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【救い難きモノ】・2

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「エルーナ」

 一団が離れた隙を見て、私は小声で語りかけた。

「予定変更だ。今晩、ここを発とう」
「今晩、ですか」
「ああ。……なんだか無性に、吐きたい気分に襲われているんだ」
「…………同感です」

 ――愚かな者共。
 そりゃあ、国も腐るだろうな。そんな思いを抱く。

 皮肉なことに彼等の愚かは、計画した策謀を実行する決意を、より強固に私に抱かせた。

「――帰ろうか」
「ええ。……なんだか、名残惜しさも吹き飛んでしまった気分です……」
「……同感だ」

 その夜。
 私たちは、二人で切り開いた、私たちの辺境を後にした。

 ――――さて。
 彼等は、いつ頃に気付くかな?

 
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