28 / 75
紅蓮のアゲハの娘は恋を知らない
鈍感なあの子の兄と嗣臣【三人称視点】
しおりを挟む
「嗣臣ぃ、あげはの気持ちが向いてない内はダメだって言ってんだろぉ…?」
「ごめん、つい」
あげはが退室したその後、琥虎と嗣臣がヒソヒソ話…もとい兄による牽制が行われていた。
「グイグイ行くとあげは怖がるからな? アイツ見た目は遊び慣れてそうだけど、その実初心なんだぞ? キスすらしたことないんだぞ?」
「それは知ってる」
嗣臣があげはに好意を抱いていることに気づいていないのはあげはだけである。その本人が筋金入りの鈍感娘なため進展は見られない。
「嗣臣、お前のことはいいヤツだと思うし、大事なダチだけど、あげはを傷つけるようなことは許さねぇからな?」
「…琥虎って意外とシスコンだよね」
「妹を守ってなにか悪いか?」
「ううん、別に」
肩を組んでいた腕を離すと、半開きになった扉に視線を向ける琥虎。あげはの気配が遠くなったことを確認するとため息をついた。
「それにしても嗣臣は年上の女が好きなのだとずっと思ってたんだけどな」
「好みというわけじゃないよ。たまたま、家に泊めてくれるのが大体年上の女性だっただけで。向こうから誘われた事しかないし」
苦笑いして否定する嗣臣には少々耳が痛いお話らしい。彼は少し前まで今以上にやんちゃしていたので、それを指摘されると色々と心に刺さるようである。
「ふぅん…? ま、今は遊んでないみたいだからいいけど……」
──あげはにバレないようにな。余計にこじれるだろうから。
そう琥虎が忠告をすると、嗣臣は肩を竦めていた。
その後階下に降りると、リビングにて好物の花丸プリンを頬張るあげはが嗣臣を瞳に映した瞬間、ぎくりと警戒する仕草を見せたことによって、嗣臣が悪手を踏んだと後悔することになるのであった。
嗣臣のプリンを奉納することでなんとかあげはの意識がプリンに向いたが、それから一週間位あげはにギクシャクされ続けたという。
「ごめん、つい」
あげはが退室したその後、琥虎と嗣臣がヒソヒソ話…もとい兄による牽制が行われていた。
「グイグイ行くとあげは怖がるからな? アイツ見た目は遊び慣れてそうだけど、その実初心なんだぞ? キスすらしたことないんだぞ?」
「それは知ってる」
嗣臣があげはに好意を抱いていることに気づいていないのはあげはだけである。その本人が筋金入りの鈍感娘なため進展は見られない。
「嗣臣、お前のことはいいヤツだと思うし、大事なダチだけど、あげはを傷つけるようなことは許さねぇからな?」
「…琥虎って意外とシスコンだよね」
「妹を守ってなにか悪いか?」
「ううん、別に」
肩を組んでいた腕を離すと、半開きになった扉に視線を向ける琥虎。あげはの気配が遠くなったことを確認するとため息をついた。
「それにしても嗣臣は年上の女が好きなのだとずっと思ってたんだけどな」
「好みというわけじゃないよ。たまたま、家に泊めてくれるのが大体年上の女性だっただけで。向こうから誘われた事しかないし」
苦笑いして否定する嗣臣には少々耳が痛いお話らしい。彼は少し前まで今以上にやんちゃしていたので、それを指摘されると色々と心に刺さるようである。
「ふぅん…? ま、今は遊んでないみたいだからいいけど……」
──あげはにバレないようにな。余計にこじれるだろうから。
そう琥虎が忠告をすると、嗣臣は肩を竦めていた。
その後階下に降りると、リビングにて好物の花丸プリンを頬張るあげはが嗣臣を瞳に映した瞬間、ぎくりと警戒する仕草を見せたことによって、嗣臣が悪手を踏んだと後悔することになるのであった。
嗣臣のプリンを奉納することでなんとかあげはの意識がプリンに向いたが、それから一週間位あげはにギクシャクされ続けたという。
10
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
極道に大切に飼われた、お姫様
真木
恋愛
珈涼は父の組のため、生粋の極道、月岡に大切に飼われるようにして暮らすことになる。憧れていた月岡に甲斐甲斐しく世話を焼かれるのも、教え込まれるように夜ごと結ばれるのも、珈涼はただ恐ろしくて殻にこもっていく。繊細で怖がりな少女と、愛情の伝え方が下手な極道の、すれ違いラブストーリー。
バイトの時間なのでお先に失礼します!~普通科と特進科の相互理解~
スズキアカネ
恋愛
バイト三昧の変わり者な普通科の彼女と、美形・高身長・秀才の三拍子揃った特進科の彼。
何もかもが違う、相容れないはずの彼らの学園生活をハチャメチャに描いた和風青春現代ラブコメ。
◇◆◇
作品の転載転用は禁止です。著作権は放棄しておりません。
DO NOT REPOST.
地味系秘書と氷の副社長は今日も仲良くバトルしてます!
めーぷる
恋愛
見た目はどこにでもいそうな地味系女子の小鳥風音(おどりかざね)が、ようやく就職した会社で何故か社長秘書に大抜擢されてしまう。
秘書検定も持っていない自分がどうしてそんなことに……。
呼び出された社長室では、明るいイケメンチャラ男な御曹司の社長と、ニコリともしない銀縁眼鏡の副社長が風音を待ち構えていた――
地味系女子が色々巻き込まれながら、イケメンと美形とぶつかって仲良くなっていく王道ラブコメなお話になっていく予定です。
ちょっとだけ三角関係もあるかも?
・表紙はかんたん表紙メーカーで作成しています。
・毎日11時に投稿予定です。
・勢いで書いてます。誤字脱字等チェックしてますが、不備があるかもしれません。
・公開済のお話も加筆訂正する場合があります。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
悪役令嬢が漢前すぎる件〜サイクリングで始める異世界アウトドア〜
歩く、歩く。
恋愛
自転車競技の最中、事故により死亡した女性ロードレース選手小坂渚は、乙女ゲームの悪役令嬢アンジェリンに転生していた。
アンジェリンはシナリオ上処刑される運命にあり、このままではバッドエンド確実。そこで彼女はある決意をした。
「どうせ死ぬならもう一度自転車に乗りたい!」
気合と根性で異世界にクロスバイクやマウンテンバイク、ロードバイクを作った彼女は、元レーサーとして異世界に自転車の素晴らしさを伝えていく。
……が、その方法が漢前すぎた。
「朝のドリンクは生卵!自転車乗るなら筋肉付けなさい!」
「馬との競争?自転車でちぎってくれるわ!」
「文句があるなら自転車で語れ、壁は壊して突き進む物よ!」
ワイルドすぎる性格で男キャラはもちろん、主役ヒロインまで虜にした悪役令嬢はバッドエンドを腕力で回避し、自転車中心の異世界アウトドア生活を楽しむことにした。
一夜限りのお相手は
栗原さとみ
恋愛
私は大学3年の倉持ひより。サークルにも属さず、いたって地味にキャンパスライフを送っている。大学の図書館で一人読書をしたり、好きな写真のスタジオでバイトをして過ごす毎日だ。ある日、アニメサークルに入っている友達の亜美に頼みごとを懇願されて、私はそれを引き受けてしまう。その事がきっかけで思いがけない人と思わぬ展開に……。『その人』は、私が尊敬する写真家で憧れの人だった。R5.1月
極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました
白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!
恋愛
早瀬 果歩はごく普通のOL。
あるとき、元カレに酷く振られて、1人でハワイへ傷心旅行をすることに。
そこで逢見 翔というパイロットと知り合った。
翔は果歩に素敵な時間をくれて、やがて2人は一夜を過ごす。
しかし翌朝、翔は果歩の前から消えてしまって……。
**********
●早瀬 果歩(はやせ かほ)
25歳、OL
元カレに酷く振られた傷心旅行先のハワイで、翔と運命的に出会う。
●逢見 翔(おうみ しょう)
28歳、パイロット
世界を飛び回るエリートパイロット。
ハワイへのフライト後、果歩と出会い、一夜を過ごすがその後、消えてしまう。
翌朝いなくなってしまったことには、なにか理由があるようで……?
●航(わたる)
1歳半
果歩と翔の息子。飛行機が好き。
※表記年齢は初登場です
**********
webコンテンツ大賞【恋愛小説大賞】にエントリー中です!
完結しました!
セカンドラブ ー30歳目前に初めての彼が7年ぶりに現れてあの時よりちゃんと抱いてやるって⁉ 【完結】
remo
恋愛
橘 あおい、30歳目前。
干からびた生活が長すぎて、化石になりそう。このまま一生1人で生きていくのかな。
と思っていたら、
初めての相手に再会した。
柚木 紘弥。
忘れられない、初めての1度だけの彼。
【完結】ありがとうございました‼
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる