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庶民棟、マナー教室
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庶民棟の月一回のマナー教室。
担当は第一生徒会長ロック様とその手伝い人公爵令嬢アイ様。
飴と鞭で有名な二人だ。
そして、実は。二人は婚約している。
「今月も来ちゃったよ。この日が!!俺は今日死ぬぅぅ!」
「生きて!生きてよね!リクト!」
「リクトとカナタはマナーがなってないからな。アイ様に怒られっぱなしだろ?」
「まぁ、俺にはロック様がついてるからな。」
「ロック様はお前の味方でもなんでもないからな。」
「現実を突きつけるなぁ!キール!」
「まぁ、あのセシルの様子を見習おう?余裕そうだから。」
「ロック様とアイ様なら大丈夫だよ。アイ様は厳しいけどちゃんとやれば褒めてくれるでしょ?」
と、こんな感じでマナー教室はかなーり恐れられているの。
「アリーナ、それでね!アリア様が、手を差し伸べて!」
「...な、なるほど。」
私的にはマナー教室なんかより、今こうしてエミリから自分のことについて語られてる現状の方が辛いのだ。
第一生徒会室
ロックside
「本日はこちらの教材で社交ダンスの練習をさせましょう。」
「んー、それって。男女で手をギュッ!ってする感じだよな?」
「そうですけど、なにか問題ありますか?」
「別に、特には無いかもだけど。庶民の子達は社交ダンスなんて馴れてないわけだし、手をギュッ!ってしたら緊張しちゃうかなって。」
「緊張するとか...社交界では普通のことなのに。...まぁ、ここの手を繋ぐとこ、ロック様と私がやればいいか。」
「その方が緊張だから。」
アイは真面目だな。ま、手を繋いじゃってアリーナ嬢になにかあったら俺怒られちゃうからなぁ。
「じゃ、今月もマナー教室!やりますか!」
「はい。」
庶民棟
コンコン。
「失礼致します。」
「よろしくね、みんな。」
あー、みんな表情がカチカチだぁ...
「さ、まずは手始めに社交ダンスの話始めようか。社交界で必ず必要なのが社交ダンス。男女で手をギュッ!ってするわけだけど。緊張するよね。」
ちょっと、やさしめに声を掛けてこ。
「ね?アリーナさん。」
俺はいたずら心から話を振ってみた。
「手をギュッ!ってのはたしかに緊張しますよね。し、しかも、手をギュッ!ってするだけじゃ終わらないのが現実...」
「まるでやったことあるような言い方だね。」
「ち、違います!ロック様!」
めっちゃ必死...俺は溢れる笑みを抑え、アイに指示を送った。
「では、さっそく。お手本を見せますので。男性の方はロック様の方へ。女性の方は私の方へ来てください。」
みんなの顔がひきつっている。相当緊張してきてるな。
アリーナ嬢も別の意味で緊張しているようだ。
「じゃあ、さっそく。男性パートのお手本を見せるけど。誰か俺と手をギュッ!ってしてくれる人いる?」
ま、いないよね。
「じゃあセシールくん。僕に肩を貸してくれ。」
「わ、わかりました。」
一通り教えきったところで次はペアを組むわけだけど...
「興味深いですわね。」
「これを覗くなんて二人ともどうした?」
「社交ダンスを庶民が慣れない手つきでやるって初々しいので。」
「同感ですわね。あぁ、また!アリア様の手を握ってダンスをしたいですわ!」
第二生徒会室の子たちが隠れながらこそこそと様子を見に来ていた。
「ロック様。」「アイ様。」
セシルくんとアリア嬢が同時に気まずそうに声を絞り出した。
わかるよ、その気持ち。
「クリス様たちはなにしにこちらへ?」
「これはどうも。アイ嬢。庶民の社交ダンス興味深くてですねぇ。つい見に来てしまいました。」
「なるほど。なにかアドバイスはありましたか?」
「そうですねぇ...女性の方はもっと、華やかに。殿方にもっと寄り添うのです。こんな感じで。」
クリスはアリーナ嬢の手を掴み、華麗なダンスを披露した。
アリーナ嬢は癖で普通についていってしまった。
「なかなかですわよ、アリーナ。今ので転ばないのは素質がありますわ。」
「さすが、クリス様のお気に入り。」
「クリス様、アドバイス感謝致します。ですが、アリーナさんが困っていますので手を離してあげてください。」
「はい。そうですね。」
「クリス王子の無茶ぶりだ...絶対目的違ったでしょ。」
「セシールさん?なにを呟いてるのですか?なにか疑問が?」
「い、いえ、別に。」
「では、ロック様。実演でよろしいですか?」
「うん。オッケー。」
「はい。では、私から一言。形や基礎は悪くありません。ですが、動きが固い!それでは、華やかさが足りません。まぁ、その。クリス様に引っ張られたときのアリーナさんくらい体を軽くしてください。男性の方は必ず女性を支える。そして、引き立てる。いいですか?」
『はい。』
「アリーナ、ムズいよぉ。」
「大丈夫だよ、エミリ!頑張ろっ!」
「うん。」
クリスがバッチリ見てるわけだし。
「じゃ、見た感じのレベルでペア決めする。そこは双子同士になるけど二人ともうまいから、ね?」
「はい!」
「わかりました。」
セシルくんは、クリスをチラッと見た。
「社交界だと誰とダンス踊ろうが関係ないですよ?」
「まぁ、それはそうだね。」
ここが社交界なら、ねぇ。
「じゃ、ペアはここで決まり。」
「音楽に合わせて踊ってください。」
俺はこのマナー教室の時いつも思う。
ここの人たちは真面目で飲み込みがはやいって。
「なかなかですよ。そのままもっとです。」
アイも認めてるわけだし。
流石だね。
今月もマナー教室は大成功だ!
担当は第一生徒会長ロック様とその手伝い人公爵令嬢アイ様。
飴と鞭で有名な二人だ。
そして、実は。二人は婚約している。
「今月も来ちゃったよ。この日が!!俺は今日死ぬぅぅ!」
「生きて!生きてよね!リクト!」
「リクトとカナタはマナーがなってないからな。アイ様に怒られっぱなしだろ?」
「まぁ、俺にはロック様がついてるからな。」
「ロック様はお前の味方でもなんでもないからな。」
「現実を突きつけるなぁ!キール!」
「まぁ、あのセシルの様子を見習おう?余裕そうだから。」
「ロック様とアイ様なら大丈夫だよ。アイ様は厳しいけどちゃんとやれば褒めてくれるでしょ?」
と、こんな感じでマナー教室はかなーり恐れられているの。
「アリーナ、それでね!アリア様が、手を差し伸べて!」
「...な、なるほど。」
私的にはマナー教室なんかより、今こうしてエミリから自分のことについて語られてる現状の方が辛いのだ。
第一生徒会室
ロックside
「本日はこちらの教材で社交ダンスの練習をさせましょう。」
「んー、それって。男女で手をギュッ!ってする感じだよな?」
「そうですけど、なにか問題ありますか?」
「別に、特には無いかもだけど。庶民の子達は社交ダンスなんて馴れてないわけだし、手をギュッ!ってしたら緊張しちゃうかなって。」
「緊張するとか...社交界では普通のことなのに。...まぁ、ここの手を繋ぐとこ、ロック様と私がやればいいか。」
「その方が緊張だから。」
アイは真面目だな。ま、手を繋いじゃってアリーナ嬢になにかあったら俺怒られちゃうからなぁ。
「じゃ、今月もマナー教室!やりますか!」
「はい。」
庶民棟
コンコン。
「失礼致します。」
「よろしくね、みんな。」
あー、みんな表情がカチカチだぁ...
「さ、まずは手始めに社交ダンスの話始めようか。社交界で必ず必要なのが社交ダンス。男女で手をギュッ!ってするわけだけど。緊張するよね。」
ちょっと、やさしめに声を掛けてこ。
「ね?アリーナさん。」
俺はいたずら心から話を振ってみた。
「手をギュッ!ってのはたしかに緊張しますよね。し、しかも、手をギュッ!ってするだけじゃ終わらないのが現実...」
「まるでやったことあるような言い方だね。」
「ち、違います!ロック様!」
めっちゃ必死...俺は溢れる笑みを抑え、アイに指示を送った。
「では、さっそく。お手本を見せますので。男性の方はロック様の方へ。女性の方は私の方へ来てください。」
みんなの顔がひきつっている。相当緊張してきてるな。
アリーナ嬢も別の意味で緊張しているようだ。
「じゃあ、さっそく。男性パートのお手本を見せるけど。誰か俺と手をギュッ!ってしてくれる人いる?」
ま、いないよね。
「じゃあセシールくん。僕に肩を貸してくれ。」
「わ、わかりました。」
一通り教えきったところで次はペアを組むわけだけど...
「興味深いですわね。」
「これを覗くなんて二人ともどうした?」
「社交ダンスを庶民が慣れない手つきでやるって初々しいので。」
「同感ですわね。あぁ、また!アリア様の手を握ってダンスをしたいですわ!」
第二生徒会室の子たちが隠れながらこそこそと様子を見に来ていた。
「ロック様。」「アイ様。」
セシルくんとアリア嬢が同時に気まずそうに声を絞り出した。
わかるよ、その気持ち。
「クリス様たちはなにしにこちらへ?」
「これはどうも。アイ嬢。庶民の社交ダンス興味深くてですねぇ。つい見に来てしまいました。」
「なるほど。なにかアドバイスはありましたか?」
「そうですねぇ...女性の方はもっと、華やかに。殿方にもっと寄り添うのです。こんな感じで。」
クリスはアリーナ嬢の手を掴み、華麗なダンスを披露した。
アリーナ嬢は癖で普通についていってしまった。
「なかなかですわよ、アリーナ。今ので転ばないのは素質がありますわ。」
「さすが、クリス様のお気に入り。」
「クリス様、アドバイス感謝致します。ですが、アリーナさんが困っていますので手を離してあげてください。」
「はい。そうですね。」
「クリス王子の無茶ぶりだ...絶対目的違ったでしょ。」
「セシールさん?なにを呟いてるのですか?なにか疑問が?」
「い、いえ、別に。」
「では、ロック様。実演でよろしいですか?」
「うん。オッケー。」
「はい。では、私から一言。形や基礎は悪くありません。ですが、動きが固い!それでは、華やかさが足りません。まぁ、その。クリス様に引っ張られたときのアリーナさんくらい体を軽くしてください。男性の方は必ず女性を支える。そして、引き立てる。いいですか?」
『はい。』
「アリーナ、ムズいよぉ。」
「大丈夫だよ、エミリ!頑張ろっ!」
「うん。」
クリスがバッチリ見てるわけだし。
「じゃ、見た感じのレベルでペア決めする。そこは双子同士になるけど二人ともうまいから、ね?」
「はい!」
「わかりました。」
セシルくんは、クリスをチラッと見た。
「社交界だと誰とダンス踊ろうが関係ないですよ?」
「まぁ、それはそうだね。」
ここが社交界なら、ねぇ。
「じゃ、ペアはここで決まり。」
「音楽に合わせて踊ってください。」
俺はこのマナー教室の時いつも思う。
ここの人たちは真面目で飲み込みがはやいって。
「なかなかですよ。そのままもっとです。」
アイも認めてるわけだし。
流石だね。
今月もマナー教室は大成功だ!
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