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Day‘s Eye デイジーの花が開くとき
圧力に門前払い
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魔法庁から私宛に伝書鳩が届いた。
なんだろうと思ったら、先日申請した個人事業継続の許可申請【却下】のお知らせであった。
理由は書類不備。私はそれに顔をしかめた。
…間違えるようなことあったかな? 窓口の役人も2人くらいが確認して申請を受け付けていたし……。
首を傾げながら王都の魔法庁へ向かって再申請を行おうとしたら、なぜか職員から「受付できません」と拒否された。それはなぜかと聞こうとすれば、窓口を目の前で閉められてしまった。閉庁時間でもないし、お昼休みでもないのに。
魔法庁内の空気は異様だった。こっちを伺うような視線を送るくせに誰一人として目を合わせようとしないのだ。
…意味がわからないが受付できないと言うなら粘ったって無駄だ。まだ有効期限まで日にちがあるので、過ぎた後また考えようと魔法庁を後にする。
このまま帰るのもなんなので、以前よく利用していた王都の問屋に久々に顔を出すと、店主から面と向かって「あんたにはなにも売れない」と言われる。
意味がわからずぽかんとしてると、店主は気まずそうな顔をして私から視線を反らしていた。
「悪く思わないでくれよ」
別にこの問屋で買掛金未払いとか無茶難題を言って困らせたことは無いはずなんだけど……急な門前払いに私は途方に暮れた。なぜなのか。何故、何も売ってもらえないのか。
困ったな。町や村の人から数件注文が入っているのに。一般販売のストックも足りなくなってるのに。薬は材料がなければ作れない。
ここがダメならよそに…と思ったけど、王都中のお店で門前払いを受けた。
これはいよいよおかしいぞ。微妙な気分で村近くの町の問屋にダメ元で行くと、そこでもやっぱり拒絶された。渋い顔をして店の前に立っていると、町の薬屋の店主に声を掛けられた。
「あんた一体何したんだい? この間役人みたいな男たちがここに入ってきて、あんたには売るなって圧力かけてたよ」
「…役人……?」
彼から言われた言葉に私は困惑する。
ここに来るまで、何件ものお店に門前払いを受けた。特に問題を起こしたわけでもないのに。はじめて入ったお店でも慌てた様子で追い出されたし……そういえば最近、大口の仕事がなくなったような……
これまでのことを考えていた私は1つの可能性を思いついた。
「あー…なるほど」
私が魔術師として働けないように圧力かけられているんだ。私は薬販売を生業としている。それには材料がなければ商売ができなくなる。…だからか。
──こんな事したのは、色々イヤミを飛ばしてきたあの役人? それとも私を気に入らないという貴族の仕業かな。
魔力至上主義な人たちは、魔力に恵まれた貴族血筋の私をうまく動かしたいのだろうが……私はこんな事で挫けるほど神経細くないぞ。大人のくせに子どもみたいな嫌がらせをよくも思いつくよなぁ…。
恐らく、圧力をかけたのは魔法庁の息がかかる範囲だけ。私に仕事の依頼をするなと命令したとしても、一般市民には関係ないことだろう。
困っている人は私に助けを求めてくる。それに私は魔術師として、仕事を放棄するわけにはいかないのだ。
そんなわけで、ちょっと材料採集のために還らずの森ついでにフォルクヴァルツに里帰りをしてくる、とみんなに告げた。
向こうならエスメラルダ魔法庁の息はかからない。頼めば薬草を融通してくれるであろうから。
テオが寂しがって渋っていたが、私からキスしてお願いすると、尻尾ブンブン振りながら渋々納得したのでちょろいものである。出かける前に念入りに項を噛まれてじんじんするが、あいつの独占欲は半端ないから仕方ない。
