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続編
私を残して先に合格とか。裏切ったな橘兄。
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後夜祭のビンゴゲームで久松との握手券(会いに行けるアイドルかお前は)をGETした私。それをゴミ箱にポイした後、友人らと自撮りしまくった。
後輩の室戸さんや植草さんからもツーショットを頼まれたので写真を取りまくる。折角だから春日君を捕まえてツーショットも撮っておいた。
先輩に写真を送ったら、きっとびっくりするに違いない。先輩も春日君がこんな仮装するキャラだなんて思わないはずだから。
沢渡君は写真を頼んできた女の子達に囲まれてとても幸せそうな顔をしている。
うん今のうちに幸せを噛み締めておきな。明日からちゃんと勉強しろよ。言質は取ってんだからな?
「ねぇねぇ和真君、私かわいい?」
「うんうん」
「こっち見て頷いてよー!」
一見リア充な雰囲気を醸し出している和真と林道さんの姿も見かけたが、この二人はどうなっているんだろうか。
林道さんは飽きずに道場に通って差し入れしているみたいだし、和真は林道さんに対して態度が軟化しているように見える。
林道さんが真っ直ぐにぶつかってるから今では私は何も言わずに傍観しているが……ところで林道さんは受験の方は大丈夫なのだろうか。
…それと、山ぴょんガールズにも変化が起きていた。
今現在、山ぴょんは女子とキャンプファイヤーを眺めていた。その相手は前の前の彼女だった箕島さんだ。文化祭中に何があったのかは知らないが、彼らの間にはとても親密な空気が流れている。
……辺りを見渡してみたが真優ちゃんの姿は見当たらず。
……この間、ボソリと呟いていた山ぴょんの言葉は、きっとあの時の後悔だったのだろう。真優ちゃんがあんな凶行を起こしてしまったことに対しての後悔。
今回箕島さんと一緒にいるは山ぴょんなりに考えがあったのだろうか。あくまで私の想像だけど。
てっきり卒業まで結論出さないと思っていたけど、在学中に結論が出るのだろうか。
目まぐるしく私の周りが変化していく。
もうすぐ11月になるところだが、瞬く間に月日は流れて受験本番の日がやってくるのだ。
一日一日が二度と来ない最後の日で、ぼうっとしてたらその瞬間を見逃してしまう。
過去には戻れない。だから後悔しないように日々を生きるしかないのだ。
私は文化祭で緩んでいた気を引き締めて、受験勉強を頑張らねばと自分に言い聞かせた。
☆★☆
11月に入ってすぐに球技大会のチーム決めが行われた。
今年もドッジがしたいなぁと思った私だったが、じゃんけんに負けてバスケットボールになってしまった。
がっかりした顔をしているとバスケバカ山ぴょんに「なんでがっかりしてんだよ」といちゃもんをつけられた。
山ぴょんは今年バレーボールをするらしいけど、山ぴょん身長高いから有利すぎない?
小学時代に山ぴょんに付き合わされてバスケをよくしてたけど、私は女子の平均身長。男女混合であるバスケで自分より大きな男子に囲まれてしまったら身動きがとれないのだ。
さてどうするかねぇ…。
「アヤちゃん! 俺と同じバスケー! がんばろーね!」
「今年はTシャツ作らないからね」
去年の愚行はもうさせないからな沢渡君。
私が先制でTシャツ禁止令を出すと、沢渡君がとても不満そうな顔をしていたが、沢渡君絶対に魔改造するに違いないから今年は禁止です。
クラスのメガネ委員長にも山ぴょんにもユカにもリンにも却下されて凹んでいたのが可哀想だったが、沢渡君ダメなものはダメだよ。
家に帰って弟に球技大会の出場競技を聞いてみたら、和真もバスケらしい。
もしかしたら対戦するかもしれないね。
今月末に球技大会があるものの、来月12月に高校最後の期末テストが行われる。だから球技大会の練習と平行で勉強していかないといけない。
しないといけないんだけど、私はここ最近焦りを感じていた。勉強はしているのだが、身に入らないというか…
つまりスランプ状態に陥っているのだ。
先輩も私が受験生とわかっているので、会ったとしても勉強に協力してくれているし、勉強を優先するために以前よりも会うことが大分減った。
だから勉強する時間は以前よりも充分に作れているはずなのに、私の受験勉強は遅々として進まない。
なんでだろう。勉強の仕方が悪いのだろうか。だけど今までこの方法でやって来たから今更別のやり方なんてわからない。もしかして使用しているテキストが駄目なんだろうか。別のテキストの問題も解くべきなんだろうか。
私は悩んでいた。
だけどこれは自分の力で乗り越えないといけない問題だからと必死に足掻いていた。
☆★☆
「え、実家に帰られるんですか? 珍しい」
『そう。兄さんが法科大学院の入試に合格したから久々に帰ることになったんだ』
「そうなんですか」
『それで両親があやめも一緒に食事をどうかって言っているんだが…どうする?』
「あー…」
大学院の入試は大学とは違って前期が8-10月、後期が2-3月に分かれているそうだ。それは固定ではなく、6月入試のところもあって大学院によって入試時期が異なるそうな。
そうだったのか。橘兄もてっきり私と同じ時期に入試があると思っていたのに先を越されてしまった。
その前期試験に合格したお祝いをするために橘家でちょっと豪華な食事をするそうだ。それに私もお招きを受けたのだが、私は現状勉強がどん詰まり状態。その余裕がない。人様の合格を祝えるような状況ではないのだ。
「…すいません…私は遠慮しておきます。ご家族だけでお祝いしてきてください。私の代わりにお兄さんにおめでとうと伝えておいてください」
『そうか? じゃあそう伝えておくよ』
色々世話になった橘兄には後日お祝いを言うよ。橘兄すまん。
ただでさえ先輩に会えない時期、球技大会の練習もあって本当に勉強が身に入らない。
今まで地道に頑張ってきたつもりだ。その時々でつまずくことは多々あったが、その場面場面でうまく乗り越えてきたのに。
なのに、今は本当にやばい。勉強しても全然頭に入らない。今が一番肝心な時期だと言うのにどうしてこんな状態になってしまったのか謎だ。
だけどそんなことで先輩に心配掛けさせたくない私は電話口では明るく振る舞った。
電話を切るとすぐに机に向かって問題を解くのに集中したのである。
☆★☆
「あやめ違う! そこはインサイドアウトドリブルだろ!」
「うるせー! バレーチームは黙ってろ!」
球技大会の練習中、バレーのはずの山ぴょんが自主的にコーチをし始めてきた。あんたバレーはどうしたのよ。
バスケチームの面々で和やかにミニゲームしてたら山ぴょんが横から口出してきたので、私達はうへぇと顔を歪めた。
時期は早くも球技大会3日前となった。
最後の球技大会ということで燃えている人も多いが、私は楽しく終えたい気分だ。殺伐とした最後の球技大会なんていやだ。
球技大会が終われば次は期末テスト、その次はセンター入試が待っているのだ。
…せめてバスケくらい楽しくプレイさせてくれないか。
「姉ちゃん、正門前で待ってるから」
「あぁうん」
同じバスケ専攻の和真が私にそう声を掛けてきた。
学校が終わるのが遅くなった時に毎回先輩に迎えに来てもらうのが申し訳ないから、その期間中は弟に一緒に帰って貰っているのだ。先輩も弟なら心配しないだろうからね。
林道さんに嫉妬の眼差しを向けられるのが問題なんだけど…私は姉だと言ってるだろうが。
「和真は進路決まったの?」
帰り道の途中で私は弟に質問してみた。去年の今頃、私は進路にすごく迷っていた時期だったから。先月、和真も三者面談があったはずだから進路の話をしていると思うんだけど…
「国立。姉ちゃんとは志望学部は違うけど」
