秘密のノエルージュ

紺乃 藍

文字の大きさ
上 下
15 / 18

第14話 ◆

しおりを挟む

 身体の上で浮いた下着と肌の間に、大和の手が滑り込んで来た。今度は布越しではなく直接肌に触れられ、胸の膨らみを直に撫でられる。

 大和は意外と体温が高い。まろやかな胸を下から掬い上げるように掴まれ、少しずつ揺らされる感覚が心地いい。

 ん、ん……と甘えるような声が漏れてしまう。その表情や声まで観察されているのかと思うと、恥ずかしさを通り越して後ろめたささえ覚える。こんな声が出てしまうなんて、与えられる気持ち良さに負けて自分の意思をコントロールできていないみたいだ。

「ひぁ」

 そんなゆるやかな刺激と背徳感に身を委ねていると、大和の指先が敏感な乳頭に触れた。それが偶然なのかわざとなのかは判断できなかったが、高い声が零れると大和が楽しそうに口の端を吊り上げた。

「ここ好き?」
「ぁ……ゃ、あっ……」

 指先が敏感な場所に触れてくる。けれど今度は、胸を揉むときにたまたま触れてしまった、という程度の触り方ではない。ピンッと指先で突起を弾かれ、その度に身体が強く反応する様子を楽しげに観察される。

「ぁ、あっん」

 全体を支えるように大きな手が胸を包み込む。そして親指と人差し指がきゅう、と膨れた乳首を摘まみ上げる。しかも左右同時に。

 特に痛みがあるわけではない。むしろ強すぎず弱すぎない刺激は菜帆の身体を甘く蝕み、恥ずかしいはずなのにもっともっととねだるように身体をくねらせてしまう。胸を掴む手のひらの温かさに気がゆるんだ瞬間に乳首をきゅっと抓られ、身体が仰け反って腰が引けると、今度は膨らんだ突起をスリスリと擦られる。

「……っ」

 そうして菜帆の胸のやわらかい感触と身体の反応を楽しんでいた大和が、ごくりと唾を飲む音が聞こえた。何が起きたのかは菜帆も理解していた。

 はじめての快感に身を委ね、ねだるように身を捩っているうちに、胸の上に残されていた下着が完全にずり上がってしまったのだ。その秘密のノエルージュの下には、菜帆の肌が薄い桜色に色付いている。大和はそれを『見た』のだ。

「……もう退かしても、いい、だろ」
「うん……」

 大和の確認の声に頷くと、彼の手の動きに協力するように腕を動かす。そして完全に取り払われた下着の下を明るい照明の下で確認した大和は、一瞬だけためらうような気配を見せた。

 でもそれも、ほんの一瞬だけ。

 何かに火が付いたように菜帆の身体に覆い被さってきた大和は、そのまま再度濡れた唇を奪い取る。

 菜帆の素肌に興奮しているのか、先ほどよりも少しだけ乱雑に、けれど深くねっとりと……菜帆の身体を味わい尽くすように口内に舌を挿し入れる。呼吸を奪ってすべてを堪能するような深いキスと連動するように、胸を掴んで揉む動きも少しだけ強めだ。

「……ぅ……、ん、……っ」

 激しい口付けに応えながら、与えられる刺激に身を委ねる。大和の行動を見ているだけで、彼が菜帆の身体を気に入ってくれているとわかる。けれど決して自分本位ではなく、菜帆の反応を確かめるように顔を覗き込んだり、頬を撫でたりしてくれるのだ。

 やっぱり、菜帆の幼なじみはちょっと過保護かもしれない。自分だってそんなに余裕があるわけじゃないはずなのに、菜帆が怖がったり不安にならないように常に気を遣ってくれる。

「菜帆……下、も……」
「ん……」

 十分にキスを堪能した後、火照った肌から身を起こした大和は、菜帆の太腿を掴んでそのまま脚を左右へ寛げた。

 菜帆は唇が離れて呼吸がしやすくなった拍子に、くったりと脱力してしまう。たくさんキスをされて、髪や頬に触れられて、敏感な場所を撫でられてぐずぐずにとろけきってしまう。そんな状態が身体にも現れていたことは、大和の呟きで思い知った。

「うわ……ここ、すげぇことになってる」

 感嘆するような声に、ぼんやりとした心地から徐々に我に返る。そして視線を下げたことでハッと気が付く。

「やだ……ショーツ、が」
「ぐしょぐしょだな」

 大和に翻弄された菜帆の身体はいつの間にかみだらに反応し、身体の奥から蜜液が溢れ出していた。性の快感を与えられるのは初めてのはずなのに、自分でも驚くほどに濡れてしまっている。

 こんな風になるだなんて思ってもいなかった。知っていたら先に脱いでいた――かもしれないのに。

 興味深げに笑う大和の言葉通りだ。ブラジャーとセットになった赤いショーツは、菜帆の愛液でぐっしょりと濡れそぼっていた。

「ばか……! 大和のばか!」
「濡らしたのは菜帆だろ」
「……そ、う……だけどっ」
「大丈夫だって。破れたわけじゃないんだから、洗えば問題ないだろ。……ほら、これも脱げば?」

 困惑する菜帆がちゃんと頷く前にショーツを引き下ろされてしまうと、もう何も言えなくなってしまう。大和の指から赤い布が離れてカーペットの上に落ちる様子を黙って見送るしかない。

 いや、むしろすでに濡れて剥ぎ取られてしまったショーツのことをいつまでも気にしている場合ではない。

 ついに身に着けているものを全て奪われた菜帆は、大和の指が膝の内側に触れたことで自分が置かれている状況を再認識した。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

教え子に手を出した塾講師の話

神谷 愛
恋愛
バイトしている塾に通い始めた女生徒の担任になった私は授業をし、その中で一線を越えてしまう話

処理中です...