37 / 66
公妃になるなんて無茶難題過ぎます。
好きな人に求められたら応えてしまいますわ。(※R18)
しおりを挟む
メイドさんにお世話された私はいつものようにベッドに入り込んで寝たふりをして、完全に彼女たちが下がったのを確認するとベッドからこっそり抜け出した。
ヴィックから寝る前に一人で部屋に来るようにと言われたので、大切な話とはなんだろうと首を傾げながらヴィックの寝室にこっそり入った。私が入ってきた気配に気づいたのだろう。もうすっかりおやすみスタイルのヴィックが私を見て優しく微笑んだ。
あっ、髪の毛結ばずにおろしてる。薄い金色の髪がランプ明かりに照らされてキラキラ輝いて綺麗だ。夜ってことで妖しげな色気を纏っているように感じるのは目の錯覚だろうか。
無防備な寝間着姿の彼を直視した私はなんだか落ち着かなくて出入り口付近で突っ立ったままもじもじしつつ「大切な話って、なに?」と問いかけた。
「そんなところに立ってないで、こっちにおいでリゼット」
ついこの間先生やメイドたちに叱られた私としては、一定の距離を保ったほうが自分の理性を守れると思ったんだけど、そう言われたら彼の座っているベッドまで近づくしかあるまい。もしかしたら人に聞かれたらまずい話なのかもしれないし…
ヴィックの前に立つと、彼は手を伸ばして私の両手をそっと掴んだ。
「今日は災難だったね、リゼット」
「あぁ…うん」
もしかしたら私が落ち込んでると気遣ってくれているのかな。私らしくもなく泣いちゃったし、ヴィックは心から心配してくれているのかもしれない。
「髪飾りは残念なことになったけど、中央のペリドットだけは無事だった。前と同じに、とはいかないだろうけどペリドットを再利用してまた作ってもらうように明日にでもお姉さんにお願いしに行こう。材料が足りないのであればこちらで輸入の手続きをする」
「そこまでしてくれて…なんかごめんね」
周りからしてみたら、他に沢山アクセサリーがあるのになんで髪飾りにそこまで? って思われても仕方ないのに、彼はここまで心砕いてくれるのか。それが申し訳なく思いつつも嬉しい。
「大切なものはその人にしかわからない。周りが大したものじゃないと判断しても、本人にとってはものすごく大切だって事はよくある。私はリゼットの憂い顔は見たくない。笑顔になってほしいんだ。その為なら労力なんて惜しくないよ」
くいっと引かれた手。私は引っ張られてヴィックの隣にぽすんと腰掛ける。ベッドのスプリングが小さく軋んだ。
──夜遅くに未婚の男女がベッドの上で二人きりってのはとてもまずいと思うのだが、腰を引き寄せられてぴっとりくっついてしまうと私は何も言えなくなった。ランプ明かりで照らされた金色の髪が透けて見える。まつげも金色であぁまつげ長いな、綺麗だなとうっとりしてしまうのだ。
あ…だめだ私の脆弱な理性が早くも崩壊しそうになっている。ヴィックのお色気すごい…私は女として負けてるんじゃなかろうか…。
「それと、非常識なあのメイドには辞表を出させて辞めさせることにしたから。メイド長からそのように報告も受けてる。推薦先にもこれから苦情を申し立てるつもりだ」
「あ。そうなんだ…」
これまたあっさりとした報告である。ハンナ・コールは私の髪飾りを壊した以外にも色々やらかしてきたけど、今日のことが決定打になったみたい。
別に彼女のことは同情しない。庇うつもりもない。むしろ彼女の神経がものすごいとは思うんだけどね。彼女のしてることは貧富関係なく非常識だと思うんだ。世の中のメイド協会ってのはああ言う人に推薦状を書くくらいレベル低いのかなぁ…。ちなみにまだ彼女のスパイ容疑が消えたわけじゃなさそうである。
「あのメイドはリゼットとぶつかって階段から落とそうとした時点で解雇を命じたかったんだけど、あそこでリゼットが許しちゃったから私としてもなにも言えなくなったんだ」
「そうだったんだ…ごめんね、大げさにしたくなかったから…」
変なところでお人好しな面を出してしまった私も悪かった。ごめんなさい。
「今度は協会の推薦ではなくもっと身元がはっきりした人間を雇い入れるべきなのかもね。リゼットも女主人としてそれに関わることが増えるから今のうちにちゃんと学ぶんだよ」
「はい…」
今回のことで元々なかった自信が更になくなりましたけどね。
またああいう人が入ってきたら私はちゃんと注意できるだろうか…
「それと今度、君のウェディングドレスの為に腕利きの仕立て屋を招くことになったから、そのつもりでね」
「う…ん? え、もう?」
もうドレス作るの? 早くない? こっちに来てまだ一年も経ってないのに……ヴィックは私が14で縁談を持ちかけられたって話を聞いた時『早い!』って驚いていたんだ。周りも15歳の私を子ども扱いするからもっと年が行ってから結婚するものだと思っていた。
「むしろ遅いほうだよ。早く君を私の妻にしたい」
彼はそう囁くと私の目元にチュッチュとキスの雨を降らせてきた。私は目をつぶってキスを受け止める。そのキスが唇に降りてきていつものようにキスをされていると、なんだかぐっと身体を押された。
ヴィック、体重かけないでよ重い。私は体中に力を込めて倒れないように耐えた。背筋が重さに耐えきれずプルプルしている。
「…リゼット、力を抜いて」
一旦唇を離したヴィックに注意されたが、私は首を横に振った。
「力抜いたら倒れちゃうでしょうが!」
なぜ私を押すのだ。私はここに話を聞きに来たんだぞ!?
