結婚を前提に異世界にきてくれませんか?

むー

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第2部

2-69

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「ううっ、すみません。最終日なのに歩夢先輩より遅く起きてしまうなんて……」

オレの部屋で遅めの朝食……、否、昼食をいただいていると、イチゴくんは本日3回目の謝罪を始めた。
ちなみにランチはオレ希望のローストビーフだ。
うん、やっぱり美味い!

「別にいいって言ってんじゃん。新年の参賀や王様の誕生日やらでイベント続きだったんだし。そこにオレの看病もあって疲れてたんだよ」
「いつもならこんなミスはしないのに……」

ショボくれるイチゴくん見てると、折角の美味しいローストビーフがイマイチになるからやめて欲しい。


今日に限ってなかなか起きる気配がなかったイチゴくんは、昼近くになってシフシさんに叩き起こされた。
無駄にデカい布団をバッサーと一気に捲って「おはようございます、アワユキ様」と至って普通のテンションで、だ。
そんなオレも、それで二度寝から目覚めた。


「婚約者の前なら偶に気を抜いてもいいのではないですか?」
「ボクもお寝ぼけしたユキ兄様見たかったぁ」

何故か当たり前のようにオオキミくんとキラピカくんは、オレたちのランチに同席している。
ちなみに王様と王妃様は昨日から公務再開しているためランチは執務室でとってるらしい。

「そういえば、淡雪くんとオオキミくんは、この後、仕事?」
「いえ、今回は書類は少ないからとお休みを頂きました。オオキミは……」

イチゴくんは途中で言葉を止め、オオキミくんを見た。

「俺は今月いっぱい休みだ」
「へぇ……って、なんで?」
「……そのうち判る」

オオキミくんはそれだけ言うとマッシュポテトを口に入れた。
理由が気になるオレは口の軽いキラピカくんを見るが、既に釘を刺されたのかニコニコ笑顔で「美味しいねー」としか言ってくれなかった。

「……あっ、歩夢先輩、お口のーー」
「ん?……んんっ!」

イチゴくんの方を向こうとすると、横から伸びてきた手が頬をふれてきた。

「ソースついてんぞ。子どもか?」

オレの口の端に付いたソースを指で拭ったオオキミくんは、フッと笑ってそのソースをペロリと舐めた。
その後、何事もなかったかのように食事を再開した。

な、な、なんだ?
このさりげないお兄ちゃん行動は?
この不意打ちはちょっとドキドキしたかも……。

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感想 2

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