結婚を前提に異世界にきてくれませんか?

むー

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第2部

2-13

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先生から借りた松葉杖のおかげで、電車では席を譲ってもらって移動することができた。
足の怪我は周りには気付かれ難いから、安静時には松葉杖という目に見える道具がある方が目に付きやすくて良いのかもしれない。
先生には次の診察の時にお礼言っとこ。


少し早めに家を出たおかげで乗り換えもスムーズにいったオレは、ちょっと早めにバイト先に到着した。

「えっ、可愛くん?」

着いて早々、事務仕事をしていた店長に驚かれた。
そういえば、他のスタッフも驚いていたけど、オレ、シフト間違えたっけ?

「おはようございます。店長」
「う、うん、おはよう。足怪我したって聞いたけど大丈夫?」
「捻挫しちゃったんですが大丈夫です。あ……松葉杖コレは移動中のお守り?的に借りたもので、仕事中は使いません」
「そうなんだ。良かった。……今日は早いね……」

店長のどこか気まずそうな様子が不思議で首を傾げ、近くの椅子に座ってさっき買ったおにぎりをテーブルに置く。

「この足だからちょっと早めに出たんですけどなんか乗り換え上手くいっちゃって……」
「そ、そう……。あのね、可愛くんーー」
「おはよーございまーす!」

店長の言葉を遮るようにドアが開ける音と可愛い声が響いた。


❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎

この可愛い女の子は誰だ?
茶色のサラッサラな長い髪を揺らし入ってきたのはオレの知らない子だ。
でもそれ以上に驚いたのはその子が手を引いて入ってきたのがイチゴくんだったことだ。

「店長、おはようござ……ぁ」

店長からオレに視線を移したイチゴくんは目を見開いて声を詰まらせた。
そういえば、一昨日喧嘩別れのような状態のままだった。
いや、正確にいえば、イチゴくんからの連絡をオレはスルーしてふて寝しまくってそのまま忘れてた。

「駅前で偶然一后さんに会って一緒に来ちゃいましたぁ。それで店長、この人は?」
「ああ、可愛くんだよ。夜勤専門で働いてもらってるんだ。可愛くん、こちら今月から新しく入った立川サキさんだよ」

新しい子が入るのは聞いていたけど、まさかこんなに可愛い子とは。
でも、なんでこんな夜遅くに……?

「可愛さん、はじめまして。立川サキです。今週、可愛さんの代わりにサキが夜勤入るんです。よろしくお願いしまーす」
「ん?……えっと……」

それ、聞いてませんけど。

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