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紅蓮のアゲハの娘は恋を知らない
無自覚なアゲハ蝶【1】
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「進級おめでとうあげはちゃん」
「それを言うなら嗣臣さんの方がおめでたいんじゃないですか? 大学入学おめでとうございます」
私よりも一足先に学校が始まった嗣臣さんは、私の始業式の日にお祝いとして好物の花丸プリンを差し入れに来てくれた。
どちらかといえば、お祝いされるのは嗣臣さんの方だと思うのだが、何故か2年に進級した私が祝われていた。プリンはありがたくもらうけどさ。
高校卒業した3月の頭からすでに一人暮らしを開始した嗣臣さんであるが、今では自分だけの城が出来たというのにやっぱり三森家に入り浸っている。
兄の友人たちも進学やら就職でみんな進路バラバラになり、忙しくなったせいで全員集合することが減った。
今まではそれが喧しくてイラつくこともあったが、こうも静かになると何故か物寂しくなる不思議である。
「一人暮らし生活はどうなんですか? 嗣臣さんって何でもできそうだから不便はなさそうですよね」
私よりも女子力のあるこのオトメンだ。きっと家の中は綺麗で、毎食料理してるんだろうな…下手したら手作りスイーツとか作っているんじゃなかろうか…
「そんなことないよ。…でもまぁ、煩わしいことが減ったかな」
嗣臣さんは目を細めて、物憂げは表情を浮かべていた。
…それは長いこと仮面夫婦&ネグレクト気味だった両親のことを言っているのだろうか?
嗣臣さんの両親は長いことダブル不倫をしていて、お互いの相手と再婚するために嗣臣さんの高校卒業目前に離婚が成立した。
嗣臣さんのお父さんは今まで住んでいた家に再婚相手とその連れ子を呼んで一緒に暮らしているらしい。そこに嗣臣さんも…という話になりかけたが、それは嗣臣さんが断固拒否したそうだ。
お父さんはそもそも息子にはあまり関心がないようだが、再婚相手が気にして…って感じみたい。
でも子持ち既婚者と不倫していた人だ。別にいい人ってわけじゃないと思う。
そんなわけで親元を離れて一人暮らしを開始した嗣臣さんだが、そこはまだ親からの援助を受けている。彼のお父さんは高給取りだそうなので、学費や生活費などは色々面倒見てもらうらしい。今まで好き勝手放置されて振り回されたから、それくらいしてもらってもバチは当たらないよね、と彼は苦笑いしていた。
今彼が住んでいる部屋もなかなか良い立地の新築マンションの一角を借りているらしい。
「…ま、完全に関わりが無くなったわけじゃないんだけどね」
嗣臣さんがぼそっとつぶやいたその一言はなんのことを示しているのかはわからない。別に暮らしてると言っても、親子の縁が切れたわけじゃない。色々あるんだろうね。
「今度食事会するから帰ってこいとか言われたけど、本当今さら家族ごっことか勘弁。それならあげはちゃんとご飯食べていたいよ」
ニッコリ微笑んで首を傾げる嗣臣さんは相変わらず無駄にキラキラしている。
この人私を好きだって感情を隠さずに思いっきり表に出してくるから……なんていうかちょっと落ち着かなくなるよね。
「はい、あげはちゃん。あーんして」
「えっ…自分で食べますから」
スプーンにひとすくいした花丸プリン。私の大好きな花丸プリン。最近地味に値上がりしたけど、高くなっても食べたい花丸プリン。
自分で食べるとお断りしたが、嗣臣さんはニコニコしたままスプーンを構えている。私は躊躇したが、意を決してスプーンを咥えた。
口の中でとろけるプリン。
あぁ、おいしい……
「…プリンになりたいなぁ」
「……急になんですか」
嗣臣さんがまたぶっ飛んだこと言い出したぞ。どうした、慣れない大学生活に疲れているのか。
「あげはちゃんとキスしたいな」
「駄目です!」
「どうしても駄目?」
「だ、駄目です」
えぇい、そんな縋るような目で見るんじゃない。お付き合いしていない間柄でのそれは駄目だ。
……別に嫌なわけじゃないけど……
嗣臣さんはしょんぼりしながら、新たなプリンを差し出してきた。私はそれを黙って食べる。