■□■
「ガウ」
「そっちにある?」
ジーンの野太い声に引き寄せられて私は還らずの森を散策していた。普段は還らずの森で同じ狼の群れと共に過ごしているメイとジーンにとってここは、庭のような場所。薬草の匂いを嗅がせたらすぐに場所を特定してくれる。私はそうして順調に薬草を採取していった。
メイとジーンにはお礼に鹿を捕まえて振る舞った。彼らはとても喜んでいた。量が量なので奪い合いもせずに、ゆっくりと味わっていた。
相変わらず還らずの森は薬草の宝庫である。人が踏み荒らさないからであろう。私はホクホクしながら薬草の整理をした。問屋で購入すれば高額になるであろう素材を見下ろして私はひとりでニヤニヤ笑っていた。
毎回還らずの森に入るのは大変なので、その辺の薬問屋を頼ってきたが、使えないなら使えないで方法はある。
その場合、エスメラルダにはお金が流れず、他国に流れてしまうからなるべく避けたかったが、ものを売れないと言われたのだから仕方がない。出かける前に父上宛で伝書鳩を飛ばしているので多分準備を進めてくれているはず。材料さえ手に入ればこっちのもんである。
還らずの森で単身行動して、たらふく魔獣を食べてきたというルルの背中に乗って空を飛んでいく。そのまま寄り道せずにフォルクヴァルツ城へと降り立つと、執事やメイドたちに出迎えられた。
「おかえりなさいませ、アステリア様」
「お嬢様、お疲れでしょう。まずは旅の埃を落としましょう」
あ、いかん。それ全身ツルツルコースじゃない。
「ち、父上に挨拶してきますね」
「あっお嬢様!」
メイドの言葉に嫌な予感を覚えた私は適当な理由をつけてその手から逃れると、そのまま父のもとに顔を出すことにした。
執務室の扉を叩くと鈍くて重い音がする。馬の毛を使ったこの扉には防音効果があるらしいが、ノックの音は室内に届くのだろうか。
「──誰だ」
「アステリアです、父上」
「入りなさい」
中から応答の声が返ってきた。前もって帰省の連絡をしていたので、デスクに座って執務をしていた父上はにっこりと笑って「おかえり、アステリア」と出迎えてくれた。
「只今戻りました。…申し訳ありません父上、急なお願いをしてしまって」
「それは構わないのだが……何かあったのか? エスメラルダでは卸値の高騰でも…?」
父上の問いに、私は沈黙した。
本当のことを言ったら、彼は怒ってエスメラルダに抗議しそうだよなぁって。若干それが面倒くさいと言うか。だけど黙っていて、それがバレたときも面倒くさいよなぁ……
私が何も言わないのを父上は訝しんでいる。…駄目だな今の時点で「そうです」と言っても不自然なだけだ。言おう。
「実は…」
私がエスメラルダの魔法庁で言われたこと、自営業継続申請却下されたこと、国中の薬問屋を利用できないこと、貴族や商家からの依頼が地味に減ったことで仕事がしにくくなったのだと説明すると、父上はすぐに察してくれた。
「私は平民身分ですから、どうしてもそういう扱いを受けやすいと言うか」
学生時代もそういうのあったし、こういう風になるとわかっていたから組織に入らなかったのだし…そういうのに若干慣れてしまって投げやりになっている。面倒なので事を荒げたくなかった。
だが、目の前の父は万年筆が折れそうなくらいギュムッと手を握りしめて怒りに震えていた。
「……アステリア…君が望むなら、薬草の融通はいくらでもはかるよ。…このような、屈辱的なことをよくぞ話してくれた…」
彼の声は怒りが滲んでいた。父から魔力が放出されて肌がビリビリする。
…私が怒られてるみたいでなんかヤダ。
「君が望むからあちらの方に籍を戻すのを私達は止めなかったが、向こうの国がそういう態度をとるなら…分かるね?」
「あー…」
私は気の抜けた声を漏らすしか出来ない。
「心配することはない。ただシュバルツ王国側の魔術師として籍を移すだけ。そうすれば私達の庇護を与えることが出来る。君は何の憂いもなく魔術師として活動が出来るんだ。君の恋人やあちらの家族と引き離すことは一切ない」
ほらね、こうなるんだもん。こうなると思ったから言うの渋ったんだよ。
「フォルクヴァルツの娘を道具のように利用して窮地に陥れようとするとは…」
「いや、窮地とまでは」
訂正しようと思ったが、聞いちゃいない。
父上はフォルクヴァルツ辺境伯として、娘が蔑ろにされているのを怒っているのだろう。貴族として引けない部分があるんだろうね。
私は別に放逐されて平民に戻ったわけじゃないが、エスメラルダの彼らにとっては放逐された娘も同然なのだろう。だからこんな真似をしはじめた。
本当に面倒くさい。
私に普通に魔術師として仕事をさせてほしい。ただそれだけなのに。
「この事をエスメラルダの王太子殿下には伝えたのか?」
「いえ、まだ」
ひとまず先に目の前の仕事を片付けてからでいいかなと思って、通報せずに放置していた。彼も忙しい身分なのでいちいち頼っていられないなと思って。
しかし目の前の父にはそんな事関係ないらしい。ニッコリと笑うその顔は別の意味で楽しそうであった。
「アステリアの貴族嫌い、組織嫌いは彼の監督不届きのせいか。直轄組織の掌握も出来ないままアステリアに縁談やら勧誘話を持ちかけてきたのか」
「あの、父上…エスメラルダの王太子殿下が悪いわけじゃ」
そこそこ恩がある相手なので、あまり騒ぎ立てないで欲しいと思って私は止めたのだが、父上の考えは違った。
「同じことだよ、部下の失礼は上司の責任。それが上につくものの責任というものだ。それが王族、そして貴族としての責務なんだよ」
そう言われたら私も何も言えなかった。
嫌がらせを受けていると本当の事を言ってよかったのか、言わなきゃよかったのか。私は頭を抱えたくなったのである。
なんだろうと思ったら、先日申請した個人事業継続の許可申請【却下】のお知らせであった。
理由は書類不備。私はそれに顔をしかめた。
…間違えるようなことあったかな? 窓口の役人も2人くらいが確認して申請を受け付けていたし……。
首を傾げながら王都の魔法庁へ向かって再申請を行おうとしたら、なぜか職員から「受付できません」と拒否された。それはなぜかと聞こうとすれば、窓口を目の前で閉められてしまった。閉庁時間でもないし、お昼休みでもないのに。
魔法庁内の空気は異様だった。こっちを伺うような視線を送るくせに誰一人として目を合わせようとしないのだ。
…意味がわからないが受付できないと言うなら粘ったって無駄だ。まだ有効期限まで日にちがあるので、過ぎた後また考えようと魔法庁を後にする。
このまま帰るのもなんなので、以前よく利用していた王都の問屋に久々に顔を出すと、店主から面と向かって「あんたにはなにも売れない」と言われる。
意味がわからずぽかんとしてると、店主は気まずそうな顔をして私から視線を反らしていた。
「悪く思わないでくれよ」
別にこの問屋で買掛金未払いとか無茶難題を言って困らせたことは無いはずなんだけど……急な門前払いに私は途方に暮れた。なぜなのか。何故、何も売ってもらえないのか。
困ったな。町や村の人から数件注文が入っているのに。一般販売のストックも足りなくなってるのに。薬は材料がなければ作れない。
ここがダメならよそに…と思ったけど、王都中のお店で門前払いを受けた。
これはいよいよおかしいぞ。微妙な気分で村近くの町の問屋にダメ元で行くと、そこでもやっぱり拒絶された。渋い顔をして店の前に立っていると、町の薬屋の店主に声を掛けられた。
「あんた一体何したんだい? この間役人みたいな男たちがここに入ってきて、あんたには売るなって圧力かけてたよ」
「…役人……?」
彼から言われた言葉に私は困惑する。
ここに来るまで、何件ものお店に門前払いを受けた。特に問題を起こしたわけでもないのに。はじめて入ったお店でも慌てた様子で追い出されたし……そういえば最近、大口の仕事がなくなったような……
これまでのことを考えていた私は1つの可能性を思いついた。
「あー…なるほど」
私が魔術師として働けないように圧力かけられているんだ。私は薬販売を生業としている。それには材料がなければ商売ができなくなる。…だからか。
──こんな事したのは、色々イヤミを飛ばしてきたあの役人? それとも私を気に入らないという貴族の仕業かな。
魔力至上主義な人たちは、魔力に恵まれた貴族血筋の私をうまく動かしたいのだろうが……私はこんな事で挫けるほど神経細くないぞ。大人のくせに子どもみたいな嫌がらせをよくも思いつくよなぁ…。
恐らく、圧力をかけたのは魔法庁の息がかかる範囲だけ。私に仕事の依頼をするなと命令したとしても、一般市民には関係ないことだろう。
困っている人は私に助けを求めてくる。それに私は魔術師として、仕事を放棄するわけにはいかないのだ。
そんなわけで、ちょっと材料採集のために還らずの森ついでにフォルクヴァルツに里帰りをしてくる、とみんなに告げた。
向こうならエスメラルダ魔法庁の息はかからない。頼めば薬草を融通してくれるであろうから。
テオが寂しがって渋っていたが、私からキスしてお願いすると、尻尾ブンブン振りながら渋々納得したのでちょろいものである。出かける前に念入りに項を噛まれてじんじんするが、あいつの独占欲は半端ないから仕方ない。
■□■
「ガウ」
「そっちにある?」
ジーンの野太い声に引き寄せられて私は還らずの森を散策していた。普段は還らずの森で同じ狼の群れと共に過ごしているメイとジーンにとってここは、庭のような場所。薬草の匂いを嗅がせたらすぐに場所を特定してくれる。私はそうして順調に薬草を採取していった。
メイとジーンにはお礼に鹿を捕まえて振る舞った。彼らはとても喜んでいた。量が量なので奪い合いもせずに、ゆっくりと味わっていた。
相変わらず還らずの森は薬草の宝庫である。人が踏み荒らさないからであろう。私はホクホクしながら薬草の整理をした。問屋で購入すれば高額になるであろう素材を見下ろして私はひとりでニヤニヤ笑っていた。
毎回還らずの森に入るのは大変なので、その辺の薬問屋を頼ってきたが、使えないなら使えないで方法はある。
その場合、エスメラルダにはお金が流れず、他国に流れてしまうからなるべく避けたかったが、ものを売れないと言われたのだから仕方がない。出かける前に父上宛で伝書鳩を飛ばしているので多分準備を進めてくれているはず。材料さえ手に入ればこっちのもんである。
還らずの森で単身行動して、たらふく魔獣を食べてきたというルルの背中に乗って空を飛んでいく。そのまま寄り道せずにフォルクヴァルツ城へと降り立つと、執事やメイドたちに出迎えられた。
「おかえりなさいませ、アステリア様」
「お嬢様、お疲れでしょう。まずは旅の埃を落としましょう」
あ、いかん。それ全身ツルツルコースじゃない。
「ち、父上に挨拶してきますね」
「あっお嬢様!」
メイドの言葉に嫌な予感を覚えた私は適当な理由をつけてその手から逃れると、そのまま父のもとに顔を出すことにした。
執務室の扉を叩くと鈍くて重い音がする。馬の毛を使ったこの扉には防音効果があるらしいが、ノックの音は室内に届くのだろうか。
「──誰だ」
「アステリアです、父上」
「入りなさい」
中から応答の声が返ってきた。前もって帰省の連絡をしていたので、デスクに座って執務をしていた父上はにっこりと笑って「おかえり、アステリア」と出迎えてくれた。
「只今戻りました。…申し訳ありません父上、急なお願いをしてしまって」
「それは構わないのだが……何かあったのか? エスメラルダでは卸値の高騰でも…?」
父上の問いに、私は沈黙した。
本当のことを言ったら、彼は怒ってエスメラルダに抗議しそうだよなぁって。若干それが面倒くさいと言うか。だけど黙っていて、それがバレたときも面倒くさいよなぁ……
私が何も言わないのを父上は訝しんでいる。…駄目だな今の時点で「そうです」と言っても不自然なだけだ。言おう。
「実は…」
私がエスメラルダの魔法庁で言われたこと、自営業継続申請却下されたこと、国中の薬問屋を利用できないこと、貴族や商家からの依頼が地味に減ったことで仕事がしにくくなったのだと説明すると、父上はすぐに察してくれた。
「私は平民身分ですから、どうしてもそういう扱いを受けやすいと言うか」
学生時代もそういうのあったし、こういう風になるとわかっていたから組織に入らなかったのだし…そういうのに若干慣れてしまって投げやりになっている。面倒なので事を荒げたくなかった。
だが、目の前の父は万年筆が折れそうなくらいギュムッと手を握りしめて怒りに震えていた。
「……アステリア…君が望むなら、薬草の融通はいくらでもはかるよ。…このような、屈辱的なことをよくぞ話してくれた…」
彼の声は怒りが滲んでいた。父から魔力が放出されて肌がビリビリする。
…私が怒られてるみたいでなんかヤダ。
「君が望むからあちらの方に籍を戻すのを私達は止めなかったが、向こうの国がそういう態度をとるなら…分かるね?」
「あー…」
私は気の抜けた声を漏らすしか出来ない。
「心配することはない。ただシュバルツ王国側の魔術師として籍を移すだけ。そうすれば私達の庇護を与えることが出来る。君は何の憂いもなく魔術師として活動が出来るんだ。君の恋人やあちらの家族と引き離すことは一切ない」
ほらね、こうなるんだもん。こうなると思ったから言うの渋ったんだよ。
「フォルクヴァルツの娘を道具のように利用して窮地に陥れようとするとは…」
「いや、窮地とまでは」
訂正しようと思ったが、聞いちゃいない。
父上はフォルクヴァルツ辺境伯として、娘が蔑ろにされているのを怒っているのだろう。貴族として引けない部分があるんだろうね。
私は別に放逐されて平民に戻ったわけじゃないが、エスメラルダの彼らにとっては放逐された娘も同然なのだろう。だからこんな真似をしはじめた。
本当に面倒くさい。
私に普通に魔術師として仕事をさせてほしい。ただそれだけなのに。
「この事をエスメラルダの王太子殿下には伝えたのか?」
「いえ、まだ」
ひとまず先に目の前の仕事を片付けてからでいいかなと思って、通報せずに放置していた。彼も忙しい身分なのでいちいち頼っていられないなと思って。
しかし目の前の父にはそんな事関係ないらしい。ニッコリと笑うその顔は別の意味で楽しそうであった。
「アステリアの貴族嫌い、組織嫌いは彼の監督不届きのせいか。直轄組織の掌握も出来ないままアステリアに縁談やら勧誘話を持ちかけてきたのか」
「あの、父上…エスメラルダの王太子殿下が悪いわけじゃ」
そこそこ恩がある相手なので、あまり騒ぎ立てないで欲しいと思って私は止めたのだが、父上の考えは違った。
「同じことだよ、部下の失礼は上司の責任。それが上につくものの責任というものだ。それが王族、そして貴族としての責務なんだよ」
そう言われたら私も何も言えなかった。
嫌がらせを受けていると本当の事を言ってよかったのか、言わなきゃよかったのか。私は頭を抱えたくなったのである。
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