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第2部

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イチゴくんが持つナイフはアウルの頸動脈を捉えているのか、二人とも微動だにしない。

「あ、淡雪くん……あの……やめ……」

イチゴくんを止めようとテーブルに手をついて立ち上がったが、足がすくんでそれ以上動けない。

「王子様、アユムが怯えているよ。大丈夫?」

アウルがイチゴくんを挑発するように振り向くと、ナイフが当たっていた首に赤い筋ができた。
薄皮程度切れたようで血は出なかった。
でも、その傷にオレの体はカタカタと震えだした。

蘇るのは半年前に職場コンビニで遭遇した強盗犯。
オレの頬に当てられたナイフの冷たさ。
そのオレを守ろうとしてナイフを握って怪我をしたイチゴくん。
目の前でドクドクと溢れ落ちる血。

怖かったけど、トラウマになるほどではないと思っていた……はず。

「……えっ……せん、ぱい?」
「アユム?」

あれ……?
息がちゃんとできない……?
吸って吐いてを繰り返している筈なのにどんどん息苦しくなってくる。

「ヒュッ……ハッ……っっ……ハ……」

苦しくて苦しくて胸が痛い。
目の前がぐにゃりと歪む。
涙が出そうなのか目頭が熱い。
寒い……苦しい……怖い……怖い。

「「……っっ!」」

手をついていた肘から力が抜け、オレは受け身を取ることもできずに倒れた。

「……ハッ……ヒッ……ングッ……」
「歩夢先輩!」
「アユムッ!」

両サイドからイチゴくんとアウルがオレの身体を起こす。
震える背中に当たる2つの手が温かくて、胸の痛みがほんの少し和らいだ気がした。

「歩夢先輩、落ち着いてください」
「アユム、ゆっくり息を吸うんだ」
「ヒュッ……ゲホッ、ゲホッ」

オレは何度か咳き込みながらもなんとか呼吸ができるようになった。
呼吸ができるようになったおかげで、少しずつ落ち着きも取り戻した。

「ごめっ……も……だいじょ……ぶ」

そう言うオレを2人は抱えて椅子に座らせてくれた。
イチゴくんは着ていたガウンをオレの肩に掛けてくれ、アウルは白湯を入れたカップをオレに差し出してくれた。

「ごめん」
「ごめんなさい」

まだ震え俯くオレに2人は謝った。


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感想 2

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