金の野獣と薔薇の番

むー

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本編

11月 ①

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学園祭まで残り1週間となったこの日、遂にアレが届いた。

「うわー、写真より可愛いねー。ねぇ、着てみてもいい?」
「ああ、いいよ。着てきて」
「結季くん行こ!」

瑠可が楽しそうに2人分の衣装を持ってオレを引っ張って行く。
チラリと後ろを見れば、クラスの連中はいそいそと鞄からスマホを取り出していた。
はぁとため息を吐き暗幕が張られた更衣室へと入った。


「じゃーん!どう?どう?似合う?」
「うぉっ、似合うじゃん」
「ケモ耳サイコー!」

パシャパシャ写真を撮る野郎どもにポーズを決めてサービスする瑠可はうさぎで、オレはネコだ。
しかもロングヘアのウィッグにケモ耳が付いたやつで、瑠可は茶髪のロップイヤーでオレは黒猫だ。
衣装は、襟の形のチョーカーに肩は丸出しでちょっと寒い。
スカートには耳と同じ色の尻尾が付いていて、丈は写真で見た以上に短かったが、セットにかぼちゃパンツが入っていたため下着のパンツを見られることはなく少しだけほっとした。
ロングソックスで脚の露出は少ないが、野郎どもにはそれがウケたようで「これが絶対領域…」「ニーハイ最高!」と騒いでいて喧しい。

「ほら、如月も可愛いぞ」
「マジか…」

写真の中のオレはどこからどう見ても女の子だった。
しかも、ちょっと可愛い…。

「当日は少し化粧するから、もっとぽくなるな」

2着目に着替えた後も、男どもは楽しそうにオレと瑠可の写真を撮りまくった。


❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎

「いらっしゃいませー」
「如月、お前は今可愛いメイドさんだ。もっと可愛く言え」
「い、いらっしゃいませぇ。ご、ご主人さまぁ」
「まだ硬い!当日までに何とかしろよ」
「くぅ…」

小道具のトレイで顔を隠して苦い顔をする。
めっちゃ恥ずかしい。
まだ自分を捨てきれないオレの横で「おかえりなさいませぇ~。ご主人さまぁ」とメイドになりきる瑠可。
どこからどう見ても可愛いうさぎのメイドさんだ。

「結季くんの黒猫さんも可愛いから大丈夫だよぉ。ほら、にゃんにゃん」
「にゃ、にゃんにゃん…」

真っ赤になりながら瑠可を真似て言ってみるが、恥ずかしくて更に赤くなった。
というか、衣装合わせは終わったはずなのに何故毎日毎日、瑠可とオレは衣装を着て接客練習をしてるんだ?
気づいた時、既に3日経過していた。

「如月は形から入らないと当日ボロが出るからいいんだよ」

そう言われてしまったら、グゥの音も出なかった。
実際、衣装着ている方が気持ちが楽だったりする。
あんな恥ずかしいセリフはこの格好じゃないと言えない。

「当日は振り切って頑張れよ」

担任にまで応援されてしまった。
これはもうやるしかない。

「オレはやってやるぜ!」

拳を突き上げて宣言した。

「おー頑張れー。あと、ガニ股なってるから股閉じろー」

くそっ、一言多い!

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