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Day‘s Eye 魔術師になったデイジー
獣人村の婚活祭り
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仮面祭、通称【獣人の婚活パーティー】
数年に一度行われるこの祭りには他の集落から多くの獣人が集まってくる。祭りの参加資格は未婚の若い男女である。祭り開催中は子どもや既婚者、年寄りは入ってこない。完全に若い人たちのお見合いパーティ状態になるのだ。
参加者はみんな模様の違う仮面を付けて参加するしきたりである。
よもや私がそこに参加するとは思わなんだ……。今回は参加したがっているカンナの引率で来てるんだけどさ。
私は悪目立ちせぬよう、以前着用していた簡易なワンピースを身に着けていた。ドレスで参加したら変に目立っちゃうからね。久々に楽な格好で外を歩ける開放感に私はホッと息を吐き出した。
「マーシアさんも来れたら良かったのにね」
精いっぱいのおめかしをしたらしいカンナが目をキラキラさせて、お祭りに集まった男女を眺めている。
「就職したてで休めないんだよ。きっと」
マーシアさんに婚活パーティに興味があるかと聞いたら多分無いと答えるだろうだけど、できるなら今回の帰省で会えればよかったなと私も思う。
しかし、就職したての彼女の部署は多忙だと聞く。魔法犯罪を取り締まるために日夜暗躍してる部署なので、夜中に呼び出しを受けて出動することもあるそうだ。
──私が自由に動ける機会はもうないだろう。マーシアさんにはもう会えないかもしれないな……
自分のしょぼくれた顔を隠すように仮面を付けた。
みんなそれぞれ個性的なお面を付けている。気になる人がいたら積極的に声を書ける人、恥ずかしがって隅っこの方でもじもじしている人、友達と一緒に異性を選別する人、会場内には色んな獣人達がいる。
私は無意識のうちにその中にアイツがいるのか探していた。暗闇でも目立つ白銀色がいないと分かると、肩を落とした。
……がっかりしている自分に驚いた。なんで私がっかりしているのかなって…
「ねぇねぇデイジー。暗がりで女の子の首根っこに咬み付く人いたけど、あれが番の儀式?」
カンナが興奮した様子で暗がりを指差している。人間社会で育ったカンナにはこの村で見るものすべて新鮮に映るのであろうな。
「まぁ形式だけどね」
獣人男性が女性の項を噛んでいるのは首が急所であるということから、この雌は自分のものだという印付けと、この雄に身を捧げます的な意味があるとかなんとか…。人間である私達にはまず関係のない話である。
「裏切り者には制裁とかないの?」
「社会的信用を失うくらいじゃない?」
滅多なことがなければ、獣人は番と誓った相手を裏切らないと聞く。……運命の番と出会って家族を捨てたルルの父親のような個体は稀である。彼の場合は獣人ではないが。
それに裏切ったからと言っても呪いにかかるわけでもなし、ただ村八分になる程度であろう。死ぬわけじゃない。
「わぁ見て! ダンスしてる!」
カンナは先程から興奮しっぱなしである。カンナはこういうのが好きなんだな。残念ながら、獣人の中では私達人間は異物なのでダンスには誘われないだろうが。
手を取り合って踊る男女を見て、素敵素敵わぁわぁと騒ぐカンナを見ていたら、踊らずに終わるのは哀れだと感じた。
暗い広場を松明明かりが赤く照らしている。若い男女がその明かりの下で出会いを果たし、自分の番候補を探している。私はそれらから目をそらすと、テーブルに目を留める。
おつまみ程度のお料理が並んでいるテーブルには花瓶に花が生けられていた。腕を伸ばしてそこから一輪、花を拝借した。
広場の中央で踊る男女をうっとりと眺めているカンナに近づくと、そっと彼女に花を差し出した。そして胸に手をやって気障な仕草でお辞儀をしてみせる。
「私と踊りませんか? お嬢さん」
カンナは目を丸くして固まっていた。だけどすぐににぱっと満面の笑顔になると、私の手から花を受け取っていた。
「踊れるの?」
「簡単になら」
令嬢教育としてダンスの授業もあった。つまり女性パートの逆を踊ればいいだけである。なんとかなるだろう。
私はカンナの手を取って、ダンスフロア代わりの広場中央にいざなう。そして彼女の体に腕を回し、誘導するかのようにステップを踏んだ。
男性パートは周りに目を配りながら女性をリードしなければならない。そして華である女性を引き立たせることが重要だ。それが出来て一人前の紳士だとダンスの先生(ダンスの先生はギルダではなく男性の講師だった)が言っていた。
私は女だしそれ関係ないよね、と思っていたけどこんなところで役に立ったぞ。
カンナは私よりも小柄だ。それにカンナは素直なので私の誘導にあっさり付いてきてくれた。仮面の目の部分から見えるカンナの瞳は、明かりに照らされてキラキラして見えた。
彼女の背中を支えながら、方向指示すると、誰もいないスペースに向かってくるんくるんとカンナと共に2回転ターンをお見舞いした。ふわりと私とカンナのスカートが揺れて舞い上がる。
「デイジー、エスコート上手!」
それが楽しかったようで、カンナがきゃらきゃらと笑っている。楽しんでくれたなら良かった。
「──次は私と踊ろう」
カンナとつないでいた手を別の人間からほどかれた。
「えっ」
ひんやりと冷たく、大きな手。ペンだこがあるその手は獣人の村には似つかわない手だ。誰だ!? と相手の顔を見上げると、そこには仮面を付けた黒髪の男性の姿。
「実は君の社交界デビューのエスコートを夢見ていたんだよ」
父上よりも先にその栄光を勝ち取れたよ、と笑うディーデリヒさん。あれ、来るとか聞いていない…。彼も未婚の若い男性だから参加しても咎められはしないだろうが、彼には婚約者がいるのにいいのだろうか……
ディーデリヒさんは実の両親である辺境伯と違って、一歩下がった状態で私と接してくる。私を品定めするような視線を感じることもあるが……恐らく、悪い人ではないと思う。
私は続けて実兄である彼と踊った。今日の私は町娘仕様の地味なワンピース姿なので、いかにも貴族子息な服装の彼相手じゃアンバランスに映って見えるはずだ。
「……村に戻ると、君に表情が戻ったな」
踊りながら話しかけられた私は彼の顔を見上げた。仮面から覗く彼の瞳はどこか同情の色が窺えた。
「……アステリア、辛いだろうが、ずっとここには居られない」
「…わかっています」
そんなのわかっている。
私はもう村娘に戻れないのだ。
「少しずつでいい。両親とも歩み寄ってみてくれないか。彼らも非道ではない。話せば譲歩してくれるはずだ」
最後にそう言うと、ディーデリヒさんは手を離した。先程まで楽しかった気持ちがしぼんで、私は沈んだ気持ちに襲われてしまった。
「カンナ嬢、よければ私とも踊らないか?」
「えぇ、いいんですかぁ!? やだぁ貴族様と踊れるなんて夢みたぁい!」
その後ディーデリヒさんはカンナのダンス相手をしていた。きゃあきゃあはしゃいでいたカンナは彼の足を踏んで「ごめんなさーい!」と騒いでいた。
カンナの姿を見ていたら少しだけ気持ちが浮上できた気がする。
パーティは始まって間もないが、周りを見てみると、あちこちでカップルが成立しているように見える。
今年は結婚式ラッシュが来るかもしれないな……
「デイジー」
ボーッとダンスに乗じている男女を眺めていると、声を掛けられた。私はビックリして肩を揺らしてしまった。
その声は幼馴染の一人の声だ。振り返るとそこには金色の髪を持つ猫獣人のミアの姿があった。
「ミア」
「私、テオが好きなの」
急な告白に私は頭が真っ白になった。
うん、知ってたけど、言う相手間違ってない? 私テオじゃないんだよ?
私が固まっているのを知ってか知らずか、ミアはお腹の前で握りしめていた手にぐっと力を込めていた。
「私、今晩告白するわ。私を番にしてってお願いするつもり」
「そ、そうなんだ…えっと…頑張って…」
何故私に決意表明しに来るのか。別に私に言っても告白成功率は変わらないよ?
私の反応に不安に感じたのか、ミアは表情を曇らせていた。
「いいの? 本当に」
「……いいよ」
そんな事言われても困る。
だって私は獣人じゃないもの。
私は生きる世界が違うのだもの。
数年に一度行われるこの祭りには他の集落から多くの獣人が集まってくる。祭りの参加資格は未婚の若い男女である。祭り開催中は子どもや既婚者、年寄りは入ってこない。完全に若い人たちのお見合いパーティ状態になるのだ。
参加者はみんな模様の違う仮面を付けて参加するしきたりである。
よもや私がそこに参加するとは思わなんだ……。今回は参加したがっているカンナの引率で来てるんだけどさ。
私は悪目立ちせぬよう、以前着用していた簡易なワンピースを身に着けていた。ドレスで参加したら変に目立っちゃうからね。久々に楽な格好で外を歩ける開放感に私はホッと息を吐き出した。
「マーシアさんも来れたら良かったのにね」
精いっぱいのおめかしをしたらしいカンナが目をキラキラさせて、お祭りに集まった男女を眺めている。
「就職したてで休めないんだよ。きっと」
マーシアさんに婚活パーティに興味があるかと聞いたら多分無いと答えるだろうだけど、できるなら今回の帰省で会えればよかったなと私も思う。
しかし、就職したての彼女の部署は多忙だと聞く。魔法犯罪を取り締まるために日夜暗躍してる部署なので、夜中に呼び出しを受けて出動することもあるそうだ。
──私が自由に動ける機会はもうないだろう。マーシアさんにはもう会えないかもしれないな……
自分のしょぼくれた顔を隠すように仮面を付けた。
みんなそれぞれ個性的なお面を付けている。気になる人がいたら積極的に声を書ける人、恥ずかしがって隅っこの方でもじもじしている人、友達と一緒に異性を選別する人、会場内には色んな獣人達がいる。
私は無意識のうちにその中にアイツがいるのか探していた。暗闇でも目立つ白銀色がいないと分かると、肩を落とした。
……がっかりしている自分に驚いた。なんで私がっかりしているのかなって…
「ねぇねぇデイジー。暗がりで女の子の首根っこに咬み付く人いたけど、あれが番の儀式?」
カンナが興奮した様子で暗がりを指差している。人間社会で育ったカンナにはこの村で見るものすべて新鮮に映るのであろうな。
「まぁ形式だけどね」
獣人男性が女性の項を噛んでいるのは首が急所であるということから、この雌は自分のものだという印付けと、この雄に身を捧げます的な意味があるとかなんとか…。人間である私達にはまず関係のない話である。
「裏切り者には制裁とかないの?」
「社会的信用を失うくらいじゃない?」
滅多なことがなければ、獣人は番と誓った相手を裏切らないと聞く。……運命の番と出会って家族を捨てたルルの父親のような個体は稀である。彼の場合は獣人ではないが。
それに裏切ったからと言っても呪いにかかるわけでもなし、ただ村八分になる程度であろう。死ぬわけじゃない。
「わぁ見て! ダンスしてる!」
カンナは先程から興奮しっぱなしである。カンナはこういうのが好きなんだな。残念ながら、獣人の中では私達人間は異物なのでダンスには誘われないだろうが。
手を取り合って踊る男女を見て、素敵素敵わぁわぁと騒ぐカンナを見ていたら、踊らずに終わるのは哀れだと感じた。
暗い広場を松明明かりが赤く照らしている。若い男女がその明かりの下で出会いを果たし、自分の番候補を探している。私はそれらから目をそらすと、テーブルに目を留める。
おつまみ程度のお料理が並んでいるテーブルには花瓶に花が生けられていた。腕を伸ばしてそこから一輪、花を拝借した。
広場の中央で踊る男女をうっとりと眺めているカンナに近づくと、そっと彼女に花を差し出した。そして胸に手をやって気障な仕草でお辞儀をしてみせる。
「私と踊りませんか? お嬢さん」
カンナは目を丸くして固まっていた。だけどすぐににぱっと満面の笑顔になると、私の手から花を受け取っていた。
「踊れるの?」
「簡単になら」
令嬢教育としてダンスの授業もあった。つまり女性パートの逆を踊ればいいだけである。なんとかなるだろう。
