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第3話 ★R
しおりを挟む「風斗……恥ずかしいから、明かり消して……」
ルームワンピースを脱がされ、同じくシャツを脱いだ風斗に腕枕をされるのは構わない。それに多少くすぐったいけれど、指先で肌を撫でられる感覚も嫌いではない。
けれどベッドライトの明かりを最高照度に設定されて全身をじっくり観察されるのは恥ずかしくてたまらない。明るさを調整できるライトなのだから、せめてあと少しだけ暗くしてほしいのに。
咲月が恥ずかしさから逃れようと身を捩っても、露出された秘部をシーツや手で隠そうとしても、風斗はすぐに咲月の腕を掴んで行動を遮ろうとする。もちろん一度掴まると、簡単には離してもらえない。
「風……ぅん……ん、んっ……」
腕枕のまま半身を起こした風斗に、上から軽くのしかかられる。そのまま唇を重ねられ、歯列の隙間から挿し込まれた熱に呼吸ごと舌を奪われる。
しかも熱い舌同士が触れ合う感覚にびくりと身体が跳ねると、それ以上の刺激を与えられる。驚きのすべてを塗り替えるように、胸を包まれてふにゅふにゅと揉まれる。
「んっ……ん……っふ、ぁ」
優しい手つきで身体を撫でられると、くすぐったさのあまり甘えるような声が出る。そんな声と反応が何よりも恥ずかしいのに。
幼稚園の頃からずっと近所に住み続けていた『幼なじみ』としてはやや珍しい部類に入るかもしれないが、咲月と風斗の両親同士はあまり仲が良くない――というより、親同士に親しい交流や接点がなかった。
そのせいか二人の間には、たまに耳にする『一緒にお風呂に入った』『互いの家にお泊りした』という、幼少期特有の可愛らしいエピソードがほとんど存在しない。だからこうしてぴったりとくっついて眠るのも、互いの裸を見るのも、恋人同士になってから経験した触れ合いばかり。
この『小さい頃から一緒にいて内面は知り尽くしている』状態と『大人になって初めてお互いの身体のことを知っていく』状態が融合して共存するせいで、いつもどうしても緊張してしまう。
自分でも付き合い始めて二年も経つのだからそろそろ落ち着いていいと思うのに、唇が触れ合ったあとにじっと見つめ合うと、異様に恥ずかしくなってどうしようもなく照れてしまう。
「咲月、もう少し強めに触っていいか?」
「……ん」
この照れくさい感覚は風斗の中にも存在するらしく、彼にもいつも、踏み込むべきか遠慮すべきかと躊躇する素振りが見られる。
しかし結局はこうして咲月の意思を確認して、思いを尊重してくれる。だから咲月も、高い体温で不安を溶かすようぎゅっと抱きしめてくれる風斗に、いつも優しさと愛情深さを感じている。
そのせいか、少しだけ油断していた。でもやっぱり明かりは消してほしい……なんて生易しいことを考えている場合ではなかった。
「は、ぁん……ぅ」
風斗の腕に頭を預けたまま胸の突起をスリスリと撫でられるだけで、感じて甘える声が出る。その小さな刺激に身を委ねていると、ふと腕を抜いて身を起こした風斗が、シーツの上をずり這って咲月の下半身の方へ移動し始めた。
「風斗……?」
急に体温が離れたことに寂しさを覚えて名前を呼ぶ。すると突然、風斗に両足首を掴まれて空中へグイッと持ち上げられた。
突然の出来事にびっくりしているうちにさらに高い位置まで下肢を掲げられ、脚を折り畳むように膝関節と股関節を曲げられる。そのまま左右に股を開かれると、恥ずかしい場所を風斗の眼前に晒すような格好になる。
驚きのあまり言葉を失う。秘部が空気に露出すると、そこを風斗にじっと観察されていると嫌でも理解してしまう。
「ちょ、やっ……風斗……っ!」
明るいベッドライトに秘部を照らされた咲月は、これ以上風斗に恥ずかしい部分を見られたくないと懸命に手足をばたつかせた。
しかし学生時代から一切腕っ節が衰えていないばかりか、細身の割にだんだん力強くなっていく風斗に敵うはずがない。しっとりと濡れた秘部を指の先で開かれると、中までじっくりと観察されてしまう。
「やぁっ……この格好やだ……恥ずかし、すぎるよ……!」
「ああ、でも咲月が悪い」
咲月にも確認できるように腰を掲げられ、秘部もさらに広く開かれる。その敏感な場所にふっと息を吹きかけられるだけでびくびくっと内股が痙攣する。
恥ずかしいはずなのに、吐息一つで気持ち良くなってしまう自分の反応に困惑する。涙目になってふるふると首を振ると、咲月を見下ろす風斗が少し困ったように微笑んだ。
「心配かけさせるし、せっかく我慢してるのに煽るし、可愛く誘惑してくるし、俺は咲月に乱されてばかりだ」
「そ、そんなこと……」
「だからお仕置き。口で言っても分からないなら、身体に、身体で教えるしかないだろ?」
「なっ……」
にやりと笑った風斗が顔の位置を下げる。その瞬間また嫌な予感がしたが、制止する前に濡れた秘部と風斗の唇が触れ合った。
「あっ……あ、やぁ……ん!」
膨らんだ突起を風斗の唇に挟まれ、そのままちゅうっと吸い上げられる。強烈な刺激と快感に耐えられず思わず喉を晒すように仰け反るが、太腿の裏をがっちり固定されると逃げることも股を閉じることもできない。
「やぁ、あっ……あ」
弾けそうなほどに膨らんだ陰核に歯を立てられると、強すぎる刺激で目の前が真っ白にスパークする。甘い声をあげながら腰全体が痙攣すると、今度は蜜に濡れたぬかるみの入り口を舌先で蹂躙される。
本来人が口をつける場所ではないところを激しく舐めて吸われたせいか、快感に耐性がない咲月の思考と理性はすぐにほろほろと崩れ始めた。
「だめ、ふう、と……ぉ……」
「甘い……」
「やあっ……そんな、わけ、っ」
股の間で風斗が呟いたのはほんの一言だったが、たったそれだけでも今の咲月には十分な刺激となる。止め処なく溢れてくる蜜液をじゅる、ちゅる、と啜られたことにさらに感じて、気が付けば咲月は快感の臨界を突破していた。
「だめ、ふう、と、ぉ……あっ……ぁああッ!」
激しく愛液を啜られた刺激にあっという間に絶頂する。
風斗の行動を止めることは出来ない。だが手は自由に使えるので、自分の顔を両手で覆い隠してどうにか羞恥に耐える。けれど最初に『お仕置き』だと宣言していた風斗の行為は、それだけでは終わらない。
濡れた秘所から唇を離すと、今度は絶頂の余韻で震える蜜穴に細長い指を埋められて中を思い切り掻き混ぜられた。
「や、まって……! 風斗、わたし今、イッた……ばか、り」
「ああ、わかってる」
「そ、それなら、ぁ……ぁああっ!」
ふるふると首を振って制止を試みるが、手早く指を抜き差しする動きが激しすぎてすぐにまともな言葉が発せなくなる。
「ああ、あっ、だめ……ぁっ」
十分に濡れていた場所が違和感を覚えたのは、最初の数往復だけ。その後は突き入れられた指が抜けていくたびに奥からぴしゃぴしゃと愛蜜が溢れ出す。恥ずかしい水分がシーツと咲月のお腹を激しく濡らしても風斗の指は止まることがなく、結局あっという間に二度目の限界を迎えてしまう。
「咲月? どうだ、気持ちイイ?」
「ふぅ……ん、っ~~ぁ、ああ……っ」
びくんっ、と身体が激しく飛び跳ねた瞬間、また激しく内股が痙攣した。びくびく、ふるふる、と全身に震えが広がると同時に、風斗の手のひらが蜜液でぐっしょりと濡れていく。
激しい絶頂の連続に脱力して肩で息をしていると、咲月の腰を元の場所に落ち着けてくれた風斗が、濡れることにも構わず身体をぎゅっと抱きしめてくれる。少し強く、けれど息苦しさを感じないほどの抱擁にほっと安心する。
咲月が風斗の背中に手を回してぎゅっと抱きつくと、彼も頭をぽんぽんと撫でてくれた。
「ふう、と……お仕置き、終わり?」
「ああ、そうだな。困ったときはちゃんと俺に相談するって約束してくれるなら、もうお仕置きは終わりにするか」
「うん……約束する。……ごめんね」
「いや。俺の方こそ、意地悪してごめんな」
「ん……」
至近距離で見つめ合うと、そのまま唇を重ね合う。さらに指を絡めてぎゅっと結ぶと、その密着に比例するように口付けも深くなっていく。
舌を絡ませて貪り合うだけで、満たされて癒されていく。それと同時に咲月も反省する。心配をかけたくないという理由で不安を口にせず黙っていたせいで、余計に風斗に心配をかけてしまうとは思っていなかった。さらにこんな恥ずかしいお仕置きを受けるとは予想もしていなかった。
しっかりと甘やかされて身体に教え込まれてしまったので、咲月はもう同じ過ちを繰り返せない。
「ん、んぅ……ふ、ぁ……」
「咲月……」
ふと唇を離した風斗に、じっと顔を覗き込まれる。その瞳が訴えていることをなんとなく理解するが、咲月が確認する前に風斗が自分から要望を口にしてきた。
「ごめん、咲月……疲れてるよな? でも、俺も挿入れたい」
「ん……いいよ」
ぐりぐりと腰を擦りつけながら懇願されてしまえば、咲月も無下に断れない。否、最初から断るつもりもない。素直に受け入れることを同意すると、笑顔を浮かべた風斗が身を屈めてこめかみに小さなキスを落としてきた。
可愛いキスが頬から鼻の上に移動し、また唇を奪われる。その甘い戯れの合間に再び両足を広く寛げられる。ただし今度は咲月に自分の秘部を見せつけるような体勢ではなく、しっかりと腰を支えてシーツの上に固定された。