まるで給餌される雛のような気分になったのである。
嗣臣さんが帰った後で、兄から「焦らしてないでいい加減付き合ってやれよ。流石に嗣の野郎が哀れだ」と注意された。
下半身節操なしの女泣かせに言われたくない。じゃあよく家にやってくる女のどっちかと交際宣言してみろと圧力をかけたら、何やらむにゃむにゃ言って煙に巻いて逃げやがった。クズ野郎め。
……仕方ないじゃん。私そういうのよくわからないんだから。高校生になってまともに友達ができた私に、男女交際は少々荷が重い。
嗣臣さんと付き合うとか想像したことがなくて…怖いんだよ。
■□■
「嗣くん! 紬 、嗣くんのお家に遊びに行きたいの!」
「紬ちゃんごめんね? うちすごく散らかってるから…」
「じゃあ紬がお掃除してあげる! お掃除得意なのよ!」
彼らと遭遇したのは本当に偶然だ。
学校帰りの私が寄り道で途中下車した駅前でブラブラしていた時偶然に出会った。
擬態用の眼鏡を外した彼は、困った顔をして小柄な女の子を見下ろしていた。一緒にいる少女は見覚えのある眼鏡をしっかり掴んで離さない。あんな持ち方したら指紋どころか、眼鏡の弦が曲がってしまうよ。
「駄目だよ、わがまま言わないの」
「わがままじゃないもん! ねっ、いいでしょ?」
年相応の可愛らしい雰囲気の女の子だ。恐らく、中学生くらいであろうか。
「パパとママはいいって言ってくれたよっ? 嗣くんは迷惑なの?」
「あのねぇ、紬ちゃん……俺たちは兄妹になったけど、元は他人なんだよ。俺は他人をプライベートスペースに入れるのは苦手なんだ」
兄妹。
もしかしてあの子は嗣臣さんのお父さんの再婚相手の連れ子だという…? 女の子だったのか。
お兄ちゃんに憧れて、甘えているのかな? と思ったけど、彼女のその目はそうじゃない。私は実兄にあんな目向けないわ。私と兄は血がつながってる実の兄妹だからかもしれんけど。
「どうして! 嗣くん、紬のこと嫌いなの!?」
「嫌いとかそういう話じゃなくてね?」
嗣臣さんも対処に困っている様子。
彼のあんな顔見るのは新鮮だな……
部屋、か。
そういえば私も嗣臣さんがどんなとこに住んでいるのか知らないな。住所は大雑把に聞いていたけど……
あの女の子押しが強いし、折れて入れちゃうのかな……私は行ったことないのに……
……なんで私こんなにムカムカしてるんだろう。
「──あげはちゃん?」
「!」
「学校帰り? 寄り道してたの?」
堂々と突っ立っていたせいか、嗣臣さんに見つかってしまった。盗み見しているつもりはなかったが、なんだか気まずくなってしまった。
そして新しく出来た妹さんは、嗣臣さんの興味が私に移ったことにムッとした顔をして、私を品定めするようにジロジロ見上げてきた。
「紬ちゃん、まだ明るいから一人で帰れるよね? 俺は彼女を送って帰るから。じゃあね」
「…えっ!?」
「ちょっ…嗣くん!?」とキャンキャン騒いでいる妹さんをその場に放置すると、嗣臣さんは私の手を掴んで先を急いだ。速歩きになっているのはきっと気のせいではないはずである。
……ところで眼鏡はいいのだろうか。さっきの子が手に持ったままだけど……
「…参ったよ、父親の再婚相手の連れ子の子なんだけど、なんか妙に懐かれちゃって」
「…嗣臣さんがイケメンだから恋愛感情抱かれているんじゃないですかー?」
ついついぶっきらぼうな返しをしてしまった。なんか怒っているみたいな声音で……
「……あげはちゃん、ヤキモチ? かわいいね」
「べ、別に妬いてませんけど!?」
可愛くない反応をしている私を可愛いと言って、甘やかな視線を向けてくる嗣臣さん。彼を見上げると、なんだかキラキラ輝いて見えて、胸がきゅうと苦しくなった。
嗣臣さんは私の顔を見て目を細めると足を止めた。そして私の頬を指でそっと撫でる。その指が冷たく感じたのは多分、私の顔が熱くなっているせいだ。
彼は身をかがめると、私の耳元でそっと囁いた。
「あげはちゃんなら家に入れてもいいけど、俺、狼さんになるからね?」
その言葉を理解するまでに少々時間を要した。
数秒時間を置いて理解すると、火が吹きそうなほど顔が熱くなった。
「なっなっなっ…! 不純異性交遊は駄目なんですよ!」
──パシーン!
