32 / 159
32
しおりを挟む
「アユム様。大丈夫ですか?」
オレより50近く上に見えるお爺ちゃんに支えられながら立つ。
執事はオレがぶつかっても微動だにしなかったから、魔法でも使ったのだろうか?
「あ、ありがとうございます。迎えに来ていただいて助かりました」
「いえ、実はアワユキ王子のご指示で此方に参りました。ですから、そのお礼は王子に仰って下さい」
お辞儀をすると、逆に恭しくお辞儀をされてしまった。
「このエリアは私の管轄外ですが地図は頭に入っておりますので、このままご案内します」
「あ、ありがとうございます。……えっ、管轄外……?」
「はい。この城はエリア毎に担当する者を分けているんですよ。私の管轄は王子たちがいらっしゃる住居エリアになります」
執事さんの後について行き執務エリアに入る。
扉の前の警備兵は執事さんの顔を見るなり敬礼をして扉を開けたが、後ろにいるオレは腕輪を見せるまでやっぱり不審者を見るような目を向けられた。
「執務エリアにも執事さんはいるんですか?」
「おりません。厨房担当以外はここで働く者たちが陛下と王妃のお世話をします。それには毒などの危険物の混入を避ける意味もあるのですよ」
「はー、セキュリティーが厳しいんですね」
「そうですね。ただ、出来て困ることはないので問題はないようです。寧ろ、ご家族に紅茶を振る舞うと喜ばれていると言うものが多いですよ」
そんな話をしているうちに、2人の兵士が立つ豪華な扉の前に到着した。
「こちらが陛下と王妃がいらっしゃる部屋になります」
執事さんがノックをすると、扉を開き中にいた兵士が顔を出した。
執事がオレを連れてきたことを伝えると、兵士がオレだけを中に通した。
「お戻りの際はアワユキ王子がお迎えにいらっしゃるそうです。では私は失礼いたします。」
「あのっ、ありがとうございます」
執事さんにお礼を言って中に入った。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
「どうでしたか、王の執務室は?」
王様の執務室で王様と王妃様との緊張のティータイムが終わると、イチゴくんが迎えに来てくれた。
イチゴくんのエスコートは執務エリアを出て少し歩いたところでやめてもらって並んで歩く。
「うーん。もっと豪華なイメージがあったんだけど、意外に質素だった。あと、兎に角書類が多くて……王様って大変なんだな」
「国の政の最終決裁は王族が行うことになっているので目を通さなければいけない書類が多いんですよ。ただ、多方面からの確認を経たものですから、僕たちが確認するのは要点を纏めた書類になるのであれでも少ない方ですよ」
これらの書類は内容によって王妃様とイチゴくんとオオキミくんに振られているが、それらはだいたい午前中には片付く程度の量らしい。
オレからしたら、あの書類の山を見るだけで吐きそうだ。
「あんな量、オレにできる気がしないわ」
ウゲェと顔を顰めると、何故かイチゴくんに嬉しそうな笑顔を向けられた。
オレより50近く上に見えるお爺ちゃんに支えられながら立つ。
執事はオレがぶつかっても微動だにしなかったから、魔法でも使ったのだろうか?
「あ、ありがとうございます。迎えに来ていただいて助かりました」
「いえ、実はアワユキ王子のご指示で此方に参りました。ですから、そのお礼は王子に仰って下さい」
お辞儀をすると、逆に恭しくお辞儀をされてしまった。
「このエリアは私の管轄外ですが地図は頭に入っておりますので、このままご案内します」
「あ、ありがとうございます。……えっ、管轄外……?」
「はい。この城はエリア毎に担当する者を分けているんですよ。私の管轄は王子たちがいらっしゃる住居エリアになります」
執事さんの後について行き執務エリアに入る。
扉の前の警備兵は執事さんの顔を見るなり敬礼をして扉を開けたが、後ろにいるオレは腕輪を見せるまでやっぱり不審者を見るような目を向けられた。
「執務エリアにも執事さんはいるんですか?」
「おりません。厨房担当以外はここで働く者たちが陛下と王妃のお世話をします。それには毒などの危険物の混入を避ける意味もあるのですよ」
「はー、セキュリティーが厳しいんですね」
「そうですね。ただ、出来て困ることはないので問題はないようです。寧ろ、ご家族に紅茶を振る舞うと喜ばれていると言うものが多いですよ」
そんな話をしているうちに、2人の兵士が立つ豪華な扉の前に到着した。
「こちらが陛下と王妃がいらっしゃる部屋になります」
執事さんがノックをすると、扉を開き中にいた兵士が顔を出した。
執事がオレを連れてきたことを伝えると、兵士がオレだけを中に通した。
「お戻りの際はアワユキ王子がお迎えにいらっしゃるそうです。では私は失礼いたします。」
「あのっ、ありがとうございます」
執事さんにお礼を言って中に入った。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
「どうでしたか、王の執務室は?」
王様の執務室で王様と王妃様との緊張のティータイムが終わると、イチゴくんが迎えに来てくれた。
イチゴくんのエスコートは執務エリアを出て少し歩いたところでやめてもらって並んで歩く。
「うーん。もっと豪華なイメージがあったんだけど、意外に質素だった。あと、兎に角書類が多くて……王様って大変なんだな」
「国の政の最終決裁は王族が行うことになっているので目を通さなければいけない書類が多いんですよ。ただ、多方面からの確認を経たものですから、僕たちが確認するのは要点を纏めた書類になるのであれでも少ない方ですよ」
これらの書類は内容によって王妃様とイチゴくんとオオキミくんに振られているが、それらはだいたい午前中には片付く程度の量らしい。
オレからしたら、あの書類の山を見るだけで吐きそうだ。
「あんな量、オレにできる気がしないわ」
ウゲェと顔を顰めると、何故かイチゴくんに嬉しそうな笑顔を向けられた。
0
お気に入りに追加
165
あなたにおすすめの小説

花屋の息子
きの
BL
ひょんなことから異世界転移してしまった、至って普通の男子高校生、橘伊織。
森の中を一人彷徨っていると運良く優しい夫婦に出会い、ひとまずその世界で過ごしていくことにするが___?
瞳を見て相手の感情がわかる能力を持つ、普段は冷静沈着無愛想だけど受けにだけ甘くて溺愛な攻め×至って普通の男子高校生な受け
の、お話です。
不定期更新。大体一週間間隔のつもりです。
攻めが出てくるまでちょっとかかります。


この僕が、いろんな人に詰め寄られまくって困ってます!〜まだ無自覚編〜
小屋瀬 千風
BL
〜まだ無自覚編〜のあらすじ
アニメ・漫画ヲタクの主人公、薄井 凌(うすい りょう)と、幼なじみの金持ち息子の悠斗(ゆうと)、ストーカー気質の天才少年の遊佐(ゆさ)。そしていつもだるーんとしてる担任の幸崎(さいざき)teacher。
主にこれらのメンバーで構成される相関図激ヤバ案件のBL物語。
他にも天才遊佐の事が好きな科学者だったり、悠斗Loveの悠斗の実の兄だったりと個性豊かな人達が出てくるよ☆
〜自覚編〜 のあらすじ(書く予定)
アニメ・漫画をこよなく愛し、スポーツ万能、頭も良い、ヲタク男子&陽キャな主人公、薄井 凌(うすい りょう)には、とある悩みがある。
それは、何人かの同性の人たちに好意を寄せられていることに気づいてしまったからである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
【超重要】
☆まず、主人公が各キャラからの好意を自覚するまでの間、結構な文字数がかかると思います。(まぁ、「自覚する前」ということを踏まえて呼んでくだせぇ)
また、自覚した後、今まで通りの頻度で物語を書くかどうかは気分次第です。(だって書くの疲れるんだもん)
ですので、それでもいいよって方や、気長に待つよって方、どうぞどうぞ、読んでってくだせぇな!
(まぁ「長編」設定してますもん。)
・女性キャラが出てくることがありますが、主人公との恋愛には発展しません。
・突然そういうシーンが出てくることがあります。ご了承ください。
・気分にもよりますが、3日に1回は新しい話を更新します(3日以内に投稿されない場合もあります。まぁ、そこは善処します。(その時はまた近況ボード等でお知らせすると思います。))。



BLドラマの主演同士で写真を上げたら匂わせ判定されたけど、断じて俺たちは付き合ってない!
京香
BL
ダンサー×子役上がり俳優
初めてBLドラマに出演することになり張り切っている上渡梨央。ダブル主演の初演技挑戦な三吉修斗とも仲良くなりたいけど、何やら冷たい対応。
そんな中、主演同士で撮った写真や三吉の自宅でのオフショットが匂わせだとファンの間で持ち切りに。
さらに梨央が幼い頃に会った少女だという相馬も現れて──。
しゅうりおがトレンドに上がる平和な世界のハッピー現代BLです。

兄たちが弟を可愛がりすぎです
クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!?
メイド、王子って、俺も王子!?
おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?!
涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。
1日の話しが長い物語です。
誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる