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第2部

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もう平気だ。

そう思っていたけど、トラウマなんてそう簡単には克服できないと思い知らされた。


❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎

「お疲れ様でしたー」

休憩中のメンバーに声を掛けてから外に出ると、思いの外冬の夜風が寒すぎて、その場で身を縮め震える。
ボーッとしていた時間が長すぎた。
あれから店長と少し話したら、少しスッキリした。
ポケットに手を入れ帰りがけに貰ったホットココアで暖を取るが、この寒さではあまり効果がない。

「早く帰ろ」

時計はもう21時を過ぎていた。
今日イチゴくんに連絡して会うのは諦めた。
とりあえず家に帰ったら連絡して、明日か明後日のどちらかイチゴくんの都合のいい時間に会いに行こう。
そう決意して空を見上げると、腹の虫がグゥとなった。
うん、腹減ったな。
今日の晩御飯何かな?って考えながら反対のポケットから貰ったキャンディーを取り出し封を開ける。
口の中に放り込もうとした瞬間、視界の端で何が蠢いて体が固まった。
そのままジッとそれを見る。
よく見ると人の形をしていた。

「だ、誰?」

ちょっと上擦った声を掛けてみるが返事はない。
それどころかその人影がものすごい勢いで迫ってきた。

「ヒィィッ」

その影はびっくりするくらい機敏な動きでオレに接近してきたから思わず悲鳴を上げそうになる。
影は固まったオレを容赦なく抱きしめてきた。
オレは恐怖で息が止まった。
ーーが、それは一瞬。

「はあぁぁぁぁぁ……」

長いため息を吐いて、オレは手を伸ばしオレを抱きしめる頭を乗せた。

「ったく、ビビらせんなよ」
「……会いたかった……です」

でっかい図体で震える頭を撫でると、オレを抱きしめる腕に力が入った。

「ゔっ!イダダダっ。力…入れ過ぎ。ちょっ……緩めて」
「歩夢せんぱぁぁい」

ダメだ。
こいつ全然聞いてない。

突然のイチゴくんの登場によって、口の中に放り損ねたキャンディーは地面に落ちオレの足元を転がった。

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