100 / 159
第2部
2-32
しおりを挟む
「じゃあ、オレから」
ソファーの隅に置いていた大きなトートバッグを引き寄せると、ファスナーを開けて中身を取り出す。
「はい。淡雪くん。メリークリスマス!」
「わあっ、ありがとうございます」
シンプルなラッピングの袋を嬉しそうに受け取ったイチゴくんは潰れない力加減で抱きしめた。
イチゴくんはそれを脇に置くと、側に置いてあった大きな紙袋から可愛くラッピングされた包みを取り出しオレに差し出した。
「歩夢先輩。これ僕からです。メリークリスマス」
「サンキュー」
プレゼント交換なんて子供の時以来でスッゲェ嬉しくて、オレもギュッと抱きしめた。
「一緒に開けよっか」
「はい」
ガサガサと包みを開けて見た中身に驚いて頭を上げイチゴくんを見る。
イチゴくんも同じタイミングで驚いた顔でオレを見た。
そして、同じタイミングで吹き出した。
「ぶはっっ。マジでこんなことってあるのかぁ?」
「ふふっ、もしかして店も同じですかね?」
「かもな」
プレゼントの中身はどちらもマフラーと手袋。
取り出しその場で身につけてみる。
イチゴくんのマフラーはラベンダーピンクでオレのはスカイブルー。
手袋はお互いグレーだ。
一応、上限金額を決めていたとはいえ、ここまで被るとは……。
「だって淡雪くん、コンビニまで近いからっていっつも薄着で、見てる方が寒かったんだよ」
「僕は歩夢先輩がそろそろ新しいマフラーが欲しいって話していたので……」
お互いに話し目が合うとまた吹き出した。
「お二人ともとても良くお似合いですよ」
そんなオレたちをシフシさんが目を細め微笑ましい眼差しを送っていた。
そんなシフシさんを見てたら急に恥ずかしくなった。
「そ、それより、淡雪くん」
「……ふふ、そうですね。……シフシ、これを」
イチゴくんが紙袋から箱を取り出すとシフシさんは目を大きくして驚いた。
「え……それは……」
「これは僕たちからシフシへ」
「メリークリスマス!さ、開けて開けて」
呆然とするシフシさんを催促して箱を開けてもらう。
「これは……」
「オレチョイスのエプロンと」
「シフシが欲しがっていた」
「家庭用の燻製器。淡雪様、気付いておられたんですね」
オレたちが笑顔で頷くと、シフシさんは見たこともない満面の笑顔を返してくれた。
「お二人とも、ありがとうございます」
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
そんなシフシさんからのプレゼントは、手編みの腹巻きだった。
「寒いのでお腹を冷やさないように」
と一言添えて。
ソファーの隅に置いていた大きなトートバッグを引き寄せると、ファスナーを開けて中身を取り出す。
「はい。淡雪くん。メリークリスマス!」
「わあっ、ありがとうございます」
シンプルなラッピングの袋を嬉しそうに受け取ったイチゴくんは潰れない力加減で抱きしめた。
イチゴくんはそれを脇に置くと、側に置いてあった大きな紙袋から可愛くラッピングされた包みを取り出しオレに差し出した。
「歩夢先輩。これ僕からです。メリークリスマス」
「サンキュー」
プレゼント交換なんて子供の時以来でスッゲェ嬉しくて、オレもギュッと抱きしめた。
「一緒に開けよっか」
「はい」
ガサガサと包みを開けて見た中身に驚いて頭を上げイチゴくんを見る。
イチゴくんも同じタイミングで驚いた顔でオレを見た。
そして、同じタイミングで吹き出した。
「ぶはっっ。マジでこんなことってあるのかぁ?」
「ふふっ、もしかして店も同じですかね?」
「かもな」
プレゼントの中身はどちらもマフラーと手袋。
取り出しその場で身につけてみる。
イチゴくんのマフラーはラベンダーピンクでオレのはスカイブルー。
手袋はお互いグレーだ。
一応、上限金額を決めていたとはいえ、ここまで被るとは……。
「だって淡雪くん、コンビニまで近いからっていっつも薄着で、見てる方が寒かったんだよ」
「僕は歩夢先輩がそろそろ新しいマフラーが欲しいって話していたので……」
お互いに話し目が合うとまた吹き出した。
「お二人ともとても良くお似合いですよ」
そんなオレたちをシフシさんが目を細め微笑ましい眼差しを送っていた。
そんなシフシさんを見てたら急に恥ずかしくなった。
「そ、それより、淡雪くん」
「……ふふ、そうですね。……シフシ、これを」
イチゴくんが紙袋から箱を取り出すとシフシさんは目を大きくして驚いた。
「え……それは……」
「これは僕たちからシフシへ」
「メリークリスマス!さ、開けて開けて」
呆然とするシフシさんを催促して箱を開けてもらう。
「これは……」
「オレチョイスのエプロンと」
「シフシが欲しがっていた」
「家庭用の燻製器。淡雪様、気付いておられたんですね」
オレたちが笑顔で頷くと、シフシさんは見たこともない満面の笑顔を返してくれた。
「お二人とも、ありがとうございます」
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
そんなシフシさんからのプレゼントは、手編みの腹巻きだった。
「寒いのでお腹を冷やさないように」
と一言添えて。
0
お気に入りに追加
158
あなたにおすすめの小説

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
普通の女子高生だと思っていたら、魔王の孫娘でした
桜井吏南
ファンタジー
え、冴えないお父さんが異世界の英雄だったの?
私、村瀬 星歌。娘思いで優しいお父さんと二人暮らし。
お父さんのことがが大好きだけどファザコンだと思われたくないから、ほどよい距離を保っている元気いっぱいのどこにでもいるごく普通の高校一年生。
仲良しの双子の幼馴染みに育ての親でもある担任教師。平凡でも楽しい毎日が当たり前のように続くとばかり思っていたのに、ある日蛙男に襲われてしまい危機一髪の所で頼りないお父さんに助けられる。
そして明かされたお父さんの秘密。
え、お父さんが異世界を救った英雄で、今は亡きお母さんが魔王の娘なの?
だから魔王の孫娘である私を魔王復活の器にするため、異世界から魔族が私の命を狙いにやって来た。
私のヒーローは傷だらけのお父さんともう一人の英雄でチートの担任。
心の支えになってくれたのは幼馴染みの双子だった。
そして私の秘められし力とは?
始まりの章は、現代ファンタジー
聖女となって冤罪をはらしますは、異世界ファンタジー
完結まで毎日更新中。
表紙はきりりん様にスキマで取引させてもらいました。
当て馬系ヤンデレキャラになったら、思ったよりもツラかった件。
マツヲ。
BL
ふと気がつけば自分が知るBLゲームのなかの、当て馬系ヤンデレキャラになっていた。
いつでもポーカーフェイスのそのキャラクターを俺は嫌っていたはずなのに、その無表情の下にはこんなにも苦しい思いが隠されていたなんて……。
こういうはじまりの、ゲームのその後の世界で、手探り状態のまま徐々に受けとしての才能を開花させていく主人公のお話が読みたいな、という気持ちで書いたものです。
続編、ゆっくりとですが連載開始します。
「当て馬系ヤンデレキャラからの脱却を図ったら、スピンオフに突入していた件。」(https://www.alphapolis.co.jp/novel/239008972/578503599)


【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる