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第2部

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王妃様はどうやって王様と出会って異世界に嫁ぐことになったのか、純粋に興味があったんだけど……。


「私は一人っ子でね。子供の頃は大きなお屋敷で執事やメイドに囲まれながら両親の愛情を一身に受けすくすく育ったわ」

王妃様は目を細め楽しそうに話し出した。
うん。
やっぱり普通じゃなかった。

「父も母も情が厚くて人を疑ったりしなくて……見返りも求めず全力で力を貸す人だったのよ」
「素敵な方たちですね」
「ありがとう」

この世にこんな善良な人がいると思えないくらい純粋な人たちがいて、そんな人たちの血縁者が目の前にいる。
そんな王妃様が王様に選ばれたことはなんか納得だ。

「……本当……馬鹿な人たちだったわ」
「……ぇ?」

王妃様の思いもよらない言葉に肩が跳ねた。
そして楽しそうにキラキラしていた目は一瞬で影を差した。

「それで……私が16の時に、カフェであの人と出会ったの」

あの人とは王様のことだろう。
なのに、王妃様の目の翳りは晴れることはなくますます深くなった。

「あの人は毎日カフェに来ては私を口説いたのよ。本当、しつこかったわ」
「ああ……そこはやっぱり血筋なんですね」

イチゴくんのしつこさは父親譲りか。
あの翳りも相当しつこかった記憶のせいか?

「あの、今、ご両親は?」
「……病気や事故に遭ってなければ生きているわ」

言い方に引っかかるものを感じる。
晴れることのない王妃様の目は、王様のしつこさよりご両親のせいかもしれない。

「あの……ご実家には帰られたりは?」
「……この世界に移ってから帰ってないわ。……私ね、あのゲートを通ることができないのよ」

言っている意味がさっぱりわからない。
でも、今日ここで留守番しているのはあのゲートを通れないことが関係しているのだろうか。

「……あの、それって……」
「あの空間では魔力が無効化されてしまうから魔法が使えないの。……だから私は通れないの」

王妃様はそっと胸に手を当てた。
宝物でもあるのか、それを守る様に両手で隠しているように見えた。
それに、あの空間では魔法が使えないって初めて知った。
それが王妃様が渡れないことと何の関係があるんだ?
混乱するオレに哀しげに微笑んだ王妃様は言葉を続けた。

「アユムさん……私はね……貴方の世界にいた私は死んでいるのよ」

オレは言葉を失った。

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