約束 〜幼馴染みの甘い執愛〜

紺乃 藍

文字の大きさ
上 下
94 / 95
後日談・番外編

番外編 2nd xxx 後編

しおりを挟む

「あぁっ、や、やぁっ……」

 身体の位置を変えて、逆にソファの上に押し倒されてしまう。スカートを捲り上げた手はそのままショーツの中まで入り込み、前回淫らに愛撫された場所をまたゆるゆると擦られてしまった。

「気持ちいい? 恥ずかしい?」
「わ、わかん、ない…っ」

 雪哉に見下ろされて訊ねられ、ふるふると首を振る。声が漏れないように口を手で押さえて顔を背けると、雪哉の指は秘芽から蜜孔の縁に移動し、既に濡れ始めていた中を執拗に攻めはじめた。

「っあぁ…、あぅ…ゆき、 もぉ、や…」
「ダメ、やめない」
「やぁっ、だ…、ゆ、び…や、やぁッ」
「愛梨、手退けて。邪魔しないで」
「……ふぁ、やあぁ…」
「だーめ」

 激しく擦られると、水を含んだ音が部屋中に響いて鼓膜の奥まで犯していく。子宮の奥から膨らんで弾けようとする絶頂感をせき止めたくて手を払いのけようとするのに、その動きは雪哉に邪魔されてしまう。

 ぐしゅ、ぐしゃ、と水のような泡のような音が脳に溶けると、愛梨の蜜孔もその音と一緒にとろけてしまった。

「んう…ッ、ふぁ、あああっ…」

 塗り潰された思考を繋ぎとめておけず、身を震わせながら何も考えられなくなって果ててしまう。独りだけ気持ちよくなるあられもない姿を見下ろしていた雪哉が、ひどく優しい声で笑った。

「気持ちよかった?」

 問いかけられても、呼吸をするのに精一杯で返答も出来ない。未だナカに入りっぱなしの雪哉の指を、荒い呼吸に合わせてきゅうきゅうと締め付けていることを自覚する。けれど自分では身体の動きを制御できなくて、脱力するまで雪哉の指を捉え続けてしまう。

「これならすぐ挿入はいりそう」

 雪哉の独り言にまた恥ずかしさを覚えてしまう。ようやく動き出した指先がくちゅ、ちゅぽ、といやらしい音を立てるので、雪哉の言葉に反論する材料さえ失ってしまった。

 どこからか取り出した小袋の中身を纏いながら、愛梨の脚をぐいっと押し開く。ソファの背もたれに足を引っかけられ広げられた股の間に雪哉の楔が穿たれると、それだけで意識が飛びそうになってしまう。

「ん…っ、あぁッ」
「まだ恥ずかしい? 気持ちよくない?」

 恥ずかしい? と 気持ちいい? を問い掛けられてそれを意識するほど、感じてしまう。その2つに心を支配されていることを、雪哉はわかっていてわざとに聞くのだろう。

 自然と出てきた涙が視界を滲ませるのに、雪哉の嬉しそうな笑顔だけはちゃんと認識できてしまう。この見慣れているのに見慣れていない、知っているのに知らない顔で『可愛い』『好き』と囁かれると、恥ずかしさなんてどうでも良くなってしまう。

 それは理性が切れかかっているからで、冷静になればやっぱり恥ずかしいと思うのに。次第にそれさえも、判断できなくなってくる。

 それならもう『気持ちいい』と認めてしまった方が、もっともっと気持ちよくなれる気がして。

「ゆき…ぃ、きもち、い…っ!」

 喉から零れた言葉に、雪哉が一瞬目を見開く。それからそっと溜息と呟きを同時に吐き出す。

「自分で聞いといて、今ちょっと危なかった……」

 そして雪哉は愛梨の腰を抱いたまま、身を屈めて耳元にまたいじわるな言葉を囁く。

「愛梨は俺を惑わせてばっかりだ。この2週間、もう俺としたくないって思われてたら、って本気で悩んでたのに。そんな可愛すぎる理由なら、平日だろうが見え透いた言い訳されようが、もっと早く連れ込んで抱けばよかった」
「そん、な……やぁ、んぅぁ、…っ」

 そう言いながら腰を動かして、ゆっくりと奥を突かれる。シャツの上から雪哉の腕を握りしめて、ゆるい律動に抗う。そうでもしなければ、雪哉が生む摩擦に蜜筒の中を焼かれて達しそうになる。なのに力が入るとすぐに動きを止められてしまう。

 それが『恥ずかしい』を薄められ、『気持ちいい』を刷り込まれている過程だとは気付きもせず、愛梨は雪哉にこの熱をどうにかして欲しいと懇願してしまう。止まらない淫らな欲望を放出させて欲しいと、自分から雪哉の熱を飲み込むように腰を動かしてしまう。

「やだっ…、もぉ、いじわ、ぅ…しな、で…」
「あぁ……かわいいな、ッほんと…」

 雪哉の嘆息を聞きながら、急に激しいリズムに変化した注挿を受け止める。猛った熱源が暴れ出し、濡れた蜜孔の奥を突くたびに、全身が快感に侵されて震えてしまう。

「んっ、ふぁッ、あぁっ…!」

 気持ちいい……
 それに最初とちがって、痛みを感じない。

「ああ、あぁ――っ」

 強い快感と衝撃に勝てず、全身がびくびくと痙攣したのは、愛梨も雪哉もほぼ同時だった。きゅうぅと収縮した蜜孔が放出した熱の温度を膜越しに感じとる。

 そのまま愉悦の波が収まるまで抱き合っていると、こめかみに唇を寄せてきた雪哉が楽しそうに笑い出した。

「少しは恥ずかしくなくなった?」

 恥ずかしいよ。多分、1回や2回でどうにかなるものじゃなくて、しばらくは…もしかしたら一生恥ずかしいままかもしれない。雪哉が変な事を聞かなければいいのに、わざわざ確認してくるところが余計に恥ずかしい。

 でも今ので、気付いてしまった。きっとこの身体は、雪哉に『気持ちいい』を覚えさせられ始めている。回を重ねて繰り返すたびにどんどん雪哉との行為を好きになって、いつまでも変わらない『恥ずかしい』を『気持ちいい』が追い越していく気がする。

 だから愛梨は、少しずつ、ちょっとずつ、ゆっくりと教えて欲しいと思う。これ以上のスピードで覚えさせられても、心も身体も持ちそうにない。ゆっくりでも、ちょっとずつでも、愛梨はもう雪哉から離れないから。

「……うん。でも……」

 まぶたの上に小さなキスを落としてくる雪哉に、乱れた呼吸でもそれをちゃんと伝えようと思うのに。

「じゃあ、今度は俺の目を見て感じて」
「!?」
「達くときに目閉じたり逸らしたら、夜まで待たずにこの服ぜんぶ脱がすから」

 そう言って笑う雪哉の視線と言葉は、今日も黒ヒョウのようで、悪魔のようだ。

しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

優しい愛に包まれて~イケメンとの同居生活はドキドキの連続です~

けいこ
恋愛
人生に疲れ、自暴自棄になり、私はいろんなことから逃げていた。 してはいけないことをしてしまった自分を恥ながらも、この関係を断ち切れないままでいた。 そんな私に、ひょんなことから同居生活を始めた個性的なイケメン男子達が、それぞれに甘く優しく、大人の女の恋心をくすぐるような言葉をかけてくる… ピアノが得意で大企業の御曹司、山崎祥太君、24歳。 有名大学に通い医師を目指してる、神田文都君、23歳。 美大生で画家志望の、望月颯君、21歳。 真っ直ぐで素直なみんなとの関わりの中で、ひどく冷め切った心が、ゆっくり溶けていくのがわかった。 家族、同居の女子達ともいろいろあって、大きく揺れ動く気持ちに戸惑いを隠せない。 こんな私でもやり直せるの? 幸せを願っても…いいの? 動き出す私の未来には、いったい何が待ち受けているの?

甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!? 『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』 小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。 ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。 しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。 彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!? 過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。 *導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。 <表紙イラスト> 男女:わかめサロンパス様 背景:アート宇都宮様

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。 結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。 何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。

捨てられた花嫁はエリート御曹司の執愛に囚われる

冬野まゆ
恋愛
憧れの上司への叶わぬ恋心を封印し、お見合い相手との結婚を決意した二十七歳の奈々実。しかし、会社を辞めて新たな未来へ歩き出した途端、相手の裏切りにより婚約を破棄されてしまう。キャリアも住む場所も失い、残ったのは慰謝料の二百万だけ。ヤケになって散財を決めた奈々実の前に、忘れたはずの想い人・篤斗が現れる。溢れる想いのまま彼と甘く蕩けるような一夜を過ごすが、傷付くのを恐れた奈々実は再び想いを封印し篤斗の前から姿を消す。ところが、思いがけない強引さで彼のマンションに囚われた挙句、溺れるほどの愛情を注がれる日々が始まって!? 一夜の夢から花開く、濃密ラブ・ロマンス。

ワケあり上司とヒミツの共有

咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。 でも、社内で有名な津田部長。 ハンサム&クールな出で立ちが、 女子社員のハートを鷲掴みにしている。 接点なんて、何もない。 社内の廊下で、2、3度すれ違った位。 だから、 私が津田部長のヒミツを知ったのは、 偶然。 社内の誰も気が付いていないヒミツを 私は知ってしまった。 「どどど、どうしよう……!!」 私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

エリート課長の脳内は想像の斜め上をいっていた

ピロ子
恋愛
飲み会に参加した後、酔い潰れていた私を押し倒していたのは社内の女子社員が憧れるエリート課長でした。 普段は冷静沈着な課長の脳内は、私には斜め上過ぎて理解不能です。 ※課長の脳内は変態です。 なとみさん主催、「#足フェチ祭り」参加作品です。完結しました。

処理中です...