結婚を前提に異世界にきてくれませんか?

むー

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第2部

2-32

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「じゃあ、オレから」

ソファーの隅に置いていた大きなトートバッグを引き寄せると、ファスナーを開けて中身を取り出す。

「はい。淡雪くん。メリークリスマス!」
「わあっ、ありがとうございます」

シンプルなラッピングの袋を嬉しそうに受け取ったイチゴくんは潰れない力加減で抱きしめた。
イチゴくんはそれを脇に置くと、側に置いてあった大きな紙袋から可愛くラッピングされた包みを取り出しオレに差し出した。

「歩夢先輩。これ僕からです。メリークリスマス」
「サンキュー」

プレゼント交換なんて子供の時以来でスッゲェ嬉しくて、オレもギュッと抱きしめた。

「一緒に開けよっか」
「はい」

ガサガサと包みを開けて見た中身に驚いて頭を上げイチゴくんを見る。
イチゴくんも同じタイミングで驚いた顔でオレを見た。
そして、同じタイミングで吹き出した。

「ぶはっっ。マジでこんなことってあるのかぁ?」
「ふふっ、もしかして店も同じですかね?」
「かもな」

プレゼントの中身はどちらもマフラーと手袋。
取り出しその場で身につけてみる。
イチゴくんのマフラーはラベンダーピンクでオレのはスカイブルー。
手袋はお互いグレーだ。
一応、上限金額を決めていたとはいえ、ここまで被るとは……。

「だって淡雪くん、コンビニまで近いからっていっつも薄着で、見てる方が寒かったんだよ」
「僕は歩夢先輩がそろそろ新しいマフラーヤツが欲しいって話していたので……」

お互いに話し目が合うとまた吹き出した。

「お二人ともとても良くお似合いですよ」

そんなオレたちをシフシさんが目を細め微笑ましい眼差しを送っていた。
そんなシフシさんを見てたら急に恥ずかしくなった。

「そ、それより、淡雪くん」
「……ふふ、そうですね。……シフシ、これを」

イチゴくんが紙袋から箱を取り出すとシフシさんは目を大きくして驚いた。

「え……それは……」
「これは僕たちからシフシへ」
「メリークリスマス!さ、開けて開けて」

呆然とするシフシさんを催促して箱を開けてもらう。

「これは……」
「オレチョイスのエプロンと」
「シフシが欲しがっていた」
「家庭用の燻製器。淡雪様、気付いておられたんですね」

オレたちが笑顔で頷くと、シフシさんは見たこともない満面の笑顔を返してくれた。

「お二人とも、ありがとうございます」


❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎

そんなシフシさんからのプレゼントは、手編みの腹巻きだった。

「寒いのでお腹を冷やさないように」

と一言添えて。

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