「そうなの?」
「私立に入りたい理由はないし、学費は抑えたいし。……俺はまだしたいことが見つかってないから大学に入って考える」
「ふぅん…」
和真は器用だから努力すればその分成果が出るタイプなので、どの学部を選んでもさらりと合格しそうだ。
…私とは大違い。
「…和真の頭脳が私にも備わっていたら良かったのにな…」
「俺の頭脳?」
「…私はあんたと違って努力しないと何も出来ないタイプだからね。同じ両親を持つ姉弟なのにね……」
私は深々とため息を吐いて、星が瞬く空を見上げた。11月も末に入ると流石に寒いな。
それはちょっとした愚痴のつもりだった。
弟だからという甘えで少し愚痴っただけ。
和真もそれに対して何かコメントすることもなく、私と同じように夜空を見上げていた。
去年の今頃、私は迷っていた。
何もしたいことが見つからないのに、担任や両親に進学を進められて腹を立てていた。
何もしたいことがないのに目的もなく大学に行くのが嫌で反発していた。
…先輩は、迷わなかったのだろうか。
他の職業に興味を持ったりとか、プレッシャーを感じて夢を諦めそうになったりとかしなかったのだろうか。
私の目には、去年の先輩には焦りの色はなかったように見えた。
先輩は、私のように行き詰まったりはしなかったのだろうか。
空を見上げていたはずなのに、いつの間にか項垂れていたのを和真がチラ見してることに私は気づかなかった。
気を取り直して、今日の夕飯の話題を持ち出した時には和真はいつも通り「唐揚げが食べたい」というコメントを返してきたから。
「あんたもいい加減自分で作りなさいよ。いつまでも私が作ってあげられるわけじゃないんだから」
「…ん」
「ん。じゃないでしょうが」
弟と肩を並べて帰宅しながら、私はまた受験のことを考えていた。
同じ三年の中にも既に殺気立っている人がいて、球技大会の練習を煩わしそうにしている生徒もいる。そのせいでチームワークが最悪なチームもあって……気持ちはわかる。私も今年は優勝どころじゃないな。
そんな心の余裕がない。
私はこんな状態で大学受験を無事に突破できるのだろうか。
漠然とした不安が私を襲っていた。
後輩の室戸さんや植草さんからもツーショットを頼まれたので写真を取りまくる。折角だから春日君を捕まえてツーショットも撮っておいた。
先輩に写真を送ったら、きっとびっくりするに違いない。先輩も春日君がこんな仮装するキャラだなんて思わないはずだから。
沢渡君は写真を頼んできた女の子達に囲まれてとても幸せそうな顔をしている。
うん今のうちに幸せを噛み締めておきな。明日からちゃんと勉強しろよ。言質は取ってんだからな?
「ねぇねぇ和真君、私かわいい?」
「うんうん」
「こっち見て頷いてよー!」
一見リア充な雰囲気を醸し出している和真と林道さんの姿も見かけたが、この二人はどうなっているんだろうか。
林道さんは飽きずに道場に通って差し入れしているみたいだし、和真は林道さんに対して態度が軟化しているように見える。
林道さんが真っ直ぐにぶつかってるから今では私は何も言わずに傍観しているが……ところで林道さんは受験の方は大丈夫なのだろうか。
…それと、山ぴょんガールズにも変化が起きていた。
今現在、山ぴょんは女子とキャンプファイヤーを眺めていた。その相手は前の前の彼女だった箕島さんだ。文化祭中に何があったのかは知らないが、彼らの間にはとても親密な空気が流れている。
……辺りを見渡してみたが真優ちゃんの姿は見当たらず。
……この間、ボソリと呟いていた山ぴょんの言葉は、きっとあの時の後悔だったのだろう。真優ちゃんがあんな凶行を起こしてしまったことに対しての後悔。
今回箕島さんと一緒にいるは山ぴょんなりに考えがあったのだろうか。あくまで私の想像だけど。
てっきり卒業まで結論出さないと思っていたけど、在学中に結論が出るのだろうか。
目まぐるしく私の周りが変化していく。
もうすぐ11月になるところだが、瞬く間に月日は流れて受験本番の日がやってくるのだ。
一日一日が二度と来ない最後の日で、ぼうっとしてたらその瞬間を見逃してしまう。
過去には戻れない。だから後悔しないように日々を生きるしかないのだ。
私は文化祭で緩んでいた気を引き締めて、受験勉強を頑張らねばと自分に言い聞かせた。
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11月に入ってすぐに球技大会のチーム決めが行われた。
今年もドッジがしたいなぁと思った私だったが、じゃんけんに負けてバスケットボールになってしまった。
がっかりした顔をしているとバスケバカ山ぴょんに「なんでがっかりしてんだよ」といちゃもんをつけられた。
山ぴょんは今年バレーボールをするらしいけど、山ぴょん身長高いから有利すぎない?
小学時代に山ぴょんに付き合わされてバスケをよくしてたけど、私は女子の平均身長。男女混合であるバスケで自分より大きな男子に囲まれてしまったら身動きがとれないのだ。
さてどうするかねぇ…。
「アヤちゃん! 俺と同じバスケー! がんばろーね!」
「今年はTシャツ作らないからね」
去年の愚行はもうさせないからな沢渡君。
私が先制でTシャツ禁止令を出すと、沢渡君がとても不満そうな顔をしていたが、沢渡君絶対に魔改造するに違いないから今年は禁止です。
クラスのメガネ委員長にも山ぴょんにもユカにもリンにも却下されて凹んでいたのが可哀想だったが、沢渡君ダメなものはダメだよ。
家に帰って弟に球技大会の出場競技を聞いてみたら、和真もバスケらしい。
もしかしたら対戦するかもしれないね。
今月末に球技大会があるものの、来月12月に高校最後の期末テストが行われる。だから球技大会の練習と平行で勉強していかないといけない。
しないといけないんだけど、私はここ最近焦りを感じていた。勉強はしているのだが、身に入らないというか…
つまりスランプ状態に陥っているのだ。
先輩も私が受験生とわかっているので、会ったとしても勉強に協力してくれているし、勉強を優先するために以前よりも会うことが大分減った。
だから勉強する時間は以前よりも充分に作れているはずなのに、私の受験勉強は遅々として進まない。
なんでだろう。勉強の仕方が悪いのだろうか。だけど今までこの方法でやって来たから今更別のやり方なんてわからない。もしかして使用しているテキストが駄目なんだろうか。別のテキストの問題も解くべきなんだろうか。
私は悩んでいた。
だけどこれは自分の力で乗り越えないといけない問題だからと必死に足掻いていた。
☆★☆
「え、実家に帰られるんですか? 珍しい」
『そう。兄さんが法科大学院の入試に合格したから久々に帰ることになったんだ』
「そうなんですか」
『それで両親があやめも一緒に食事をどうかって言っているんだが…どうする?』
「あー…」
大学院の入試は大学とは違って前期が8-10月、後期が2-3月に分かれているそうだ。それは固定ではなく、6月入試のところもあって大学院によって入試時期が異なるそうな。
そうだったのか。橘兄もてっきり私と同じ時期に入試があると思っていたのに先を越されてしまった。
その前期試験に合格したお祝いをするために橘家でちょっと豪華な食事をするそうだ。それに私もお招きを受けたのだが、私は現状勉強がどん詰まり状態。その余裕がない。人様の合格を祝えるような状況ではないのだ。
「…すいません…私は遠慮しておきます。ご家族だけでお祝いしてきてください。私の代わりにお兄さんにおめでとうと伝えておいてください」
『そうか? じゃあそう伝えておくよ』
色々世話になった橘兄には後日お祝いを言うよ。橘兄すまん。
ただでさえ先輩に会えない時期、球技大会の練習もあって本当に勉強が身に入らない。
今まで地道に頑張ってきたつもりだ。その時々でつまずくことは多々あったが、その場面場面でうまく乗り越えてきたのに。
なのに、今は本当にやばい。勉強しても全然頭に入らない。今が一番肝心な時期だと言うのにどうしてこんな状態になってしまったのか謎だ。
だけどそんなことで先輩に心配掛けさせたくない私は電話口では明るく振る舞った。
電話を切るとすぐに机に向かって問題を解くのに集中したのである。
☆★☆
「あやめ違う! そこはインサイドアウトドリブルだろ!」
「うるせー! バレーチームは黙ってろ!」
球技大会の練習中、バレーのはずの山ぴょんが自主的にコーチをし始めてきた。あんたバレーはどうしたのよ。
バスケチームの面々で和やかにミニゲームしてたら山ぴょんが横から口出してきたので、私達はうへぇと顔を歪めた。
時期は早くも球技大会3日前となった。
最後の球技大会ということで燃えている人も多いが、私は楽しく終えたい気分だ。殺伐とした最後の球技大会なんていやだ。
球技大会が終われば次は期末テスト、その次はセンター入試が待っているのだ。
…せめてバスケくらい楽しくプレイさせてくれないか。
「姉ちゃん、正門前で待ってるから」
「あぁうん」
同じバスケ専攻の和真が私にそう声を掛けてきた。
学校が終わるのが遅くなった時に毎回先輩に迎えに来てもらうのが申し訳ないから、その期間中は弟に一緒に帰って貰っているのだ。先輩も弟なら心配しないだろうからね。
林道さんに嫉妬の眼差しを向けられるのが問題なんだけど…私は姉だと言ってるだろうが。
「和真は進路決まったの?」
帰り道の途中で私は弟に質問してみた。去年の今頃、私は進路にすごく迷っていた時期だったから。先月、和真も三者面談があったはずだから進路の話をしていると思うんだけど…
「国立。姉ちゃんとは志望学部は違うけど」
「そうなの?」
「私立に入りたい理由はないし、学費は抑えたいし。……俺はまだしたいことが見つかってないから大学に入って考える」
「ふぅん…」
和真は器用だから努力すればその分成果が出るタイプなので、どの学部を選んでもさらりと合格しそうだ。
…私とは大違い。
「…和真の頭脳が私にも備わっていたら良かったのにな…」
「俺の頭脳?」
「…私はあんたと違って努力しないと何も出来ないタイプだからね。同じ両親を持つ姉弟なのにね……」
私は深々とため息を吐いて、星が瞬く空を見上げた。11月も末に入ると流石に寒いな。
それはちょっとした愚痴のつもりだった。
弟だからという甘えで少し愚痴っただけ。
和真もそれに対して何かコメントすることもなく、私と同じように夜空を見上げていた。
去年の今頃、私は迷っていた。
何もしたいことが見つからないのに、担任や両親に進学を進められて腹を立てていた。
何もしたいことがないのに目的もなく大学に行くのが嫌で反発していた。
…先輩は、迷わなかったのだろうか。
他の職業に興味を持ったりとか、プレッシャーを感じて夢を諦めそうになったりとかしなかったのだろうか。
私の目には、去年の先輩には焦りの色はなかったように見えた。
先輩は、私のように行き詰まったりはしなかったのだろうか。
空を見上げていたはずなのに、いつの間にか項垂れていたのを和真がチラ見してることに私は気づかなかった。
気を取り直して、今日の夕飯の話題を持ち出した時には和真はいつも通り「唐揚げが食べたい」というコメントを返してきたから。
「あんたもいい加減自分で作りなさいよ。いつまでも私が作ってあげられるわけじゃないんだから」
「…ん」
「ん。じゃないでしょうが」
弟と肩を並べて帰宅しながら、私はまた受験のことを考えていた。
同じ三年の中にも既に殺気立っている人がいて、球技大会の練習を煩わしそうにしている生徒もいる。そのせいでチームワークが最悪なチームもあって……気持ちはわかる。私も今年は優勝どころじゃないな。
そんな心の余裕がない。
私はこんな状態で大学受験を無事に突破できるのだろうか。
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