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◆ 第3章
【番外編】 家政婦はなにも見ていない 3 ★
しおりを挟む「美果……」
「ん……」
いつにも増して全力で美果をからかう翔に呆れとを感じていると、つつ……と頤を掬われて優しく微笑まれた。そのまま唇を重ねられる恥ずかしさから内心文句の一つも言いたくなったが、すぐに意外な発見に意識を奪われる。
(あれ? 翔さん……歯磨き、した?)
唇を撫でる舌先を素直に受け入れるべくそっと口を開く。そこに翔の熱が侵入してくると、ほんのわずかだがスペアミントの香りがした。
美果もよく知るさわやかな香りを一瞬だけ疑問に思ったが、深く考え始める前に翔の細長い指がエプロン越しに胸を包み込む。
「ひぅっ……ぁ、んぅ」
「もう固くなってる。服の上からでもわかるぞ」
「だめ、翔さ……んっ」
翔の手が胸をふわりと掴み、固くなった頂を布越しにきゅうっと摘まむ。それだけで美果の身体にはぴりぴりと甘い電流が走る。
「翔さ……! それ、やぁ……っ」
胸の頂に生じた痺れを逃そうと身を捩っても、翔は手を離してくれない。エプロンも服も下着も身に着けているのに、布の上から両胸を揉みしだかれて乳首をクリクリと捏ねる強さには敵わない。胸に生じた快感が下腹部を通って足の爪先まで走り抜けると、美果の身体からは自然と力が抜けていく。
「美果、顔真っ赤……可愛いな」
「だ、だめ……みな、ぁ……で」
翔の恥ずかしい行為を受け入れたわけではない。だが美果の弱い場所を責めて、照れと羞恥に火照る顔を観察しながら耳元で低い声で囁かれると、どうしても負けてしまう。笑顔に絆されて甘えるような声が出てしまう。
「やぁ、ん、翔さ……」
翔の朝の戯れはいつものことだが、普段の彼ならここまでの行為はしない。だからすっかり油断していた。翔の指先がエプロンを退け、美果のジーンズのホックを外し、指先をショーツの中に忍び込ませる。そのまま下生えをふわふわと撫でながら、中指の腹で蜜芽にも触れられる。
「さすがにまだ濡れてないか」
「ひぁ、あっ……ゃあ、あっ」
美果の秘部の状態を確認してぽつりと呟く声に、驚いてしまう。彼は本気で、朝からこのままするつもりらしい。
翔と恋人同士になって、心を通わせて、少し前にはじめて身体を繋げたが、美果にはまだまだ慣れないことばかり。翔に喜んでもらいたい、お互いに気持ち良くなれる方法を知りたいと考えてこっそり勉強はしているものの、そう簡単に知識やテクニックが身につくわけではない。
翔は美果の心と身体が追いつくのを待ってくれるらしく、少しずつゆっくりと色んなことを教えてくれているが、清々しい朝の光を浴びながらいきなりベッドに引きずり込まれるシチュエーションは特に知りたいと思っていない。
だが先週は美果の乙女週間、先々週は翔の出張と事情が重なってしまったためか、少し物足りなさを感じているようだ。確かにここ数日は出勤前に抱きしめられる時間が長く、いってきますのキスをしたがるとは思っていたが、まさかこんな強硬手段に出るとは想像もしていなかったわけで。
「ああ、あ……んっ」
もちろん本気で抵抗すれば止めてくれるとは思う。だが美果との触れ合いに飢えた翔を止める言い訳がすぐには思いつかず――そして美果自身も、本当は翔に触れられることが嫌なわけではない。
ファスナーを下げてジーンズを脚から引きずり降ろされると、エプロンを外されて、シャツを上に捲り上げられる。さらにブラを引き下げられると服を半分着た状態で恥ずかしい場所だけを晒す格好になってしまう。
「美果……」
「しょう、さ……ん」
美果の脚の間に身体を入れた翔と、熱の籠もった視線が絡み合う。それだけで身体がぞくぞくと甘く反応するのに、さらに唇を重ねて深く貪り合うと、二人の境界線が蕩けて混ざり合うように錯覚する。
「んっ……ん、んぅ」
「はぁ……みか……」
「しょ、っさ……。……っ?」
ふとジーンズを脱がされたせいで肌を直接さらけ出している左脚の内側に、固いなにかをぐりっと押し付けられた。視線を下げる前にそれがなにか理解する。
無意識なのか、意識的にそうしているのかはわからないが、翔が自分の股の間で大きくなったものを美果の脚の付け根に擦りつけてくる。そうして固く張り詰めた存在を美果に認識させることで、美果をその気にさせようとしているらしい。
「翔さん……それ、押し付けちゃ……っ」
「ん?」
恋人同士の愛情表現や触れ合いについて学び始めたばかりの美果にとって、男性器はまだまだ未知の存在である。固く勃起したそれを目の当たりにしてもどう反応していいのかわからず、かといって素直にされるがままになるのも恥ずかしい。
「ああ、気になるなら触っていいぞ」
「え、やっ……ちがい、ます……」
気になるとは一言も言っていない。だが美果の手首を握った翔は、否定も気にせず腕を引っ張って、自分の股間まで美果の指先をそっと導く。
いつの間にかルームパンツは下げているが、下着は身に着けているので一応は布越し。とはいえ指先に固く張り詰めたものが触れると、緊張のあまり身体が燃えるように火照る。
(か、かたくて……大きい……)
基本的に美果が嫌がることはしない翔だが、時折こういう恥ずかしい戯れをしてくる。美果は視線を逸らしてどうにかやり過ごそうとしたが、指先に触れる固く大きく張り詰めたそれの存在は、美果にはあまりに強烈だった。
男性の性器というものは、平常時と興奮状態にあるときの差がはっきりしている。こんなにも固く大きく膨らむなんて、皮膚や血管が引っ張られて痛そうだと思ってしまうほどだ。
「これが、美果の中に入るんだ」
「……信じられ、ません」
最初のときも戸惑いを感じたが、この大きさのものが自分の中に挿入されるという状況に未だに動揺してしまう。翔が美果を優しく抱きしめて、いっぱい撫でて、たくさん慣らしてくれるからこそ可能なのであって、そうじゃなければ絶対に無理だと思っている。
「っぁ、ひぁっ……!?」
指先に陰茎の存在を感じながら照れていると、翔の指が美果の秘芽をショーツ越しにクイッと押し込む。その刺激に驚いてびくっと身体が跳ねると、美果を見下ろした翔がにこりと笑顔を作った。
「美果、濡れてきてる」
「え、う……うそ……」
断言の台詞にふるふると首を振る。だが「本当だ」と短く呟いた翔が美果の脚を抱えてショーツを引き下げていくと、確かに布地と股の間には透明な糸が引いている。それがふつりと切れると同時に足先からショーツが離れ、代わりにぬかるんだ秘部に翔の指が沈み込んだ。
「ふぁ、あっ……っぁん」
ちゅぷ、と濡れた音がした直後、中に差し込まれた指をぐるりとかき回された。そのあまりにスムーズな動きこそが、美果の興奮と濡れ具合を示すなによりの証拠だろう。
だが一旦足を降ろされる代わりに翔の右手に膣内を混ぜられ、左手に陰核を捏ね回されると、濡れている原因などすぐにどうでもよくなる。
「あっ、ひぁ、あっ……ぁん」
くちゅ、ちゅこ、ぷちゅ、と卑猥な音が朝日に満ちたベッドルームに響く。服を半分脱がされ、秘部をさらけ出して、寝起きの翔に愛撫されているという恥ずかしい状況に思考がとろとろほどけていく。
「ああ、だめ……しょ、お……さ」
翔の細長い中指が隘路を広げるように蠢く。愛撫の指をもう一本増やされると水音はさらに激しくなり、耳からも官能を焚きつけられているように思う。
「はぁ、あっ……あ……っん」
蜜壺をたくさんかき回されて存分に慣らされた頃、一度身を起こした翔の指先がベッドの下に伸びた。その様子を見ていた美果はふと、そもそもこうなった原因を思い出す。
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