結婚を前提に異世界にきてくれませんか?

むー

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第2部

2-62

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「でも今回は怪我の治療と二日酔いでヤバかったけど、過ぎてしまえば悪くはなかったかもな」
「……え?」

赤い顔を冷ますため向こうを向いていたイチゴくんが驚いた顔でオレを見た。

「二日酔い?」
「ほら。オレ酒弱いじゃん。なのに昨日うっかりアルコール入りのチョコ食べちゃったじゃん。だから、さっき目が覚めたとき二日酔いで気持ち悪くて最悪だったんだよ。今は治ったけどさ」

ニッと笑うオレに対しイチゴくんは首を傾げた。
アレ……?

「あの……ではありませんよ」
「……ん?」

よく聞き取れない。
オレはモゾモゾと起き上がった。

「あの、今なんと?」
「歩夢先輩……は、二日酔いではありませんよ」
「……ん?……んんーっ?」

オレの首はイチゴくんと同じ方に傾げた。
二日酔いじゃない……だとぉ?

「確かにショコラボンボンで歩夢先輩は酔っ払いましたが、治療に影響が出ないよう先に身体からアルコールを抜きました」
「えっ……でも、起きたらオレすっげぇ気持ち悪くて」

元の位置に戻ったイチゴくんは顎に手を当てて考え込むと、頭をさっきと反対の方に傾けた。
それはほんの数秒で戻ると、頭を元の位置に戻してポンっと手を打った。

「あーそれは、退場した後、全部吐き出して胃の中を空にしてしまったせいかもしれません」
「……はっ?……オレ、吐いたの?」
「はい」

吐いた記憶はオレにはない。
でも、イチゴくんが嘘をつく理由もない。
というか、なんか嫌な予感がする。

「あの……それって、いつ、のことかなぁ?」
「ホール出てすぐです。突然『気持ち悪い。吐く』と言って……」

記憶はない。
……けど、そう言われてみたらなんかスッキリした記憶は薄ら蘇った。
その瞬間、オレの顔から血の気が引いた。

「そ、それって……」
「あっ、だ、大丈夫です。ふ、服はすぐ洗ったのでっ……もも問題ないですっ」

イチゴくんはどもりながら左右に手を振ってフォローしてくれる。
それはたぶんオレの顔は青から真っ白に変わっていたからだろう。

「も、申し訳ございません」

オレはベッドから飛び降りて土下座した。






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