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勘違いを続ける彼女と彼女が気になる彼。
ねぇそこのお兄さん、私とたこ焼き焼かない?
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私はひと足早く、海の家のたこ焼き販売のバイトをしていた。期間中はオーナーが経営している近くの民宿に住み込みである。相変わらず暑いしきついけど、去年よりも要領よくお仕事をこなせていると思う。
2週間という期間限定のバイトだが、充実した日々を送っていた。
それから数日後、悠木君が遅れて民宿に到着した時、出迎えたオーナーの奥さんがとあることを言った。
「ごめんね、夏生君。先に釘刺しておくけど、ここでいやらしいことはしちゃだめだよ? 傷つくのは女の子なんだからね?」
『男は勢いで女の子と関係を結ぼうとするけど、それはよくない。ちゃんと段階くんで交際を重ねた上で、そういう事をするんだよ』と説明する奥さん。初対面のお姉さんから『ひと夏の火遊びをするな』と性教育を受けている悠木君の顔がどんどん赤くなっていく。
「そんなバカな。悠木君はそんなことしませんて、こう見えて硬派なんですよ彼」
「えっ」
彼が無体な真似なんかするもんか。出会ったばかりの1年前ならわからなかったけど、今の私は君を信じてるよ。
悠木君を庇うべく弁護したのだけど、なぜか彼は私の言葉に驚いていた。なんでそんなにびっくりしてんの。こっちがびっくりだわ。
そうはいっても万が一のことが起きてはいけないからと私はオーナーの奥さんと一緒に寝起きすることになった。
そういうわけで奥さんが心配するようなことが起きるはずがない。そもそも私と悠木君の間で火遊びが起きるわけがない。みんなして心配し過ぎなのだ。
「いらっしゃいませーたこ焼きーたこ焼きはいかがっすかー」
青い空、白い雲、弾ける太陽に熱された砂の上には海水浴に来た水着姿の人々! しかし私はそれを楽しむ余裕すらない。
鉄板の上でジュワジュワ音を立てている生地。空からも地表からも鉄板からも熱を受けている私はクラクラしていた。水分補給しても追いつかない。暑すぎる。いや、それより外でたこ焼き売り歩いている彼のほうが大変かな。
夏はカップル成立が高いのだそう。その理由は薄着になって開放的になるからという理由と、太陽の光にあるらしい。太陽の光を浴びた男性は体内の男性ホルモンが多くなって性欲が増すという研究結果があるのだという。
──しかし、日常から離れて開放的になるであろう夏の海でカラフルな水着ギャルに囲まれているのに、鼻を伸ばすどころか眉間にシワを寄せている男がいた。
「バイトなんかサボって遊ぼうよぉ」
「たこ焼き買わないならどっかに行ってください」
「えーつめたぁい」
この炎天下の下、冷たい発言をしたのは、海辺で最も輝いている男であろう悠木君である。現在彼はたこ焼きパックがのったばんじゅうを首から下げて、水着ギャルたちからナンパされていた。
さもありなんである。だから言ったのになぁ。悠木夏生ジゴロ伝説が真実になっちゃうよ? って。
「じゃあ全部買うから遊ぼ?」
「遊びません」
バイト初日からあんな感じである。だけど逆ナンパされ慣れてるっぽい悠木君はどんな女子が来ても素気なく断っている。
予想通り客寄せパンダになったな、悠木君よ。
バイト業務に関して、私は悠木君に交代でたこ焼きを売り歩こうと提案した。理由は炎天下にある。去年私は熱中症一歩手前まで行ったのだ。たこ焼き焼くのも暑いけど、炎天下で売り歩くのもきついのだ。
しかし、悠木君は自分が売り歩くと言って聞かない。売り歩いてる時に変な男が寄ってきたらどうするんだとか言って。悠木君の妙な圧に負けて、売り子は彼に任せたが…
いや、今まさに女に寄られて囲まれてる悠木君が言えたことじゃないよねってツッコミはすまい。
悠木君が売り歩くとイケメンパワーであっという間にたこ焼き売れるし。去年よりもすごい売上になるかもしれないぞ。もうすでに材料の在庫が足りなくなりそうで、急遽オーナーが発注かけていたし。
「ねぇねぇ、お姉さんここでは毎日働いてるの?」
たこ焼き調理を続けていると、そこに話しかけてくる人がいた。複数人の男性で年は大学生くらいだろうか。
「期間限定ですね」
「女子高生?」
「まぁ」
「休憩いつ?」
これは客じゃないな。まともに相手にするのも無駄である。たこ焼き買わないならどっかに行ってくれないだろうか。
私が淡々とした返事を返していると、後ろから腕が伸びてきた。ぐいっと後ろに抱き寄せられた私はたこ焼き返しを持ったまま固まった。
「あの、商品買わないなら長居しないでもらえますか? 他のお客の迷惑になるので」
悠木君が私をナンパから庇おうとしてくれているらしいけど、別に良かったのに。この程度なら断れば散ってくれると思うし。
夏で海ということで皆開放的になって居るのだ。ナンパのひとつやひとつ、流してやらなければ。
「なんだよ、彼氏付きかよ」
ナンパ男たちは白けた顔をして踵を返した。あっさりと撤退した彼らを見送りながら、私は顎を持ち上げて上を見上げた。
「悠木君、生地が焦げちゃうからそろそろ離して?」
「! ご、ごめん!」
慌てて腕をほどいた悠木君はシュバッと後退りしていた。
庇ってくれたのはありがたいが、鉄板の前だし、私の手には凶器(たこ焼き返し)があるから抱きつくのは危ないよ。
■□■
売れ行きは絶好調だ。
悠木君がちょっと砂浜を歩けば女性客を中心にお買い上げいただけるたこ焼き。追加のたこ焼きパックを首提げばんじゅうの中におさめると悠木君は再び炎天下に出て、たこ焼き販売へ出向こうとしていた。
あまりの暑さにとうとうTシャツを脱いで海パン一枚になった悠木君だが、悠木君は肌が白いから痛い火傷みたいな日焼けの仕方をしそうだ。
「悠木君、日焼け止め塗ったほうがいいよ。待って私の日焼け止め貸してあげるから」
かばんに入れておいた日焼け止めを取り出して、悠木君の手のひらにたっぷり出してあげた。
「背中塗ってあげるね」
「え」
手の届かないところは私が塗ってあげよう。自分の手のひらに出した日焼け止めを手のひらで伸ばしてぺたぺたと彼の背中に塗りつけた。
びくっと彼の肩が揺れる。多分くすぐったいのだろう。
「去年日焼け止め塗っても焼けちゃったから、こまめに塗り直したほうがいいよ」
「……」
悠木君の返事がない。どうしたのかと顔を覗き込めば、悠木君の頬が赤くなっていた。
「あれっどうしたの! 顔が赤いよ!?」
熱中症!? 私が手を伸ばして首の体温を確認しようとしたら、その手をがしりと掴まれた。
「…大丈夫」
「本当に? 無理してない? 私がたこ焼き売りに行ってもいいんだよ?」
「本当に大丈夫」
手のひらに残ったままの日焼け止めをやや乱暴に身体に塗り込んだ彼はばんじゅうを首から下げて海の家から出ていく。その姿はまるで戦場に向かう戦士のようで…
「あれっ夏生先輩じゃないですかぁ!」
そこに飛び込んできたキンキン声で悠木君の足は止まったけども。
「偶然ー! 私達運命で結ばれてるのかもしれませんね!」
フリルたっぷりの可愛らしい水着を着用した美少女…もとい後輩の雨宮さんは沢山の男女を引き連れてこちらに駆け寄ってきた。そしてばんじゅうを支えている悠木君の腕に抱きつくと身体を擦り寄せていた。
雨宮さんは思わぬ出会いに浮かれた顔をしていたのに、後ろに私が居ると気づくとムッとしていた。
「またこの人ですか? 私の誘いを断ったのって、森宮先輩と遊びに行くためだったんですか?」
「ていうか俺、遊んでるんじゃなくて働いてるんだけど」
悠木君は雨宮さんの腕を解いていた。素肌に近い格好で女子に抱きつかれても顔色が変わらないとか……君は本当に男なのか? 多少にやけてもおかしくないというのに、硬派すぎるだろう。
「まさか一緒にバイトしてるんですか!? …この人のどこがいいんですかぁ? 金稼ぎにしか興味のない変人だって聞いてますけどぉ」
1年の中でも私が変人であると噂が流れてるのか……あのね、私は先輩だからね? 面と向かって言うのめちゃくちゃ失礼よ?
「聖良が言うからどんな女かと思ったら、普通じゃん」
「敵にもならんでしょ」
雨宮さんの同行者に顔をまじまじ見られたと思えば普通認定を受ける。
普通の何が悪い! あんたらも化粧落としたら普通顔なんだろう! それを雨宮さんなら言われても仕方ないけども! 天然美人しかそれを言ってはいけないよ!
「森宮はかわいいよ!」
普通コールに対抗するがごとく、悠木君が声を張り上げた。
「う、うん、ありがとう?」
食い気味に言われてびっくりした私は目を丸くしてどもりながら返事をする。
い、いいんだよ悠木君、慰めなくても。私が普通なのは自他共認められたことだからね。ブスって言われたわけじゃないから平気だよ。
「えぇ? 先輩、私のほうがかわいいでしょう?」
雨宮さんは気に入らないらしく対抗してくる。
うんうんかわいい。誰に聞いても雨宮さんに軍配が上がるよきっと。
「うるさい。そいつら連れてどっかいけ。営業妨害」
しかし美女を見慣れている悠木君は雨宮さんを冷たく見下ろすと、追い払っていた。
「ひどっそんなこと言うんだー!」
雨宮さんの憤慨する声が夏の空の下で響き渡る。
…いやぁ。悠木君の周りはいつも賑やかだなぁ……
目を眇めて青い空を見上げた私は呟く。
「たこ焼き作ろ」
こんなことしてないで働かなきゃ。
たこ焼き売りまくって特別ボーナスゲットするんだ。
2週間という期間限定のバイトだが、充実した日々を送っていた。
それから数日後、悠木君が遅れて民宿に到着した時、出迎えたオーナーの奥さんがとあることを言った。
「ごめんね、夏生君。先に釘刺しておくけど、ここでいやらしいことはしちゃだめだよ? 傷つくのは女の子なんだからね?」
『男は勢いで女の子と関係を結ぼうとするけど、それはよくない。ちゃんと段階くんで交際を重ねた上で、そういう事をするんだよ』と説明する奥さん。初対面のお姉さんから『ひと夏の火遊びをするな』と性教育を受けている悠木君の顔がどんどん赤くなっていく。
「そんなバカな。悠木君はそんなことしませんて、こう見えて硬派なんですよ彼」
「えっ」
彼が無体な真似なんかするもんか。出会ったばかりの1年前ならわからなかったけど、今の私は君を信じてるよ。
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青い空、白い雲、弾ける太陽に熱された砂の上には海水浴に来た水着姿の人々! しかし私はそれを楽しむ余裕すらない。
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夏はカップル成立が高いのだそう。その理由は薄着になって開放的になるからという理由と、太陽の光にあるらしい。太陽の光を浴びた男性は体内の男性ホルモンが多くなって性欲が増すという研究結果があるのだという。
──しかし、日常から離れて開放的になるであろう夏の海でカラフルな水着ギャルに囲まれているのに、鼻を伸ばすどころか眉間にシワを寄せている男がいた。
「バイトなんかサボって遊ぼうよぉ」
「たこ焼き買わないならどっかに行ってください」
「えーつめたぁい」
この炎天下の下、冷たい発言をしたのは、海辺で最も輝いている男であろう悠木君である。現在彼はたこ焼きパックがのったばんじゅうを首から下げて、水着ギャルたちからナンパされていた。
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「じゃあ全部買うから遊ぼ?」
「遊びません」
バイト初日からあんな感じである。だけど逆ナンパされ慣れてるっぽい悠木君はどんな女子が来ても素気なく断っている。
予想通り客寄せパンダになったな、悠木君よ。
バイト業務に関して、私は悠木君に交代でたこ焼きを売り歩こうと提案した。理由は炎天下にある。去年私は熱中症一歩手前まで行ったのだ。たこ焼き焼くのも暑いけど、炎天下で売り歩くのもきついのだ。
しかし、悠木君は自分が売り歩くと言って聞かない。売り歩いてる時に変な男が寄ってきたらどうするんだとか言って。悠木君の妙な圧に負けて、売り子は彼に任せたが…
いや、今まさに女に寄られて囲まれてる悠木君が言えたことじゃないよねってツッコミはすまい。
悠木君が売り歩くとイケメンパワーであっという間にたこ焼き売れるし。去年よりもすごい売上になるかもしれないぞ。もうすでに材料の在庫が足りなくなりそうで、急遽オーナーが発注かけていたし。
「ねぇねぇ、お姉さんここでは毎日働いてるの?」
たこ焼き調理を続けていると、そこに話しかけてくる人がいた。複数人の男性で年は大学生くらいだろうか。
「期間限定ですね」
「女子高生?」
「まぁ」
「休憩いつ?」
これは客じゃないな。まともに相手にするのも無駄である。たこ焼き買わないならどっかに行ってくれないだろうか。
私が淡々とした返事を返していると、後ろから腕が伸びてきた。ぐいっと後ろに抱き寄せられた私はたこ焼き返しを持ったまま固まった。
「あの、商品買わないなら長居しないでもらえますか? 他のお客の迷惑になるので」
