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本編
2月 ② side Luka 2
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目が覚めると、目の前に胸板があった。
ボクを抱きしめて眠る男の服はボクの涙が完全に乾いてなく少ししっとりしてた。
「ん……起きたか?」
「あ……」
「とりあえず、薬を……ぶっ、すっげー顔、あはははっ」
「なっ」
起きて早々に笑われたボクの顔は真っ赤になった。
あれだけ泣いたら、目蓋だって腫れるよ。
ひとしきり笑った男はボクごと身体を起こして、ベットサイドにある薬とペットボトルをボクに差し出した。
「ほら、薬飲めよ」
「うんーーあ、あの…」
「楓」
プチプチと錠剤をボクの掌に出して、ペットボトルのキャップも外してくれた。
「あ、ありがとう。か、楓…にぃ」
さんを付けて呼ぶのがいいのか、くんと付けて呼ぶのがいいのか、はたまた呼び捨てにするのがいいか迷った挙句、友達と同じ呼び方をした。
「楓兄、ね……ははっ、まあいいか。ほら飲め」
「う、うん」
錠剤を口に含んで水で流し込む。
たくさん泣いたから喉がカラカラで、そのままゴクゴク飲んでいったらペットボトルの中身が空になった。
「もういいか?」
「うんーー冷たっ」
水を飲んでいる間にベッドから出た楓兄は、ボクからペットボトルを回収するとベシッと目蓋に上に濡れタオルを当てた。
「冷やしとけ。腫れが引いたらもう一眠りするぞ。俺は眠い」
楓兄はそう言うと、ふあぁと大きな欠伸をしてベッドに潜ってきた。
ボクを押し倒して、目蓋に当てたタオルの上に手を乗せた。
ボクの目元をスッポリと覆う大きな手の適度な重さが気持ち良かった。
「ボク、今日失恋したんだ」
「………」
「その人に好きな人がいるのなんとなく気づいてたんだ……。ねぇ、起きてる?」
「起きてる」
「気持ち伝えて、それであわよくば一度だけエッチできたらそれで良かったんだ」
「なんだそれ」
楓兄の呆れた声が聞こえた。
でも、結構本気でそう思っていたんだよね。
「だって初恋だったんだもん。でもね、振られちゃった。好きって言わせてもらえなかった…」
「クソだな、ソイツ」
「クソじゃないよ。本当にカッコ良くて好きだったんだ」
「そうか」
アルファは怖いけど、初めて好きになった人に抱かれたらきっと怖くなくなるって思ったんだ。
たとえ、叶わぬ想いでも……。
ボクの涙はタオルに吸い込まれていった。
悲しいけど、傍にいてくれる気配が優しく包み込んでくれている。
「ねぇ」
「ん?」
「目蓋の腫れ引いたら、また抱きしめてくれる?」
「………」
「ねっ、眠るまででいいからっ」
「………」
タオルで視界が塞がっているから楓兄の表情が見えない。
ボクの発言にドン引きされてたらどうしよう。
また、涙が滲んできたその時、首の下の隙間に何かが通った。
楓兄の反対側から頭と腰に温かくて大きな手が触れてボクを引き寄せた。
「ふぇっ?」
「朝まで抱きしめててやるよ」
言葉と共に頭の上に当たる顎が動いて、ボクはブルリと震えた。
心臓がバクバクいってる。
そんなボクにお構いなしに頭上から「スゥスゥ」と寝息が聞こえてきた。
ボクの方は沢山泣いて眠って頭がスッキリしたうえに、今は煩いくらい高鳴る心臓の音に目は冴えてしまっているのに、そんなボクを置いて寝ちゃうなんて。
でも、どうしてかな……?
楓兄はアルファなのに、もう怖くない。
頭の上から聞こえる寝息に安心する。
「こんなのはじめて…」
温くなったタオルをベットの淵に投げて、ボクを抱きしめてくれる身体にピタリと自分の身体を寄せる。
胸に耳を当てるとトクントクンと規則正しい音が聞こえる。
目を閉じて、音を聞きながら森林の中にいるような心地よい匂いを何度か胸いっぱい吸い込むと、バクバクと煩かった心臓の音がトクントクンと同じリズムを刻んだ。
微睡みながら楓兄の背中に腕を回したら、眠ってるはずの楓兄がボクの身体をぎゅっと抱きしめ返してくれた。
ボクはそのまま心地よい眠りに落ちた。
「誕生日おめでとう」
眠りの世界に落ちる直前、そんな声が聞こえた気がした。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
翌朝、楓兄に付き添われてボクは学園に帰った。
____________________
ボクを抱きしめて眠る男の服はボクの涙が完全に乾いてなく少ししっとりしてた。
「ん……起きたか?」
「あ……」
「とりあえず、薬を……ぶっ、すっげー顔、あはははっ」
「なっ」
起きて早々に笑われたボクの顔は真っ赤になった。
あれだけ泣いたら、目蓋だって腫れるよ。
ひとしきり笑った男はボクごと身体を起こして、ベットサイドにある薬とペットボトルをボクに差し出した。
「ほら、薬飲めよ」
「うんーーあ、あの…」
「楓」
プチプチと錠剤をボクの掌に出して、ペットボトルのキャップも外してくれた。
「あ、ありがとう。か、楓…にぃ」
さんを付けて呼ぶのがいいのか、くんと付けて呼ぶのがいいのか、はたまた呼び捨てにするのがいいか迷った挙句、友達と同じ呼び方をした。
「楓兄、ね……ははっ、まあいいか。ほら飲め」
「う、うん」
錠剤を口に含んで水で流し込む。
たくさん泣いたから喉がカラカラで、そのままゴクゴク飲んでいったらペットボトルの中身が空になった。
「もういいか?」
「うんーー冷たっ」
水を飲んでいる間にベッドから出た楓兄は、ボクからペットボトルを回収するとベシッと目蓋に上に濡れタオルを当てた。
「冷やしとけ。腫れが引いたらもう一眠りするぞ。俺は眠い」
楓兄はそう言うと、ふあぁと大きな欠伸をしてベッドに潜ってきた。
ボクを押し倒して、目蓋に当てたタオルの上に手を乗せた。
ボクの目元をスッポリと覆う大きな手の適度な重さが気持ち良かった。
「ボク、今日失恋したんだ」
「………」
「その人に好きな人がいるのなんとなく気づいてたんだ……。ねぇ、起きてる?」
「起きてる」
「気持ち伝えて、それであわよくば一度だけエッチできたらそれで良かったんだ」
「なんだそれ」
楓兄の呆れた声が聞こえた。
でも、結構本気でそう思っていたんだよね。
「だって初恋だったんだもん。でもね、振られちゃった。好きって言わせてもらえなかった…」
「クソだな、ソイツ」
「クソじゃないよ。本当にカッコ良くて好きだったんだ」
「そうか」
アルファは怖いけど、初めて好きになった人に抱かれたらきっと怖くなくなるって思ったんだ。
たとえ、叶わぬ想いでも……。
ボクの涙はタオルに吸い込まれていった。
悲しいけど、傍にいてくれる気配が優しく包み込んでくれている。
「ねぇ」
「ん?」
「目蓋の腫れ引いたら、また抱きしめてくれる?」
「………」
「ねっ、眠るまででいいからっ」
「………」
タオルで視界が塞がっているから楓兄の表情が見えない。
ボクの発言にドン引きされてたらどうしよう。
また、涙が滲んできたその時、首の下の隙間に何かが通った。
楓兄の反対側から頭と腰に温かくて大きな手が触れてボクを引き寄せた。
「ふぇっ?」
「朝まで抱きしめててやるよ」
言葉と共に頭の上に当たる顎が動いて、ボクはブルリと震えた。
心臓がバクバクいってる。
そんなボクにお構いなしに頭上から「スゥスゥ」と寝息が聞こえてきた。
ボクの方は沢山泣いて眠って頭がスッキリしたうえに、今は煩いくらい高鳴る心臓の音に目は冴えてしまっているのに、そんなボクを置いて寝ちゃうなんて。
でも、どうしてかな……?
楓兄はアルファなのに、もう怖くない。
頭の上から聞こえる寝息に安心する。
「こんなのはじめて…」
温くなったタオルをベットの淵に投げて、ボクを抱きしめてくれる身体にピタリと自分の身体を寄せる。
胸に耳を当てるとトクントクンと規則正しい音が聞こえる。
目を閉じて、音を聞きながら森林の中にいるような心地よい匂いを何度か胸いっぱい吸い込むと、バクバクと煩かった心臓の音がトクントクンと同じリズムを刻んだ。
微睡みながら楓兄の背中に腕を回したら、眠ってるはずの楓兄がボクの身体をぎゅっと抱きしめ返してくれた。
ボクはそのまま心地よい眠りに落ちた。
「誕生日おめでとう」
眠りの世界に落ちる直前、そんな声が聞こえた気がした。
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翌朝、楓兄に付き添われてボクは学園に帰った。
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