結婚を前提に異世界にきてくれませんか？

第2部

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「……と、オレが言うのもなんだけど……オレって運悪すぎだな」

そこまで話し終えると、いい感じの温度に下がったラーメンを啜った。
うーん、アッサリして美味いっ。
って、みんな口も手も止まってるよ。

「でも、今日の淡雪くんとオオキミくんのおかげでやっと吹っ切れた。……あ、店長もだ。みんなカッコ良かったな」
「ありがとうございます。店長さん、以前は大学教授されてたのですね。初耳でした」
「あ、それ、オレもっ」

隣のイチゴくんを見ようとしたら斜め前で号泣するコウシさんが目に入ってギョッとする。

「あっ、アユっムさまっ……ご、苦労、されてっいたっのですっねっ……ズズッ、ズズー……ううっ……このっラーメンっ、おいっしっいっですっねっ……ううっ……ズズー」

泣くか食べるかどっちかにして欲しいんですけど。

泣きながらラーメンを平らげ、次に餃子を食べ始めるコウシさんはオオキミくんの従者だ。
てか、餃子がすごく美味しいのか、今度はリスのようにいっぱい頬張っているし。
そんなオレらの席ではラーメン、炒飯、餃子と、テーブルいっぱいに並べられている。
ラーメンは醤油、塩、味噌と3種類もあり、各々食べたいものを小鉢に移して食べている。

「あ、シフシ殿、『春巻き』というものも食べてみたいですっ。あとーー」

コウシさんは今日の主役でもあり主のオオキミくんそっちのけでご飯楽しんでる。
そして、涙はもう止まってる……。

「全部を否定するあの目が、オレずっと怖かった。でも、みんながオレを信じてくれたから、もう大丈夫な気がするんだ」
「僕もオオキミも……勿論シフシも、歩夢先輩の人となりを知ってます。何があっても信じます。だから、安心してくださいね」
「俺から見たら、アユムほど単じゅーーわかりやすい奴はいないよ」

オオキミくん、『単純』って言おうとしたな。
まあいいけど。
あの目はまだちょっと怖いけど、もう怯えることはない気がする。

「でも、店長さんの『出禁』宣言にあんなにショック受けたのか、僕にはわからないのですが」
「ああ、あの人超甘党でさ、特にウチのコンビニだけで取り扱ってるケーキがお気に入りなんだよ。でも、今回のことで完全に食べられなくなったのは、ちょっと可哀想なとこではあるな」
「自業自得だろ」

オオキミくん、辛辣。
と思ったら、イチゴくんもシフシさんも頷いていた。
コウシさんはウンウンと炒飯を食べてる。

「あのぉ、私もアユム様信じてますよぉー。あっ春巻き来ましたー」

コウシさんはそう言い、揚げたての春巻きをハフハフと頬張ると幸せそうな顔を浮かべた。
その笑顔に釣られてみんなで笑った。

シフシさん以外……だけど。