悠木君が私をナンパから庇おうとしてくれているらしいけど、別に良かったのに。この程度なら断れば散ってくれると思うし。
夏で海ということで皆開放的になって居るのだ。ナンパのひとつやひとつ、流してやらなければ。
「なんだよ、彼氏付きかよ」
ナンパ男たちは白けた顔をして踵を返した。あっさりと撤退した彼らを見送りながら、私は顎を持ち上げて上を見上げた。
「悠木君、生地が焦げちゃうからそろそろ離して?」
「! ご、ごめん!」
慌てて腕をほどいた悠木君はシュバッと後退りしていた。
庇ってくれたのはありがたいが、鉄板の前だし、私の手には凶器(たこ焼き返し)があるから抱きつくのは危ないよ。
■□■
売れ行きは絶好調だ。
悠木君がちょっと砂浜を歩けば女性客を中心にお買い上げいただけるたこ焼き。追加のたこ焼きパックを首提げばんじゅうの中におさめると悠木君は再び炎天下に出て、たこ焼き販売へ出向こうとしていた。
あまりの暑さにとうとうTシャツを脱いで海パン一枚になった悠木君だが、悠木君は肌が白いから痛い火傷みたいな日焼けの仕方をしそうだ。
「悠木君、日焼け止め塗ったほうがいいよ。待って私の日焼け止め貸してあげるから」
かばんに入れておいた日焼け止めを取り出して、悠木君の手のひらにたっぷり出してあげた。
「背中塗ってあげるね」
「え」
手の届かないところは私が塗ってあげよう。自分の手のひらに出した日焼け止めを手のひらで伸ばしてぺたぺたと彼の背中に塗りつけた。
びくっと彼の肩が揺れる。多分くすぐったいのだろう。
「去年日焼け止め塗っても焼けちゃったから、こまめに塗り直したほうがいいよ」
「……」
悠木君の返事がない。どうしたのかと顔を覗き込めば、悠木君の頬が赤くなっていた。
「あれっどうしたの! 顔が赤いよ!?」
熱中症!? 私が手を伸ばして首の体温を確認しようとしたら、その手をがしりと掴まれた。
「…大丈夫」
「本当に? 無理してない? 私がたこ焼き売りに行ってもいいんだよ?」
「本当に大丈夫」
手のひらに残ったままの日焼け止めをやや乱暴に身体に塗り込んだ彼はばんじゅうを首から下げて海の家から出ていく。その姿はまるで戦場に向かう戦士のようで…
「あれっ夏生先輩じゃないですかぁ!」
そこに飛び込んできたキンキン声で悠木君の足は止まったけども。
「偶然ー! 私達運命で結ばれてるのかもしれませんね!」
フリルたっぷりの可愛らしい水着を着用した美少女…もとい後輩の雨宮さんは沢山の男女を引き連れてこちらに駆け寄ってきた。そしてばんじゅうを支えている悠木君の腕に抱きつくと身体を擦り寄せていた。
雨宮さんは思わぬ出会いに浮かれた顔をしていたのに、後ろに私が居ると気づくとムッとしていた。
「またこの人ですか? 私の誘いを断ったのって、森宮先輩と遊びに行くためだったんですか?」
「ていうか俺、遊んでるんじゃなくて働いてるんだけど」
悠木君は雨宮さんの腕を解いていた。素肌に近い格好で女子に抱きつかれても顔色が変わらないとか……君は本当に男なのか? 多少にやけてもおかしくないというのに、硬派すぎるだろう。
「まさか一緒にバイトしてるんですか!? …この人のどこがいいんですかぁ? 金稼ぎにしか興味のない変人だって聞いてますけどぉ」
1年の中でも私が変人であると噂が流れてるのか……あのね、私は先輩だからね? 面と向かって言うのめちゃくちゃ失礼よ?
「聖良が言うからどんな女かと思ったら、普通じゃん」
「敵にもならんでしょ」
雨宮さんの同行者に顔をまじまじ見られたと思えば普通認定を受ける。
普通の何が悪い! あんたらも化粧落としたら普通顔なんだろう! それを雨宮さんなら言われても仕方ないけども! 天然美人しかそれを言ってはいけないよ!
「森宮はかわいいよ!」
普通コールに対抗するがごとく、悠木君が声を張り上げた。
「う、うん、ありがとう?」
食い気味に言われてびっくりした私は目を丸くしてどもりながら返事をする。
い、いいんだよ悠木君、慰めなくても。私が普通なのは自他共認められたことだからね。ブスって言われたわけじゃないから平気だよ。
「えぇ? 先輩、私のほうがかわいいでしょう?」
雨宮さんは気に入らないらしく対抗してくる。
うんうんかわいい。誰に聞いても雨宮さんに軍配が上がるよきっと。
「うるさい。そいつら連れてどっかいけ。営業妨害」
しかし美女を見慣れている悠木君は雨宮さんを冷たく見下ろすと、追い払っていた。
「ひどっそんなこと言うんだー!」
雨宮さんの憤慨する声が夏の空の下で響き渡る。
…いやぁ。悠木君の周りはいつも賑やかだなぁ……
目を眇めて青い空を見上げた私は呟く。
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