私は恥ずかしさに耐えかねて嗣臣さんの頬を平手打ちしてしまった。嗣臣さんの足元がふらっとよろける。
「あっ! すみませんつい!」
「うん…いいビンタだったよ……」
いい感じに入ったらしい。嗣臣さんは頬を抑えて苦笑いをしている。
殴ったのは悪かったが、からかう嗣臣さんも悪いんですよ。
お、狼になるって…そんな……
冗談でも心臓に悪い。
「ごめんごめん、からかいすぎちゃった。だけど本気だよ? 俺はいつだってあげはちゃんを歓迎してるからね」
「もう! 黙ってください!」
オープンセクハラやめい!
恥ずかしくて恥ずかしくて私は嗣臣さんをもう一度叩いた。すると彼は吹っ飛んでいった。
嗣臣さんは両頬を赤く腫らしていたが、その表情は妙に満足そうであった。
彼、実はドMなのだろうか…
「それを言うなら嗣臣さんの方がおめでたいんじゃないですか? 大学入学おめでとうございます」
私よりも一足先に学校が始まった嗣臣さんは、私の始業式の日にお祝いとして好物の花丸プリンを差し入れに来てくれた。
どちらかといえば、お祝いされるのは嗣臣さんの方だと思うのだが、何故か2年に進級した私が祝われていた。プリンはありがたくもらうけどさ。
高校卒業した3月の頭からすでに一人暮らしを開始した嗣臣さんであるが、今では自分だけの城が出来たというのにやっぱり三森家に入り浸っている。
兄の友人たちも進学やら就職でみんな進路バラバラになり、忙しくなったせいで全員集合することが減った。
今まではそれが喧しくてイラつくこともあったが、こうも静かになると何故か物寂しくなる不思議である。
「一人暮らし生活はどうなんですか? 嗣臣さんって何でもできそうだから不便はなさそうですよね」
私よりも女子力のあるこのオトメンだ。きっと家の中は綺麗で、毎食料理してるんだろうな…下手したら手作りスイーツとか作っているんじゃなかろうか…
「そんなことないよ。…でもまぁ、煩わしいことが減ったかな」
嗣臣さんは目を細めて、物憂げは表情を浮かべていた。
…それは長いこと仮面夫婦&ネグレクト気味だった両親のことを言っているのだろうか?
嗣臣さんの両親は長いことダブル不倫をしていて、お互いの相手と再婚するために嗣臣さんの高校卒業目前に離婚が成立した。
嗣臣さんのお父さんは今まで住んでいた家に再婚相手とその連れ子を呼んで一緒に暮らしているらしい。そこに嗣臣さんも…という話になりかけたが、それは嗣臣さんが断固拒否したそうだ。
お父さんはそもそも息子にはあまり関心がないようだが、再婚相手が気にして…って感じみたい。
でも子持ち既婚者と不倫していた人だ。別にいい人ってわけじゃないと思う。
そんなわけで親元を離れて一人暮らしを開始した嗣臣さんだが、そこはまだ親からの援助を受けている。彼のお父さんは高給取りだそうなので、学費や生活費などは色々面倒見てもらうらしい。今まで好き勝手放置されて振り回されたから、それくらいしてもらってもバチは当たらないよね、と彼は苦笑いしていた。
今彼が住んでいる部屋もなかなか良い立地の新築マンションの一角を借りているらしい。
「…ま、完全に関わりが無くなったわけじゃないんだけどね」
嗣臣さんがぼそっとつぶやいたその一言はなんのことを示しているのかはわからない。別に暮らしてると言っても、親子の縁が切れたわけじゃない。色々あるんだろうね。
「今度食事会するから帰ってこいとか言われたけど、本当今さら家族ごっことか勘弁。それならあげはちゃんとご飯食べていたいよ」
ニッコリ微笑んで首を傾げる嗣臣さんは相変わらず無駄にキラキラしている。
この人私を好きだって感情を隠さずに思いっきり表に出してくるから……なんていうかちょっと落ち着かなくなるよね。
「はい、あげはちゃん。あーんして」
「えっ…自分で食べますから」
スプーンにひとすくいした花丸プリン。私の大好きな花丸プリン。最近地味に値上がりしたけど、高くなっても食べたい花丸プリン。
自分で食べるとお断りしたが、嗣臣さんはニコニコしたままスプーンを構えている。私は躊躇したが、意を決してスプーンを咥えた。
口の中でとろけるプリン。
あぁ、おいしい……
「…プリンになりたいなぁ」
「……急になんですか」
嗣臣さんがまたぶっ飛んだこと言い出したぞ。どうした、慣れない大学生活に疲れているのか。
「あげはちゃんとキスしたいな」
「駄目です!」
「どうしても駄目?」
「だ、駄目です」
えぇい、そんな縋るような目で見るんじゃない。お付き合いしていない間柄でのそれは駄目だ。
……別に嫌なわけじゃないけど……
嗣臣さんはしょんぼりしながら、新たなプリンを差し出してきた。私はそれを黙って食べる。
まるで給餌される雛のような気分になったのである。
嗣臣さんが帰った後で、兄から「焦らしてないでいい加減付き合ってやれよ。流石に嗣の野郎が哀れだ」と注意された。
下半身節操なしの女泣かせに言われたくない。じゃあよく家にやってくる女のどっちかと交際宣言してみろと圧力をかけたら、何やらむにゃむにゃ言って煙に巻いて逃げやがった。クズ野郎め。
……仕方ないじゃん。私そういうのよくわからないんだから。高校生になってまともに友達ができた私に、男女交際は少々荷が重い。
嗣臣さんと付き合うとか想像したことがなくて…怖いんだよ。
■□■
「嗣くん! 紬 、嗣くんのお家に遊びに行きたいの!」
「紬ちゃんごめんね? うちすごく散らかってるから…」
「じゃあ紬がお掃除してあげる! お掃除得意なのよ!」
彼らと遭遇したのは本当に偶然だ。
学校帰りの私が寄り道で途中下車した駅前でブラブラしていた時偶然に出会った。
擬態用の眼鏡を外した彼は、困った顔をして小柄な女の子を見下ろしていた。一緒にいる少女は見覚えのある眼鏡をしっかり掴んで離さない。あんな持ち方したら指紋どころか、眼鏡の弦が曲がってしまうよ。
「駄目だよ、わがまま言わないの」
「わがままじゃないもん! ねっ、いいでしょ?」
年相応の可愛らしい雰囲気の女の子だ。恐らく、中学生くらいであろうか。
「パパとママはいいって言ってくれたよっ? 嗣くんは迷惑なの?」
「あのねぇ、紬ちゃん……俺たちは兄妹になったけど、元は他人なんだよ。俺は他人をプライベートスペースに入れるのは苦手なんだ」
兄妹。
もしかしてあの子は嗣臣さんのお父さんの再婚相手の連れ子だという…? 女の子だったのか。
お兄ちゃんに憧れて、甘えているのかな? と思ったけど、彼女のその目はそうじゃない。私は実兄にあんな目向けないわ。私と兄は血がつながってる実の兄妹だからかもしれんけど。
「どうして! 嗣くん、紬のこと嫌いなの!?」
「嫌いとかそういう話じゃなくてね?」
嗣臣さんも対処に困っている様子。
彼のあんな顔見るのは新鮮だな……
部屋、か。
そういえば私も嗣臣さんがどんなとこに住んでいるのか知らないな。住所は大雑把に聞いていたけど……
あの女の子押しが強いし、折れて入れちゃうのかな……私は行ったことないのに……
……なんで私こんなにムカムカしてるんだろう。
「──あげはちゃん?」
「!」
「学校帰り? 寄り道してたの?」
堂々と突っ立っていたせいか、嗣臣さんに見つかってしまった。盗み見しているつもりはなかったが、なんだか気まずくなってしまった。
そして新しく出来た妹さんは、嗣臣さんの興味が私に移ったことにムッとした顔をして、私を品定めするようにジロジロ見上げてきた。
「紬ちゃん、まだ明るいから一人で帰れるよね? 俺は彼女を送って帰るから。じゃあね」
「…えっ!?」
「ちょっ…嗣くん!?」とキャンキャン騒いでいる妹さんをその場に放置すると、嗣臣さんは私の手を掴んで先を急いだ。速歩きになっているのはきっと気のせいではないはずである。
……ところで眼鏡はいいのだろうか。さっきの子が手に持ったままだけど……
「…参ったよ、父親の再婚相手の連れ子の子なんだけど、なんか妙に懐かれちゃって」
「…嗣臣さんがイケメンだから恋愛感情抱かれているんじゃないですかー?」
ついついぶっきらぼうな返しをしてしまった。なんか怒っているみたいな声音で……
「……あげはちゃん、ヤキモチ? かわいいね」
「べ、別に妬いてませんけど!?」
可愛くない反応をしている私を可愛いと言って、甘やかな視線を向けてくる嗣臣さん。彼を見上げると、なんだかキラキラ輝いて見えて、胸がきゅうと苦しくなった。
嗣臣さんは私の顔を見て目を細めると足を止めた。そして私の頬を指でそっと撫でる。その指が冷たく感じたのは多分、私の顔が熱くなっているせいだ。
彼は身をかがめると、私の耳元でそっと囁いた。
「あげはちゃんなら家に入れてもいいけど、俺、狼さんになるからね?」
その言葉を理解するまでに少々時間を要した。
数秒時間を置いて理解すると、火が吹きそうなほど顔が熱くなった。
「なっなっなっ…! 不純異性交遊は駄目なんですよ!」
──パシーン!
私は恥ずかしさに耐えかねて嗣臣さんの頬を平手打ちしてしまった。嗣臣さんの足元がふらっとよろける。
「あっ! すみませんつい!」
「うん…いいビンタだったよ……」
いい感じに入ったらしい。嗣臣さんは頬を抑えて苦笑いをしている。
殴ったのは悪かったが、からかう嗣臣さんも悪いんですよ。
お、狼になるって…そんな……
冗談でも心臓に悪い。
「ごめんごめん、からかいすぎちゃった。だけど本気だよ? 俺はいつだってあげはちゃんを歓迎してるからね」
「もう! 黙ってください!」
オープンセクハラやめい!
恥ずかしくて恥ずかしくて私は嗣臣さんをもう一度叩いた。すると彼は吹っ飛んでいった。
嗣臣さんは両頬を赤く腫らしていたが、その表情は妙に満足そうであった。
彼、実はドMなのだろうか…
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第一部完結しました。最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
第二部開始まで今しばらくお待ちください。
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