✕✕✕すぎる大賢者様は、○○の成長がとっても早い!

紺乃 藍

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第14話 R

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「ねえ、ノエル。結局、髪の長さどうするの?」

 マリーをベッドルームへ誘導するノエルの背中に、そんな問いをそっと投げる。

 魔法府でも有数の高位魔法使いだからといって、生身に魔法をかけたままの状態をいつまでも継続するべきではない。それに魔法の有無は関係なく、伸びては切っての繰り返しは頭皮と毛髪に負担がかかると思うのだ。

 そんな心配を察したのだろう。ベッドの端にマリーを座らせたノエルが、自分の後頭部に触れながら数度頷いた。

「もう少しだけ伸ばそうかと思ってるんだ。肩までの長さだったら結べば邪魔になりにくいし、扱いが楽だからな」
「そうね。私もそのぐらいの長さが一番ノエルらしいと思うわ」

 ノエルはカレッジ生の頃から、男性にしてはやや長い髪が特徴的だった。さらさらと真っ直ぐの黒髪を肩の長さに伸ばし、魔力の放出を防ぐまじないが掛けられた紐で後ろに結んでいた。

 短くしてしまうと魔力を蓄積できないのでいざという時に不便だが、長すぎると扱いが面倒くさい。だから結べるほどの長さを維持し、本や論文に集中するときだけ落ちて来ないように結んでおくのが最も効率的だと、当時のノエルも語っていた。

 ここ最近、長くなったり短くなったり無くなったりと様々な姿を目にしてきた。だがマリーはいつもの姿が一番似合うと思うし、慣れ親しんでいるように感じられる。

「それ以降は自然に任せることにする」
「うん」

 今は爽やかな短髪だが、このままいつもの長さまで伸ばしたらあとは魔法を解除する予定らしい。

 その意見に同意して頷いていると、隣に腰を下ろしたノエルがやや強引にマリーの腕を引っ張った。ノエルの力に負けて胸の中に引き込まれると、そのまま一緒にベッドの上に倒れ込んでしまう。

 まるでマリーがノエルを襲って押し倒してしまったみたいだ。慌てて身体を起こそうとしたが、腰を抱かれて頬を撫でられると、石化の魔法を掛けられたように動けなくなってしまう。ノエルのお腹の上で、じっと見つめ合ってしまう。

「マリーはずっと長いな」

 頬を撫でていた手が横に動き、マリーの髪にゆっくりと指を絡める。ベッドの傍にあるランプに明かりを灯せば、マリーのオレンジ色の髪が元々のものなのか明かりによるものなのかもわからなくなる。
 
 蜜色の光の中で密着したノエルに、マリーはそっと微笑んだ。

「リボンを集めるのが好きなの。色んなのを使ってみたいから、長い方がいいかなって」

 ノエルも可愛いリボンで髪を結びたいなら、私がやってあげるね――と言おうとしたが、それは言葉にならなかった。

「色んなリボンを……使いたい……」
「……ちょっと? なんか変なこと考えてないよね?」

 マリーの言葉より先に出てきた台詞がやけに不穏だったので、思わずきっと睨んでしまう。ノエルもマリーの目を見つめ返してきたが、珍しくにこりと笑顔を浮かべて

「いや? 気のせいじゃないか?」

 と否定してきた。

「ノエルの『気のせい』は気のせいじゃないでしょ。私、ちゃんと学んだわ」

 プウ、と頬を膨らませてむくれてみせると、ノエルが笑顔のままで『そうか』と呟いた。

 まずその笑顔が怪しいのだ。口数が少なくて不愛想なノエルが普段見せない笑顔を浮かべている時点で、危険な気配を感じてしまう。

 マリーが集めているリボンはあくまで髪を結ぶためにあるもの。間違っても、腕や足や身体を結んだり包んだり縛ったりするためのものではない。

「ノエルはやっぱり……ちょっと、……かなり? えっちなこと考えてるでしょ?」

 即座にそんなことを考えてしまうノエルは、やっぱりちょっとえっちなのだと思う。

 マリーの突っ込みを聞いたノエルは、黒いグローブを脱いでベッドの下に落とし、レースの裾からスカ―トの中に手を入れてきた。そのままマリーの肌に触れると、腰のラインを撫で、お尻の丸みを辿り、より際どい場所に指先を滑らせる。

「マリーほどじゃないと思うが」
「え? 私……?」

 呟いたノエルに首を傾げると、彼の指先がショーツの結び目を解いた。薄いレースが腰からはらりと滑り落ちる感覚に焦ったが、留める暇もなく反対の腕に肩を抱かれて引き寄せられた。

「マリーはいやらしくて可愛い。濡れるのも早いし、いつも気持ち良さそうだ」
「あ、まっ……んんっ」

 すぐに唇を重ねられ、ねっとりと舌を絡められる。あっという間に口内に侵入され、貪るような深いキスを繰り返される。ほの明るいランプの光の中で何度も交わされる口付けは、溺れそうなほどに甘かった。

「今日は俺も舐めたい」

 マリーが逃れないように力を込めつつ、反対の手はレースをずらして確実に着衣を剥いでいる。乱れた衣服と下着を確認すると、唇を離したノエルがぽつりと呟く。マリーは一瞬何のことか理解できなかったが、すぐに先日の口淫を思い出した。

「だめ……恥ずかしい」
「恥ずかしがってるところも可愛い」

 マリーがいやいやと首を振って否定しても、ノエルは諦めてくれなかった。それに身体も離してくれない。

 そうやって真剣な顔で望まれると、結局マリーは逆らえずにて従ってしまう。ノエルに満足して欲しいし、満足させたいと思ってしまうのだ。

「上に跨って……もう少しこっちに」

 マリーの身体を自分の胸の上に乗せたノエルは、腰の位置をさらに上へ移動させるように指示してきた。すでにノエルの眼前に秘部を晒す恥ずかしい恰好になっているのに、より一層近付くようにと促される。

 恥ずかしさのあまり数センチ程度しか移動できずにいると、代わりにノエルの身体がずり下がった。しびれを切らしたノエルは、いっそ自分が動いた方が早いと判断したらしい。

 吐息がかかるほどの近距離でペティコートと下着のレースを捲られると、空気の冷たさを感じて晒された秘部がひくっと収縮した。

「ノエル……あんまり、見ちゃだめ……」
「ああ、もうこんなに濡れて……糸も引いてる……色も綺麗だ」
「やだ……ほん、とに……」

 見たもの全部を報告するのはやめて欲しい。だがベッドランプはノエルの頭上にあるので、彼の目の間には濡れた秘部が丸見えになっているのだろう。

 逆にノエルの下半身はランプから離れており、さらにマリーの身体の影になっているのでちゃんと見えない。この前も目隠しをされていたのだから今夜はしっかり知りたいと思ったのに、やっぱり今日もマリーが一方的に攻められている。

「は、恥ずかしい、の……」

 この状況をどうにか回避したいと思って訴えたのに、あまりの羞恥心から声が震えてしまった。

 マリーが呟いた直後に、ノエルが生唾を飲む音がした。ごく、と喉が鳴った瞬間マリーの下腹部は熱い感覚に襲われた。

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