ジャック・イン・東京

文月獅狼

文字の大きさ
上 下
4 / 25

第四話 どのみちね……

しおりを挟む
 現在十一時十分。三限目の数Ⅱの時間だ。正直めっちゃ眠い。昨日は遅くまで本を読んでしまった。それなのに早起きしてしまったため睡眠時間が足りてない。寝てしまいたいが数Ⅱの先生は結構厳しいため寝れない。どのくらい厳しいかというと、寝ている生徒を発見したらその生徒の横まですぐに行き、教科書で生徒の頭をたたく。そして授業中はずっと立たせて、授業が終わった後には反省文を作文用紙2枚分書いて提出させるという3コンボをお見舞いするぐらい厳しい。
 ……うん。結構じゃないね。めっちゃかもしれないね。
 正直言うと、たたかれ、立たされ、反省文を書かされるのはそこまでつらくない。では何がつらいのかというと、授業中に恥ずかしくなり、授業が終わった後にクラスの友人がからかってくるのがつらいのだ。なぜかって?そりゃあめんどくさいからだ。おそらくどのクラスにも一人はいるであろう他クラスにそういった情報を伝える人間が僕のクラスにもいるのだ。人のうわさも七十五日というが、そういうやつは一年くらい引っ張ってくる。
 だから僕は数Ⅱの時は何が何でも寝ないようにしている。…のだが。
 だんだん瞼が重くなってきた。やばい。このままじゃほんとに寝てしまう。授業はあと二十五分も残っている。絶望的状況。いやだ。雄二にからかわれるのだけはいやだ。

「霧崎、ちゃんと聞いてるか~」

 突然先生に呼ばれて僕は飛び上がりそうになった。

「は、はい。ちゃんと聞いてるであります」

「ならこの問題やってみろ。65ページの練習問題11番。今教えたし簡単だからできるだろ」

 僕は急いでページをめくった。いつの間にかそんなところまで行ってたのか。まあ先生の進む進度は早いから仕方ないが。
 59、61、63、65。やっとついた。…あ?ナニコレ。わかんない。どないしよ。僕は文系だから数学はてんでだめだ。それに加えて授業を聞いてなかったためいつもの100倍わからない気がする。

「……」

「……聞いてなかったんだな」

「すいませんでした」

「反省文、書いてね」

「……はい」

 みんなが笑ってる。幸い授業中立たされることはなかった。
……どうせなら寝ればよかった。
 そして授業は終わった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

【完結】捨ててください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと貴方の側にいた。 でも、あの人と再会してから貴方は私ではなく、あの人を見つめるようになった。 分かっている。 貴方は私の事を愛していない。 私は貴方の側にいるだけで良かったのに。 貴方が、あの人の側へ行きたいと悩んでいる事が私に伝わってくる。 もういいの。 ありがとう貴方。 もう私の事は、、、 捨ててください。 続編投稿しました。 初回完結6月25日 第2回目完結7月18日

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。

ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。 彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。 「誰も、お前なんか必要としていない」 最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。 だけどそれも、意味のないことだったのだ。 彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。 なぜ時が戻ったのかは分からない。 それでも、ひとつだけ確かなことがある。 あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。 私は、私の生きたいように生きます。

処理中です...