ジャック・イン・東京

文月獅狼

文字の大きさ
上 下
9 / 25

第九話 課題

しおりを挟む
 現在午後三時九分。兄貴はまだ帰ってない。
 とりあえず洗濯物を取り込むか。そう思い僕はベランダに出た。
 帰ってくるときは他に目が行くもの(人)があったからか気づかなかったけど、朝はあんなに晴れていたのに今では雨が降りそうなくらい曇っている。

「夜には降るかもな。雷が鳴ったりしたらさらに面白いんだけどな」

 そんな独り言を言いながら僕は洗濯物を取り込んだ。たいていの人は雨が嫌いだろうが、僕は不思議なことに雨が好きだ。特に雷も鳴っているときが好きだ。雨が降り、雷も鳴っている夜はなぜか落ち着くことができ、安眠できる。

「何しようかな。課題をやろうかな。でも正直やりたくないんだよな~。誰か代わりにやってくれないかな~。……よし。裏が出たら今日やる。表が出たら明日やろう」

そう言って部屋に行き、カバンから財布を取り出して、中から100円玉を取り出した。

表が出ますように表が出ますように表が出ますように表が出ますように表が出ますように。

 と願いながらコインを投げた。放物線を描きながら僕の手に戻ってくる。手に触れたと同時に右手で100円を覆う。
もう一度表が出ますようにと願う。

「勝負!」

掛け声と同時に右手を離す。

 結果、裏が出た。皆さんは願い事がかなうのとかなわないのとではかなわないことのほうが多いのではと思うことはないだろうか。僕はそう思います。今そうだから。

「……」

これは裏と見せかけた表かもしれない。そもそも僕はどっちを裏にするかを決めてなかった。100円の裏表なんて知らないしね。本当は知っているけど今は邪魔だからその辺においとこう。もう一度やってみよう。今度は裏表を決めてからやろう。
 そして僕は今裏だったのを表にした。もしかしたらこっちのほうが出やすいのかも。

「今度こそ頼みまっせ。いざ勝負!」

 ……結果、さっき見たのとは違う絵が現れた。

「……仕方ない、やるか」

 そして僕は机に向かい課題を始めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

愛する貴方の心から消えた私は…

矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。 周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。  …彼は絶対に生きている。 そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。 だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。 「すまない、君を愛せない」 そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。 *設定はゆるいです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

処理中です...