「いやいや大切な話は?」
「終わったよ?」
「これで終わり!?」
内容がこれなら日中でも良くなかった?
倒れそうな身体を押し返して攻防を繰り広げていたが、悲しいかな。いくら野生児と定評のある私でも男の力には敵わなかった。ぽふりと柔らかい寝具に倒されてしまう。
──私を組み敷くヴィックを見上げた時悟った。
なるほど、このために呼んだってわけですか……
「ま、待って、ヴィックあのね」
「待たないよ」
ヴィックの目は本気だった。私はあっという間に寝間着のネグリジェを乱され、ヴィックに翻弄されてしまったのである。
□■□
「あぁ…ん、あ」
広い広い寝室には私のはしたない喘ぎ声が響いていた。こんなに声を出したら使用人の誰かに気づかれてしまうかもしれないのに、声を抑えようとするとヴィックが私を更に啼かせようとするのだ。
可愛いねと私を愛でるヴィックの声が私の神経を鋭くさせて余計に感じてしまう。乱されたネグリジェはもうお腹に引っかかっているだけで、上半身と下半身を覆っていない。私の丸い胸に吸い付くヴィックも下半身だけ着ているだけで上半身は服を脱ぎ去っている。
もう季節は冬だ。暖炉の火も弱まった今では布団をかぶらないと寒いはずなのだが、今は布団を払いたいくらい暑い。私もヴィックも体温上昇していて布団の中が熱帯状態なのだ。
「ひ、」
ヴィックの空いていた手がするりと太ももを撫でた。ドロワーズすら身にまとっていない私の下肢に直接触れた彼の指が一箇所で止まると、そこをぬるりと撫でられた。──意識していないうちにそこは濡れていたようで私は恥ずかしくてぎゅっと足を閉じた。
「大丈夫、怖くないよ」
私の耳元で囁かれた声にゾクッと身体が震えた。裂陰を撫でるようにぬるぬるとヴィックの指が行き来する。彼の手の動きに反応して私の腰が揺れた。
「んあっ…!」
時折ある一箇所を弾かれると下半身から脳天に向かって白い電流が駆け巡ってきて、何がなんだかわからなくなる。私が喘ぐ姿をヴィックはうっとりした顔で眺めていた。
私が感じている姿を楽しんでいるのだろう。濡れた指先で執拗にそこを優しく撫でられると、喘ぎ声を抑えられなくなった。自分の身体の奥が疼いてたまらなくなった。
「力を抜いてね」
ぬっ…とゆっくり、彼の指が誰にも触れさせたことのないところに入り込んできた。怖くなった私がいやいやと首を横に振ると、ヴィックは私を宥めるようにキスをしてくる。その間も浅く指を動かして未開のそこを慣らすように広げていた。傷つけて裂けないように開拓されているのは私にもわかったが、やはり少し怖かった。
指1本を入れられて少し慣れてくると、指が2本に増えて動きが少し大胆になる。自分の身体から発する濡れた音が下肢から聞こえてきて恥ずかしい。
「やっぱりここが一番感じるかな?」
「ひぅ…! ま、ってそこはぁ…」
私は刺激に打ち震える。いつの間にか彼の指が3本入れられてバラバラに動かされていた。もう片方の手は秘芯を親指でぬるぬると撫で続けてくる。身体にバチバチと細い火花が走っているみたいだ。先程よりも強すぎる快感が全身を駆け巡り、私は背をのけぞらせる。
「あぁあぁあーっ!」
悲鳴を上げた私は真っ白な世界を見た。その後に訪れたのは全身を苛む倦怠感、どくどくと動く心臓の鼓動、そして彼の指を締め付けるように蠕動する私の秘められた部分。
「リゼット…」
大きく息をして胸を上下させている私の目元に口付けるヴィック。私は彼の腕の中で幸福感に満たされていた。
感じたことのない快感にぼんやりする私の視界は涙で滲んでいた。あぁもう駄目だ。彼が欲しい。明日先生たちに叱られてもいい。私は今すぐ彼のものになりたい。
「ヴィック、抱いて…?」
掠れた声でお願いすると、ヴィックはたまらないとばかりに口づけてきた。もぞもぞと布が擦れる音とリップ音が響き渡る。早く、早くとお互いにお互いのことしか見えていなかったのだろう。周りの異変に気づくことなく、夢中になっていた。
ピタリと熱くて硬いなにかがトロトロに溶かされた秘部にくっつけられたのを感じ取り、とうとう私達は結ばれるのだと破瓜の瞬間を身構える。
──こわい、だけど彼が欲しい。物足りないから私を満たして。
彼の薄水色の瞳と目が合う。そして言葉を交わすことなくキスした。それが合図だった。
「んっ…」
「きゃあああああああ!!!」
ヴィックがグッと腰を押し付けたその時。突然、至近距離で布を引き裂くような悲鳴が聞こえた。
無論、私でもヴィックでもない第三者の悲鳴であった。
ヴィックから寝る前に一人で部屋に来るようにと言われたので、大切な話とはなんだろうと首を傾げながらヴィックの寝室にこっそり入った。私が入ってきた気配に気づいたのだろう。もうすっかりおやすみスタイルのヴィックが私を見て優しく微笑んだ。
