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「何でも屋ぁ?適当なこと言ってんじゃねぇよ」

あからさまに目を逸らすアウルに「へー、何でも屋なんだー。そーなんだー」って言うわけないだろっ。

握りしめたホークで刺す勢いで立ち上がると、予想外の反応だったのかアウルが驚いた。

「やっ、ほぼ何でも屋だよ。子守から引っ越しの手伝い、誘拐、暗殺まで、何でもキッチリやり遂げます!」
「…………は?」

今なんて言った?

「ゆゆ誘拐……あああ暗殺って……犯罪じゃんっ」
「ん?まあそうだな。……でも依頼でやってるから犯罪犯してるのは依頼人。アユムも依頼で誘拐されたの忘れたのか?」
「……ぁ」

そうだった。
馴染みすぎてつい忘れてたけど、オレもこの男に誘拐されたんだった。
アウルにとって依頼されたら、誘拐や暗殺も子守りや引っ越しの手伝いと変わらないんだ。
そう考えたら今更ながらアウルに対して恐怖心が湧いてきた。

「なあ、アユム」
「えっ、何?」

不意に声をかけられて声が裏返ってしまう。
今頃になって心臓もバクバクいってる。

「ハハッ、ビビんなって。……この依頼が終わったら、お前のこと国まで送ってやるよ」

いつの間にか食べ終えたアウルが頬杖ついてオレを見た。

「え……何で……?」
「この依頼が来た時に大国の王子の婚約者の顔を拝みに城に行ったんだ。偶然、王子と一緒にいるところを見掛けたらビックリするくらい平凡じゃん。王子大丈夫か?って逆に心配になった」
「う……」

否定できない。
けど肯定もしたくない。

「でも同時にコイツはどんな奴なんだろ?って興味が湧いて話してみたくなった。なのに、一昨日は城下に降りてきたのに王子のガードがキツくてお前に接触できなくて、昨日城で見掛けたときはお前人を避けようとして別の奴にぶつかって、それを何度もするから面白すぎて声かけられなかったんだ」
「ううっ……」

そんなとこ見られてたなんて。
恥ずかしすぎて手で顔を覆う。

「結局、あの森で誘拐するまで話すチャンスはなかったけど……。話してみたら、お前警戒心無さすぎて面白かったわ」
「それを聞いてるオレは面白くないぞ」
「ほらすぐ警戒解くし、ブハッ」

オレは大笑いするアウルを放っておいてボウルを傾けてスープを飲み干した。
気分は悪いが、スープは最後の一滴まで美味かった。

「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした。で、アユムは何処から来たんだ?」
「ノーコメント」

フンっとそっぽを向いておしぼりで口元を拭いていると、頬に手を添えられ正面を向けられる。

「行くとこないなら……俺んとこ来るか?」

その顔から笑みが消えていた。
すごく真剣に見える表情にオレはーー。

「はぁ?」

不審な顔をした。
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