「あっ……ん、ぅ」
いつの間にか下着を降ろしていた風斗の陰茎には薄膜が被せられている。少しだけ深いキスが終わると、咲月がどきどきと緊張しているうちに、じゅぷ、とそれを挿入された。
風斗がゆっくりと腰を突き入れてくると、先ほど指先で拡げられた隘路がきゅうきゅうと甘く啼く。
「ふぁ、あっ……んん」
「咲月……。やべ……気持ち良すぎ……」
緩慢に突き進んでくる陰茎の大きさと硬さに息を詰まらせる。すぐに『力むと動きにくいかもしれない』と気付いて意識的に息を吐くと、その合間に風斗の独り言が聞こえた。だが強い圧迫感に秘部を貫かれている咲月には、呼吸を整える余地はあっても風斗の内心まで確かめている余裕はない。
「ふう、と、ぉ……あ、ああっ」
彼の背中に腕を回してぎゅっと力を込めると、下腹部に圧力が加わったせいか、それとも密着感が増してさらに性感が高まったせいか、また愛蜜が溢れてくる。結合部の摩擦を減らして彼の動きを円滑にしていく。
じゅぷじゅぷと濡れた音が部屋中に響くと、腰を抱く風斗の指先にも力が込められた。その肌に食い込むほどの力強さと必死さに、咲月もさらに感じてしまう。
「あ、ああっ……っぁん」
最奥を激しく突いて膣壁を擦る陰茎のリズムに合わせて、愛蜜が結合部とシーツを潤して濡らしていく。けれど溶け合う体温と下腹部から生まれる快感は際限がなく、きゅうっと胎の奥が切なく疼くたびに快楽が増幅する。
「風斗……ふぅ、……っぁん」
「ん……うぁ……咲月……っ」
「ひぁ、ふぅ、ああぁ――……!」
大切な人の名前を呼びながら、繋いだ手にぎゅっと力を込めて激しい絶頂を迎える。津波のように押し寄せる快感のあまり、あっという間に理性が決壊する。強い愉悦に溺れるように流されて激しく身を震わせると、風斗の腰も激しく揺れ動いた。
同時に達した直後から、舌を絡ませて濃く深いキスを繰り返す。ぴちゃぴちゃ、ちゅる、と唾液を混ぜ合わせ、互いの熱と感情を伝えるように貪り合った。
「はぁ……ふ、っはぁ」
「……咲月」
はぁ、っと熱い息を吐いてからふと目を開くと、同じように目を開いた風斗と至近距離で見つめ合った。そこでようやくベッドランプが一番明るくなっていたことを思い出したが、もう恥ずかしさは感じていない。それよりもあと少しだけこのままでいたいという欲求が勝った。
「風斗……もう少し、手……つないでてほしいの」
「ああ。……じゃあ、もっとこっち来い」
「うん」
手を繋いだまま強く抱きしめ合うと、今度はそれほど激しくない――可愛らしいキスを繰り返す。唇同士が触れるだけのキス。ちゅ、と音がするだけのキス。そこからふわりと甘い熱が生まれるだけのキス。
「風斗……」
「もう一人で悩むなよ。不安なときは俺を頼れ。俺はいつでも、こうして咲月を抱きしめるから」
風斗の優しい言葉と慰め方に照れてしまう。なんだかとっても愛されている、と感じる。
本当は今までと変わっていないのかもしれない。だが幼なじみという関係に甘えていたのか、逆に幼なじみという関係に照れて本音で話せなかったのか、風斗からブルームをオープンした経緯を聞くまで彼の想いを正確に認識していなかったように思う。
先ほどの話をぼんやりと思い出して反省する咲月だったが、そうこうしているうちにだんだんと眠くなってきた。仕事で疲れているのもあるが、今日の風斗はいつもより遠慮がなくて――ちょっぴり激しかった。
「風斗……」
「咲月、眠いんだろ? 仕事の後だったもんな。後でパジャマ着せといてやるから、もう寝ていいぞ」
「……うん」
風斗に頭を撫でられているうちに、強い眠気に襲われる。結局恋人の優しさと巧妙な誘導に負けてすっと意識を手放してしまった咲月だが、今夜は久しぶりに安心して眠れるような気がしていた。
眠った咲月を撫でるのは、丁寧で優しい指遣い。その温度に紛れて、風斗の唇が額に触れる。
「ようやく手に入れたんだ。それから二年も、大人しくしてた。けど咲月に俺を受け入れる準備が出来たなら――もう遠慮はしない」
腕の中で眠る咲月に勝手に宣言した風斗は、顔を少しだけ傾けて咲月の首筋にちゅ、と吸いついた。すぐに顔を離すと肌の上にはくっきりと赤い花びらが散っていたが、これはあえて見える場所につけた大事な〝痕跡〟だ。
詳しくは調べてみなければわからない。だがもし咲月をつけ狙うような不届きな輩が傍をうろついているとなれば――その時は本気で、容赦しないつもりだ。
応援ありがとうございます!
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