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第2部

2-49 お茶会

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何度目かの寝返りの後、体を起こした。

「眠れん……」

眠れなくて三桁は寝返りを打ったオレは諦めて起きることにした。

眠れない原因は……アレしかない。
王妃様は何故、部外者のオレにあんなことを打ち明けたんだろう?
そして、オレの世界では死んでるってどういう意味だ?

そんなことを悶々と考えていたら眠れるわけがない。
無駄に大きいカーテンを少し開け、無駄にでかい窓から外を覗くと夜が明けたばかりでまだ薄暗かった。
これから寝付けたとしても1時間くらいしか眠れないだろう。

「うしっ、ひとっ風呂入って着替えよ」

完全に眠ることを諦めたオレは背伸びをしてからバスルームに向かった。


❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎

「やったー!アユくんに勝ったー!」
「クッ……」

5回戦目に、オレはバドミントンでキラピカくんに負けた。
つか、5連戦はキツい。

「アユくん、もう一回やろう」
「ぱ、パス……もう太もも上がらない」

息も絶え絶えにその場に座り込んだオレの向かいでピョンピョン跳ねているキラピカくんの有り余る体力にちょっと青ざめる。

「歩夢先輩大丈夫ですか?立てますか?」
「あ、あり、がと……」

差し出されたイチゴくんの手をありがたく掴んで立ち上がるとベンチに座る。
キラピカくんはオオキミくんを捕まえてまたバドミントンを始めようとした。
オレの場合は寝不足のせいもあるんだろうけど、キラピカくんはちょっと元気すぎないか?

「あらあら、今日のキラピカは一段と元気ねぇ」

声がした方を見ると王妃様が侍女数名を引き連れてやってきた。

「ねぇ、少しお茶にしない?キラピカ、あなたのお土産でお茶にしましょう」

王妃様の一言で、キラピカくんは「はーい」と元気な返事をしバドミントンを止めた。
その背後ではあからさまにホッとした顔をしたオオキミくんがいた。


「わぁ、コレってタルト?」
「うん。ラズベリーのタルトだよ」

小さなタルト生地の中央にはルビー色のムースが入っていた。
見るからに美味しそうだ。

「コレはね、【ロシアンタルト】って言ってね、一個だけ当たりがあるんだよ。でね、当たりのタルトにはーー」
「わっ」

キラピカくんの言葉を遮ったオオキミくんを見ると……。

「び、美女だ……」

ブカブカの服を着た美女に変わっていた。

「キミ兄様、もう当たり引いちゃったのー」

キラピカくんはつまらなそうに頬を膨らませた。
キラピカくんの説明によるとこのロシアンタルトは6個中1個当たりがあって、その当たりを男性が食べると一時的に身体が女の子に変わってしまうらしい。
ちなみに女性が食べるとちょっと若返るらしい。
既にオオキミくんが当たりを食べてしまったからこれから食べるオレたちはもう当たりはない。
美女になったオオキミくんの姿にオレたちは笑いながらタルトを食べた。

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