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第10話 R
しおりを挟むノエルに教えられた通り、大きく膨張したものをかぷ、と口に含む。口が小さくてほとんど含めていないが、先端部に舌を這わせ、根本は手を動かして少しずつ刺激する。
「マリー、無理するなよ……?」
「ん……む、……ぅ」
ノエルに優しく諭され、コクリと頷く。
無理はしていない。
不思議と不快感もない。
ほんのりとシトラスの香りと熱の気配を感じながら、口の中で舌を動かしてみる。そうしていると喉の奥からさらに唾液が溢れてくる。先端から滲み出してきた水分と合わせて、口の中で絡ませながらゆっくりと丁寧に舐め上げていく。
「っ……ん、のえぅ……ふ……ぅ」
「可愛いマリー。従順すぎて、心配になる」
ノエルの感嘆の声を聞いていると、マリーの身体もだんだん熱くなってくる。いつの間にか自分の股の間もしっとりと濡れている。今日はまだほとんど触られていないというのに、ノエルへの奉仕に自分も興奮しているようだ。
「ん、んう、っ……ふ、……あう」
「熱いな……溶けそうだ」
その言葉に、マリーも内心でそっと同意した。ノエルの身体は風邪を引いて熱を持っているのではないかと思うほどに熱い。口に含んでいる雄竿も、マリーの頬を撫でる指先も、足や腕の肌同士が密着しているところも、ノエルは何もかもが熱い。
「っぅ、ふ……ぁ、……む」
「マリー……可愛い」
「は……む、っ……っふ、ぁ」
視覚が遮断されているせいで、その温度をより強く感じる。聴覚が研ぎ澄まされていて、自分が発する卑猥な水音を鮮明に拾い上げる。味覚が敏感になっていて、先端から零れる蜜の味を堪能してしまう。
「もういい、マリー」
夢中になって食んでいると、ノエルに制止されて顔を引き剥がされた。ちゅるっ、と音がして陰茎から離れた瞬間、マリーの口の端からはだらしなく唾液が零れてしまう。その感覚が恥ずかしく手で拭おうと思ったが、ノエルのキスの方が早かった。
「……っん、……う、っふ……あ」
舌を差し入れられ、何度も何度も深く口付け合う。苦しくなると今度はノエルの口内に招かれるように強く吸われ、お互いの口の中を行き来するようにキスを繰り返す。夢中で貪り合ってしまう。
舌と顎が疲れはじめた頃、ノエルの腕がマリーの身体を上へ引っ張りあげた。気が付けば彼の身体の上に乗るような格好になっていて、さらにショーツの結び目も解かれている。
「自分で拡げて。見えなくても出来るだろう?」
「……っ」
ネグリジェのレースの中で秘部に腰を擦り付けられ、マリーは先を想像して顔を火照らせた。
恥ずかしいには恥ずかしいが、それ以上にマリーの身体も疼いている。ここ最近ノエルを受け入れることに慣らされていた身体は、彼の求めに応じるように勝手に反応を始めてしまう。
ノエルの欲望と自分の欲求が同じだと自覚している。だから羞恥心を感じつつも、言われた通りに指先で入り口を広げ、貫かれる瞬間を待ち望んでしまうのだ。
「挿れるぞ」
「ん……あっ、ふああぁ、っ」
言うが早いか一気に膣内に挿入されたものの大きさに、身体を仰け反らせて感じてしまう。
「すごい……濡れてる。マリー? すんなり……挿入った、な?」
「ああ、ぁん……やぁ……!」
快感に耐えるようなノエルの声に恥ずかしい報告をされて、顔を中心に全身がぼうっと熱くなった。ノエルの陰茎を舐めただけで興奮してしまったことをまざまざと教えられているようで、いたたまれなさを覚える。
だがマリーの困惑は一瞬だった。ノエルの陰茎はいつもより大きく、挿入時だけではなく腰を引かれる時も震えるほどに感じてしまう。内壁を擦るようにずるぅっと引けていく感覚に、怖いほどに感じてしまう。
「っぁ、あ、あんっ……やぁ、ノエル……っぁあッ」
マリーの身体の下にいるノエルに負担をかけまいと考えていたのに、抜けかけた膨張を二度目に突き入れられた瞬間、その気遣いもどこかへ吹き飛んだ。
全身を貫かれるような衝撃と激しい快感に、思わず腰が浮かせて逃れたくなってしまう。だがノエルの動きは素早く、マリーの腰をがっちりと掴むとそのままマリーの淫花を責め始めた。
「やっ、だめぇっ……おく、……おくっ」
「っ、く……マリー……! ……気持ち、よすぎる……!」
「あ……ああ、あっ……あん、ん」
ノエルも感じているようで声を詰まらせていたが、マリーの快感はそれ以上だった。強い刺激に耐えられず、喉の奥からは言葉にならない甘ったるい声ばかりが止め処なく溢れる。
「やあ、っぁ、のえ、ぅ……き、ちゃうッ……もぉ、だめえっ!」
下からの突き上げが激しすぎて、全身がびくびくと跳ねてしまう。ノエルの動きに合わせて、腰も淫らに揺れて動いてしまう。
腰を掴まれているせいで、快感から逃れることも出来ない。ただ突かれては引かれ、引いては突かれる感覚に理性も思考も感情も奪われる。
ナカを抉られ、最奥を押しつぶされる感覚の連続に、全身が急に過剰反応した。甘い拘束から解放される瞬間を知り、マリーの膣壁はさらにきゅう、と締まる。
「ああ、あっ……いく、いく……いっちゃ、ああぁッ――!」
「……マリー! っ……」
ぱちゅッ、と腰を強く打ち付けられた瞬間、下腹部の奥で快感が弾けた。暴れ回っていた陰茎の尖端から、びゅく、びゅっと熱い分泌物が放出されている感覚がする。
小刻みに腰を揺らされて最後の一滴まで余すことなく注がれると、ノエルはようやくマリーの身体を解放してくれた。
はぁはぁと荒い呼吸を繰り返していると、後頭部の結び目をするりと解かれた。目元からリボンの感覚が取り払われると、ベッドの傍にあるランプの明かりを強烈な光に感じてしまう。
眩しさに目を細めると、その狭い視界の中にノエルが入り込んで来た。つるりと丸い頭部はランプの明かりを反射してオレンジ色に光り輝いている。
その姿は普段なら絶対に吹き出してしまう光景だったが、今は笑う気力も起こらなかった。身体がだるくてそれどころではない。
「目隠しは興奮するか?」
「しないもん……」
ぐったりしていると愉しそうな笑い声が聞こえた。すぐにからかわれていると気が付いたので、ふいっと顔を背ける。確かに拒否はしなかったが、目隠しはマリーが『して欲しい』と頼んだ訳ではない。
だがノエルはいつになくご機嫌だ。マリーがそっぽを向いていると、また頬に口付けられる。
「可愛いマリー」
ノエルはいつものようにマリーを褒めて、撫でてくれる。まるで奉仕への褒美のように、顔中に優しいキスをくれる。
可愛い、と言って微笑むノエルの姿を見ても、もう笑いは込み上げて来なかった。少し目が慣れてきたのかもしれない。
「私も……。ノエルははげてても可愛いと思うわ」
「そこは『格好いい』じゃないのか?」
「……かっこよくはない」
「……」
うん。かっこよくはない。
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