私はカンナの手を取って、ダンスフロア代わりの広場中央にいざなう。そして彼女の体に腕を回し、誘導するかのようにステップを踏んだ。
男性パートは周りに目を配りながら女性をリードしなければならない。そして華である女性を引き立たせることが重要だ。それが出来て一人前の紳士だとダンスの先生(ダンスの先生はギルダではなく男性の講師だった)が言っていた。
私は女だしそれ関係ないよね、と思っていたけどこんなところで役に立ったぞ。
カンナは私よりも小柄だ。それにカンナは素直なので私の誘導にあっさり付いてきてくれた。仮面の目の部分から見えるカンナの瞳は、明かりに照らされてキラキラして見えた。
彼女の背中を支えながら、方向指示すると、誰もいないスペースに向かってくるんくるんとカンナと共に2回転ターンをお見舞いした。ふわりと私とカンナのスカートが揺れて舞い上がる。
「デイジー、エスコート上手!」
それが楽しかったようで、カンナがきゃらきゃらと笑っている。楽しんでくれたなら良かった。
「──次は私と踊ろう」
カンナとつないでいた手を別の人間からほどかれた。
「えっ」
ひんやりと冷たく、大きな手。ペンだこがあるその手は獣人の村には似つかわない手だ。誰だ!? と相手の顔を見上げると、そこには仮面を付けた黒髪の男性の姿。
「実は君の社交界デビューのエスコートを夢見ていたんだよ」
父上よりも先にその栄光を勝ち取れたよ、と笑うディーデリヒさん。あれ、来るとか聞いていない…。彼も未婚の若い男性だから参加しても咎められはしないだろうが、彼には婚約者がいるのにいいのだろうか……
ディーデリヒさんは実の両親である辺境伯と違って、一歩下がった状態で私と接してくる。私を品定めするような視線を感じることもあるが……恐らく、悪い人ではないと思う。
私は続けて実兄である彼と踊った。今日の私は町娘仕様の地味なワンピース姿なので、いかにも貴族子息な服装の彼相手じゃアンバランスに映って見えるはずだ。
「……村に戻ると、君に表情が戻ったな」
踊りながら話しかけられた私は彼の顔を見上げた。仮面から覗く彼の瞳はどこか同情の色が窺えた。
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最後にそう言うと、ディーデリヒさんは手を離した。先程まで楽しかった気持ちがしぼんで、私は沈んだ気持ちに襲われてしまった。
「カンナ嬢、よければ私とも踊らないか?」
「えぇ、いいんですかぁ!? やだぁ貴族様と踊れるなんて夢みたぁい!」
その後ディーデリヒさんはカンナのダンス相手をしていた。きゃあきゃあはしゃいでいたカンナは彼の足を踏んで「ごめんなさーい!」と騒いでいた。
カンナの姿を見ていたら少しだけ気持ちが浮上できた気がする。
パーティは始まって間もないが、周りを見てみると、あちこちでカップルが成立しているように見える。
今年は結婚式ラッシュが来るかもしれないな……
「デイジー」
ボーッとダンスに乗じている男女を眺めていると、声を掛けられた。私はビックリして肩を揺らしてしまった。
その声は幼馴染の一人の声だ。振り返るとそこには金色の髪を持つ猫獣人のミアの姿があった。
「ミア」
「私、テオが好きなの」
急な告白に私は頭が真っ白になった。
うん、知ってたけど、言う相手間違ってない? 私テオじゃないんだよ?
私が固まっているのを知ってか知らずか、ミアはお腹の前で握りしめていた手にぐっと力を込めていた。
「私、今晩告白するわ。私を番にしてってお願いするつもり」
「そ、そうなんだ…えっと…頑張って…」
何故私に決意表明しに来るのか。別に私に言っても告白成功率は変わらないよ?
私の反応に不安に感じたのか、ミアは表情を曇らせていた。
「いいの? 本当に」
「……いいよ」
そんな事言われても困る。
だって私は獣人じゃないもの。
私は生きる世界が違うのだもの。
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