
 痛みで一旦は引いた身体の熱が内側から再燃してきた。それと同時に痛くて仕方なかったはずの結合部分がじんじんと痺れはじめた。痛みが快感に変わっているのだ。
 自分で作った薬ながらに怖い。痛かったくせに、今ではこんなにテオが欲しくて仕方なくなっている。
 体の奥までもっと欲しい。腰を動かしてテオを誘うと彼の目に獣の色が戻ってきた。

「私を番にしてくれるんでしょ。殺さない程度に抱いてね」

 私の誘い文句を受けとったテオは腰を動かしはじめた。
 最初は私の反応を見る余裕があったが、私が淫らに喘いでいる姿に興奮して、今では一心不乱に腰を打ち込んでいる。

「あっ、あっ、あぁぁぁ!」

 その激しさすら私にとっては快感だった。脳が焼ききれそうな程の快感に襲われ、私は淫らにふしだらに喘ぎ叫んでいた。
 耐えきえない快感に私は無意識のうちに握っていたテオの腕に爪を立てていた。彼の腰に足を巻き付け、テオの熱い楔を逃さないとばかりに更に奥へと引き寄せようとした。テオから精を搾り取るまでは離さないと私の膣がテオを締め付けていた。

「ぐぅ…!」

 テオの獣のようなうめき声と中で弾けた熱を受け止めながら、私はビクビクと絶頂に打ち震えていた。どくどくと胎内に流れ込む子種。つながっている部分は、子種が流れてしまわぬようコブのようなものでしっかり栓がされていた。
 絶頂に達した余韻に引きずられているのか、テオは私の身体を痛いくらいに抱きしめて震えていた。

「テオ…?」

 動かない、何も言わないテオのことが心配になり声をかけると、彼は私の首元に顔を埋めて吐息を漏らした。
 テオはのろのろと顔を持ち上げると、私の唇に軽く吸い付いた。そして角度を変えて口づけを交わすと、名残惜しげに離れて囁くように言った。

「デイジー、悪い…もう1回」
「いいよ…」

 テオも私の身体のことを考えて、はじめは手加減するつもりだったのだろう。だけどタガが外れたらそうはいかないみたいだ。
 甘えるようにおねだりされた私は仕方ないなぁと許してあげた。するとテオはぱっと顔を上げて、予想通りの嬉しそうな顔をしていた。私は尻尾を揺らして喜んでるテオの獣耳の生え際をワシャワシャして愛でてあげた。
 するとテオは甘い視線を送り、愛をささやく代わりに唇に吸い付きながら繋がったままの身体を再度動かし始めた。

 私はテオの背中にしがみついて彼の衝動を受け止めた。薬の効果で身体の力が抜け、私が受けていた破瓜の痛みは快感へとすり替わる。気持ちよすぎて頭の中まで溶けてしまいそうで怖い。
 だけど幸せでたまらない。悲しくもなんともないのに涙が溢れて止まらないのだ。
 私はテオの番になれた。
 人間には番なんて風習はないのに何故なんだろう、求めていた半身をようやく手に入れたそんな幸福感に満たされていたのだ。

 ──明日になったら間違いなく痛みが襲ってくるだろう。起き抜けに治癒魔法に頼らなきゃいけないかもしれない。
 そうなったとしても私は彼の衝動を受け入れてあげたかった。明日のことは後で考えよう。今はただテオのことだけを考えていたい。テオとの初夜に溺れていたいのだ。
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