上 下
252 / 312
番外編

攻略対象の風紀副委員長に拾われたけど、柴犬ってなにしたらいいの? りたーんず!【前編】

しおりを挟む

 ──ガチャリ
 私の可憐な三角形の耳に、玄関のドアが開かれた音が入ってきた。

「ただいま」

 お母さんだ!
 私は犬用ソファから飛び降りてお出迎えに走った。玄関では靴を脱ぐお母さんの姿。私は飛び跳ねておかえりの気持ちを表現した。
 お母さんはここ最近泊まり込みでのお仕事が多かった。職場の仮眠室に泊まって、大きな案件を片付けていたそうだから久々の帰宅なのだ。
 私はお母さんが帰ってきたのが嬉しくて熱烈歓迎したが、なんだかお母さんの顔色が悪い。…大分、お疲れのようだ。

 彼女は小さく「あやめちゃん、ただいま」とつぶやくと、私の横を通り過ぎていった。
 現在の時刻は正午すぎ。パパ上はお仕事、ご主人とお兄さんは学校、そしてお祖父ちゃんは老人会の集まりで、お祖母ちゃんは昔からのお友達と遊びに出かけている。
 つまり、家にいるのはお母さんと私だけになる。

 …これは、私がお母さんをお世話してあげなくては!!

 使命感に燃えた私はスタートダッシュを掛けた。
 私はソファに座ってぐったりしているお母さんの隣に登っていき、ごろんとお腹を見せた。パパ上も保健の先生も私をモフったら元気になるんだ。だからお母さんも私をモフればきっと元気になれる!
 そう私は確信を持っていた。

「ふふ、撫でてほしいの?」

 お母さんはいつもの優しい笑みを浮かべて、私のお腹を撫でてきた。私の元気をお母さんに分けてあげるよ。
 ナデナデとお腹を撫でられていた私はお母さんの温かい手のひらに安心しきっていたのだが、その手はどんどん動きが鈍くなり…
 ナデナデが気持ち良くて閉じていた瞳をパチッと開けると、お母さんはソファに背中を委ねて眠っていた。その目元には隈ができており、息をしているか疑ってしまうくらい静かに寝息を立てていた。
 私はお母さんの手の下からそっと抜け出すと、周りを見渡した。
 今の時期は夏だ。今日は今年最高の暑さが予想されていたので、橘家のリビングは現在冷房を効かせている。私が犬で体温調節できないから冷房を入れっぱなしにしてくれているの。それでも一応エコ温度なのだが、このままでは寝冷えしてしまうってものだ。せめてお腹だけでもなにか掛けるものをと捜索に出かけた私。

 お風呂場横の洗面所にはタオルがかかっているが、小さすぎる。バスタオル類は高い棚に収納されている。いくら私がジャンプしようと届くわけがない。
 お祖父ちゃんお祖母ちゃんの部屋は扉がしっかり閉まっていて開けられない。リビングには敷物が敷かれているが、これでは流石にあんまりである。
 続いて私は2階へと階段を登って向かった。お母さんのお部屋開いていないかなと思って扉を鼻で押すと、キィ…と扉がゆっくりと動いた。やったね。運がいい。
 私はジャンプしてお母さんのベッドの上に乗ると、綺麗に畳まれた薄手のタオルケットに噛み付いてそれを引きずり下ろした。ボテッと着地に失敗したけど、タオルケットがクッションになっているから痛くはなかった。
 問題はここからである。そう、今しがた登ってきた階段である。下手したら階下まで滑り台みたいに転げ落ちるパターンである。

 こんな時子犬の身体が憎くなる。もしも成犬だったらもっと力があるだろうし…もしも私が人間なら…
 しょん…と落ち込んでしまいそうになったが、今は落ち込んでいる場合ではない。お母さんのポンポンを守るために私はタオルケットを一階まで届けなければいけないのだ!
 そう覚悟を決めたなら後はなすがままよ!
 私はタオルケットを咥えると、慎重に階段を降り始めた。だが予想以上に作業は難航した。なんたって自分の体よりも遥かに大きなタオルケット。薄手といえど、可憐な子柴犬の私には大荷物である。
 だが私は諦めなかった。一歩一歩、しっかりとした足取りでタオルケットを階下へと運んでいた。…事件が起きたのはその時だった。

 ずりっと階段を踏み外した私はバランスを崩したのだ。

「ワウッ!?」
 
 タオルケットを口に咥えたまま、私は階段を転げ落ちたのだ。階段に叩きつけられるのを覚悟して、ギュッと目をつぶっていた私。

「あやめっ!?」

 ──ポスっと軽い音を立てて激突したのは冷たい床ではない。階段でもない。…この感触は毎日ぐりぐりするあの…

「バカ! 危ないだろう何してるんだ!」
「キュヒーン…」

 ご主人の胸である。ナイスキャッチありがとうございます。
 あれ、まだお昼だけどもう帰ってきたの? 今日早いね、テストか何かだったの? 私は思ったよりもご主人が早く帰ってきたことが嬉しくて尻尾をパタパタ揺らした。
 だけどご主人はお怒り気味だ。私は怒られた。私はただお母さんのポンポンを守るためにお布団を持ってきただけなのに…ご主人に叱責されながらしょぼんとしていると、リビングにつながる扉がゆっくり開かれた。
 
「…亮介? おかえりなさい。今日は早いのね」
「母さん。帰ってきていたのか?」

 眠たそうに目をこすっているお母さん。今の騒ぎで(騒いだのはご主人だけど)起きてしまったようだ。彼女はご主人と私の足元に落ちているタオルケットを見て目を瞬かせると、苦笑いをしていた。

「あら…あやめちゃん、お布団持ってきてくれたの? でも危ないからそんな事しなくてもいいのよ?」
「キュフ…」
「寝るならお布団で寝なきゃね。…ちょっと休ませてもらうわね」
「あ、あぁ…おやすみ」

 私がグシャグシャにさせてしまったタオルケットを拾い上げると、お母さんはゆっくり階段を登り始めた。私は彼女のことが心配になってその後を追いかけようとしたのだが、ガシッと腹回りを掴まれてご主人に捕獲されてしまった。 

「キャワン!」
「いいかあやめ、もしも階段から落ちていたら骨折していたかもしれないんだぞ。お前は猫じゃないんだ。高いところから落下して必ずしも着地できるわけじゃないんだ」
「キャウ!」

 知っているよ私は柴犬だもん! だって仕方がないじゃないの、私の可憐な姿ではタオルケットを運ぶのは大変困難を極めるのよ、お母さんのポンポンを守るためにしたことなのよ! もっと褒めてよ! 私は褒められて伸びる柴犬なの!
 だけど私の言っていることがご主人に伝わることはなく、芋虫のようにウゴウゴ動いてご主人の拘束から逃れようとしていた私はそのまま、ご主人の小脇に抱えられた。

「ギャウ! ワゥウッ!?」

 ご主人最近私への愛がなくなってる! 倦怠期なの!? 扱いが雑だわ!
 罰としてその日のお散歩はご主人に拘束されたままの動物病院デートに変わったのだ。
 ワクチン3回目とか言われて注射された。注射するとか聞いていない。私はこれまでに散々注射されたのにまだ打つの?! 柴犬虐待よ!
 とても痛かったので、八つ当たりでご主人のお腹にパンチを繰り広げておいた。だけど全然ダメージを与えられなかったらしい。
 狂犬病予防接種と同じく毎年するものだから、また来年も来てくださいねって獣医さんが言っていた。嫌だ! もういいです、注射嫌い!

 家に帰ると、フィラリア予防の薬とか言っておやつくれた。おやつの中に薬が含まれてるみたい。…これならいくらでもいけるんだけどなぁ。でも1個しかくれなかった。ご主人のケチ。


■□■



「…亮介、最近学校はどうなんだ」
「あぁ…変わらないよ」
「アゥッ」

 ご主人! ナデナデの手が止まってる! ナデナデしてくれなきゃやだ!
 ソファに座っているご主人のお膝の上でナデナデしてもらっていると、パパ上が帰ってきた。いつもは玄関までお出迎えするが、今はナデナデタイムなので出来なかったの。ごめんねパパ上。

 度重なるワクチン接種を受けさせられた私は怒っているのだ。痛いんだよ。ご主人だって注射嫌いでしょ?!
 だから私はご主人の膝に居座ってナデナデを要求していた。撫でてくれないと注射された場所が痛むんだ。もっと撫でてくれ。

「…どうしたんだ? 随分機嫌が悪いな、あやめは」
「今日三回目のワクチンを接種してきたんだが、帰ってからずっとこの調子なんだ。…あやめ、風呂に入ってくるからそろそろいいか?」
「グルルル…」

 まだ撫でが足りない。私はご主人のお腹に顎をくっつけて目で訴える。お風呂から上がったら再び私をナデナデすることを命ずる。わかったね?
 フンッと鼻を鳴らすと、私はご主人の膝から降りて、自分の後ろ足を使ってカカカッと横腹を掻いた。

 ご主人がお風呂に行くと、ソファの空いたスペースにパパ上が座ってきた。パパ上は私に手を伸ばすと、いつものスーパーモフモフタイムを始めた。
 パパ上お疲れのご様子ね。お母さんも疲れた様子で帰ってきて今もまだ眠っているみたいだ。ほら、私のこのモフモフのお腹を撫でてもいいのよ。

「…あやめは大きくなったな。最初見た時はあんなに小さかったのに」

 私が橘家の一員となってもう半年近くになる。真冬の寒い日に引き取られた私はまだよちよち歩きの子犬であったが、今では子犬の域は抜けないものの、立派に成長をしている。
 そういえば、パパ上は当初私を飼うことを渋っていたな。昔飼っていた犬が亡くなった時にパパ上が一番落ち込んでいたから、寿命が短い犬との別れが怖いのだろうとおばあちゃんが言っていた。
 そんなパパ上も今ではこの家で一番か二番目に私を可愛がってくれている気がする。

「…あいつも、いつの間にか俺よりも大きくなった」

 小さな呟きが聞こえてきたので、私がパパ上を見上げると、パパ上は懐かしそうに微笑んでいた。だけどそれはどこか寂しそうでもあった。
 パパ上は時々私に向かって独り言のように語りかけてくることがある。

 お兄さんとご主人の話が多い気がするけど、そのどれもが息子を心配し、息子を愛している発言ばかり。
 私がこの家に来た時、みんなどこかギクシャクしていたけれど、最近はちょっとずつ会話も増えた。
 私思うんだけど、別に橘家のみんなは嫌い合っているわけじゃない。ただどこかズレてしまっただけだと思うの。
 もっともっとみんなが仲良くお話してくれたら私嬉しいんだけどな……

 もふもふもふもふと絶妙なタッチで撫でてくるパパ上。こればかりは誰にも引けは取らない。
 うん、パパ上のゴッドハンドマジでヤヴァアイ……ぐーすぴー…

 私は安定の寝落ちをしたのである。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】ヤンデレ設定の義弟を手塩にかけたら、シスコン大魔法士に育ちました!?

三月よる
恋愛
14歳の誕生日、ピフラは自分が乙女ゲーム「LOVE/HEART(ラブハート)」通称「ラブハ」の悪役である事に気がついた。シナリオ通りなら、ピフラは義弟ガルムの心を病ませ、ヤンデレ化した彼に殺されてしまう運命。生き残りのため、ピフラはガルムのヤンデレ化を防止すべく、彼を手塩にかけて育てる事を決意する。その後、メイドに命を狙われる事件がありながらも、良好な関係を築いてきた2人。 そして10年後。シスコンに育ったガルムに、ピフラは婚活を邪魔されていた。姉離れのためにガルムを結婚させようと、ピフラは相手のヒロインを探すことに。そんなある日、ピフラは謎の美丈夫ウォラクに出会った。彼はガルムと同じ赤い瞳をしていた。そこで「赤目」と「悪魔と黒魔法士」の秘密の相関関係を聞かされる。その秘密が過去のメイド事件と重なり、ピフラはガルムに疑心を抱き始めた。一方、ピフラを監視していたガルムは自分以外の赤目と接触したピフラを監禁して──?

ゲームの序盤に殺されるモブに転生してしまった

白雲八鈴
恋愛
「お前の様な奴が俺に近づくな!身の程を知れ!」 な····なんて、推しが尊いのでしょう。ぐふっ。わが人生に悔いなし! ここは乙女ゲームの世界。学園の七不思議を興味をもった主人公が7人の男子生徒と共に学園の七不思議を調べていたところに学園内で次々と事件が起こっていくのです。 ある女生徒が何者かに襲われることで、本格的に話が始まるゲーム【ラビリンスは人の夢を喰らう】の世界なのです。 その事件の開始の合図かのように襲われる一番目の犠牲者というのが、なんとこの私なのです。 内容的にはホラーゲームなのですが、それよりも私の推しがいる世界で推しを陰ながら愛でることを堪能したいと思います! *ホラーゲームとありますが、全くホラー要素はありません。 *モブ主人のよくあるお話です。さらりと読んでいただけたらと思っております。 *作者の目は節穴のため、誤字脱字は存在します。 *小説家になろう様にも投稿しております。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

転生したらただの女子生徒Aでしたが、何故か攻略対象の王子様から溺愛されています

平山和人
恋愛
平凡なOLの私はある日、事故にあって死んでしまいました。目が覚めるとそこは知らない天井、どうやら私は転生したみたいです。 生前そういう小説を読みまくっていたので、悪役令嬢に転生したと思いましたが、実際はストーリーに関わらないただの女子生徒Aでした。 絶望した私は地味に生きることを決意しましたが、なぜか攻略対象の王子様や悪役令嬢、更にヒロインにまで溺愛される羽目に。 しかも、私が聖女であることも判明し、国を揺るがす一大事に。果たして、私はモブらしく地味に生きていけるのでしょうか!?

婚約破棄したい悪役令嬢と呪われたヤンデレ王子

あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「フレデリック殿下、私が十七歳になったときに殿下の運命の方が現れるので安心して下さい」と婚約者は嬉々として自分の婚約破棄を語る。 それを阻止すべくフレデリックは婚約者のレティシアに愛を囁き、退路を断っていく。 そしてレティシアが十七歳に、フレデリックは真実を語る。 ※王子目線です。 ※一途で健全?なヤンデレ ※ざまああり。 ※なろう、カクヨムにも掲載

残り一日で破滅フラグ全部へし折ります ざまぁRTA記録24Hr.

福留しゅん
恋愛
ヒロインに婚約者の王太子の心を奪われて嫉妬のあまりにいじめという名の悪意を振り撒きまくった公爵令嬢は突然ここが乙女ゲー『どきエデ』の世界だと思い出す。既にヒロインは全攻略対象者を虜にした逆ハーレムルート突入中で大団円まであと少し。婚約破棄まで残り二十四時間、『どきエデ』だったらとっくに詰みの状態じゃないですかやだも~! だったら残り一日で全部の破滅フラグへし折って逃げ切ってやる! あわよくば脳内ピンク色のヒロインと王太子に最大級のざまぁを……! ※Season 1,2:書籍版のみ公開中、Interlude 1:完結済(Season 1読了が前提)

【完結】もったいないですわ!乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢は、今日も生徒会活動に勤しむ~経済を回してる?それってただの無駄遣いですわ!~

鬼ヶ咲あちたん
恋愛
内容も知らない乙女ゲームの世界に転生してしまった悪役令嬢は、ヒロインや攻略対象者たちを放って今日も生徒会活動に勤しむ。もったいないおばけは日本人の心! まだ使える物を捨ててしまうなんて、もったいないですわ! 悪役令嬢が取り組む『もったいない革命』に、だんだん生徒会役員たちは巻き込まれていく。「このゲームのヒロインは私なのよ!?」荒れるヒロインから一方的に恨まれる悪役令嬢はどうなってしまうのか?

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。

樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」 大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。 はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!! 私の必死の努力を返してー!! 乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。 気付けば物語が始まる学園への入学式の日。 私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!! 私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ! 所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。 でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!! 攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢! 必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!! やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!! 必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。 ※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。

処理中です...