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第2部
2-77 オレのトラウマ
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2年前。
高校3年のあの日。
オレは入試のためこの道を歩いていた。
憧れの先生がいるこの大学に入るために。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
3年に進学しても自分のやりたいことが見つからなくて進学と就職で迷っていた、そんな時ーー
「迷っているならもう少しだけ勉強してみないか?可愛は素直でガッツがあるから大学4年間で色んなことにチャレンジして視野を広げたら、やりたいこともきっと見つかるよ」
担任教師の言葉で、とりあえず進学を決めた。
その後、たまたま行ったオープンキャンパスで、たまたま参加した模擬授業で教鞭を振るっていたのが先生だった。
堅苦しいイメージだった講義をオレは夢中で聴いた。
その出会いがこの大学に決めた理由だった。
当時のオレら学力が全然足りなくて、その日から必死に勉強して入試までに学力を上げた。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
入試当日。
前日に降った雪でどこもかしこも真っ白だった。
早めに家を出たオレは特にトラブルもなく大学の最寄駅に着いた。
寧ろ、ちょっと早すぎたくらい。
「きゃっ」
目の前で女の子が雪道に足を滑らせ転んだ。
「大丈夫?」
ぺたりと座り込んでなかなか立ち上がらない女の子に駆け寄り声を掛けると、ポロポロと涙を零した。
「きょ、今日は、高校の選抜入試があるのに……」
その子もオレと同じ受験生だった。
とても大事な日に滑って転んでしまうという不運に動揺してしまったようだ。
手を引いて立ち上がらせると、女の子の膝から血が出ていた。
「ねぇ、まだ時間大丈夫?」
ハンカチを差し出し聞くと女の子は頷いた。
それを確認したオレは女の子を目の前のコンビニに連れて行った。
店長さんに事情を話すと女性の店員さんを呼んでくれ、女の子の手当をしてくれた。
「あ、あのっ、これありがとうございます」
治療を終えた女の子は貸したハンカチを返そうとした。
すっかり落ち着きを取り戻したが、まだ少し落ち込んでいるように見えた。
「いいよ。そのまま持ってって。あとさ……さっき滑って転んだこと、あまり気にしなくていいと思うよ」
「えっ?」
「だってさ、まだ本番前じゃん。膝痛い思いしちゃったけど、今悪いこと起きちゃったと思えば本番は大丈夫だと思わない?」
女の子は目を丸くしてオレを見た。
数秒後、クスクスと笑い出した。
「はい、カイロあげる。寒いから指を冷やさないようにな」
すっかり元気を取り戻した女の子は笑顔でオレに手を振ると駅に向かった。
高校3年のあの日。
オレは入試のためこの道を歩いていた。
憧れの先生がいるこの大学に入るために。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
3年に進学しても自分のやりたいことが見つからなくて進学と就職で迷っていた、そんな時ーー
「迷っているならもう少しだけ勉強してみないか?可愛は素直でガッツがあるから大学4年間で色んなことにチャレンジして視野を広げたら、やりたいこともきっと見つかるよ」
担任教師の言葉で、とりあえず進学を決めた。
その後、たまたま行ったオープンキャンパスで、たまたま参加した模擬授業で教鞭を振るっていたのが先生だった。
堅苦しいイメージだった講義をオレは夢中で聴いた。
その出会いがこの大学に決めた理由だった。
当時のオレら学力が全然足りなくて、その日から必死に勉強して入試までに学力を上げた。
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入試当日。
前日に降った雪でどこもかしこも真っ白だった。
早めに家を出たオレは特にトラブルもなく大学の最寄駅に着いた。
寧ろ、ちょっと早すぎたくらい。
「きゃっ」
目の前で女の子が雪道に足を滑らせ転んだ。
「大丈夫?」
ぺたりと座り込んでなかなか立ち上がらない女の子に駆け寄り声を掛けると、ポロポロと涙を零した。
「きょ、今日は、高校の選抜入試があるのに……」
その子もオレと同じ受験生だった。
とても大事な日に滑って転んでしまうという不運に動揺してしまったようだ。
手を引いて立ち上がらせると、女の子の膝から血が出ていた。
「ねぇ、まだ時間大丈夫?」
ハンカチを差し出し聞くと女の子は頷いた。
それを確認したオレは女の子を目の前のコンビニに連れて行った。
店長さんに事情を話すと女性の店員さんを呼んでくれ、女の子の手当をしてくれた。
「あ、あのっ、これありがとうございます」
治療を終えた女の子は貸したハンカチを返そうとした。
すっかり落ち着きを取り戻したが、まだ少し落ち込んでいるように見えた。
「いいよ。そのまま持ってって。あとさ……さっき滑って転んだこと、あまり気にしなくていいと思うよ」
「えっ?」
「だってさ、まだ本番前じゃん。膝痛い思いしちゃったけど、今悪いこと起きちゃったと思えば本番は大丈夫だと思わない?」
女の子は目を丸くしてオレを見た。
数秒後、クスクスと笑い出した。
「はい、カイロあげる。寒いから指を冷やさないようにな」
すっかり元気を取り戻した女の子は笑顔でオレに手を振ると駅に向かった。
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