あっ、髪の毛結ばずにおろしてる。薄い金色の髪がランプ明かりに照らされてキラキラ輝いて綺麗だ。夜ってことで妖しげな色気を纏っているように感じるのは目の錯覚だろうか。
無防備な寝間着姿の彼を直視した私はなんだか落ち着かなくて出入り口付近で突っ立ったままもじもじしつつ「大切な話って、なに?」と問いかけた。
「そんなところに立ってないで、こっちにおいでリゼット」
ついこの間先生やメイドたちに叱られた私としては、一定の距離を保ったほうが自分の理性を守れると思ったんだけど、そう言われたら彼の座っているベッドまで近づくしかあるまい。もしかしたら人に聞かれたらまずい話なのかもしれないし…
ヴィックの前に立つと、彼は手を伸ばして私の両手をそっと掴んだ。
「今日は災難だったね、リゼット」
「あぁ…うん」
もしかしたら私が落ち込んでると気遣ってくれているのかな。私らしくもなく泣いちゃったし、ヴィックは心から心配してくれているのかもしれない。
「髪飾りは残念なことになったけど、中央のペリドットだけは無事だった。前と同じに、とはいかないだろうけどペリドットを再利用してまた作ってもらうように明日にでもお姉さんにお願いしに行こう。材料が足りないのであればこちらで輸入の手続きをする」
「そこまでしてくれて…なんかごめんね」
周りからしてみたら、他に沢山アクセサリーがあるのになんで髪飾りにそこまで? って思われても仕方ないのに、彼はここまで心砕いてくれるのか。それが申し訳なく思いつつも嬉しい。
「大切なものはその人にしかわからない。周りが大したものじゃないと判断しても、本人にとってはものすごく大切だって事はよくある。私はリゼットの憂い顔は見たくない。笑顔になってほしいんだ。その為なら労力なんて惜しくないよ」
くいっと引かれた手。私は引っ張られてヴィックの隣にぽすんと腰掛ける。ベッドのスプリングが小さく軋んだ。
──夜遅くに未婚の男女がベッドの上で二人きりってのはとてもまずいと思うのだが、腰を引き寄せられてぴっとりくっついてしまうと私は何も言えなくなった。ランプ明かりで照らされた金色の髪が透けて見える。まつげも金色であぁまつげ長いな、綺麗だなとうっとりしてしまうのだ。
あ…だめだ私の脆弱な理性が早くも崩壊しそうになっている。ヴィックのお色気すごい…私は女として負けてるんじゃなかろうか…。
「それと、非常識なあのメイドには辞表を出させて辞めさせることにしたから。メイド長からそのように報告も受けてる。推薦先にもこれから苦情を申し立てるつもりだ」
「あ。そうなんだ…」
これまたあっさりとした報告である。ハンナ・コールは私の髪飾りを壊した以外にも色々やらかしてきたけど、今日のことが決定打になったみたい。
別に彼女のことは同情しない。庇うつもりもない。むしろ彼女の神経がものすごいとは思うんだけどね。彼女のしてることは貧富関係なく非常識だと思うんだ。世の中のメイド協会ってのはああ言う人に推薦状を書くくらいレベル低いのかなぁ…。ちなみにまだ彼女のスパイ容疑が消えたわけじゃなさそうである。
「あのメイドはリゼットとぶつかって階段から落とそうとした時点で解雇を命じたかったんだけど、あそこでリゼットが許しちゃったから私としてもなにも言えなくなったんだ」
「そうだったんだ…ごめんね、大げさにしたくなかったから…」
変なところでお人好しな面を出してしまった私も悪かった。ごめんなさい。
「今度は協会の推薦ではなくもっと身元がはっきりした人間を雇い入れるべきなのかもね。リゼットも女主人としてそれに関わることが増えるから今のうちにちゃんと学ぶんだよ」
「はい…」
今回のことで元々なかった自信が更になくなりましたけどね。
またああいう人が入ってきたら私はちゃんと注意できるだろうか…
「それと今度、君のウェディングドレスの為に腕利きの仕立て屋を招くことになったから、そのつもりでね」
「う…ん? え、もう?」
もうドレス作るの? 早くない? こっちに来てまだ一年も経ってないのに……ヴィックは私が14で縁談を持ちかけられたって話を聞いた時『早い!』って驚いていたんだ。周りも15歳の私を子ども扱いするからもっと年が行ってから結婚するものだと思っていた。
「むしろ遅いほうだよ。早く君を私の妻にしたい」
彼はそう囁くと私の目元にチュッチュとキスの雨を降らせてきた。私は目をつぶってキスを受け止める。そのキスが唇に降りてきていつものようにキスをされていると、なんだかぐっと身体を押された。
ヴィック、体重かけないでよ重い。私は体中に力を込めて倒れないように耐えた。背筋が重さに耐えきれずプルプルしている。
「…リゼット、力を抜いて」
一旦唇を離したヴィックに注意されたが、私は首を横に振った。
「力抜いたら倒れちゃうでしょうが!」
なぜ私を押すのだ。私はここに話を聞きに来たんだぞ!?
「いやいや大切な話は?」
「終わったよ?」
「これで終わり!?」
内容がこれなら日中でも良くなかった?
倒れそうな身体を押し返して攻防を繰り広げていたが、悲しいかな。いくら野生児と定評のある私でも男の力には敵わなかった。ぽふりと柔らかい寝具に倒されてしまう。
──私を組み敷くヴィックを見上げた時悟った。
なるほど、このために呼んだってわけですか……
「ま、待って、ヴィックあのね」
「待たないよ」
ヴィックの目は本気だった。私はあっという間に寝間着のネグリジェを乱され、ヴィックに翻弄されてしまったのである。
□■□
「あぁ…ん、あ」
広い広い寝室には私のはしたない喘ぎ声が響いていた。こんなに声を出したら使用人の誰かに気づかれてしまうかもしれないのに、声を抑えようとするとヴィックが私を更に啼かせようとするのだ。
可愛いねと私を愛でるヴィックの声が私の神経を鋭くさせて余計に感じてしまう。乱されたネグリジェはもうお腹に引っかかっているだけで、上半身と下半身を覆っていない。私の丸い胸に吸い付くヴィックも下半身だけ着ているだけで上半身は服を脱ぎ去っている。
もう季節は冬だ。暖炉の火も弱まった今では布団をかぶらないと寒いはずなのだが、今は布団を払いたいくらい暑い。私もヴィックも体温上昇していて布団の中が熱帯状態なのだ。
「ひ、」
ヴィックの空いていた手がするりと太ももを撫でた。ドロワーズすら身にまとっていない私の下肢に直接触れた彼の指が一箇所で止まると、そこをぬるりと撫でられた。──意識していないうちにそこは濡れていたようで私は恥ずかしくてぎゅっと足を閉じた。
「大丈夫、怖くないよ」
私の耳元で囁かれた声にゾクッと身体が震えた。裂陰を撫でるようにぬるぬるとヴィックの指が行き来する。彼の手の動きに反応して私の腰が揺れた。
「んあっ…!」
時折ある一箇所を弾かれると下半身から脳天に向かって白い電流が駆け巡ってきて、何がなんだかわからなくなる。私が喘ぐ姿をヴィックはうっとりした顔で眺めていた。
私が感じている姿を楽しんでいるのだろう。濡れた指先で執拗にそこを優しく撫でられると、喘ぎ声を抑えられなくなった。自分の身体の奥が疼いてたまらなくなった。
「力を抜いてね」
ぬっ…とゆっくり、彼の指が誰にも触れさせたことのないところに入り込んできた。怖くなった私がいやいやと首を横に振ると、ヴィックは私を宥めるようにキスをしてくる。その間も浅く指を動かして未開のそこを慣らすように広げていた。傷つけて裂けないように開拓されているのは私にもわかったが、やはり少し怖かった。
指1本を入れられて少し慣れてくると、指が2本に増えて動きが少し大胆になる。自分の身体から発する濡れた音が下肢から聞こえてきて恥ずかしい。
「やっぱりここが一番感じるかな?」
「ひぅ…! ま、ってそこはぁ…」
私は刺激に打ち震える。いつの間にか彼の指が3本入れられてバラバラに動かされていた。もう片方の手は秘芯を親指でぬるぬると撫で続けてくる。身体にバチバチと細い火花が走っているみたいだ。先程よりも強すぎる快感が全身を駆け巡り、私は背をのけぞらせる。
「あぁあぁあーっ!」
悲鳴を上げた私は真っ白な世界を見た。その後に訪れたのは全身を苛む倦怠感、どくどくと動く心臓の鼓動、そして彼の指を締め付けるように蠕動する私の秘められた部分。
「リゼット…」
大きく息をして胸を上下させている私の目元に口付けるヴィック。私は彼の腕の中で幸福感に満たされていた。
感じたことのない快感にぼんやりする私の視界は涙で滲んでいた。あぁもう駄目だ。彼が欲しい。明日先生たちに叱られてもいい。私は今すぐ彼のものになりたい。
「ヴィック、抱いて…?」
掠れた声でお願いすると、ヴィックはたまらないとばかりに口づけてきた。もぞもぞと布が擦れる音とリップ音が響き渡る。早く、早くとお互いにお互いのことしか見えていなかったのだろう。周りの異変に気づくことなく、夢中になっていた。
ピタリと熱くて硬いなにかがトロトロに溶かされた秘部にくっつけられたのを感じ取り、とうとう私達は結ばれるのだと破瓜の瞬間を身構える。
──こわい、だけど彼が欲しい。物足りないから私を満たして。
彼の薄水色の瞳と目が合う。そして言葉を交わすことなくキスした。それが合図だった。
「んっ…」
「きゃあああああああ!!!」
ヴィックがグッと腰を押し付けたその時。突然、至近距離で布を引き裂くような悲鳴が聞こえた。
無論、私でもヴィックでもない第三者の悲鳴であった。
21
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説
転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです
青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる
それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう
そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく
公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる
この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった
足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で……
エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた
修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た
ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている
エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない
ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく……
4/20ようやく誤字チェックが完了しました
もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m
いったん終了します
思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑)
平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと
気が向いたら書きますね
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる
夕立悠理
恋愛
ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。
しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。
しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。
※小説家になろう様にも投稿しています
※感想をいただけると、とても嬉しいです
※著作権は放棄してません
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
【完結】魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜
光城 朱純
ファンタジー
魔力が強いはずの見た目に生まれた王女リーゼロッテ。
それにも拘わらず、魔力の片鱗すらみえないリーゼロッテは家族中から疎まれ、ある日辺境伯との結婚を決められる。
自分のあざを隠す為に仮面をつけて生活する辺境伯は、龍を操ることができると噂の伯爵。
隣に魔獣の出る森を持ち、雪深い辺境地での冷たい辺境伯との新婚生活は、身も心も凍えそう。
それでも国の端でひっそり生きていくから、もう放っておいて下さい。
私のことは私で何とかします。
ですから、国のことは国王が何とかすればいいのです。
魔力が使えない私に、魔力石を作り出せだなんて、そんなの無茶です。
もし作り出すことができたとしても、やすやすと渡したりしませんよ?
これまで虐げられた分、ちゃんと返して下さいね。
表紙はPhoto AC様よりお借りしております。
タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒―
私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。
「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」
その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。
※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる