姫からシャンパン戴きましたァ!〜元ホストのダンジョンマスターは異世界でホストクラブを経営し始めました。〜

如月 燐夜

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ある男の野望

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俺はガラム、メメント帝国ウィンド辺境領の開拓村で農場主をしている元レベル9冒険者だ。

利き腕に大怪我を負い前線から退き、タイミング良く開拓民を募集しているという情報をギルドで聞き、退職金を手に遥々帝都から西の辺境伯領までやって来た。

利き腕が使えずとも多少の魔法の才能があった為、食うには困らなかった。

手探りで始めた農業も五年の歳月を掛けて軌道に乗り、今では大規模なものへと成長した。

初めは草木も生えぬ荒れた土地で聞いてた話とは違うとギルドやウィンド伯に何度か抗議したが門前払いされた挙句、国の援助もなくここまでやって来れたのだから感慨も一入ひとしおだ。

今では中流階級の平民の年収の三倍も稼げるくらいになっている。
冒険者時代にはとても勝てないが裕福な暮らしを送れている。

それもこれも俺を追い掛け押し入り女房となってくれた妻のお陰である。

長男も生まれ、将来も安泰、最近では利き腕の調子も大分良くなった。

そんな順風満帆な日々を送る俺に農奴から一つの知らせが届いた。

『ダンジョンが出現した』、と。

この時俺は完全にダンジョンを舐めていた。

生成されたばかりのダンジョン。
制圧しダンジョンマスターを討伐すれば莫大な恩賞金が手に入る。
上手くいけば帝国貴族の末席にも加われるだろう。

貴族は嫌いだが無能な奴らよりは俺がこの開拓地を治めたほうがマシだろう。

まだ冒険者時代の矜恃が残っていたのか、農具を持たせた農奴を引き連れ俺は愛剣を手にダンジョンへと向かう準備を始める。

ダンジョンを制圧した者は農奴から解放すると言うと十三人の者が挙って集まる。

俺と案内役の発見者、村に留まっていた六人の冒険者グループを雇い全員で二十一人。

これだけいれば出来立てのダンジョンなど余裕で制圧出来るだろう。ましてや全滅するなど考えもしなかった。

その時思い留まれば良かったのだが、そんな事後の祭りだ。

農奴を先行させ俺はダンジョンに足を踏み入れた。
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