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第2部
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休日の電車は少し混雑していて、イチゴくんはオレを守るように隣で支えてくれた。
それは周りからはいちゃついてるカップルのように見えるのか、好奇の視線がザクザク刺さってる気がする。
とはいえ、揺れや人とぶつかったりして左足に負荷がかかるとめちゃくちゃ痛い。
見た目はアレだけど、この体勢は結構楽だから目に見えない痛みは我慢だ。
イチゴくんを見上げると、ずっと難しそうな顔で窓の外を見ている。
オレの視線に気づくとニコッと笑ったが、その笑顔は作り物のようだった。
「先輩、このまま僕のマンションに行きましょう」
「へっ?ぅわっ」
イチゴくんのマンションがある最寄りの駅で電車が止まると、イチゴくんはオレを抱えて降りた。
「ちょっ、ちょっと……イチ、淡雪くん、待っーーい゛っっ」
「あ、ごめんなさい」
右足で踏ん張るオレの横を通るサラリーマンのバッグがオレの左足に当たった。
サラリーマンは急いでいたようで謝罪の言葉を述べたが、足を止めることなく行ってしまった。
でも、そのおかげでイチゴくんは止まってくれた。
「歩夢先輩、大丈夫ですか?」
「……もうちょっとで落ち着くから待って」
痛みに耐えるオレをイチゴくんは抱えて近くのベンチに運んでくれた。
幹部を手でさすると痛みは少しずつ治まってきた。
「歩夢先輩……」
「運んでくれてサンキュ。んで、なんで淡雪くん家に行くの?」
オレの隣で背中をさすってくれているイチゴくんを見上げる。
相変わらず、心配そうな目をオレに向けてる。
「ストロベリー王国に行きましょう。そこなら、先輩のその怪我すぐ治せますから」
「……え?何言ってんだよ」
ただの捻挫でイチゴくんの世界に行く?
まあ、あっちなら魔法ですぐ治してもらえるけど。
「歩けないなら僕が先輩を運びます」
「ちょっ、ちょっと待て待て。これぐらいの怪我、こっちでも治せるからいいよ」
「この世界では完治までに時間が掛かります。それまでずっと痛みも続きますし不便じゃないですか。だからーー」
「待て待てっ!」
捲し立てるイチゴくんを声を張り上げて無理矢理止める。
イチゴくん、何言ってんだ?
それは周りからはいちゃついてるカップルのように見えるのか、好奇の視線がザクザク刺さってる気がする。
とはいえ、揺れや人とぶつかったりして左足に負荷がかかるとめちゃくちゃ痛い。
見た目はアレだけど、この体勢は結構楽だから目に見えない痛みは我慢だ。
イチゴくんを見上げると、ずっと難しそうな顔で窓の外を見ている。
オレの視線に気づくとニコッと笑ったが、その笑顔は作り物のようだった。
「先輩、このまま僕のマンションに行きましょう」
「へっ?ぅわっ」
イチゴくんのマンションがある最寄りの駅で電車が止まると、イチゴくんはオレを抱えて降りた。
「ちょっ、ちょっと……イチ、淡雪くん、待っーーい゛っっ」
「あ、ごめんなさい」
右足で踏ん張るオレの横を通るサラリーマンのバッグがオレの左足に当たった。
サラリーマンは急いでいたようで謝罪の言葉を述べたが、足を止めることなく行ってしまった。
でも、そのおかげでイチゴくんは止まってくれた。
「歩夢先輩、大丈夫ですか?」
「……もうちょっとで落ち着くから待って」
痛みに耐えるオレをイチゴくんは抱えて近くのベンチに運んでくれた。
幹部を手でさすると痛みは少しずつ治まってきた。
「歩夢先輩……」
「運んでくれてサンキュ。んで、なんで淡雪くん家に行くの?」
オレの隣で背中をさすってくれているイチゴくんを見上げる。
相変わらず、心配そうな目をオレに向けてる。
「ストロベリー王国に行きましょう。そこなら、先輩のその怪我すぐ治せますから」
「……え?何言ってんだよ」
ただの捻挫でイチゴくんの世界に行く?
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「歩けないなら僕が先輩を運びます」
「ちょっ、ちょっと待て待て。これぐらいの怪我、こっちでも治せるからいいよ」
「この世界では完治までに時間が掛かります。それまでずっと痛みも続きますし不便じゃないですか。だからーー」
「待て待てっ!」
捲し立てるイチゴくんを声を張り上げて無理矢理止める。
イチゴくん、何言ってんだ?
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