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第2部

後日談 5

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深呼吸をひとつした。

「いいよ。目、開けて」

ゆっくり目を開けたイチゴくんの視線は下に移動した。

「これ……チョコレート、ですか?」
「う……うん。……今日、一応、ば、バレンタインだから……ベタでゴメンっ」

思わず頭を下げてしまう。
ちょっと頑張って高いやつにしたけど、ウチのコンビニで買ったやつだし、そもそも誕生日プレゼントではない。

「何故、謝るのですか?」
「だって……それ誕生日プレゼントじゃないし……それに、チョコなら昨日沢山もらっただろ?」

昨夜、コンビニの前で何人かの女子がイチゴくんの入り待ちをしてチョコを渡していたのをオレは見た。

「全てお断りしたので貰ってませんよ。でも、歩夢先輩は江戸川さんに貰ってましたね」
「な、なんで知ってーー」
「見掛けました」
「どこでっ⁉︎」

イチゴくんが女子に囲まれてるのを物陰から覗いてた時に、背後から忍び寄ってきた江戸川さんに捕まった。
そのまま首根っこ掴まれ、ちょっと離れたとこに連行されて渡された。
バッグから紙袋を取り出す。

「中華まんトリオから『淡雪くんと食べて』って貰ったやつだから、今食おうぜ」

ちなみに、貰った時「あなたへの気持ちは義理よっ」って思いっきり言われたのだけど、イチゴくんには聞こえなかったみたいだ。

「どれどれ……うわっ、箱からして高そう。こういうとこはやっぱ女子だな……」

感心しながら箱を開けると、見た目からしてお高そうなチョコが並んでいた。
説明書きまであるが読んでもわからないからイチゴくんに渡す。

「ああ、これがお店の名前にもなってるチョコですね。で、これが……なるほど」

イチゴくんが説明書きを読んでいる隙に一個取り出して食べる。
半生のミルクチョコが詰まってて、バニラの香りが鼻から抜ける。
ふおおおおっ……お高いチョコはやっぱ違いますなぁ。

「淡雪くんも早く食べな。すっげー美味いよ」
「じゃあ、コレを……うん、本当に美味しいですね」

ストロベリー王国イチゴくんのとこで食べたチョコの方がもっと美味しかったけど、こうやって一緒に食べるとこっちの方が美味しいかもって思えてくる。

「次はコレっ」
「あっ、それはっ……」

オレが取ったチョコにイチゴくんが慌てる。
残念だったな。
こういうのは早い者勝ちなんだよー。
ニヤリと笑うとチョコを口の中に放り込んだ。
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