157 / 159
第2部
後日談 5
しおりを挟む
深呼吸をひとつした。
「いいよ。目、開けて」
ゆっくり目を開けたイチゴくんの視線は下に移動した。
「これ……チョコレート、ですか?」
「う……うん。……今日、一応、ば、バレンタインだから……ベタでゴメンっ」
思わず頭を下げてしまう。
ちょっと頑張って高いやつにしたけど、ウチのコンビニで買ったやつだし、そもそも誕生日プレゼントではない。
「何故、謝るのですか?」
「だって……それ誕生日プレゼントじゃないし……それに、チョコなら昨日沢山もらっただろ?」
昨夜、コンビニの前で何人かの女子がイチゴくんの入り待ちをしてチョコを渡していたのをオレは見た。
「全てお断りしたので貰ってませんよ。でも、歩夢先輩は江戸川さんに貰ってましたね」
「な、なんで知ってーー」
「見掛けました」
「どこでっ⁉︎」
イチゴくんが女子に囲まれてるのを物陰から覗いてた時に、背後から忍び寄ってきた江戸川さんに捕まった。
そのまま首根っこ掴まれ、ちょっと離れたとこに連行されて渡された。
バッグから紙袋を取り出す。
「中華まんトリオから『淡雪くんと食べて』って貰ったやつだから、今食おうぜ」
ちなみに、貰った時「あなたへの気持ちは義理よっ」って思いっきり言われたのだけど、イチゴくんには聞こえなかったみたいだ。
「どれどれ……うわっ、箱からして高そう。こういうとこはやっぱ女子だな……」
感心しながら箱を開けると、見た目からしてお高そうなチョコが並んでいた。
説明書きまであるが読んでもわからないからイチゴくんに渡す。
「ああ、これがお店の名前にもなってるチョコですね。で、これが……なるほど」
イチゴくんが説明書きを読んでいる隙に一個取り出して食べる。
半生のミルクチョコが詰まってて、バニラの香りが鼻から抜ける。
ふおおおおっ……お高いチョコはやっぱ違いますなぁ。
「淡雪くんも早く食べな。すっげー美味いよ」
「じゃあ、コレを……うん、本当に美味しいですね」
ストロベリー王国で食べたチョコの方がもっと美味しかったけど、こうやって一緒に食べるとこっちの方が美味しいかもって思えてくる。
「次はコレっ」
「あっ、それはっ……」
オレが取ったチョコにイチゴくんが慌てる。
残念だったな。
こういうのは早い者勝ちなんだよー。
ニヤリと笑うとチョコを口の中に放り込んだ。
「いいよ。目、開けて」
ゆっくり目を開けたイチゴくんの視線は下に移動した。
「これ……チョコレート、ですか?」
「う……うん。……今日、一応、ば、バレンタインだから……ベタでゴメンっ」
思わず頭を下げてしまう。
ちょっと頑張って高いやつにしたけど、ウチのコンビニで買ったやつだし、そもそも誕生日プレゼントではない。
「何故、謝るのですか?」
「だって……それ誕生日プレゼントじゃないし……それに、チョコなら昨日沢山もらっただろ?」
昨夜、コンビニの前で何人かの女子がイチゴくんの入り待ちをしてチョコを渡していたのをオレは見た。
「全てお断りしたので貰ってませんよ。でも、歩夢先輩は江戸川さんに貰ってましたね」
「な、なんで知ってーー」
「見掛けました」
「どこでっ⁉︎」
イチゴくんが女子に囲まれてるのを物陰から覗いてた時に、背後から忍び寄ってきた江戸川さんに捕まった。
そのまま首根っこ掴まれ、ちょっと離れたとこに連行されて渡された。
バッグから紙袋を取り出す。
「中華まんトリオから『淡雪くんと食べて』って貰ったやつだから、今食おうぜ」
ちなみに、貰った時「あなたへの気持ちは義理よっ」って思いっきり言われたのだけど、イチゴくんには聞こえなかったみたいだ。
「どれどれ……うわっ、箱からして高そう。こういうとこはやっぱ女子だな……」
感心しながら箱を開けると、見た目からしてお高そうなチョコが並んでいた。
説明書きまであるが読んでもわからないからイチゴくんに渡す。
「ああ、これがお店の名前にもなってるチョコですね。で、これが……なるほど」
イチゴくんが説明書きを読んでいる隙に一個取り出して食べる。
半生のミルクチョコが詰まってて、バニラの香りが鼻から抜ける。
ふおおおおっ……お高いチョコはやっぱ違いますなぁ。
「淡雪くんも早く食べな。すっげー美味いよ」
「じゃあ、コレを……うん、本当に美味しいですね」
ストロベリー王国で食べたチョコの方がもっと美味しかったけど、こうやって一緒に食べるとこっちの方が美味しいかもって思えてくる。
「次はコレっ」
「あっ、それはっ……」
オレが取ったチョコにイチゴくんが慌てる。
残念だったな。
こういうのは早い者勝ちなんだよー。
ニヤリと笑うとチョコを口の中に放り込んだ。
0
お気に入りに追加
133
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
ちょろぽよくんはお友達が欲しい
日月ゆの
BL
ふわふわ栗毛色の髪にどんぐりお目々に小さいお鼻と小さいお口。
おまけに性格は皆が心配になるほどぽよぽよしている。
詩音くん。
「えっ?僕とお友達になってくれるのぉ?」
「えへっ!うれしいっ!」
『黒もじゃアフロに瓶底メガネ』と明らかなアンチ系転入生と隣の席になったちょろぽよくんのお友達いっぱいつくりたい高校生活はどうなる?!
「いや……、俺はちょろくねぇよ?ケツの穴なんか掘らせる訳ないだろ。こんなくそガキ共によ!」
表紙はPicrewの「こあくまめーかー😈2nd」で作成しました。
黄色い水仙を君に贈る
えんがわ
BL
──────────
「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」
「ああ、そうだな」
「っ……ばいばい……」
俺は……ただっ……
「うわああああああああ!」
君に愛して欲しかっただけなのに……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる