66 / 66
番外編
無意識のうちに初恋泥棒になってしまいましたわ!【完】
しおりを挟む
翌朝、ヴィックは使用人一同へ帰国することを告げた。
その為、朝から使用人たちが帰国準備にバタバタしていると、その話を聞きつけてきた国王がわざわざお部屋までお出ましした。
『大公殿、今日帰国すると…急ではないか?』
『ここにいても得られるものはありませんので』
見切りをつけた言葉に国王は青ざめていた。
いやもう、挽回できることないでしょう? 何とかなると思っていたの?
突っ込みたいけど、突っ込むまい。揚げ足取りされたくないし、私の発言でヴィックの足を引っ張る恐れもあるから。
『今後はダーギル王子に支援物資の管理をさせるように。あぁ、それと定期購入している鉱石の取引窓口も彼にしてくれ』
ヴィックの口から飛び出してきた言葉に私は怪訝な顔をしてしまった。
『──ダーギル王子同席のもとで調べた帳簿に不明な点がいくつか見受けられた。まともに計算できないものは外したほうがいい』
聞き間違いじゃなかった。
ヴィックは今後の取引関係はダーギル王子を介してでなくては行わないと言っているのだ。
『しかし、ダーギルは』
『我が国と彼は一度いざこざはあった。が、実際に自国のことを一番憂いている王族のようだからな』
それは明確な皮肉であろう。
目の前の国王は国のことを考えていない愚王だとヴィックは揶揄している。
相手がキレて攻撃してこないか私は冷や冷やしていたが、ヴィックはどこ吹く風のようだった。
『適正かつ公平に頼むよ、ダーギル王子』
ヴィックの発言をすべて聞いても理解できなかったらしいダーギル王子は間抜けな面を晒していた。
そうそう。朝からヴィックに引っ張り込まれて、王宮内の書類や取引関係の書類を突き合わせてやいやい言い合っていたからずっとここにいたんだよね。
「ダーギル王子、私が貴様を殺したり王子の称号剥奪を求めなかった理由を知ってるか?」
ハイドラート語から突然の母国語への切り替えに私は目を丸くした。
その問いかけにダーギル王子は過去の己の過ちを思い出して渋い表情を浮かべている。
王子の表情を見たヴィックは小さく鼻を鳴らすと、肩をすくめた。
「貴様はやり方を間違えた。リゼットを手に掛けようとしたことは今でも許せない。だが、貴様には国民を守りたいという意志があったから踏みとどまったのだ」
初耳だ。
あの時ヴィックは殺意MAXに見えたし、周りの人に説得されたから息の根を止めなかったのだと思っていたけど、実際にはそうじゃなかったのか。
「第23王子なんて微妙な地位に甘えてないで登り詰めろ。民を救いたいのだろう」
まるでダーギル王子に国王の座を奪えと発破かけているように聞こえる。
ダーギル王子はうちの大陸の言語も堪能だけど、他の王族はそこまでだ。だから他の人にはわかりにくいようにわざと言語を切り替えたのだろう。王位争いが絶えないこの国だからこそ。
ヴィックからの激励にダーギル王子は顔をくしゃっとさせていた。
「簡単に言ってくれるじゃねぇか。最初から将来が約束されてた大公様がよぉ」
「そうでもない。横から簒奪された経験があるから言えることだ」
軽口にも似ているが、ヴィックの言葉は重い。
ヴィックはいろんなものを失い、命を懸けて国を取り戻した。だからこそダーギル王子に響いたのかもしれない。小さくうなずくことで返事していた。
「私の期待を裏切るなよ」
「若造が。偉そうな口を叩きやがって」
ヴィックとダーギル王子のやり取りは国王や他の王宮関係者にはさっぱりだったようだ。ダーギル王子が危険視されている空気は一切なかった。
まぁ誰もかれもが語学堪能ってわけにはいかないだろうから仕方ないのかな。
内緒話を堂々とできるというこちら側のメリットはあるかもしれない。
追いすがろうとする国王をスルーして、私たちエーゲシュトランド一行は帰国の準備を整えた。
「今回は少しだけ助けられたね、ありがと。まぁ私を殺しかけたことは許さないけどね!」
「うるせぇ。さっさと帰れ帰れ」
律儀にも見送りに来たダーギル王子に、部屋を手配してもらったことについてのお礼を言おうとしたら、シッシッとあしらわれた。
「リゼット、おいで」
なんだと、と噛みつこうとしたら、先にラクダに騎乗していたヴィックに手を差し伸べられたので、彼とラクダ使いの手を借りてラクダの背に乗った。
港までの長旅だ。行きよりもさらに防備して移動する。
滞在中に慣れるかなと思ったけど、やっぱりこの暑さは応える。めっきり食欲がなくなって食べてないせいで体力が落ちている可能性も否めない。しかもこの後私の苦手な船旅も待っている。私は無事帰国できるだろうかと別の意味で心配になった。
『公妃様ー!』
『どこに行くのー?』
ラクダで移動していると、市場付近に住んでいたスラムの子どもたちが駆け寄ってきたので、一旦ラクダの足を止めてもらい、子どもたちに帰国することを告げた。
すると子どもたちはそろって残念そうな表情をしていた。もうサツマイモが食べられないからがっかりしているのだろう。ごめんね。
『これからは第23王子が何とかしてくれるからね』
すぐには、って訳にはいかないけど、きっと以前よりもマシな生活が送れると信じている。
ラクダに騎乗したまま、みんなに手を振って別れの言葉を告げていると、泣きそうな顔をしたあの少年と目が合った。
『────!!』
大声で叫ばれた言葉。
私はきょとんとする。
習っていない単語だったから。
彼は腕で目を擦りながらダッとどこかへ走り去ってしまった。
「お別れの挨拶してくれたのかな?」
別れが悲しくなるほど懐いてくれていたのかなとほのぼのしながら後ろに乗っている旦那様に視線を向けると、彼は無表情で少年の背を目で見送っていた。
え、なにその反応。
「なんて言ってたの? 悪口とかじゃないよね?」
もしも悪口なら私は悲しい。
結構慕ってくれていると思っていたのに…綺麗な石だってくれたしさ。
「愛の告白をされたんだよ」
感情を見せない平坦な声で言われた言葉に私は一瞬理解が追い付かなかった。
「あなたが好きですと言っていた」
ヴィックは冗談を言う人ではない。
きっと本当のことを言っているんだ。
「え、こ、子どもだよ? お姉さん大好きって感じの軽い意味合いよね?」
「違う。男が愛する女性に贈る言葉で間違いない。あの少年はリゼットに恋をしたんだ」
こ、恋…?
懇切丁寧に説明された私は更に衝撃を受けた。
一人の少年の初恋を奪ってしまったのだろうか、私は。
告白されて微笑ましいとか嬉しいを通り越して、なんというか罪な気持ちに陥っていると、おもむろにヴィックが唇を奪ってきた。
「君は私の奥さんなんだからね?」
念押しするように言われた言葉に私は我に返って、ぷふっと吹き出してしまった。
またこの人小学生くらいの男児に嫉妬してるし!
私が笑ったことが気に入らないのか、ヴィックはムスッとしていた。
大公様が子どもみたいにいじけちゃって。
「わかってるよ。私の旦那様」
へそを曲げた彼をなだめるようにキスをし返すと、ヴィックは「もっと」とキスをせがんできた。
どうした、今日は甘えたモードなのか。
帰りの砂漠道では何の問題もなく港まで到着し、船では安定の船酔い地獄だった。もう船には乗りたくない。
今回の視察旅で私だけがごっそり痩せてしまって、無事に帰国した後は体重増量メニューが課せられて太れと圧力をかけられる羽目になった。
体の頑丈さには自信があったのに、不甲斐ない…。
持ち帰った隕石をエーゲシュトランド公国の専門機関に持ち込んで詳しく調べてもらったその結果、やはり例の隕石からはやはりパラサイト隕石・ペリドットが出てきたではないか。
国の宝石製造技術者に頼んで、熱加工すると透明度が増してとても美しい色に変化した。
一つの可能性を賭けて、私はそれを大々的にお披露目した。
【空から降ってきた奇跡の星のかけら】
と銘打って、オークション販売したら高価な値段で買い取られた。
こうして物珍しく美しいペリドットには希少価値が出たのだ。
なのでヴィックを介してその事をダーギル王子に手紙で伝えてもらった。
ハイドラート現地の人の口ぶりでは、隕石が過去に複数落ちてきたのだと思われる。
よって砂漠にはまた隕石が埋まっていると考えられるので加工してうまく販売すれば、いい収入源になるよと。
あの隕石は災厄なんかではない。富をもたらす石なんだと。
とはいえ、今回は他の国のことに踏み込みすぎたので、お節介はここまでにしておいた。
これからはダーギル王子の手腕の見せ所だと思われる。
あの少年に貰った石はそのままの形で保管している。
磨かなくても十分に綺麗な石だから加工するのが勿体なく感じたのだ。
宝石でも、ただの石だとしてもどっちでもよかった。
彼の感謝の気持ちがこもった、私の宝物になったから。
その為、朝から使用人たちが帰国準備にバタバタしていると、その話を聞きつけてきた国王がわざわざお部屋までお出ましした。
『大公殿、今日帰国すると…急ではないか?』
『ここにいても得られるものはありませんので』
見切りをつけた言葉に国王は青ざめていた。
いやもう、挽回できることないでしょう? 何とかなると思っていたの?
突っ込みたいけど、突っ込むまい。揚げ足取りされたくないし、私の発言でヴィックの足を引っ張る恐れもあるから。
『今後はダーギル王子に支援物資の管理をさせるように。あぁ、それと定期購入している鉱石の取引窓口も彼にしてくれ』
ヴィックの口から飛び出してきた言葉に私は怪訝な顔をしてしまった。
『──ダーギル王子同席のもとで調べた帳簿に不明な点がいくつか見受けられた。まともに計算できないものは外したほうがいい』
聞き間違いじゃなかった。
ヴィックは今後の取引関係はダーギル王子を介してでなくては行わないと言っているのだ。
『しかし、ダーギルは』
『我が国と彼は一度いざこざはあった。が、実際に自国のことを一番憂いている王族のようだからな』
それは明確な皮肉であろう。
目の前の国王は国のことを考えていない愚王だとヴィックは揶揄している。
相手がキレて攻撃してこないか私は冷や冷やしていたが、ヴィックはどこ吹く風のようだった。
『適正かつ公平に頼むよ、ダーギル王子』
ヴィックの発言をすべて聞いても理解できなかったらしいダーギル王子は間抜けな面を晒していた。
そうそう。朝からヴィックに引っ張り込まれて、王宮内の書類や取引関係の書類を突き合わせてやいやい言い合っていたからずっとここにいたんだよね。
「ダーギル王子、私が貴様を殺したり王子の称号剥奪を求めなかった理由を知ってるか?」
ハイドラート語から突然の母国語への切り替えに私は目を丸くした。
その問いかけにダーギル王子は過去の己の過ちを思い出して渋い表情を浮かべている。
王子の表情を見たヴィックは小さく鼻を鳴らすと、肩をすくめた。
「貴様はやり方を間違えた。リゼットを手に掛けようとしたことは今でも許せない。だが、貴様には国民を守りたいという意志があったから踏みとどまったのだ」
初耳だ。
あの時ヴィックは殺意MAXに見えたし、周りの人に説得されたから息の根を止めなかったのだと思っていたけど、実際にはそうじゃなかったのか。
「第23王子なんて微妙な地位に甘えてないで登り詰めろ。民を救いたいのだろう」
まるでダーギル王子に国王の座を奪えと発破かけているように聞こえる。
ダーギル王子はうちの大陸の言語も堪能だけど、他の王族はそこまでだ。だから他の人にはわかりにくいようにわざと言語を切り替えたのだろう。王位争いが絶えないこの国だからこそ。
ヴィックからの激励にダーギル王子は顔をくしゃっとさせていた。
「簡単に言ってくれるじゃねぇか。最初から将来が約束されてた大公様がよぉ」
「そうでもない。横から簒奪された経験があるから言えることだ」
軽口にも似ているが、ヴィックの言葉は重い。
ヴィックはいろんなものを失い、命を懸けて国を取り戻した。だからこそダーギル王子に響いたのかもしれない。小さくうなずくことで返事していた。
「私の期待を裏切るなよ」
「若造が。偉そうな口を叩きやがって」
ヴィックとダーギル王子のやり取りは国王や他の王宮関係者にはさっぱりだったようだ。ダーギル王子が危険視されている空気は一切なかった。
まぁ誰もかれもが語学堪能ってわけにはいかないだろうから仕方ないのかな。
内緒話を堂々とできるというこちら側のメリットはあるかもしれない。
追いすがろうとする国王をスルーして、私たちエーゲシュトランド一行は帰国の準備を整えた。
「今回は少しだけ助けられたね、ありがと。まぁ私を殺しかけたことは許さないけどね!」
「うるせぇ。さっさと帰れ帰れ」
律儀にも見送りに来たダーギル王子に、部屋を手配してもらったことについてのお礼を言おうとしたら、シッシッとあしらわれた。
「リゼット、おいで」
なんだと、と噛みつこうとしたら、先にラクダに騎乗していたヴィックに手を差し伸べられたので、彼とラクダ使いの手を借りてラクダの背に乗った。
港までの長旅だ。行きよりもさらに防備して移動する。
滞在中に慣れるかなと思ったけど、やっぱりこの暑さは応える。めっきり食欲がなくなって食べてないせいで体力が落ちている可能性も否めない。しかもこの後私の苦手な船旅も待っている。私は無事帰国できるだろうかと別の意味で心配になった。
『公妃様ー!』
『どこに行くのー?』
ラクダで移動していると、市場付近に住んでいたスラムの子どもたちが駆け寄ってきたので、一旦ラクダの足を止めてもらい、子どもたちに帰国することを告げた。
すると子どもたちはそろって残念そうな表情をしていた。もうサツマイモが食べられないからがっかりしているのだろう。ごめんね。
『これからは第23王子が何とかしてくれるからね』
すぐには、って訳にはいかないけど、きっと以前よりもマシな生活が送れると信じている。
ラクダに騎乗したまま、みんなに手を振って別れの言葉を告げていると、泣きそうな顔をしたあの少年と目が合った。
『────!!』
大声で叫ばれた言葉。
私はきょとんとする。
習っていない単語だったから。
彼は腕で目を擦りながらダッとどこかへ走り去ってしまった。
「お別れの挨拶してくれたのかな?」
別れが悲しくなるほど懐いてくれていたのかなとほのぼのしながら後ろに乗っている旦那様に視線を向けると、彼は無表情で少年の背を目で見送っていた。
え、なにその反応。
「なんて言ってたの? 悪口とかじゃないよね?」
もしも悪口なら私は悲しい。
結構慕ってくれていると思っていたのに…綺麗な石だってくれたしさ。
「愛の告白をされたんだよ」
感情を見せない平坦な声で言われた言葉に私は一瞬理解が追い付かなかった。
「あなたが好きですと言っていた」
ヴィックは冗談を言う人ではない。
きっと本当のことを言っているんだ。
「え、こ、子どもだよ? お姉さん大好きって感じの軽い意味合いよね?」
「違う。男が愛する女性に贈る言葉で間違いない。あの少年はリゼットに恋をしたんだ」
こ、恋…?
懇切丁寧に説明された私は更に衝撃を受けた。
一人の少年の初恋を奪ってしまったのだろうか、私は。
告白されて微笑ましいとか嬉しいを通り越して、なんというか罪な気持ちに陥っていると、おもむろにヴィックが唇を奪ってきた。
「君は私の奥さんなんだからね?」
念押しするように言われた言葉に私は我に返って、ぷふっと吹き出してしまった。
またこの人小学生くらいの男児に嫉妬してるし!
私が笑ったことが気に入らないのか、ヴィックはムスッとしていた。
大公様が子どもみたいにいじけちゃって。
「わかってるよ。私の旦那様」
へそを曲げた彼をなだめるようにキスをし返すと、ヴィックは「もっと」とキスをせがんできた。
どうした、今日は甘えたモードなのか。
帰りの砂漠道では何の問題もなく港まで到着し、船では安定の船酔い地獄だった。もう船には乗りたくない。
今回の視察旅で私だけがごっそり痩せてしまって、無事に帰国した後は体重増量メニューが課せられて太れと圧力をかけられる羽目になった。
体の頑丈さには自信があったのに、不甲斐ない…。
持ち帰った隕石をエーゲシュトランド公国の専門機関に持ち込んで詳しく調べてもらったその結果、やはり例の隕石からはやはりパラサイト隕石・ペリドットが出てきたではないか。
国の宝石製造技術者に頼んで、熱加工すると透明度が増してとても美しい色に変化した。
一つの可能性を賭けて、私はそれを大々的にお披露目した。
【空から降ってきた奇跡の星のかけら】
と銘打って、オークション販売したら高価な値段で買い取られた。
こうして物珍しく美しいペリドットには希少価値が出たのだ。
なのでヴィックを介してその事をダーギル王子に手紙で伝えてもらった。
ハイドラート現地の人の口ぶりでは、隕石が過去に複数落ちてきたのだと思われる。
よって砂漠にはまた隕石が埋まっていると考えられるので加工してうまく販売すれば、いい収入源になるよと。
あの隕石は災厄なんかではない。富をもたらす石なんだと。
とはいえ、今回は他の国のことに踏み込みすぎたので、お節介はここまでにしておいた。
これからはダーギル王子の手腕の見せ所だと思われる。
あの少年に貰った石はそのままの形で保管している。
磨かなくても十分に綺麗な石だから加工するのが勿体なく感じたのだ。
宝石でも、ただの石だとしてもどっちでもよかった。
彼の感謝の気持ちがこもった、私の宝物になったから。
10
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~
ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。
しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。
やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。
そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。
そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。
これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
捨てられた地味な王宮修復師(実は有能)、強面辺境伯の栄養管理で溺愛され、辺境を改革する ~王都の貴重な物が失われても知りませんよ?~
水上
恋愛
「カビ臭い地味女」と王太子に婚約破棄された王宮修復師のリディア。
彼女の芸術に関する知識と修復師としての技術は、誰からも必要性を理解されていなかった。
失意の中、嫁がされたのは皆から恐れられる強面辺境伯ジェラルドだった!
しかし恐ろしい噂とは裏腹に、彼はリディアの不健康を見逃せない超・過保護で!?
絶品手料理と徹底的な体調管理で、リディアは心身ともに美しく再生していく。
一方、彼女を追放した王都では、貴重な物が失われたり、贋作騒動が起きたりとパニックになり始めて……。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる