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番外編

小話・キャンプへ行こう!

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橘家(亮介抜き)と友達家族と。数年後のお話。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「むっくん、むっくん遊びましょ!」
「睦生お兄ちゃんはマナと遊ぶの!」
「……女の子同士で遊んだほうが良いと思うけど…」
「だめ! マナと花かんむり作って遊ぶの!」
「違うよ! むっくんは風花とおままごとして遊ぶの!!」

 睦生は私似の将来フツメンになるであろう男の子である。
 しかし何故かよくハーレムを作っている所を私は目にする。

「お母さん、すみれ魚釣りたい」
「伯父さんと一緒に釣っておいで。川の中には入らないでね」

 今日は友達家族と一緒にキャンプに来ていた。
 本当は亮介さんも来るはずだったのだが、急に仕事が入り、子どもたちのブーイングを受けながら泣く泣く仕事へと行ってしまった。
 そこで登場したのが義兄の恵介さんだ。
 
 子どもたちに大ブーイングされている弟を不憫に思ったのか、代わりに着いていくと言ってくれたのだ。…それは良いが、折角の休日に甥姪とキャンプって……彼はそれで良いのだろうか。
 うちの子たちは伯父さんに懐いているし、面倒見てくれるのはこっちとしては助かるけども、彼の将来が少々心配になる。
 娘が義兄と川に釣りに行ったのを見送ると、私はバーベキューの準備に入った。
 未だに息子はハーレム状態である。

 風花ちゃんは花恋ちゃんの娘さんで、お母さんによく似たとてもかわいらしい女の子。睦生のひとつ下だ。
 愛美ちゃんは和真のところの娘でうちの子達の従妹に当たる。こっちは和真似だ。すみれと同い年だがすみれとは気が合わないようで、同い年の従姉妹よりも異性の従兄に夢中のようだ。

 睦生はユカやリンの家の小学生のお兄ちゃんたちと遊びたいみたいで、女の子たちの誘いにとても困った表情をしていた。
 子どもも色々性格が別れていて、中にはおませさんがいたり、色恋よりも友達と遊びたいって子もいるからね…
 睦生は後者だからか、おませなふたりに困惑しているようだ。

 すぐ側の川ではすみれがキャッキャと笑いながら、ユカの息子の翼君(7歳)やリンの息子の遥斗君(8歳)と魚釣りしている。
 子どもたちがメインで魚釣りをしているのを義兄は監督し、時折指導していた。
 うん、やっぱり義兄はいいお父さんになれると思う。…だが、他所の子供の面倒ばかり見てて良いのかな。楽しいならそれでいいけど。

「魚釣れたらお父さんに持って帰ろう!」
「この気温じゃ魚が悪くなるから写真だけにしなさい」
「…お父さんにも食べてほしいのに…」

 仕事中の父親のために川魚を持って帰ろうと提案するすみれ。しかし弟を食中毒に遭わせる訳にはいかないので義兄が阻止していた。
 伯父と姪が和やかに釣りを楽しむ傍らで…

「ぼ、僕、魚釣りを…」
「だめ! おままごとするの!」
「花かんむり作ってマナと花嫁さんごっこするの!」

 伯父と妹の方に行きたいのに美幼女達に捕まり身動きの取れない息子を見かねて、私はバーベキューの準備をする手を止めると助け舟を出すことにした。

「風花ちゃん愛美ちゃん、睦生は釣りがしたいみたいよ?」
「やだぁ、魚釣り可愛くないもん」
「アヤおばさんは入ってこないで!」
「………」

 女はいくつでも女か…
 私は諦めた。睦生が涙目でこっちを見てくるが、私にはその肉食系幼女を抑える事は出来そうにない。弱い母ですまん。息子よ。

 私は半笑いでその場から離れると、バーベキューの準備を再開したのであった。


☆★☆


「お母さん美味しい? すみれが釣ったんだよ!」
「うん美味しいよ。お仕事頑張ってるお父さんにお写真送るから、すみれこっち見て」

 炭火焼きにした川魚をドヤ顔で頬張る娘を写真に収め、私は仕事中の亮介さんにメールした。ちなみに睦生は美幼女ハーレムの写真である。
 ここ電波があまり良くないのか、何度か送信失敗した。ちゃんと送れているといいんだけどね。

 今夜はこのキャンプ地で各自テントを張って宿泊するので、亮介さんは家で寂しく独り寝をすることになる。
 テントを張ると言っても、恵介さんとは別のテントだよ。義兄だけど血縁的には私と他人だから、その辺りの区別はちゃんとつけてる。

「お父さんも来たら良かったのに…」

 ぽつりと睦生が呟く。
 仕事だから仕方がないとはいえ、お父さんとキャンプがしたかった睦生は寂しそうだ。
 そんな睦生を抱っこして猫可愛がりしてやると、やめてよお母さんと照れていた。
 可愛い。ういやつじゃ。

「ちょっとアヤおばさん! 睦生お兄ちゃんにベタベタしないでよ!」
「そうよ! むっくんは風花のなの!」
「えー…」

 美幼女コンビにダメ出しされた。
 自分の息子なのに駄目なの? まだ6歳なんだからいいじゃないの。もうちょっとすればこんな事させてくれなくなるんだからさぁ。

「こら風花! あやめちゃんになんてことを言うの! 睦生君のお母さんなんだからね? 睦生君を狙うならお母さんから懐柔しなさいとあれほど言っているでしょう?」
「お母さん、だぁってぇ…」
「……花恋ちゃん?」

「愛美、狙うなら睦生君のお母さんから落とすの! 好きな人のお母さんは大事にしないと好きな人に嫌われちゃうからね。わかった?」
「わかったママ!」
「おい、義妹…」

 微妙に難しい単語を使っているのに幼女コンビは母親から言われた言葉を理解しているらしい。
 そして両方の母親共、恐ろしい発言をしていて私はゾゾッとした。抱っこしたままの睦生も怖くなったのか私にしがみついてきた。心なしか息子は震えている気がする。

「伯父さんお肉取って!」
「野菜も食べなさい」
「えー…」

 隣で我関せずとばかりにバーベキューをしている娘と義兄は楽しんでいる様子だ。すみれが差し出している紙皿に焼けたピーマンやキャベツをトングで乗っける義兄。あー楽しそう…。
 私も現実逃避気味に睦生を抱っこしたままフラフラとそっちに近づいていったのであった。


 その後、睦生と一緒に寝る! と騒いで聞かない幼女コンビに振り回され、私と睦生はへとへとになった。幼女寝相悪すぎる。めっちゃ蹴られた……
 すみれは幼女コンビがうるさいから伯父さんと一緒に寝ると言って恵介さんのテントでぐっすり眠っていたのであった。


 その翌日、ズルいという念が籠った恨みがましいメールが亮介さんから送られてきたが、こっちはこっちで大変だったんだと返信してやった。


ーーーーーーーーーー

愛美ちゃんのお母さんはご自由にご想像下さい。
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